概要・あらすじ
西暦2977年。地球は、その発達し過ぎた科学文明のために頽廃を極めていた。そんな無気力な地球に、宇宙の彼方より侵略者マゾーンが迫りつつあった。美しい女の姿で暗躍するマゾーンは着々と計画を遂行していく。マゾーンの脅威をいち早く察知した宇宙海賊キャプテンハーロックと仲間達は、戦艦アルカディア号に自由のシンボルであるドクロの旗を掲げ、敢然と戦いを開始する。
登場人物・キャラクター
キャプテンハーロック
宇宙船アルカディア号を駆る宇宙海賊。長身痩躯で右目に眼帯をし、顔面に大きな傷痕がある。自らの信じるもののために戦うことを信条とし、その象徴として黒地に白で染め上げたドクロの海賊旗を掲げている。頽廃した地球を捨て、宇宙の海に船出したが、強大な敵マゾーンの侵略を阻止すべく戦いを開始する。 無二の親友である大山トチローを失ってからは、あまり笑顔を見せなくなったという。アンドロメダ名産の酒レッドバーボンをこよなく愛する。
台場 正 (だいば ただし)
地球人の少年。父・台場博士を侵略者マゾーンに殺害され、自らも危ういところをハーロックに救われる。これを機に、マゾーンと戦うためにハーロック率いる宇宙海賊の仲間入りをする。父親譲りの聡明な性格で、無頼の海賊生活に必死に順応しようとする。 アルカディア号内では、戦闘指揮官である有紀蛍の副官を務める。一時は女性の配下ということに不満を抱いていた。「いずれ一級の戦士になる」と、ハーロックから厚く信頼されている。
ヤッタラン
アルカディア号の副長。関西弁を操る丸メガネの肥満漢で、艦内第一の大食らいを自称する。普段は「神聖にして犯すべからざる大切な労働」と称して、自室でプラモデルばかり作っている。一度ヘソを曲げるとハーロックの言うことも聞かない。だが、戦闘が大規模化すると率先して参加し、自ら舵輪を握ることもある。 メカに対して愛情を注ぎ、その破壊を目の当たりにすると、悲痛に暮れる。
有紀 蛍 (ゆうき けい)
アルカディア号に乗る美少女で、戦闘指揮官。高い戦闘能力を有し、射撃の腕前や戦闘機の操縦テクニックは抜群。酒も強く、どんぶり酒を飲み干す。自分の部下にされた台場正のプライドを重んじて、わざと手柄を立てさせたりする思いやりあふれる優しい心の持ち主でもある。
ミーメ
アンタレスの近くの小さな惑星出身の女性異星人。故郷は植物に覆い尽くされ、同族は滅び去ってしまった。ハーロックに救われて以来、身も心も、命さえも捧げると誓いを立てている。アルコールを主食にしており、ドクターゼロのお酌をしていることが多い。酔いつぶれた時以外は睡眠を取らず、アルカディア号の乗員が寝静まっても、一人起きて、寂しげな歌を歌っている。 また、相手の心を探ることもでき、捕虜の尋問などに同席する。ハーロックの過去を知る数少ない人物の一人。
ドクターゼロ
アルカディア号の船医。部類の酒好きで、普段は魔地機関長やミーメと医務室で飲んだくれている。酒が切れると愛猫のミーくんに命じて、調理室に酒を盗みに行かせる。ゆえに料理長のマスさんとはトラブルが絶えない。医者としての腕はピカイチで、異星人の治療や分析までも行う。
マスさん
アルカディア号のコック長。調理室に勤務し、41人の乗組員の食事を一手に引き受けている。常に全員の食事量をチェックし、食べ残しや好き嫌いは断じて許さない。特に炊飯に関しては、常に細心の注意をはらっている。被服工場の責任者でもあり、来たるべき戦いのためのユニフォームを作製している。
魔地 (まち)
アルカディア号の機関長兼砲術長。九州弁を話す豪放磊落な人物。ドクターゼロの呑み仲間で、普段は酔っ払ってゴロゴロしているが、いざ戦闘に突入すれば、的確な指示を飛ばす。曲がったことが大嫌いで、自分が納得のいかない命令に関しては、ハーロックにさえ意見する。
トリ
『宇宙海賊キャプテンハーロック』に登場する鳥類。ハーロックの古くからのペット。種類は不明。ハーロックの肩の上に止まっていることも多い。「アホ~」「バカ~」などと人語で罵声を吐き、艦内を我が物顔で飛び回る。鳥ながら酒類を好み、酔っ払うとさらに騒ぎ出すので、艦長室からも追い出される。食い意地も張っており、調理室の食料を狙うので、マスさんから目の敵にされている。 大山トチローやエメラルダスとも旧知らしく、彼らを思い出すと涙し、悲痛な声で鳴く。
ミーくん
『宇宙海賊キャプテンハーロック』に登場する猫。ドクターゼロの愛猫。ドクターの命を受け、調理室から酒を度々盗んでくる。そのため、マスさんによく追いかけ回されている。自らも酒を飲み、ドクターのお相伴に与ることも多い。
台場博士 (だいばはかせ)
優秀な科学者で、侵略者マゾーンの存在をいち早く察知していた。地球に打ち込まれたペナントにも素早く対応し、飛来した方角とその目的を調査しようとするが、マゾーンに抹殺されてしまう。
地球政府首相 (ちきゅせいふしゅしょう)
頽廃した地球を象徴するかのような人物。権力にふんぞり返り、自らを歴代一の偉大な首相と自惚れている。だが、立場が悪くなるとなり振り構わず逃げ出す小心者である。無類のゴルフ好きで、地球の危機よりもゴルフを優先する。
波野 静香 (なみの しずか)
地球政府首相の秘書。台場正がアルカディア号に乗り込む際に、密航した。実はマゾーンのスパイであったが、偽りの姿で地球人を騙し続けることに嫌気が差し、アルカディア号に乗って宇宙へ帰ろうとした。ハーロックと台場にマゾーンにも心があることを示して死ぬ。
クスコ教授 (くすこきょうじゅ)
台場博士の親友で、同じ研究室で同じテーマを研究していた仲。ペナント表面の文字を解読し、ペナントが次元波でマゾーン中央艦隊を誘導していることを突き止めた。世界に危機を伝えるべく尽力するが、マゾーンに抹殺されてしまう。
ラフレシア
マゾーンの偉大なる女王。大艦隊を従え、自らは巨大旗艦で指揮を執っている。絶対の規律で一族を支配統治しているが、真の戦士に対しては寛容さを見せることもある。ハーロックとアルカディア号に強い関心を示し、常に監視している。ハーロックの精神構造と行動力を従来の地球人とは異質な者と捉え、決して侮らない。 惑星ヘビーメルダーでは、単身で直接対談に出向く大胆不敵さも見せた。
ヌレーム
マゾーンの戦士。第六七八九二一一空間突撃隊の白兵戦指揮官。乗っていた大型戦闘艦をアルカディア号に撃破され、捕虜となる。ハーロックに尋問されるも、女王ラフレシアの名を口にした後、自爆して果てた。
ジョジベル
マゾーンの高級将校で突撃偵察隊の指揮官。アルカディア号42人目の乗組員の秘密を探るため、高速艇でデータ収集用の個体弾を撃ち込む。だが、台場正と有紀蛍に撃墜され、捕虜となる。ハーロック達を前にしても気負うことなく、堂々たる態度を取る武人。 解放後も女王ラフレシアの怒りを恐れず、マゾーンが忘れ去った「心」と「仲間」をアルカディア号の中に見出したことを報告する。
ゾル
第三星系団トカーガ星の戦士。マゾーンのために戦わなければ、二人の息子をはじめとする一族を皆殺しにされると脅迫され、やむなく手先となっている。歴戦の戦士で体の傷は数えただけでも64箇所ある。乾杯の時は「ゴーラム」と叫ぶ。これは、真に勇気ある男同士が乾杯する時の言葉である。 誇り高き戦士であるが故に、マゾーンの手先に成り下がった自分が許せず自爆して果てた。
大山 トチロー (おおやま とちろー)
ハーロックの無二の親友。地球生まれの土星の衛星タイタンコロニー育ち。地球政府の調書によれば、職業不定、特技無芸大食、ド近眼、年齢不明、とある。酒好きで、寒いところが苦手。優れた技術者で、アルカディア号を始めとする、海賊達のあらゆるメカニックは彼の作製したものである。 女海賊エメラルダスは、彼に身も心も命までも捧げているという。
エメラルダス
ハーロックの親友、大山トチローに身も心も命も捧げて、共に死んだという女海賊。地球型外航宇宙船クイーンエメラルダスを愛用していた。マゾーンは、ハーロックの心を乱すべく、エメラルダスの姿で誘惑する。だが、友とその恋人を冒涜したことによってハーロックの逆鱗に触れ、敢えなく射殺される。 ちなみに、トチローの墓前でのハーロックの言葉によれば、エメラルダスは、今もトチローを探して宇宙を彷徨っていることになっている。
集団・組織
マゾーン
『宇宙海賊キャプテンハーロック』に登場する一族。地球侵略を企む異星人。美しい女の姿をして、地球人の中に紛れ込み暗躍する。絶命する際に紙のように燃え、植物に近い体組織を持っている。プレアデス散開星団の彼方、超新星の崩壊した暗黒空間からやって来る。強大な軍事力を持ち、戦艦などの中枢部分には、同胞が生きたまま組み込まれている。 マゾーンは、太古から地球に存在した痕跡があり、人類の誕生にも多大な影響を与えてきたと思われる。
場所
デスシャドウ島 (ですしゃどうとう)
『宇宙海賊キャプテンハーロック』に登場する小惑星。機械化自動変形小惑星、自由小惑星とも呼ばれる。ハーロック達宇宙海賊の根拠地。何個かの良質な表面を持つ天然の小惑星を組み合わせ、強化テクタイトのパイプで補強してある。緊急時には防御形体にもなれる。内部にはアルカディア号の格納庫、居住区、分析室、人工海浜などの設備が整えられており、まさに海賊の楽園である。 普段は、アルカディア号の後方12宇宙キロの間隔をとって自動追尾している。同種の海賊島が小惑星帯にも複数存在する。
海底ピラミッド (かいていぴらみっど)
『宇宙海賊キャプテンハーロック』に登場する海底遺跡。バミューダの魔の三角地帯の海底に何万年も前から存在していた。側面にはマゾーンのペナントと同様の文字が刻まれており、彼らが太古より地球に関係していたことが判明した。内部は大脳神経組織の一部に似た構造で、中央には一人のマゾーンが葬られている。 地球に打ち込まれたペナントを誘導した墓地灯台でもある。
トカーガ
『宇宙海賊キャプテンハーロック』に登場する惑星。戦士ゾルとその二人の息子の故郷でもある。地球に土星の輪を組み合わせたような美しい外観だが、輪はマゾーンに破壊された衛星であり、地表にも大きな被害が出たとも思われる。海底には、無数のピラミッドがあり、内部にはマゾーンの種子が無数に浮遊している。 アルカディア号を援護するように反乱を起こすが、怒ったラフレシアにより惑星ごと破壊されてしまう。
ヘビーメルダー
『宇宙海賊キャプテンハーロック』に登場する惑星。二重太陽である恒星ユーフラテスを周回する。直径は地球の2倍強だが、密度は地球に等しく、重力も変わらない。その高速自転のため赤道部がふくらみ楕円形に見える。かつて空間鉄道が何百本も集まったトレーダー分岐点が存在したが、今は廃れ、荒涼たる大地が果てしなく続いている。 残された町で唯一開店している宇宙一番安酒場は、今でも開拓者達の憩いの場となっている。ハーロックの親友、大山トチローが死んだ惑星で、その墓標が立てられている。
その他キーワード
アルカディア号 (あるかでぃあごう)
『宇宙海賊キャプテンハーロック』に登場する宇宙船。ハーロックと40人の海賊達が乗る宇宙海賊戦艦。強力な武装と堅牢な装甲に覆われた無敵の艦でマゾーンの攻撃も寄せ付けない。主武装は前部二門三連装の主砲で、エネルギーブレットを撃ち出し敵を撃破する。また艦首から衝角を展開し、そのまま敵艦に体当たりする海賊式無法戦闘も得意とする。 宇宙空間はもちろん、大気圏内、水中も自在に航行する。中枢である中枢コンピューターは、自らの意思を有し、無人でも行動することができる。
中枢コンピューター (ちゅうすうこんぴゅーたー)
『宇宙海賊キャプテンハーロック』に登場する巨大コンピューター。アルカディア号の全システムの制御管理を行っている。自らの意志を持っており、危急の際にはアルカディア号を全自動で動かすこともある。本体はアルカディア号内の大ドームの中に設置されており、ハーロックと二人きりの場合には、会話も行い、喜怒哀楽さえ見せる。 マゾーン側では、42人目の乗組員として正体不明の存在となっている。
スペースウルフ
『宇宙海賊キャプテンハーロック』に登場する宇宙戦闘機。アルカディア号の艦載機で、複数存在する。1人乗り。第2次世界大戦中のドイツ軍機を思わせるフォルムで、大気圏内の飛行も可能。コクピット前に2連ビーム砲を装備。スピードではマゾーンの高速艇には及ばないものの、機動性でそれを補っている。
ペナント
『宇宙海賊キャプテンハーロック』に登場する巨大球体。侵略者マゾーンによって地球目がけて打ち込まれた。直径は約2km。光を全く反射しない物体で、表面に古代マヤの象形文字に酷似した文字が刻まれており、「ここは全能なるわれらマゾーンの第二のふるさとなり」と記されている。かつて人類が月や火星を探検した際に打ち込んだペナントと同じ意図で放たれたものと思われる。 無限大の到達距離を持つ次元波を絶えず放射し、マゾーンの中央艦隊を地球へ誘導し続けている。
デスシャドウ号 (ですしゃどーごう)
『宇宙海賊キャプテンハーロック』に登場する宇宙船。若かりし頃のハーロックと親友の大山トチローが乗り込み、生涯をかけた夢を追って旅をした思い出の宇宙船である。漆黒の艦体には、自由の象徴であるドクロのマークが描かれている。現在は、惑星ヘビーメルダーに墜落し、艦尾のみを荒野にさらしている。 この地で死んだ大山トチローの墓標は、この宇宙船のすぐ側に立てられている。
アニメ
宇宙海賊キャプテンハーロック
西暦2977年、地球に巨大な球体状のペナントが打ち込まれた。表面に描かれた象形文字から、地球侵略の宣言であることに気付いた天文学者の台場博士は、この危機を公表しようとするも、異星人マゾーンの手にかかっ... 関連ページ:宇宙海賊キャプテンハーロック