英雄機関

英雄機関

高橋アキラの代表作の一つ。22世紀の地球を舞台に、21世紀後半から本格化した宇宙開発が進む中で、人類は新たな脅威「星獣」と対峙する。星獣に対抗するため、機鎧(アイギス)のパイロットとなったリュウ・タイラーは、「英雄機関」の陰謀により抹殺されてしまうが、なぜか彼は英雄として祭り上げられることになる。彼の息子、レオニダスが父親の仇を討つため、英雄機関に潜入し、孤独な戦いを繰り広げる姿を描いたSFロボットアクション。集英社「少年ジャンプ+」で2024年9月15日から連載。「次にくるマンガ大賞2025」Webマンガ部門で第20位に選出。

正式名称
英雄機関
ふりがな
えいゆうきかん
原作者
蔡河 ケイ
漫画
ジャンル
アクション
 
スペースオペラ
レーベル
ジャンプコミックス(集英社)
巻数
既刊4巻
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星獣との戦いと機鎧パイロットの英雄伝説

21世紀の終わり、人類は気候変動や資源枯渇という危機を乗り越えるために宇宙へ進出したものの、間もなく未知の巨大生命体「星獣」という新たな脅威に直面する。人類は星獣に対抗する唯一の手段として、人型機動兵器「機鎧(アイギス)」を開発した。そのパイロットたちは、かつて星獣に蹂躙(じゅうりん)されるしかなかった宇宙開拓者たちにとって、まさに希望の光だった。人々は彼らを「英雄」や「守護神」と称え、その活躍に熱狂している。しかし、その栄光の裏側で、「英雄」たちが謎の組織「英雄機関」のプロパガンダに利用されているという事実は、まだほとんど知られていない。一方で、世間では機鎧の戦闘を模したVRシューティングゲーム「アイギス」が大流行しており、英雄へのあこがれは人々の日常に深く根付いている。

英雄機関の闇と父親としての誇り

機鎧の製造メーカーで技術者を務めるリュウは、わずか10歳でVRシューティングゲーム「アイギス」の世界王者となった息子、レオニダスを何よりも誇りに思っていた。父子の絆は非常に強かったが、天才の息子を持つ凡庸な父親として、リュウは周囲から「トンビが鷹を産んだ」と心ない陰口をたたかれ、人知れず苦悩していた。そんな折、リュウは「英雄機関」から機鎧パイロットとしてスカウトを受ける。愛する息子のそばを離れたくないと一度は断るものの、「息子が真に誇れる父親でありたい」という思いから、彼はあえて危険な道を選ぶ決意をする。しかし、リュウが目の当たりにしたのは、「英雄」たちが駒として使い捨てられる英雄機関の冷酷な実態だった。すべてを悟ったリュウは、息子のもとへ帰るため除隊を決意する。だがその矢先、親交のあったミレニア親子が乗る輸送船が星獣に襲われる。リュウは二人を救うため、量産型の機鎧で出撃し、死闘の末に星獣を撃退する。しかし、信頼していたはずの上官、ゲオルギー・シンの裏切りに遭い、その凶弾を受けて命を落とす。リュウの死の真相は英雄機関による情報操作で隠蔽され、彼の死は「星獣と相打ちになった悲劇の英雄」として世に語り継がれることとなった。

復讐に燃える「英雄」の息子

リュウは星獣との戦いで命を落とし、その死を深く悲しむレオニダスの前に、リュウを殺した張本人であるゲオルギーが現れる。ゲオルギーは機鎧の操縦を教えると申し出て、レオニダスは彼の正体を知らぬまま厳しい訓練を受け、優れたパイロットへと成長していく。それから4年後、幸福省の職員、ユーリ・ムラトフがレオニダスの前に現れた。ユーリもまた、かつて兄を英雄として失い、その死が「英雄機関」に利用された過去を持ち、組織に強い疑念を抱いていた。彼はリュウの死も英雄機関による陰謀である可能性が高いことを突き止め、レオニダスに協力を申し出る。ユーリの提案を受け入れたレオニダスは、彼の助言に従い、英雄機関の内部を探るため直属の教育機関である「イーストポイント宇宙軍士官学校」へ入学するのだった。

登場人物・キャラクター

レオニダス・タイラー

イーストポイント宇宙軍士官学校に通う男子。家族や友人からは「レオ」と呼ばれている。幼い頃に母親を亡くし、父親のリュウと二人で暮らしていた。10歳の時にはVRシューティングゲーム「アイギス」の世界大会で優勝するほどの才能を持ち、父親にとっては自慢の息子だった。父親が機鎧の開発に携わっていた影響もあり、レオニダス自身も機鎧に強い愛着を抱いている。特に「伝説の機体」と称される「ジークフリード」にあこがれる一方で、父親が手がけた「量産型ズラブ」には特別な思い入れがある。小学生の時に父親が戦死してからは叔母夫婦のもとで育てられたが、リュウが「英雄」として称えられることに複雑な感情を抱いていた。そんな中、父親の上官であったゲオルギーと出会い、彼から機鎧の操縦を学ぶ。また、ユーリと名乗る人物から、父親の死が「英雄機関」の陰謀によるものであったと知らされる。レオはユーリと密約を交わし、真相を明らかにするために士官学校に入学。現在は学生寮で生活している。ユーリからは、ゲオルギーが父親の死に関与している可能性を示唆されているが、その核心にはまだ触れられておらず、今もなお彼を師として慕い続けている。

リュウ・タイラー

レオニダスの亡き父。かつて機鎧メーカーの下請け企業に勤務しており、息子のレオニダスが機鎧に魅了されるきっかけを作った。レオニダスを深く愛する一方、幼くして「天才」と称される息子に対して、内心では強いコンプレックスを抱いていた。「息子に誇れる父親でありたい」という思いから「英雄機関」の誘いを受け、機鎧パイロットとして戦う道を選んだ。ある任務で、軍医とその娘のミレニア・ブラックウェルが乗る輸送船を星獣から守るために出撃し、みごとな操縦で星獣を撃退した。しかし、その直後、味方であるはずのゲオルギーに撃墜され、命を落とす。この出来事は英雄機関によって情報操作され、リュウは世間から「英雄」と称えられるようになる。しかし、その死は英雄機関のプロパガンダに利用され、実妹からは「開拓の犠牲者」と評されるなど、評価は一様ではない。それでも、彼に命を救われたミレニアだけは、今もなおリュウを「本物の英雄」と心から慕い続けている。

クレジット

原作

蔡河 ケイ

書誌情報

英雄機関 4巻 集英社〈ジャンプコミックス〉

第1巻

(2025-02-04発行、978-4088844459)

第2巻

(2025-03-04発行、978-4088844480)

第3巻

(2025-06-04発行、978-4088846057)

第4巻

(2025-10-03発行、978-4088847573)

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