GODZILLA 怪獣惑星

GODZILLA 怪獣惑星

劇場版アニメ『GODZILLA 怪獣惑星』のコミカライズ作品。ゴジラによって地球を壊滅状態にされ、宇宙移民船アラトラム号で育った青年のハルオ・サカキが、地球人と協力関係にある異星人のエクシフとビルサルドの技術を用い、ゴジラから地球を取り戻す戦いに身を投じていく姿を描いたSFアクション。「少年ジャンプ+」2018年17号から43号にかけて掲載された。

正式名称
GODZILLA 怪獣惑星
ふりがな
ごじら かいじゅうわくせい
作者
ジャンル
モンスター・異生物
 
アクション
関連商品
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あらすじ

地球への帰還編

20世紀最後の夏、地球各地を怪獣たちが襲撃した。人類は善戦したものの各国の被害も尋常なものではなく、特に最後に現れた怪獣、ゴジラによって地球は壊滅状態となった。地球人に救いの手を差し伸べた異星人のエクシフビルサルドの尽力も虚(むな)しく、人類は宇宙移民船アラトラム号で地球を離れ、安寧の地を探すために宇宙へ旅立つ。しかし出立して船内時間が20年ほど過ぎても、地球の代わりとなる星を発見することはできず、人類は疲弊していく一方だった。人一倍ゴジラに対する憎しみを持つ地球人の青年であるハルオ・サカキは、老人たちばかり乗せたシャトルを地球よりもはるかに危険な惑星「タウe星」に降下させようとする作戦に武力での抵抗を見せた結果、独房に収監されていた。そこで、エクシフの大司教、メトフィエスの協力を得て、ハルオはゴジラを武力討伐するための研究論文を匿名で執筆する。ゲマトロン演算による未来予測が思わしくないこと、ライフラインの維持限界が近いこと、さらに共有サーバーにアップロードされていた匿名のゴジラ研究論文が、確かにゴジラに有効である可能性が高いことを知った地球連合軍中央委員会は、地球への帰還を決断する。

地球降下編

ハルオ・サカキの考案したゴジラ討伐作戦の実行を採択した地球連合軍は、エリオット・リーランドを総司令官とし、ハルオやメトフィエスを含めた600人の兵を地球に降下させることを決定する。強い電波障害を伴う大気に突入したハルオたちを襲ったのは、鋭く研がれた金属に似た性質を持つ植物と、セルヴァムという凶暴な生物たちだった。ゴジラと相対する前に甚大な被害を受けたことにショックを受けたリーランドは、地球奪還を断念し、撤退することを決断する。しかしそのためには、壊滅状態となった部隊からの援護を受けつつ無事な部隊に合流するしかなく、それは当初予定していたゴジラ討伐作戦とほぼ同じ行軍案だった。メトフィエスからそれを指摘されたリーランドは、あくまでも宇宙移民船アラトラム号への帰還を目的としながらも、作戦を続行することを決意する。ゴジラに遭遇しないように移動し始める仲間たちに、地球に降下した意味がまるでないと不満を持つハルオだったが、そんな一同の前にゴジラが現れる。

ゴジラ衝突編

ゴジラの襲撃によってエリオット・リーランドを失ったハルオ・サカキは、自責の念に苛(さいな)まれていた。メトフィエスはそんなハルオを励まし、本来であればメトフィエスが引き継ぐはずの全指揮権をハルオに委任した。それを受けたハルオは、すぐさまゴジラとの戦闘で判明した討伐作戦の変更点の指示を出し、ゴジラから地球を奪還するため動き始める。残る人員と武器をすべて注ぎ込み、ゴジラが生み出す物理干渉不可能な非対称性透過シールドを打ち破ろうとする人類だが、ゴジラが発生させる高周波電磁パルスパターンが変化していたため、なかなか有効な攻撃ができず苦戦する。そんな中、ハルオはたった一人、パワードスーツを装着して直接ゴジラを攻撃し、電磁パルスパターンを狂わせようと試みる。

関連作品

特撮映画

本作『GODZILLA 怪獣惑星』の原作劇場版アニメ『GODZILLA 怪獣惑星』は、1954年に東宝が公開した特撮映画『ゴジラ』から始まる一連のシリーズに連なる作品となっている。1954年に公開された『ゴジラ』は、ビキニ環礁の水爆実験によって生み出された怪獣「ゴジラ」によって東京を蹂躙(じゅうりん)されるのを食い止めるべく、人類がゴジラに立ち向かう姿を描いている。監督を本多猪四郎、原作を香山滋が務め、キャストは主人公の尾形秀人を宝田明、ヒロインの山根恵美子を河内桃子が演じている。

小説

本作『GODZILLA 怪獣惑星』の原作劇場版アニメ『GODZILLA 怪獣惑星』の前日譚(たん)を描いた、大樹連司の小説『GODZILLA 怪獣黙示録』『GODZILLA プロジェクト・メカゴジラ』が、それぞれ2017年10月と2018年4月に角川文庫から刊行されている。両作品共に、主人公はハルオ・サカキの父親で、地球連合情報軍総合情報部の調査官でもあった「アキラ・サカキ」が務めている。怪獣に遭遇して生き残った人々からの証言や、ビルサルドが設計していたメカゴジラの情報を資料としてまとめた内容となっている。

メディア化

劇場版アニメ

本作『GODZILLA 怪獣惑星』は、劇場版アニメ『GODZILLA 怪獣惑星』を原作としている。原作の劇場版アニメは2017年11月にポリゴン・ピクチュアズより公開された。これは1954年に東宝が公開した特撮映画『ゴジラ』から始まる一連のシリーズ作品に数えられているが、ゴジラをはじめとする怪獣や一部の用語を除くと、シリーズとの関連性は薄い。原作劇場版アニメの続編として2018年5月に『GODZILLA 決戦機動増殖都市』、2018年11月に『GODZILLA 星を喰う者』が公開されている。いずれも、原案を虚淵玄、監督を静野孔文、瀬下寛之が務めており、キャストはハルオ・サカキを宮野真守、メトフィエスを櫻井孝宏が演じている。

登場人物・キャラクター

ハルオ・サカキ

地球人の男性。黒髪短髪にしている。階級は大尉。幼少期、地球を離れるシャトルに乗り込む寸前にゴジラに襲われ、両親を殺害されたためゴジラを憎んでいる。20年間宇宙で苦しまなければならなかった理由を「ゴジラと最後まで戦わず、あきらめて逃げ出したからだ」と語っており、準備が万全で正しい戦略があればゴジラを倒せることを証明したいと考えている。その一環としてメトフィエスに依頼してゴジラの情報を集め、共有サーバーに匿名でゴジラを武力討伐するための研究論文を発表している。ゴジラが体細胞を電磁石として機能させて高周波電磁パルスを発生させ、非対称性透過シールドを生み出していることや、このパルスに周期的な1万分の1秒のノイズが発生していることを発見した。地球降下作戦においてはエリオット・リーランドが死亡後、メトフィエスから全指揮権を委任されている。ただし、ハルオ・サカキ自身は宇宙移民船アラトラム号に帰還するつもりは毛頭なく、あくまでゴジラを討伐して地球を奪還することを目指している。

メトフィエス

異星人、エクシフの神官の男性。大司教を務めており、階級は中佐。色の薄い金髪ロングヘアで、横髪を美豆良(みずら)にし、残りをポニーテールにしている。地球連合軍中央委員会にも出席しており、ゴジラに対して強い執着心を見せるハルオ・サカキに興味を持ち、委員会出席者しかアクセス権のない機密情報をたびたびハルオに伝えていた。地球降下作戦においても同行し、エリオット・リーランドが殉職したあとは指揮権を引き継ぎ、少しでも多くの人員を宇宙移民船アラトラム号に帰還させるための軍規を離れた人員登用という建前で、ハルオに全指揮権を委任した。

エンダルフ

異星人・エクシフの族長の男性で、枢機卿を務めている。階級は中将。地球連合軍中央委員会幹部でもある。白髪のロングヘアを、全体的に美豆良(みずら)の形に結い上げている。ゲマトロン演算による未来予測が当初想定していたものより思わしくないことを問題視し、地球連合軍中央委員会で議題に取り上げた。ゲマトロン演算による未来予測を強く信奉している。

ウンベルト・モーリ

地球人の老齢な男性。階級は大将。宇宙移民船アラトラム号の船長を務めており、地球連合軍中央委員会幹部でもある。茶髪をオールバックにし、顎ひげを蓄えている。ハルオ・サカキの書いたゴジラ武力討伐するための研究論文の有効性については認めたものの、作戦実行には大量の人員を注ぎ込むことが必須である点に鑑み、強く反対していた。

ハルエル・ドルド

ビルサルドの族長を務める男性。浅黒い肌で黒髪を五分刈りにしており、口まわり全体にひげを蓄えている。地球におけるゴジラ討伐を完遂できなかったことを悔やんでおり、ハルオ・サカキがゴジラの武力討伐するための研究論文を発表し、それがゲマトロン演算においても有効性が確認できたと知った際には、地球へ帰還することに賛同した。

マーティン・ラッザリ

地球人の男性。環境生物学者で、階級は少佐。ゲマトロン演算による未来予測が思わしくないことを受け、宇宙移民船アラトラム号の船内にある物資状況などを報告するため、地球連合軍中央委員会に出席した。物資不足が深刻な状況にあり、船内の不快指数が現在の倍以上になることを想定したうえで、不快指数が倍程度に抑えられたとしても、ライフラインは8年で維持限界を迎えると申告している。また、アラトラム号が出立してから2万年後の地球上空に帰還した際には、大気中の放射線濃度からゴジラが群れではなく、単独個体であると考察している。しかし地球降下作戦において、地球の植生がかつての植生とまったく変化している点や、ゴジラがつけたにしては低すぎる位置についた爪痕などから、いち早くセルヴァムの存在に気づき、仲間に警告しようとした。

タケシ・J・ハマモト (たけし じぇい はまもと)

地球人の老齢な男性。階級は准将。地球連合軍中央委員会幹部で、宇宙移民船アラトラム号の副長を務めている。白髪をオールバックにしており、眼鏡をかけている。ゲマトロン演算による未来予測が思わしくないことを受け、地球への帰還が議題に上がった際、長距離亞空間航行を行う危険性に言及した。

エリオット・リーランド

地球人の男性。茶髪をオールバックにしている。階級は大佐。ハルオ・サカキより8歳年上で、ハルオからは兄のように思われている。地球降下作戦では総司令官を任命された。若い世代でもっともリーダーシップがあり、出世の野心をも抱いている。人類が安住の地を見つけた暁には、新しい体制を敷き、地球人の中から新たな指導者を立てるべきだと考えている。

ムルエル・ガルグ

ビルサルドの男性。階級は中佐。ビルサルドが地球人に提供した技術の技術士官も務めている。浅黒い肌で顎ひげを蓄えており、前頭部の生え際がM字になっている。メトフィエスが提供した機密情報を資料にしてハルオ・サカキが、匿名でゴジラを武力討伐するための研究論文を発表していることを知っている。地球降下作戦においては、ハルオの要求に応える形で多脚戦車に搭載されているレールガンの出力増幅装置を設計した。

ユウコ・タニ

地球人の女性。茶髪のショートボブヘアにしている。階級は曹長。ハルオ・サカキの幼なじみであり、ハルオに好意を抱いている。地球帰還が決定する直前に行われた、高齢志願者によるタウe星降下作戦の際、祖父を亡くしている。

ゴジラ

地球を壊滅させた怪獣。どんな武器も通用しない強靱な黒い皮膚を持った恐竜のような姿で、熱線を吐き出す。ハルオ・サカキの両親を殺害し、地球人や異星人のエクシフ、ビルサルドにもトラウマを残している。地球人が離れてから2万年後の地球にも生存していた。重度の放射能汚染をまき散らす生物であることから、大気中の放射能濃度を計測したマーティン・ラッザリはゴジラを群ではなく、単独個体として存在していると考察した。ハルオは、ゴジラが体細胞を電磁石として機能させて高周波電磁パルスを発生させ、物理干渉不可能な非対称性透過シールドを生み出していることを発見した。また、このパルスに周期的に発生している1万分の1秒のノイズを干渉波攻撃で拡大させることで、非対称性透過シールドに隙間を作り、電磁パルスの増幅器官を狙い撃つ作戦を提案している。

セルヴァム

2万年後の地球に生息している生物。人間の数倍の大きさを持つ。ドラゴンのように翼を持つトカゲの姿で、表皮は鋭い金属のようになっている。ハルオ・サカキたちが地球に降下した直後に、ベースキャンプとシャトルを襲い、人間を捕食した。マーティン・ラッザリはセルヴァムの死体の一部を調べ、ゴジラの類縁種であると結論づけている。

集団・組織

エクシフ

エンダルフを族長とする異星人。非常に長命で耳が長く、髪の色素が薄い。側頭部の髪を美豆良(みずら)に結っているという特徴がある。監視者にして預言者を自称し、ゲマトロン演算によって非常に精度の高い未来予測を行っている。ゲマトロン演算によって地球が滅ぶ未来が近いことを知り、その運命を地球人に告げるため、地球に飛来した。とある神を信仰しており、ゴジラによって地球が壊滅状態となったため、既存の宗教を信仰しなくなった地球人に新たな教えを広めた。「真の栄光へと至る道は献身のみによって開かれる」という教義を持っている。

ビルサルド

ハルエル・ドルドを族長とする異星人で、濃いひげを蓄えている。肌が浅黒く、筋肉質な体型をしている。母星であるビルサルディア連星系第三惑星がブラックホールに飲み込まれて崩壊したため、移住する星を探して地球に飛来した。移住受け入れの対価としてゴジラの駆逐を約束していたが、製造していたメカゴジラが起動せず、地球人と共に宇宙移民船アラトラム号での撤退を余儀なくされた。

場所

宇宙移民船アラトラム号 (うちゅういみんせんあらとらむごう)

ウンベルト・モーリが船長を、タケシ・J・ハマモトが副長を務める巨大な宇宙船。地球人のほかに、異星人のエクシフやビルサルドも乗っている。地球を出立してから間もなく、飢餓や寒さ、疫病、精神疾患によって死亡者が続出し、現在は全種族を合わせて4000人しか生き残っていない。

その他キーワード

ゲマトロン演算 (げまとろんえんざん)

異星人、エクシフのテクノロジー。独自の数学体系をベースとした未来予測演算技術で、地球人には理解できないほどの高度な科学力で運用されている。これをエクシフは予言や神託として扱っており、宇宙移民船アラトラム号の亜空間航行の可否や乗組員の選別、ゴジラの生態研究などにも用いられている。

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