概要・あらすじ
恩路追人には、物心がついた頃には既に両親が居なかった。ただ、自分の父親が海外のバイクレースで活躍しているということだけは知っていた。その血を受け継いでいる路追人は、自らのセンスと養父である中野貞二から学んだ技術で、無免許ながらプロ顔負けのライディング技術を身につけていく。次第に自分も父親と同じ道を辿りたいと思うようになっていくが、レースをするには莫大な費用がかかるため断念せざるを得なかった。
しかしある日、首都高をバイクで走っていた路追人に、レーシングチーム「アサノレーシング」の監督である浅野アツ子が目をつける。そのライディングに興味を持ったアツ子は、路追人を自分のレースチームに加えたいと申し出るのであった。
登場人物・キャラクター
恩 路追人 (おん ろおど)
父親の恩拓満と母親の恩良子の間に生まれた男性。物心がつく頃には恩路追人の側には拓満はいなかったが、そのライディングセンスは拓満から受け継がれている。養父である中野貞二の幼少期からの指導もあってバイクの腕は確か。
恩 拓満 (おん たくみつ)
恩路追人の父親であり恩良子の夫。ジュニアクラスを型落ちのバイクに乗りながら圧倒的な速さで勝ち進み、その後アメリカ、ヨーロッパへと渡りプロのレーサーとして活躍した。のちに、レース中の事故に巻き込まれて即死したという情報だけが日本にもたらされたが、その真偽は不明である。
恩 良子
恩路追人の母親であり恩拓満の妻。旧姓は「中野」。拓満が出場しているレースを身重の体で応援していた際、人混みに押されて転倒した。その後、陣痛が始まり出産を迎えたが、恩路追人を産んだ後に亡くなってしまう。
中野 貞二 (なかの さだじ)
恩良子の弟で恩拓満の義弟。自分の実力を試すためにアメリカへと渡った拓満の代わりに、恩路追人を育て上げた養父。元々畳屋だった実家を自転車屋とバイク屋に改装しているが、経営状態はあまり良くない。路追人が小さい頃からバイクの技術を教え、その成果が路追人のレーサーとしての技術の土台となっている。
妙子 (たえこ)
恩路追人が小さい頃から知っている、ポケバイの練習場にいた女性。当時、路追人を快く思っていなかった男性につっかかっていくなど男勝りな性格で、成長してOLになった現在も男らしい性格は変わっていない。路追人がGPに挑戦することに迷っていた際には、彼の背中を押す。
山田 一二三 (やまだ ひふみ)
地元で恐れられている白バイ隊員の男性。過去にベンツに乗ったヤクザを追い回したあげく、乱闘になって日本刀で切られた時の傷が顔に残る。暴走族を捕まえると警察の道場に連れていき、「稽古」と称して投げ飛ばした後、反省文を30ページ書かせる罰を与えることでも知られている。
01 (ぜろわん)
恩路追人が初めて峠をバイクで走った時にバトルをした相手。レーシングチーム「R.T.気合」のエースで、その実力は奥多摩イチと言われている。ドリフトが得意で並みのレーサーでは追うことすらできないが、路追人にはさらに上のレベルの走りを見せつけられた。
浅野 アツ子 (あさの あつこ)
レーシングチーム「アサノレーシング」の監督兼メカニックを務める女性で、サーキット場に足を運んでは自分の理想とするレーサーを探し続けている。ライダーを見る目は確かで、技量を見極めるにはたったひとつのコーナーの走りを見るだけで十分と豪語している。浅野アツ子自身も、元レーサーである。
トム・ウォルサー (とむうぉるさー)
浅野アツ子と赤松信一の車に同乗していた黒人レーサー。高速道路で事故車とトラックの間を華麗にすり抜けた恩路追人のライディングを見たアツ子が、その実力を確かめるために送り込む。なかなかバトルをする気にならない路追人を煽り、勝負させることに成功した。事故を恐れずぐんぐん前へ進むライディングから「バッファロートム」とも呼ばれている。
赤松 信一 (あかまつ しんいち)
レーシングチーム「アサノレーシング」で、メカニックやレーサーのケアを担当する男性。浅野アツ子が理想とするレーサーを探すため、彼女と共にサーキット場に足を運んでいる。監督であるアツ子の方が立場は上なので、彼女としゃべる時は常に敬語。
志賀 (しが)
筑波サーキットによく顔を出す男性で、自分のレースチームを持っている。浅野アツ子のことは、過去にレーサーだったことまで知っている。恩路追人のライディングを見て、幼少期からレース魂を叩きこまれていることを見抜いた。
新藤 (しんどう)
恩路追人がはじめて筑波サーキットでレースに出場した際に対戦した、志賀のチームに所属するレーサー。志賀のチームのなかではFⅢの予選も突破する数少ない実力者の一人で、最初こそ路追人を格下に見ていたものの、型落ちのバイクでぴったりとくっついて走る姿を見てその実力を認めた。
集団・組織
R.T.気合 (れーしんぐちーむきあい)
恩路追土がはじめて峠をバイクで走った時に出会ったレーシングチーム。他のメンバーはそれほどでもないが、01だけは別格で峠での走り屋ナンバーワンを自負している。その知名度は高く、ひとたび彼が走り出せば他のエース級のレーサーが挑戦しようと一斉に走り出すほど。
その他キーワード
ビリビリライダー
峠の走り屋たちを撮影しているバイク誌。撮影会になると多くのレーシングチームが集まり、撮影会のある日は夜中から撮影を待つ読者が出るほどの人気を誇る。一方で雑誌が売れるためであれば峠のレース中に死亡事故すら望む、不謹慎な編集社員がページを担当している。