裸足でバラを踏め

裸足でバラを踏め

生活苦から、形式上の結婚相手を欲していた芦田蒼一郎と結婚することになった貧乏な少女北村純。純は形のうえだけとは言え、妻として誠実に振る舞おうと努力するが、困っていた時に親身に助けてくれ、その後も好意を寄せてくる伊集院望とパーティで再会し、心が揺れる。19世紀末の横浜を舞台に、恋心だけでなく素直になれない気持ちや男女それぞれの嫉妬心などが丁寧な筆致で描かれていく。

正式名称
裸足でバラを踏め
ふりがな
はだしでばらをふめ
作者
ジャンル
その他恋愛・ラブコメ
 
悲恋
 
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概要・あらすじ

だらしない性格の兄が拾ってくる子供たちを、貧乏ながら育てていた北村純は、借金取りから逃れるため大金を必要としていた。自分の体を売って金を作ろうとしていたの前に芦田物産の御曹司芦田蒼一郎が現れ、愛のない結婚をすることを条件に金を工面する。蒼一郎の妻となったは、裕福な生活に慣れず、失敗を繰り返しながらも社長の妻として振る舞うよう努力する。

ある時、は蒼一郎と共に出席したパーティで、過去、純が薬代に困っていた時に施してくれた憧れの青年で伊集院銀行の跡取り伊集院望と再会する。の気持ちを利用して銀行を手に入れることを企む蒼一郎は、と望を結ばせようとするが、が蒼一郎を誠実に想っていることに気づき、同時に自分の中にあるを想う気持ちがあることを知り、計画を取りやめる。

しかし、一方で望はパーティで再会した時から狂信的なまでにを想っており、蒼一郎を追い落としてを手に入れる算段を始めるのだった。

登場人物・キャラクター

北村 純 (きたむら すみ)

兄の借金を返すため金の工面をするべく町に出たところを芦田財閥の御曹司芦田蒼一郎に出会い、跡取りになるため形式上の妻を探していた蒼一郎と、金のためにかりそめの夫婦になることを了承する。蒼一郎の屋敷で暮らすようになり、社交界デビューなどに戸惑うが、生来の明るい性格が屋敷の使用人や蒼一郎すらも感化していき、やがて蒼一郎とはお互い素直になれないながら相思相愛の関係となる。 しかし、蒼一郎の友人である伊集院財閥の伊集院望と出会ってからは、彼の偏執的な愛情を向けられる。やがて望に失脚させられ、病に倒れた蒼一郎を救うため望と結婚することになるが、復活した蒼一郎に助け出され、正式に結ばれる。平民の出と自身も周囲も思っていたが、実は幼少時に誘拐されて以来、行方不明になっていた伊集院財閥の娘であり、望の実妹でもある。

芦田 蒼一郎 (あしだ そういちろう)

わがままで素直でない性格の芦田財閥の御曹司。家督を引き継ぐ条件として、先代より結婚することを求められていたため、手っ取り早く結婚できる女性を探していた時に北村純と出会い、彼女の借金を建て替えることと引き換えに、形式上の妻として結婚する。結婚当初は純を伊集院財閥の伊集院望と引き合わせ、二人を結ばせることを目論むが、形式上の夫婦とはいえ献身的に尽くしてくる純にやがて惹かれるようになる。 しかし、同時に純に偏執的な愛情を寄せるようになった望の謀略により芦田財閥を追い落とされる。慣れない貧困生活で体調を崩した彼を助けるため、純は望と結婚するが、体を癒して結婚式場に乗り込み彼女を奪還し、再び結ばれる。 幼少時、火事で母を失った経験から火にトラウマを持っていたが、望が純と無理心中しようとして館に火を放った時は、恐怖を克服して火中に飛び込むなど、心の強さももっている。

伊集院 望 (いじゅういん のぞみ)

伊集院財閥の御曹司で、物静かな性格の細面の青年。過去に高熱を出した弟を助けるために町に出ていた北村純を助けたことがある。芦田蒼一郎の妻となった純と再会してからは、彼女に強く惹かれ、偏執的な愛情を寄せるようになる。他人の妻に横恋慕するという社会的な体面を気にした財閥の手により伊集院美卯と結婚させられるが、それでも純への想いを公言し、やがて蒼一郎を芦田財閥から追放し、純と結婚するが蒼一郎に奪い返される。 そのことで廃人のようになってしまうが彼を愛し続けた美卯と結婚生活をやり直す。

駒井 源五郎 (こまい げんごろう)

芦田蒼一郎に仕える執事の青年。とぼけた一面を見せることもあるが、怜悧冷徹な性格をしており、当初は蒼一郎とともに嫁いできた北村純を伊集院望と引き合わせ、追放することを目論んでいた。蒼一郎との対立により解任されたあとは、上流階級から落ちたことを実家に伝えることもできず、かつて純が住んでいた平屋に転がり込んで、純の弟たちの面倒を見ながら暮らしていた。

北村 英輔 (きたむら えいすけ)

北村純をはじめ、幼い捨て子を拾ってきては一緒に暮らしている青年。誘拐され、薔薇園のそばに放置されていた純を妹として育ててきた。美男子だがだらしない性格をしており、彼の借金が純と芦田蒼一郎を引き合わせた。純が芦田財閥に入ってからは、自身も営業マンとして芦田財閥関連の会社で働くようになり、生来の人当たりの良さから成功を収める。

伊集院 美卯 (いじゅういん みう)

伊集院望の妻にされた女性で、旧姓は藤原。北村純に偏執的な愛情を寄せる望を一身に愛する。一時は純に嫉妬し、彼女を呼びつけて激しく詰るが、やがて自分が望に相手にされていないという現実を受け入れられず、病んでしまう。しかし、逆に純に励まされ、どんなかたちであれ望を受け入れることを決意する。 純と蒼一郎が結ばれたのちは、望と結婚生活をやり直し、子供も授かる。

木下 桂子 (きのした けいこ)

芦田蒼一郎の屋敷で働くメイド。一見明るい性格だが、実は芦田財閥の権力争いにあって、蒼一郎を陥れるため彼の従兄である九条夏樹から送り込まれた人物。作戦を遂行するため、平民出である北村純の生い立ちを調べたり、蒼一郎や執事である駒井源五郎に色目を使って籠絡を計るなど暗躍する。

九条 夏樹 (くじょう なつき)

芦田財閥の関連企業である芦田物産の若き社長。従弟である芦田蒼一郎を追い落として芦田財閥の跡継ぎとなることを目論み木下桂子を使って蒼一郎や北村純の弱みを探ろうとしたり、純に横恋慕している伊集院望をたきつけるなど、陰から糸を引いて財閥の乗っ取りを画策する。

青山 新平 (あおやま しんぺい)

芦田宗一郎の祖父が建てた学校で教師をやっている青年。北村純の弟が入学することになった折り、見物にやってきた純と蒼一郎と出会う。蒼一郎を見るや、日ごろの寄付について深々と謝意を表し、そのさわやかな様子に一瞬、純の心が揺れ、そのことで蒼一郎を激昂させ不仲の原因を作ってしまう。

アタリ

北村英輔が拾ってきた捨て子で、英輔や北村純には弟として育てられてきた子供。幼いなりにしっかりとした性格をしており、だらしない英輔を問い詰めたり、無理を隠す純を気づかうなどしていた。純が芦田蒼一郎に嫁いでからは、しばらく離れ離れに暮らしていたがやがて蒼一郎の屋敷に招かれ、学校にも入学するなど恵まれた生活を送れるようになる。

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