IDATEN翔

IDATEN翔

藤原としひろの代表作。MTB(マウンテンバイク)を愛する少年、山登翔が、シャークトゥースとの戦いを繰り広げながらMTBの聖地といわれたXゾーンを取り戻し、リーダーとして成長していく姿を描く。「コミックボンボン」2004年4月号から2006年10月号に掲載された作品。

正式名称
IDATEN翔
ふりがな
いだてんじゃんぷ
原作者
江鳥 告
作者
ジャンル
自転車競技
関連商品
Amazon 楽天

作品構成

物語は2部構成となっている。第1巻から第3巻までは山登翔獅童京一との出会いをきっかけに、Xゾーンシャークトゥースメンバーとの戦いを繰り広げ、Xゾーンのリーダーへと成長していく「シャークトゥース編」、第4巻から第5巻までは世界中の韋駄天シリーズライダーと技術を競って頂点を目指す「韋駄天バトル世界GP編」となっている。

あらすじ

第1巻

MTB(マウンテンバイク)が大好きな少年、山登翔は、親友の坂巻駆と共に自作MTBコースのSSで練習する日々を送っていた。そんな折、SSの出来のよさに目をつけたシャークトゥース鮫島大牙が、SSを奪うため駆に勝負を挑む。惨敗した駆に対する大牙の暴虐な態度に激怒した翔は、大牙にリターンマッチを申し込むが、一蹴されかけたその時、獅童京一が現れて大牙を挑発し、勝負を焚きつける。奇跡的な走行で大牙に勝利した翔は、京一に導かれ、駆と共にXゾーンを訪れる。父親である山登猛が創設し、かつてMTBの楽園と謳われたXゾーンの荒れ果てた現状を目の当たりにした翔は、Xゾーンを再びMTBの楽園にする事を決意する。

第2巻

荒れ果てたXゾーンを、父親である山登猛が目指したMTB(マウンテンバイク)の楽園に復興させる事を決意した山登翔は、その所持者はXゾーンのリーダーとして認められるという究極のMTB、インペリアルXを手にするため、獅童京一を含む仲間達と共にシャークトゥースのメンバーと戦いを繰り広げていく。レースに勝利するごとに技術を磨いていく翔だったが、愛車である炎帝は連戦のダメージが蓄積していたため、狐影とのレース中、空中分解してしまう。絶望の淵に立たされる翔達だったが、かつて猛が作り上げシャークトゥースに壊滅に追い込まれたMTBチーム、T-REXの生き残り、ユウキ達に出会った事で再度攻勢に出る。

第3巻

炎帝をはじめとする韋駄天シリーズを完成形に仕上げていたのは、ユウキ達ばかりではなく、シャークトゥース側も同じだった。6台の韋駄天シリーズがXゾーン中央のメインタワー前に立ち並んだ時、メインタワー上部が開き、インペリアルXへの道が現れる。起伏の激しいそのコースで、山登翔ら三人、そして鮫島牙舞ら三人のレースが始まった。苛烈な戦いの末、ようやくインペリアルXに辿り着いた翔だったが、そこには死んだはずの父親、山登猛が待ち構えており、翔が本当にXゾーンのリーダーとしてふさわしいかを試すために、最後のレースを申し込んできた。

第4巻

Xゾーンの復興も進み、平和な日常を謳歌していた山登翔達のもとに、韋駄天バトル世界GPトーナメントからの招待状が届く。4年に一度開催されるこの大会の存在と、世界中に韋駄天シリーズのライダーが存在した事実に興奮する翔達だったが、タイガー・ジェットをはじめとする世界のトップライダーの前では、予選通過すらギリギリという事実に愕然とする。しかしその敗北感をバネにして、翔は自身に足りない能力を見極め、本戦前の僅かな時間に勝利を模索し、坂巻駆と共に特訓を重ねる。

第5巻

タイガー・ジェットに勝利し、レオ・コンドルとのクロスカントリーコースに挑む山登翔。圧倒的な持久力を誇るレオに不利なレース展開を強いられるが、周囲の応援を力にして辛くも勝利する。次期チャンピオンとの呼び声が高くなっていく翔だったが、続くスワン・ガナッシュとの対戦はMTB(マウンテンバイク)競技で新たに取り入れられたMTBモーグルコースで行われると知り、遊びとしてしかジャンプ技を行ってこなかった翔は、不慣れな競技に練習方法も見つけられないまま困惑する。そんな折、ダウンヒル部分の練習に明け暮れ、傷だらけになっているスワンを目にし、走り方の手本とコツの伝授を申し出る。

関連商品

MTB「フレイムカイザー」

本作『IDATEN翔』のオリジナル仕様MTB(マウンテンバイク)が発売されている。ダブルサスペンション搭載で、フロント部にはコンパス、変速メーター、スピードメーターが備わっており、自動点灯オートライトが装備されている。合わせて、「フレイムカイザー」オリジナルヘルメットも発売された。

メディアミックス

TVアニメ

本作『IDATEN翔』は、2005年秋からテレビ東京系列にて、『韋駄天翔』のタイトルでTVアニメ化されている。キャラクターなどは同じだが、ストーリーは彼らが異世界に転送され、10枚のエンブレムを集めるために「韋駄天バトル」を繰り広げるという、まったく別のものとなっている。山登翔役を渡辺明乃、坂巻駆役を津村まこと、獅童京一役を浪川大輔が演じた。

登場人物・キャラクター

山登 翔 (やまと しょう)

MTB(マウンテンバイク)を愛する11歳の少年。全体が茶色の頭髪だが、中央分けされた前髪部分のみ金髪となっている。父親である山登猛の形見のMTBで韋駄天シリーズの一つ、炎帝を受け継いでいる。テクニックやパーツの知識はないが、勢いのよさと天性の勘が備わっており、コースを見極める能力が高い。Xゾーンに入った直後は、重要な事はなにも教えないまま、ひたすら特訓させようとする獅童京一に反発していたが、猛がシャークトゥースとの戦いに敗れて命を落とし、彼がXゾーンをMTBライダーの天国にしたいと考えていた事を知り、その思いを引き継いで、京一と協力していく事を決心する。 また例えシャークトゥースのメンバーであろうとも、MTBを愛している事に変わりはないと考えており、インペリアルXへの道での対戦後は、鮫島牙舞にも仲間になる事を望んで手を差し伸べた。 猛が生存していたと知った際には、涙を流して歓喜した。再会の喜びも伝えられぬまま、インペリアルXの所有権とXゾーンのリーダーの座を試験させられる事を知って激しい動揺に襲われつつも、仲間の応援を受けてレースに勝利。 Xゾーンのリーダーとして復興の指揮を執る事となった。韋駄天バトル世界GPトーナメントでは、日本の韋駄天シリーズライダーの代表として招待されている。トーナメント予選では辛くも10位で通過し、世界の壁の厚さを痛感した。世界での戦いを体感させてくれたタイガー・ジェットを尊敬しており、タイガーの生死がかかった手術を停電中にも続行させるため、ドライブランチャーを使用した発電を一晩中行った。 スワン・ガナッシュについては、当初モーグル技術の高さは評価していたものの、そのほかの部分で未熟さの目立つ走りに呆れていた。しかし、真摯に練習を重ねる姿を目にし、互いに得意分野を教え合ういいライバルとなった。

坂巻 駆 (さかまき かける)

山登翔の親友で、幼なじみの少年。丸い眼鏡をかけている。年齢は11歳。翔と共に幼少期からMTB(マウンテンバイク)を続けている。パーツの性能に詳しく、データを重視したセッティングを好む。翔と京一に翻弄され、シャークトゥースとの戦いにおいては援護役として活動し続けていたが、その実力を認められて、韋駄天シリーズの一つ、海神のライダーに選ばれた。 インペリアルXへの道でも、重撃からザコと侮られ続けて眼中にも留められていなかったが、一身に攻撃を受ける翔を助けるために自ら衝突していき、重撃を退ける事に成功した。韋駄天バトル世界GPトーナメントの招待状が届く直前からは、獅童京一が使用していた雷帝を使用しているが、ここに至る経緯は明かされていない。 しかし、韋駄天バトル世界GPトーナメント準決勝、スタジアムトライアルコースでのレースを前に、雷帝を京一に返還している。日本の韋駄天シリーズライダーの代表として招待されるが、予選で敗退している。だが翔のサポートメンバーとして補佐を続け、ダウンヒルコースを前にした特訓を経て、炎帝に海神のフロントサスペンションを移植する決定を下した。 またこの経験から、自分にはメカニックが向いているのではないかと考え始めた。

獅童 京一 (しどう きょういち)

獅童まことの兄。年齢は12歳。山登翔が鮫島大牙に勝負を挑んだ際に登場し、勝負の申し出を一蹴しようとしていた大牙を焚きつけた。翔と坂巻駆をXゾーンへ招き、基礎訓練を行おうとした。父親がシャークトゥースとのレース中に死亡した事から、シャークトゥースを憎んでいる。父親から韋駄天シリーズの一つ、雷王を受け継いでおり、自らも「雷王」と名乗る事がある。 亡き父親から「韋駄天炎帝」とペインティングされたヘルメットと、山登猛が翔へと遺したビデオメールを預かっていた。登場当初はシャークトゥースとのレース中に、相手MTB(マウンテンバイク)のブレーキを破壊するなど、容赦のない走行を見せていたが、翔や坂巻駆の素直で真摯なレース姿勢に心打たれ、相手が誰であっても真っ向から勝負する事を決意した。 かつて狐影とレースを引き分けており、そのリベンジの機会を窺っていた。シャークトゥースが解散したあと、父親の復讐の道具として乗り続けていたMTBに乗る理由が見えなくなったとして、まことの前から出奔した。一人旅を続ける中で獅童京一自身にとってのMTBの意味を問い続け、MTBを愛する気持ちに気づいた。 韋駄天バトル世界GPトーナメントでは招待選手としてではなく一般参加選手として、韋駄天シリーズを使用せずに出場。準々決勝でマスコミに話題となり、翔達の前に姿を見せた。また準決勝のスタジアムトライアルコースでのレースを前に、駆から雷王の返還を受けている。 まことからは「お兄ちゃん」と呼ばれている。

獅童 まこと (しどう まこと)

獅童京一の妹で、気の強い少女。バランス感覚に優れたMTB(マウンテンバイク)ライダーで、激流の中で濡れた狭い足場でも、後輪でジャンプしながら問題なく移動する事ができる。山登翔と出会った当初は、実力のない厄介者扱いしていたが、翔のコースを見極める能力を目の当たりにしてからは見直している。ペットに、ミミズクのホースケを飼っている。 韋駄天バトル世界GPトーナメントの招待状が届く直前からは、坂巻駆が使用していた海神を使用しているが、ここに至る経緯は明かされていない。日本の韋駄天シリーズライダーの代表として招待されるが、予選で敗退している。

ホースケ

獅童まことがペットとして飼っている小さなミミズク。つねにまことと共に行動しており、山登翔と出会った当初は、翔を馬鹿にするような行動を繰り返していた。コロシアム崩壊時には、隆起した地面に呑まれていく強礼無のMTB(マウンテンバイク)から、次のバトルへの鍵となるチェーンリングを抜き取ってくる活躍を見せた。

鮫島 牙舞 (さめじま がぶ)

シャークトゥースを率いている不良MTB(マウンテンバイク)ライダー。「シャークトゥース総帥」を自称している。ふわふわとした赤い髪で、両側の頬骨付近から小鼻に向かい、2本の牙のようなフェイスペインティングが施されている。Xゾーンの支配者を自負しており、獅童京一を目障りと考えている。韋駄天シリーズの一つ、紅牙を使用しており、相手を攻撃する走行を推奨、実行していた。 しかし自分に従ってきた仲間の事は心底では大切に思っており、仲間を倒してきた山登翔には激しい怒りを抱いていた。しかし、MTBを愛する者として和解を申し出た翔の言葉に心打たれ、翔と山登猛が行ったレースでは翔の手助けを行った。また翔がXゾーンのリーダーに就任し、Xゾーン復興活動を始めてからは、重撃と共に復興を手伝っている。

鮫島 大牙 (さめじま たいが)

シャークトゥースの幹部を務める不良MTB(マウンテンバイク)ライダー。鮫島牙舞の兄。オールバックの黒髪で、額から顎に向かい、2本の牙のようなフェイスペインティングが施されている。山登翔と坂巻駆が二人だけで使用しているSSを自分達のものにする口実を作るため、わざと駆の目の前でセクションを破壊し、SSを賭けた勝負に持ち込んだ。 駆との勝負で一度はSSの支配権を得たが、直後に翔との勝負に敗北し、SSを手放している。また翔に敗北した事で、弟の牙舞からリンチに遭い、十字鉄骨に磔にされた。牙舞からは「兄ちゃん」と呼ばれている。

強礼無 (ごーれむ)

シャークトゥースのメンバー。大人並みの体格を誇る少年。鮫の牙発動時には第1バトル場であるコロシアムで山登翔とレースした。挑戦者に勝利した場合、褒美として牛1頭を完食する権利を与えられる。まともにレースするつもりがなく、走行する翔を背後から蹴り飛ばす、殴るなどの物理的な攻撃を加えてリタイヤさせようとしていた。

跳一 (ちょういち)

シャークトゥースのメンバー。バッタを思わせるヘルメットをかぶった少年。弟に跳二がいる。鮫の牙発動時には第2バトル場であるジャングルで、跳二と組み、山登翔、獅童まこととレースした。オフロードでもタイヤで跳ねるように進む事ができる。バックジャンプによる攻撃でまことにケガを負わせたが、そのため代走した獅童京一の策略に敗北する事となった。

跳二 (ちょうじ)

シャークトゥースのメンバー。バッタを思わせるヘルメットをかぶった少年。兄に跳一がいる。鮫の牙発動時には第2バトル場であるジャングルで、跳一と組み、山登翔、獅童まこととレースした。オフロードでもタイヤで跳ねるように進む事ができる。バックジャンプによる攻撃でまことにケガを負わせたが、そのため代走した獅童京一の策略に敗北する事となった。

狐影 (こえい)

シャークトゥースのメンバー。「青の門番」と称される忍者装束を身につけた少年。日本刀、鎖分銅などの忍具も使用する。韋駄天シリーズの一つ、空刃を使用しているため、牙舞からは「空刃」とも呼ばれている。バランス感覚に優れたMTB(マウンテンバイク)ライダーで、天守から瓦に飛び降りても音をさせず、また塀のヘリにタイヤのブロック列を引っかけて走行する事もできる。 韋駄天シリーズ6台を手に入れて、Xゾーンを支配する野望を抱いている。インペリアルXへの道でのレースではインペリアルXへ向かう事を放棄し、まずは獅童京一を殺害しようと考え、攻撃を加えていた。翔がXゾーンのリーダーに就任してからも、個人的な決着はついていないとして一方的に勝負を仕掛けている。

重撃 (はんまーへっど)

シャークトゥースのメンバー。本名不明の少年。つねに目から下を覆うマスクを着用しており、「赤の門番」とも称されている。韋駄天シリーズの一つ、重撃を使用しているため、全員から重撃と呼ばれている。鮫島牙舞への忠誠心が強く、彼を敬愛している。インペリアルXへの道では牙舞を支援するため、山登翔に執拗な攻撃を行っていたが、ザコと侮っていた坂巻駆との衝突によってコースアウトした。 翔がXゾーンのリーダーとして認められて以降は、牙舞と共にXゾーン復興を目指した活動を行っている。

ユウキ

モウルに搭乗し、Xゾーンに潜伏し続けていたT-REXの生き残りの女性。背中までの長い髪をうなじで一つにまとめている。かつて山登猛のメカニックチームとして配属されていた。モウルに搭乗して地下で暮らしており、シャークトゥースの目を掻い潜り、猛から託されていた設計データをもとに、完成形韋駄天シリーズを作り続けていた。

輪太 (りんた)

モウルに搭乗し、Xゾーンに潜伏し続けていたT-REXの生き残りの少年。かつて山登猛のメカニックチームとして配属されていた。モウルに搭乗して地下で暮らしており、シャークトゥースの目を掻い潜り、猛から託されていた設計データをもとに、完成形韋駄天シリーズを作り続けていた。

(てつ)

モウルに搭乗し、Xゾーンに潜伏し続けていたT-REXの生き残りの老年男性。かつて山登猛のメカニックチームとして配属されていた。モウルに搭乗して地下で暮らしており、シャークトゥースの目を掻い潜り、猛から託されていた設計データをもとに、完成形韋駄天シリーズを作り続けていた。

山登 猛 (やまと たけし)

山登翔の父親。恰幅がいい男性。18歳から12年連続でMTB(マウンテンバイク)日本チャンピオンに輝いており、1995年から3年連続でMTBヨーロッパ選手権を制している。また過去の韋駄天バトル世界GPトーナメントでは5回優勝しているとされる。1998年、獅童京一の父親が事故に遭ったのをきっかけに、勝利主義を貫く世界MTB協会を批判した事で選手資格を剥奪されている。 世界的なプロMTBライダーで、海外のレースで活躍していた。レース賞金の全額をつぎ込んでXゾーンと韋駄天シリーズを作り上げたとされる。選手資格を剥奪されたあと、MTBチームT-REXを発足したが、インペリアルXを作り上げた事でシャークトゥースの反乱に遭い、ユウキ達に完成形韋駄天シリーズの設計データを託したあと、事故を装って殺害されたといわれていた。 しかし誰にも知らせずに、Xゾーンのメインタワー内で生存し続けており、本当のインペリアルXを託す事のできる次代のXゾーンリーダーを試験するために待ち続けていた。翔に敗北後、誰にも言わずに再び姿を消した。

タイガー・ジェット (たいがーじぇっと)

前回の韋駄天バトル世界GPトーナメントで優勝した外国人男性。金髪碧眼で、オールバックにした髪を後頭部で跳ね上げるようにセットしている。トーナメント予選の海岸コースでは、切り立った崖を登り、1位で通過した。かつて山登猛に敗北を続けた経験から苛烈なトレーニングを行い、速さだけではない実力を身につけた。ダウンヒルコースで山登翔に敗北した事をきっかけに、MTB(マウンテンバイク)を引退する事を発表したが、その直後に交通事故を起こし、生死の境を彷徨った。 手術の最中に停電が起きた事で命が危ぶまれたが、翔がドライブランチャーを使用した発電を一晩中行った事で一命を取り留めた。

ジョブ・ケーシー (じょぶけーしー)

タイガー・ジェットの専属メカニックを務める外国人男性。肩まである銀髪で、スクエア型眼鏡をかけている。タイガーと共に11年間戦い続けてきたと自負しており、ダウンヒルコースでのタイガーの勝利を確信していた。山登翔とレオ・コンドルが対戦したクロスカントリーコースでは、翔がタイガーの命を救った礼にとメカニックの手伝いを申し出た。

レオ・コンドル (れおこんどる)

韋駄天バトル世界GPトーナメントに中南米代表として出場した外国人男性。肩下まで伸ばされた縮れた髪型をしている。山登翔とクロスカントリーコースで対戦した。大家族の大黒柱であるため、優勝して家族を養う事を目標としている。アンデス山脈の標高4000メートルの村に自宅があるために肺活量が多く、平地の人間では及ばない持久力を誇っている。

スワン・ガナッシュ (すわんがなっしゅ)

韋駄天バトル世界GPトーナメントにフランス代表として出場したフランス人の少年。金髪碧眼で、肩まで髪を伸ばしている。元フィギュアスケートのジュニアチャンピオンだったが、足のケガがもとで引退し、MTB(マウンテンバイク)のエア競技に自分の可能性を賭けていた。MTB自体は初心者同然でも負けん気が強く、山登翔をライバル視していた。 翔からダウンヒルのコツを教わった礼にモーグルコースのコツを伝授し、互いにいいライバルと認識し合って対決した。MTBモーグルでも3回転半の大技を出す事ができる。

集団・組織

シャークトゥース

鮫島が率いている不良MTB(マウンテンバイク)ライダーのグループ。もともとは、究極のMTBと呼ばれるインペリアルXの奪取を狙い、T-REXから分裂したグループとされている。T-REXよりも遙かに数が多かったため、Xゾーンの支配権を得て現在も居住し続けている。獅童京一からは「Xゾーンにはびこるダニ」「欲のかたまり」などと蔑称されている。

T-REX (てぃーれっくす)

山登猛が、MTB(マウンテンバイク)協会の選手資格を剥奪されたあとに発足したMTBチーム。究極のMTBと呼ばれるインペリアルXの奪取を狙って離反したシャークトゥースによって壊滅させられたが、メカニックだったユウキ達は地下で活動を続けていた。

場所

キッチンやまと

山登翔の母親が営んでいる、惣菜と弁当を販売する店。店舗兼用住宅で、店舗の脇にある勝手口から奥に進むと、山登家の自宅となっている。ご近所の人気店として弁当の配達なども多く頼まれており、Xゾーンの復興活動が始まってからは、復興支援に携わっている人達に毎朝の弁当を届けている。

SS (すぺしゃるすてーじ)

山登翔と坂巻駆が二人で作り上げたMTB(マウンテンバイク)用コース。荒れ地だった場所を地形の把握から始め、不要な木や岩の撤去などの整備、コースの図面引き、セクション設置までを翔と駆が行った。完成度の高さから鮫島大牙率いるシャークトゥースの一団が狙っていた。

Xゾーン (えっくすぞーん)

MTB(マウンテンバイク)ライダーにとって伝説の聖地とされている場所。かつて山登猛が、レース賞金すべてをつぎ込んで作り上げたとされる都市。都市として機能していた頃は、全世界のMTBライダーや開発者、メディアとその家族が暮らしていた。現在は地震で崩壊し、廃墟となった街にコースがセッティングされている。またコースとなっていない舗装道も、ほとんどが自転車専用の表示がされており、壁面を走行するウォールライドなども可能となっている。 中心にはビル群があり、直立しているメインタワーを中央として、倒壊して傾いたままの4棟の高層ビルが互いを支え合うように建っている。周囲は高いフェンスで囲まれており、中に入るための鍵の一つは獅童京一が所持している。 「韋駄天バトル世界GP編」では、世界中にXゾーンが存在する事が明かされた。

立体8の字コース (りったいはちのじこーす)

Xゾーンにあるコースの一つ。地震で崩れた建物などを利用した立体交差のコースとなっている。一見しただけでは分からないが小石や砂が多く、タイヤを取られやすい。また立体交差の橋はガードレールもなく、板や鉄板の継ぎ接ぎで作られているためMTB(マウンテンバイク)では非常に走りにくい。一部に走りやすいラインが敷かれているが、溝になっており、一度ハマると脱出できずそのまま橋から飛び出してしまう。

鮫の牙 (さめのきば)

鮫島牙舞の合図でXゾーンに発動する、シャークトゥースの競技場。発動されるとXゾーン全体に鉄の壁がせり上がり、何重かの円を描いて区切られる。また区切られた部分にはバトル場が設置されており、そこでシャークトゥースメンバーに勝たなければ次のバトルには進めなくなっている。鮫の牙が発動されるとメインタワー周辺が深く陥没し、メインタワーに倒れかかっていた4棟のビルが完全に倒れ、陥没した土地と周囲をつなぐ橋になる。

コロシアム

Xゾーンに鮫の牙が発動した際の第1バトル場。ローマのコロッセオそのものの外観で、山登翔と強礼無が対戦した。コロシアム内には1周800メートルのトラックが引かれており、先に10周した者が勝利する。また勝者は敗者のMTB(マウンテンバイク)を破壊し、カラクリ扉に相手のMTBのチェーンリングを嵌め込まなければ、次のバトルに進む事ができない。

ジャングル

Xゾーンに鮫の牙が発動した際の第2バトル場。1区域全体がバトルフィールドとなっている。崩壊したまま自然に任せて荒れ放題になった場所を、明確な道やコースのないまま1周する。二人1組のタッグ戦のため、山登翔と獅童まこと、跳一と跳二がタッグを組んで対戦した。途中、まことがケガをしたため獅童京一が代走した。

江戸村 (えどむら)

Xゾーンに鮫の牙が発動した際の第3バトル場。1区域全体がバトルフィールドとなっている。時代劇の町を思わせる区域で、天守を模した建物の屋根がスタート地点、丘の上にある仁王門がゴールとなっているパークライドレース。山登翔と狐影が対戦し、獅童京一が乱入したが、炎帝と雷王が破壊されたためレース自体は中断された。

インペリアルXへの道 (いんぺりあるえっくすへのみち)

Xゾーンを走るための究極MTB(マウンテンバイク)、インペリアルXへの道を示すMTB用コース。インペリアルXが封印されている場所への道は誰にもわからないとされていたが、完成形の韋駄天シリーズ6台がXゾーン中央にそびえるメインタワー前に揃う事で、メインタワー上部が開いてインペリアルXへの道が現れた。地形の起伏が激しい、絶叫コースターのようなコースとなっている。

海岸コース (かいがんこーす)

韋駄天バトル世界GPトーナメントの予選が行われたコース。海岸を走行し、かすかに見える灯台に辿り着くとゴールとなる。山登翔は荒波が打ち付ける苔生した岩場を走行し、海面下にある小さな岩を踏み台にしながらゴールしたが、タイガー・ジェットは最初に切り立った崖を登り、灯台までの一本道を走行した。

ダウンヒルコース

韋駄天バトル世界GPトーナメントで、山登翔とタイガー・ジェットが対戦したコース。小さなジャンプ台が連なった地形を超えると、「ドラゴンバック」と呼ばれる大きなコブの連なる地形に入る。その後急坂セクションに入り、最終コーナーは失敗すれば崖に落下する危険なコースとなっている。

クロスカントリーコース

韋駄天バトル世界GPトーナメントで、山登翔とレオ・コンドルが対戦したコース。全長6キロの周回コースを先に10周した者が勝利する。コース内に1か所ロープの張られていない箇所があり、そこから森の中にそれると大幅なショートカットが可能となる。

MTBモーグルコース

韋駄天バトル世界GPトーナメントで、山登翔とスワン・ガナッシュが対戦したコース。韋駄天バトル用の新競技。大きなコブが連なるダウンヒル部分と、ジャンプ技を決めるためのジャンプ台が備わっており、多くのライダーを苦しめた。

スタジアムトライアルコース

韋駄天バトル世界GPトーナメントの準決勝舞台となったコース。スタジアム内部にスタートとゴール位置を挟んで左右対称となったコースが敷かれている。山登翔と獅童京一はそれぞれ対戦相手が別だったが、同時にスタートを切り、同時にゴールした。

サドンデスコース

韋駄天バトル世界GPトーナメントの決勝で使用された巨大なコース。海岸コース、ダウンヒルコース、クロスカントリーコースとメインストレートを周回する。山登翔と獅童京一が対戦した。途中で相手を100メートル引き離した者が勝者となる。ただし100メートルの差が開かなければ、いつまでも走り続けなければならない過酷なレースでもある。

イベント・出来事

韋駄天バトル世界GPトーナメント (いだてんばとるせかいぐらんぷりとーなめんと)

4年に1度、韋駄天シリーズライダーの世界チャンピオンを決める大会。韋駄天シリーズの所有者には招待状が送られる。トーナメント予選は3組に分かれて海岸コースに挑み、それぞれ50名中10位以内に入った者が本戦への出場を許される。また一般参加枠も設けられており、獅童京一は一般参加で準々決勝まで残ったという事で、マスコミの話題となっていた。

その他キーワード

炎帝 (ふれいむかいざー)

韋駄天シリーズの一つで、山登翔が父親である山登猛から受け継いだMTB(マウンテンバイク)。Xゾーンで鮫の牙が発動してからの連戦でダメージが蓄積され、江戸村での狐影とのレースで空中分解した。ユウキ達が作り上げた完成形の炎帝は、ハンドル中央に炎の剣を思わせるエンブレムがあしらわれており、炎をデザインしたホイールカバーが付けられている。 パワー重視タイプで、Xマテリアルを使用すると、反り返るような崖でも駆け上がる事ができる。

雷王 (さんだーえんぺらー)

韋駄天シリーズの一つで、獅童京一が父親から受け継いだMTB(マウンテンバイク)。江戸村での狐影とのレース中、攻撃を受けて大破した。ユウキ達が作り上げた完成形の雷王は、ハンドル中央に盾を思わせるエンブレムがあしらわれており、闇の中の雷光をデザインしたホイールカバーが付けられている。ジャンプなどのトリッキーな動きが特性で、Xマテリアルを使用すると、雷のような予測不能なルートでの攻撃が可能となる。 韋駄天バトル世界GPトーナメントの招待状が届く直前から坂巻駆が使用していたが、トーナメント準決勝、スタジアムトライアルコースでのレースを前に京一に返還されている。

海神 (ねぷちゅーん)

韋駄天シリーズの一つで、坂巻駆が使用しているMTB(マウンテンバイク)。プロトタイプは登場しておらず、海神は輪太が一人で作り上げた傑作といわれている。ハンドル中央に水の宝玉を思わせるエンブレムがあしらわれており、水流をデザインしたホイールカバーが付けられている。韋駄天バトル世界GPトーナメントの招待状が届く直前から獅童まことが使用している。 あらゆる衝撃を吸収する事のできるフロントサスペンションが搭載されており、韋駄天バトル世界GPトーナメントのダウンヒルコースでは、このフロントサスペンションが炎帝に移植された。

紅牙 (ぶらっでぃーふぁんぐ)

韋駄天シリーズの一つで、鮫島牙舞が使用しているMTB(マウンテンバイク)。完成形の紅牙はシャークトゥース内で開発された。ハンドル中央に茨を思わせるエンブレムがあしらわれており、血の滴りをデザインしたホイールカバーが付けられている。対戦者を斬り裂くような鋭利な走りが特徴で、Xマテリアルを使用すると、カマイタチを発生させる事ができる。

空刃 (えあろしざーす)

韋駄天シリーズの一つで、狐影が使用しているMTB(マウンテンバイク)。完成形の空刃はシャークトゥース内で開発された。ハンドル中央にカマイタチを思わせるエンブレムがあしらわれており、手裏剣をデザインしたホイールカバーが付けられている。俊敏な動きが特徴で、Xマテリアルを使用すると、分身や連撃が可能となる。

重撃(バイク) (はんまーへっど)

韋駄天シリーズの一つで、重撃が使用しているMTB(マウンテンバイク)。完成形の重撃はシャークトゥース内で開発された。ハンドル中央にハンマーヘッドシャークを思わせるエンブレムがあしらわれており、戦輪をデザインしたホイールカバーが付けられている。グリップ重視型で、Xマテリアルを使用すると、強力すぎるグリップ力でコースを破壊し、後続車の走行を不可能にする事ができる。

韋駄天シリーズ (いだてんしりーず)

山登猛が作り上げた、Xゾーンを走行するためのスペシャルバイクシリーズ。山登翔の使用する炎帝、獅童京一が使用する雷王、のちに坂巻駆が使用する海神、鮫島牙舞が使用する紅牙、狐影が使用する空刃、重撃が使用する重撃の6台が存在する。当初は各機完成形と思われていたが、ユウキ達との出会いによって、プロトタイプだった事が明かされた。 完成形となった韋駄天シリーズは、各機異なったデザインのエンブレムやホイールカバーが施されている。また海神のみ、完成形となってから登場し、駆がライダーに選ばれている。「韋駄天バトル世界GP編」では、韋駄天シリーズと呼ばれるMTB(マウンテンバイク)が世界中に存在する事が明かされる。

インペリアルX (いんぺりあるえっくす)

山登猛が作り上げた、白銀のMTB(マウンテンバイク)。Xゾーンに挑んだ数万人におよぶトップライダー達のレースデータと、数億点のMTBパーツから生み出された。これを所持する者はXゾーンのリーダーの資格を得る。Xゾーンを走るための究極MTBといわれているが、Xゾーン中央にそびえるメインタワーの最上階に封印されている。 封印されている場所への行き方すらも不明とされていたが、完成形となった韋駄天シリーズ6台がメインタワー前に揃う事で、インペリアルXへの道が現れ、その中央にインペリアルXが剝身の状態で設置された。しかしこの設置されたインペリアルXはホログラムであり、真のインペリアルXは、このホログラムに辿り着いた者の前に、猛本人が所持して現れる。 白銀のボディに、ハンドル中央にドラゴンの頭を模したデザインが施されている。

モウル

ユウキ達が所有している大型トレーラー。後部のコンテナ内はMTB(マウンテンバイク)工場になっており、完成形の韋駄天シリーズを作り続けていた。韋駄天シリーズ専用の高速発進カタパルト、ドライブランチャーが搭載されている。またユウキ、輪太、鉄が寝泊まりするためのベッドやキッチンなども内装されている。

ドライブランチャー

完成形韋駄天シリーズ専用の高速発進カタパルト。モウルにも搭載されている。後輪に高速回転を与えて打ち出す事で、地下深くから一気に地上に駆け上がれるほどのパワーを得る事ができる。またこのドライブランチャーによってXマテリアルに蓄えられたパワーは、ハンドルにあるスイッチによってペダルと後輪の動力を切ったり、つないだりする事が可能となっている。

Xマテリアル (えっくすまてりある)

完成形の韋駄天シリーズの後輪フライホイールに組み込まれているメカ。ドライブランチャーによって充填されたパワーを溜め込んでおく事ができる。ハンドルにあるスイッチによって出力を操作する事ができ、走行中にこのスイッチを入れる事によって、各韋駄天シリーズの特徴を活かした走行が可能となる。

トレーラー

韋駄天シリーズに取り付ける事のできる荷物運搬用トレーラー。炎帝での弁当宅配を目的に作成されたため、ボディにはキッチンやまとの店名がペイントされている。どんな道でも安全、確実、スピーディーに荷物を運ぶ事ができ、脱着もワンタッチで可能となっている。

クレジット

原案

(株)トミー

原作

江鳥 告

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