概要・あらすじ
かつてはゆとりのある生活を送っていたジョバンニは、大黒柱の父親が失踪したため生活が一変。貧しくなった家庭を支えるために、学業を続けつつ仕事に励むこととなった。日々の労働によって頭がぼんやりし、学業にも遊びにも身が入らなくなってしまった結果、ジョバンニはかつての友人たちから馬鹿にされ、敬遠されるようになってしまう。
しかし、親友だったカムパネルラだけは、ジョバンニを侮辱せず、心配するような態度を見せていた。星祭りの夜、孤独を嚙み締めて丘に登ったジョバンニは、いつの間にか銀河を走る不思議な鉄道に乗り込んでいた。その鉄道の乗客にはカムパネルラもいて、2人は銀河の旅の中でさまざまな人物や不思議な物事に遭遇し、人生や生きる意味を発見していくのだった。
登場人物・キャラクター
ジョバンニ
小学生の少年。海で漁をしていたお父さんが失踪してしまい、にわかに生活に苦しむようになった。父親が失踪する前は、父親が海から獲って来たものを学校に寄贈することもあり、クラスでも人気があった。父親が失踪した後は、家庭を支えるために、遊びたいのを我慢して、学業の傍らで新聞配達や活字拾いの仕事に就く。労働の疲れから、授業中に居眠りをすることも多くなり、さらに読書をする時間もないために、いろいろなことが分からなくなっている。 その結果、自信を喪失してしまい、充分な知識がある事柄でさえも堂々と発表できない状態にある。結果的に友人たちとの交流も減り、孤独に悩んでいる。
カムパネルラ
ジョバンニのクラスメイトの少年で、彼の親友。裕福な家の子で、アルコールランプで走る汽車の玩具や、たくさんの本を持っている。父親の博士とジョバンニのお父さんが親友だったので、ジョバンニとは幼い頃から仲良く遊んでいた。銀河に興味があり、父親の蔵書である銀河の専門書をも読むほどの知識を有する。性格は優しく、親友のジョバンニが、生活が変わって苦しんでいることを心配している。
ザネリ
ジョバンニのクラスメイトの少年。頭が弱く、運動神経もさほど良くない。クラスの中心にいたジョバンニが、父親がいなくなって、クラスで浮いていることを面白く感じ、いじめて楽しんでいる。さらに、他のクラスメイトにも、ジョバンニを馬鹿にするようけしかけて喜ぶ腹黒さを持つ。
星の先生 (ほしのせんせい)
小学校の男性教師。銀河の成り立ちを教えており、大きな写真や模型を使った分かりやすい授業を行っている。生徒一人一人のことをよく見ており、ジョバンニが銀河について深い知識を有しながらも、自信を喪失して、授業でも手をあげられなくなっていることにも気付いている。そのため、ジョバンニに花を持たせてやろうと、彼が手をあげなくとも、発表や発言を促す。
お父さん (おとうさん)
ジョバンニの父親。海で漁をすることを仕事としている。海で発見した大きな蟹の甲羅や長いツノなどを学校へ数多く寄贈し、その寄贈品は標本として授業で使われることもある。しかし現在は失踪をしていて、家族ですら連絡がつかない。失踪する以前、「次はラッコの上着を持ってくる」と豪語していた。行方知れずになったのは、何らかの悪いことをして監獄へ入れられているためだ、と噂されている状態にある。 カムパネルラの父親である博士とは子供の頃からの親友であり、博士のもとを訪ねる時にジョバンニも連れて行き、彼がカムパネルラと親友になるきっかけを作った。
おっ母さん (おっかさん)
ジョバンニの母親。夫が失踪したことなどから病気になり、寝込んで身動きが取れなくなっている。自身の病気のために、ジョバンニが小学生でありながら働いていることを申し訳なく感じている。息子のジョバンニのことを心から愛していて、自身は食事を我慢して、ジョバンニが少しでも多く食べられるように気を使う優しさの持ち主。失踪した夫を信じていて、いずれは必ず戻って来るはずだと思っている。
博士 (はかせ)
カムパネルラの父親。博士として研究に励んでいる。ジョバンニのお父さんとは幼少期からの親友で、彼が漁に行っている間も、手紙を絶やさずに交わし続けるほどに仲が良い。息子のクラスメイトたちに対して、温かな目を向けていて、自身の家で遊んだり勉強したりすることを歓迎し、招待することもある。性格は優しくて理知的で、どのような時でも冷静さを崩さない。 また、辛い出来事があっても周囲への配慮を忘れず、悲しみを表情に現すことすらない。
場所
銀河鉄道 (ぎんがてつどう)
銀河に沿った線路を走っている不思議な鉄道。ジョバンニとカムパネルラがいつの間にか乗り込んでいた。路線地図が黒曜石でできていたり、鉄道に乗っている人はいくら動いても疲れることがなかったりと、不思議なことが多く起きる。乗客も、お菓子の味がする鳥を捕まえることを仕事としている男性や、不思議な灯台を守る男性や、難破船に乗っていた人々など、変わった人間が多い。
クレジット
- 原作
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宮沢 賢治