概要・あらすじ
霊能者の女医あんりは、守護霊ウシロの強大な力を借りながら、オカルト問題専門病院の院長として患者の治療に励んでいる、自称「魂のお医者さん」。一方、オカルトを心底嫌う青年外科医・加賀は病院で働く元教え子の井上次郎を救うため、あんりの治療がイカサマであることを証明しようと奮闘するが、ウシロに何度も干渉され、なかなかうまくいかずにいた。
そんな中、ウシロはあんりが加賀に好感を抱いていることを知ると、加賀を味方に引き込もうと目論み、さまざまな超常現象を見せつける。
登場人物・キャラクター
あんり
霊能者の若い女医で、オカルト問題を専門に扱う病院「マインド・メディカル・センター日比谷」の院長を務めている。ウェーブがかったセミロングの髪型をしている。自分の仕事を「魂のお医者さん」と呼び、霊能力を用いて深刻な悩みを抱える患者の治療にあたる。龍神の守護霊ウシロに守られているため、その能力は非常に強い。心霊現象の解決方法の助言だけでなく、患者の守護霊との対話、心の病の治療、身体に手をかざして病気の原因を探る能力もある。 あんりが願う時や緊急時にはその身体にウシロが降りてくるが、その時の声や顔、身体つきまで若い男性のものに変化する。趣味はカラオケで、歌声は聴く人の脳からα波を引き出して心地良い眠りに誘う。性格は純粋でややお人好し。 自分に挑んで来た加賀が誠実な人柄と知ると、次第にほのかな恋心を寄せるようになる。
加賀 (かが)
世田谷大学付属病院に勤務する青年外科医。体育会系の硬派な外見をした愛想のない男性。頑固な性格で、自分の信念を決して曲げない強い精神力を持つ。「世田谷医大のブラック・ジャック」の異名を取るほど優秀な外科医で、同僚の医師や看護師の信頼は厚い。医大生の頃にアメリカ留学を目指していたが、父親が霊感商法に騙された末に留学費用を消費したため断念。 以来、オカルトの類を敵視してきたリアリスト。あんりの病院のアルバイト職員・井上次郎の元家庭教師で、次郎をオカルトから脱却させようと奮闘する。あんりの守護霊ウシロに自身の正体を明かされても、その存在を否定し続け、あんりの多重人格の発現だと信じている。目的のために強引な手段に出ることもあるが、あんりに対しては誠実な態度で接する。
ウシロ
霊能者の女医あんりの守護霊で、その正体は男の龍神。人間の過去を見通し、天候をも自在に操る強大な力を持つ。気が荒く、誰に対しても偉そうな態度で性格も悪い。普段は東京タワーの上空を巡っており、あんりに呼ばれた時や緊急時にはその身体に降りて来て強大な力を行使する。その時のあんりは、三白眼の若い男性の姿に変身してしまう。 あんりを守るためにおせっかいな行動に出ることもあり、役立つと見込んだ者を巧みに誘惑する。自分の正体やオカルトを一切否定する加賀にあんりが好感を持つと知ると、彼に誘いをかけて味方に引き込もうとさまざまな策を講じる。
井上 次郎 (いのうえ じろう)
あんりが院長を務める病院「マインド・メディカル・センター日比谷」のアルバイト職員の青年。3人兄弟の次男で、商社マンの父親は母親とともにオーストラリアで暮らしている。中学時代には加賀に家庭教師を受けた甲斐あって高校受験に成功。それ以来、加賀に憧れを抱く。大学を卒業して就職浪人中に、オカルトを専門に扱うとは知らずに病院で働き始めた。 あんりの守護霊ウシロには役立つ人間だと見込まれるが、オカルト嫌いの加賀からは病院を辞めるように説得される。気楽な性格で、あんりの霊能力やウシロの存在に理解を持ちつつ、加賀には単なる憧れ以上の恋愛感情を抱くようになる。
一之宮 梅子 (いちのみや うめこ)
あんりが院長を務める病院「マインド・メディカル・センター日比谷」の看護師で、病院のすべてを取り仕切る中年女性。強い霊能力を持つあんりに心酔し、オカルトに関する豊富な知識も持ち合わせている。表裏の激しい性格で、あんりや患者にはへりくだった態度を取るが、目下の井上次郎やオカルトを否定する加賀には極めて強く高圧的な態度に出る。 あんりの守護霊ウシロの強大な力には恐怖すら抱き、その機嫌を損ねることをいつも恐れている。
井上 (いのうえ)
世田谷大学付属病院に勤務する内科の医師。井上次郎の叔父で初老の男性。日頃から甥の次郎の身を案じており、霊能者であるあんりの病院「マインド・メディカル・センター日比谷」がアルバイト先と知ると、オカルトに傾倒しないかと心配する。次郎に病院を辞めさせようと、かつて彼の家庭教師を頼んだことのある加賀に説得を依頼する。
佐藤 (さとう)
1話「魂のお医者さん」に登場する。あんりが院長を務める病院「マインド・メディカル・センター日比谷」で働く青年。勤務中に私用電話をするなど勤務態度が非常に不真面目だったため、あんりの守護霊ウシロから何度も注意を兼ねた嫌がらせをされる。結局反省しないまま、病院を辞めてしまった。
母親 (ははおや)
2話「少女異変」に登場する。夫と離婚した後に山梨で娘の晴美とともに暮らす若い母親。仕事に忙しい毎日を送り恋人もできたために、晴美には不十分な愛情しか注いでいなかった。晴美の態度が豹変して「狐憑き」になったと心配し、あんりに治療を依頼する。
晴美 (はるみ)
2話「少女異変」に登場する。両親の離婚後、母親とともに山梨で暮らしていた少女。聞き分けが良く賢い性格だったが、ある日突然暴れて口汚い言葉を使い出す。母親が地元の拝み屋に相談すると「狐憑き」と判定され、病院の治療も功を奏さない。困り果てた母親はあんりに治療を依頼する。
小林 (こばやし)
3話「会社の怪談」に登場する。井上次郎の大学時代の同期の青年。東和商事に就職して営業部に所属するが、営業部長の傍若無人な態度にストレスを溜めて、やがて健康を害してしまう。次郎が叔父の井上を紹介して世田谷大学付属病院に通院したが、ついには入院することになる。
営業部長 (えいぎょうぶちょう)
3話「会社の怪談」に登場する。東和商事の営業部長に新しく就任した中年の男性。誰に対しても傍若無人な態度を取り、部下にもきついノルマを課すので、社内では「歩くストレス源」と揶揄される。東和商事の人事部長に協力するあんりの霊能力を馬鹿にしたため、守護霊ウシロの不興を買う。
人事部長 (じんじぶちょう)
3話「会社の怪談」に登場する。東和商事の人事部長を務める中年の男性。あんりの霊能力を信頼し、毎年新卒者の性格を鑑定するよう依頼し、人員配置についてアドバイスを求めている。社内で心霊現象が頻発していることを心配し、あんりに助けを求める。
井上 三郎 (いのうえ さぶろう)
4話「不機嫌な家」に登場する。井上次郎の弟。東京大学の学生で、眼鏡をかけた青年。兄の次郎がオカルト専門の病院で働くことに無関心で、叔父の井上と違って特に辞めさせようという考えもない。心霊現象にも鈍感で無関心。
田中 (たなか)
4話「不機嫌な家」に登場する。井上次郎の家に住み込みで働く家政婦の中年女性。次郎たち兄弟の面倒を長年見てきたが、心霊現象には鈍感で無関心。次郎が部屋で霊的な気味悪さを感じると発言しても、何の興味も示さなかった。
山田 高 (やまだ たかし)
4話「不機嫌な家」に登場する。売れっ子小説家・胡蝶乱舞のマネージャーを務める気弱な男性。乱舞が入居した賃貸マンションで起こるトラブルをあんりに相談する。胃に穴があいていると見抜いたあんりから外科医・加賀を紹介され、世田谷大学付属病院で手術を受ける。
胡蝶 乱舞 (こちょう らんぶ)
4話「不機嫌な家」に登場する。売れっ子小説家の若い女性。妹のランがイラストを担当する作品を発表しており、耽美的な作風が人気。わがままな性格で、売れっ子であることを鼻に掛けてマネージャーの山田高をこき使い、出版社の編集者に対しても高慢な態度を取る。ランの主治医である加賀にあんりを紹介され、自宅の高級マンションで起こる心霊現象の解決を依頼する。
ラン
4話「不機嫌な家」に登場する。売れっ子小説家・胡蝶乱舞の妹で、小説のイラストを担当する。姉妹が暮らす高級マンションでは、引っ越した当初から不思議な現象が起こり、2人を悩ませていた。マネージャーの山田高が入院したのに続き、ランも盲腸炎のために世田谷大学付属病院に入院して加賀の手術を受ける。
四谷 (よつや)
5話「世紀末ごっこ」に登場する。世田谷大学付属病院に勤務する神経科の青年医師。加賀の同僚で、穏やかで実直な男性。あんりの守護霊ウシロの正体を暴こうと企む加賀に仕組まれ、あんりの脳を検査することになる。
飯田橋 (いいだばし)
5話「世紀末ごっこ」に登場する。世田谷大学付属病院の脳外科に勤務する青年医師で、加賀の同僚。加賀の策略によって脳の検査を受けたあんりの眼球に異常が生じたため、治療を担当する。常識ではあり得ない異常な症状に驚愕している。
駒沢 (こまざわ)
5話「世紀末ごっこ」に登場する。オカルトマニアの少年。ノストラダムスの大予言を盲信し、自分たちが世紀末を救う戦士だと主張する少年グループの中心的存在。悪魔を召喚する儀式を行ったが、その最中に火傷を負い、加賀が勤務する世田谷大学付属病院に救急搬送された。偶然入院していたあんりが霊能者と知り、自分の使命を果たすためと称して過激な行動に出る。
桜新町 (さくらしんまち)
5話「世紀末ごっこ」に登場する。オカルトマニアの少年で、ノストラダムスの大予言を盲信する少年グループの一員。悪魔を召喚する儀式の最中に駒沢とともに火傷を負い、世田谷大学付属病院に救急搬送された。霊能者あんりの存在を知ったことで、駒沢に扇動されながらともに過激な行動に出る。
場所
マインド・メディカル・センター日比谷 (まいんどめでぃかるせんたーひびや)
霊能者の女医・あんりが院長を務める東京の病院。オカルト問題を専門に扱い、超常現象の相談に応じて深刻な悩み事を抱える患者の治療を行う。巷では原因不明の症状で医者から見離された病人さえも治せるという評判が立っている。スタッフは、病院の切り盛りをする看護師・一之宮梅子とアルバイト職員・井上次郎の2人。
世田谷大学付属病院 (せたがやだいがくふぞくびょういん)
加賀が外科医として勤務する大学病院で、東京都内の世田谷に位置する。井上次郎の叔父である井上も内科医として勤務している。加賀と知り合ったことをきっかけに、あんりは手術が必要と判断した患者を加賀に紹介し、入院させるようになる。
東和商事 (とうわしょうじ)
3話「会社の怪談」に登場する。あんりが院長を務める病院「マインド・メディカル・センター日比谷」の得意先の会社。かつて井上次郎が就職試験を受けたが不採用にされた。人事部長は霊能者のあんりに新卒者の性格の鑑定を依頼し、適切な人員配置に役立ててきた。営業部を中心とする社内で心霊現象が頻発するため、社員は頭を悩ませている。
クレジット
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ありさ・J