魔法少女 俺

魔法少女 俺

駆け出しアイドルとして活動する卯野さきが、あこがれの御翔桃拾を守るため、魔法少女に変身して戦う姿を描くコメディ。「COMIC Be」で2012年11月号から2014年2月号にかけて掲載された作品。

正式名称
魔法少女 俺
ふりがな
まほうしょうじょ おれ
作者
ジャンル
魔法使い・魔法少女
関連商品
Amazon 楽天

あらすじ

上巻

アイドルを夢見る少女、卯野さきは学校に通いながら、親友の御翔桜世と共に駆け出しアイドルとして芸能活動に励む日々を送っていた。しかし、さきたちのライブはいつも閑古鳥が鳴くようなありさまで、CDもまったく売れる気配がなかった。それでもさきは、人気アイドルグループ「STAR☆PRINCE」として活動する御翔桃拾へのあこがれから、アイドルの夢を捨てきれずにいた。そんなある日、さきがいつものようにライブを終えて帰宅すると、借金取りのような強面の男が家の前に立っていた。さきは怯えながら母親の卯野さよりを呼ぶが、男の正体はかつてさよりと契約を交わしていた魔法界の妖精、ココロであった。同時に、さよりが若い頃から魔法少女として活躍しており、人々を守っていたという衝撃の過去も判明する。すでに現役を引退したさよりの代理としてココロにスカウトされたさきは、言われるままに彼と契約を交わすことになってしまう。予想外の出来事の連続にとまどうばかりのさきだったが、早くも妖魔が街に出現したことで事態は急変。さらに、さきの思い人である桃拾が妖魔に狙われ、さきは彼を守るために急いで街に向かう。さきは変身の条件である好きな人への思いを叫びながら、魔法少女に変身して桃拾を救おうとするが、変身後の姿は衣装だけが魔法少女風で筋骨隆々な男性という、一般的な魔法少女のイメージとは程遠い姿であった。さきは予想外の自分の姿にうろたえながらも、桃拾を救うべく妖魔と激闘を繰り広げ、マジカルアイテムを物理的に駆使しながら妖魔を退けることに成功。幸いにも桃拾に正体を知られずに済んだが、男性に変身したさきの勇姿を見ていたのは桃拾だけではなかった。桜世とマネージャーの矢茂小波にも魔法少女姿を目撃されていたさきは、必死で正体を隠そうとする。

下巻

魔法少女の姿であらためてアイドルデビューした卯野さき御翔桜世は、初のテレビ出演以降は順調に人気を獲得し、複雑な気持ちを抱えながらも「魔法少女アイドル」として多忙な日々を送っていた。ファンや記者に追われながらも妖魔と戦い続けるさきは、御翔桃拾が妖魔たちに毎回のように狙われていることが気になっていた。そんな中、人気の上昇が止まらないさきと桜世はメジャーCDデビューが決定し、矢茂小波と共にカラオケボックスで歌の練習をすることになる。以前から歌とダンスの評価が低かったさきは、あらためて小波に歌い方を教わることになる。しかし、カラオケでアルバイトをしている藤本一郷が乱入したり、トイレで妖魔に遭遇したりと、練習どころではなくなるが、さきたちのとなりの部屋には偶然にも桃拾と兵衛の姿があった。部屋に戻るなり複数の妖魔に遭遇したさきは、速攻で変身して返り討ちにする。妖魔の出現の仕方に違和感を覚えた桜世は、妖魔たちをあやつっている親玉は意外と近くにいるのではと疑い始める。後日、デビュー曲「ぶっちゃけ少女じゃない」の大ヒットを受け、さきたちは本格的に人気アイドルの仲間入りを果たす。さらに「STAR☆PRINCE」との合同握手会への参加が決定し、さきと桜世は会場を埋め尽くすほどのファンたちと交流することになる。初めてのことばかりで緊張するさきだったが、会場には招かざる客もまぎれ込んでいた。こっそり応援に来ていた卯野さよりの予想どおり、会場には何体もの妖魔が出現し、会場を訪れた人たちを襲い始める。

メディアミックス

TVアニメ

本作『魔法少女 俺』のTVアニメ版が、2018年4月から2018年6月にかけてAT-X、TOKYO MXなどで放送された。内容は本作と同じく卯野さき魔法少女として戦っていく姿を描いている。キャストは卯野さき役を大橋彩香が、御翔桜世役を三澤紗千香が演じている。

登場人物・キャラクター

卯野 さき (うの さき)

女子中学生で、駆け出しアイドルユニット「マジカルツイン」のメンバーの一人。桃色のセミロングヘアで、長いアホ毛がトレードマーク。明るく前向きで一途な性格をしている。幼なじみの御翔桃拾にあこがれ、アイドルを目指しながら親友の御翔桜世と共に日夜芸能活動に励んでいるが、人気や知名度がなくCDはまったく売れていない。歌やダンスも下手で、特に歌唱力は壊滅的。それでも夢を捨てずに活動していたが、突如やって来たココロにスカウトされ、かつて魔法少女として活動していた卯野さよりのあとを引き継ぐ形で契約し、新たな魔法少女となる。当初は乗り気ではなかったが、思いを寄せている桃拾が妖魔に狙われていることを知り、彼をあらゆる危険から守るために戦いに身を投じる。桃拾への愛を叫ぶことで変身できるが、変身後は髪が短くなり、魔法少女の衣装を着た屈強な男性の姿になってしまう。初めて変身した際に、桃拾に正体を隠すため「魔法少女オレ」を名乗ってしまい、それ以降もその名を名乗っている。しかし、変身や戦いを見ていた桜世と矢茂小波はごまかし切れず、彼女たちの協力を得ながらその後も魔法少女として妖魔と戦っている。武器は魔法のステッキによく似た棒だが魔法を出すことはできず、敵を直接殴って撲殺するという戦闘方法を基本としている。ほかにもココロにもらったヘアピン型マジカル手榴弾や、マジカル拳銃(チャカ)などを用いて戦う。のちに桜世と共に変身時の姿でアイドルデビューし、売れっ子アイドルに仲間入りする。イメージカラーはピンク。

御翔 桜世 (みかげ さくよ)

女子中学生で、駆け出しアイドルユニット「マジカルツイン」のメンバーの一人。相棒の卯野さきは幼少期からの親友で、アイドル活動においてもつねに彼女のことを支えている。青紫色のセミロングヘアで、クールながら友人思いの優しい性格をしている。さきとは対照的に、歌もダンスもうまい。さきのことは大切に思っているが、彼女が御翔桃拾に片思いしていることには複雑な感情を抱いている。さきが魔法少女に変身して戦う場面に遭遇し、矢茂小波と共に彼女に協力する中で自らも魔法少女として契約する。この際にさきへの熱烈な思いを叫ぶことで、「魔法少女サキガスキ」に変身する。同時に、幼い頃からさきに友情以上の感情を抱いていたことを告白し、彼女を守るために妖魔との戦いに身を投じるようになる。変身後はさきと同様に屈強な男性の姿になり、兄の桃拾によく似た顔のイケメンになる。ステッキで戦うさきとは異なり、武器を持たずに素手で戦うが、あくまでさきへの愛情が力の源であるため、彼女が無関係な戦闘ではカマキリ以下の能力しか発揮できない。このため、さきがピンチでないときなどは妖魔にも返り討ちにされることが多い。のちにある作戦によって戦意を高め、さきのために妖魔を足止めすることに成功した。ふだんは冷静で周囲へのツッコミ役もこなすが、さきのことになると冷静さを失って暴走することがある。のちにさきと共に変身時の姿でアイドルデビューし、売れっ子アイドルに仲間入りする。イメージカラーは青紫。

御翔 桃拾 (みかげ もひろ)

人気アイドルグループ「STAR☆PRINCE」のメンバーで、御翔桜世の兄。卯野さきの幼なじみであり、幼少期から思いを寄せているあこがれの相手でもある。いつも何を考えているのかわからない無口な青年だが、穏やかでとても優しい性格をしている。幼少期から歌うのが大好きで、幼いさきがアイドルを志すきっかけとなった人物でもある。単に歌唱力が高いだけでなく、その歌声には不思議な力があり、人を惹きつけるだけでなく周囲の動物たちも呼び寄せる。一方で作詞のセンスは壊滅的。なぜか妖魔によく狙われており、そのたびに「魔法少女オレ」に助けられているため、強い恩義やあこがれを抱いている。しかしかなり天然なため、魔法少女オレの正体には気づいていない。妖魔に何度も狙われることや歌に不思議な力を持つことから、さきたちからは本当に人間なのかと疑われることがある。

卯野 さより (うの さより)

卯野さきの母親で、若い頃は魔法少女として妖魔と戦っていたことがある。旧姓は「田中」。さきと同様に屈強な男性の姿に変身し、中学生の頃から魔法少女として戦っていたが、腰痛が悪化して少し前に引退している。さきが魔法少女となってからは、先輩として積極的に応援やアドバイスをしている。魔法少女としての能力は完全になくなっておらず、さきがピンチのときは「魔法熟女」に変身して妖魔と戦うこともある。中学生の頃に同じクラスの卯野君にあこがれ、不良に絡まれている彼を助けるためにココロと契約して魔法少女となった。朝食は断然和食派。

卯野君 (うのくん)

卯野さきの父親。妻の卯野さよりとは中学生の頃に同じクラスだった。入学式の自己紹介の時に、真顔で奇妙な発言をしたことで教室を凍りつかせるエキセントリックな魅力の持ち主。一方で気弱なところがあり、不良に絡まれていた時にさよりに助けられたのをきっかけに親しくなった。

ココロ

卯野さきの家に押しかけてきた謎の男性。外見はほとんどチンピラにしか見えないが、その正体は魔法界からやって来た「魔法少女マスコット部門」に所属するお供の妖精。ふだんは人間に化けているが、元は背中に羽根が生えた二頭身の男性の姿をしている。語尾に「ゴラァ」を付けて話す。卯野さよりと契約していたことがあり、腰痛で引退した彼女の代わりとして、人間界を妖魔から守るためにさきをスカウトする。その後はさきに付き従い、魔法少女となった彼女に武器を渡したりアドバイスをしたりすることでサポートしている。強そうな見た目をしているが、あくまで魔法少女のマスコットでしかないため、戦闘力は持たない。

兵衛 (ひょうえ)

人気アイドルグループ「STAR☆PRINCE」のメンバーの青年で、御翔桃拾の相方。仕事でもプライベートでもいつも桃拾といっしょにいるため、彼を巡って卯野さきと争い合っている。何かとさきの邪魔や嫌がらせをしてくるため、彼女の天敵となっている。桃拾が妖魔に襲われるたびに姿を消すなど不可解な行動が多いため、さきからは妖魔たちの親玉として疑われることもあった。その正体は魔法界の妖精王の跡取り息子で、次期妖精王でもある妖精のプリンスであり、ココロにとって頭が上がらない人物。人間界には単なる旅行目的で来ていたが、さきたちの邪魔をするのは魔法少女の力をアイドル活動に利用するという禁止行為に対して、制裁を加えるためであった。あくまで妖精であるため、戦闘力はあまり高くない。

矢茂 小波 (やも こなみ)

卯野さきと御翔桜世のマネージャーを務める男性。アイドル好きであると同時に重度の魔法少女オタクで、あこがれの魔法少女を探すために上京してきた。さきたちが魔法少女の姿でアイドルデビューしたあとも、彼女たちのアイドル活動と戦いを全面的にバックアップしている。変身したさきと桜世が妖魔と戦う場面に現れては動画をネットに上げることで宣伝するなど、彼女たちの知名度を上げてスターへと導いた。アイドル好きというだけあって歌唱力と観客を惹きつけるパフォーマンススキルは高く、超速で動いて一人で三人分の動きをこなすため、三人に分裂したように見える。その正体は妖魔たちの世界(魔界)からやって来た異世界侵略局長であり、妖魔たちの親玉。人間界に送っていた部下が卯野さよりの活躍によって倒され、魔法少女へのあこがれから人間界担当を志願して人間界に訪れる。しかし、さよりのたくましい魔法少女姿を見て理想と現実のギャップに絶望し、意気消沈したままニートと化した。その後は人間界で再び働くことになり、さきたちのマネージャーとなったが、魔界からの最終通告を受けたことで、さきたちを応援したい気持ちと保身のために人間界を襲うことへの葛藤に苛まれる。そんな中、ココロがさきを魔法少女にスカウトしている場面に遭遇し、妖魔を使ってさきと桜世の勇姿を宣伝するという自作自演の工作をしながら、彼女たちを人気アイドルに導いていた。本来の姿に戻ると、額にハートマークのような紋章が現れる。戦闘力はあまり高くないが、軽度の雷魔法が使える。

妖魔 (ようま)

魔界からやって来た謎の魔物で、人間を襲って異界のゲートに連れ去ろうとする。個々の戦闘力はそこまで高くないが、原則として魔法少女にしか倒せない。一見、クマのぬいぐるみのような愛らしい生き物に見えるが、人間を襲うときは首から下は筋肉質な大男のような体型に変化し、中には下半身に触手を生やした妖魔もいる。額と胸元にはハートマークの紋章がある。

藤本 一郷 (ふじもと いちごう)

「正義のヒーロー」を自称する謎の青年で、「改造人間一郷」を名乗っている。顔の一部がロボットのようになった青年の姿をしている。正義感が強く負けず嫌いな性格をしている。卯野さきを一方的にライバル視しており、彼女の行く先々に現れては妖魔とも戦っている。しかし戦闘能力はあまり高くなく、急所蹴りやスタンガンなどふつうの人間とあまり変わらない方法で戦う。だが改造人間であるため、体のパーツが分かれたり石柱を潰したりなど、人間離れした身体能力を持つ。六人兄弟で、二剛をはじめとする五人の弟がいる。ふだんはカラオケボックスやイベントスタッフなどのアルバイトに励んでいる。改造を担当した博士の研究所で兄弟と共に暮らしており、体のパーツを壊すたびに博士の新たな改造や実験に付き合わされている。

その他キーワード

魔法少女 (まほうしょうじょ)

人間界に住む人間の女性が妖精と契約して変身した姿で、妖魔を倒すことのできる唯一の存在。魔法少女に変身すると、元の姿とは関係なく魔法少女風の衣装を着た筋骨隆々な男性になり、声も野太く変わる。男性に変身するのは、男性の方が力強いからという現実的な理由だが、あくまでも「魔法少女」であるため、元の性別は女性でなければならないという決まりがある。妖精から「マジカルアイテム」という武器をもらえるが魔法はいっさい使えず、戦闘は武器や素手で殴ったり蹴ったりする物理的な攻撃が基本となっている。

SHARE
EC
Amazon
logo