ツール!

ツール!

大谷アキラの代表作の一つ。フランスの都市「ナント」を舞台に、漁村出身の少年・日出島ヒイロが、父親・日出島勝の志を受け継ぎ、本場フランスのサイクルロードレースの最高峰「ツール・ド・フランス」に挑む姿を描いたサイクルロードレース・アクション。小学館「週刊少年サンデー」で2009年49号から2010年46号まで掲載されたのち、同社「クラブサンデー」で2010年11月から2011年11月にかけて配信された作品。

正式名称
ツール!
ふりがな
つーる
作者
ジャンル
自転車競技
レーベル
少年サンデーコミックス(小学館)
巻数
全8巻完結
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父親の志を受け継ぎ、サイクルロードレースの世界へ

日出島ヒイロは、親友の益若競と共に自転車に夢中になり、10歳の誕生日に贈られたロードバイクで公道を駆け巡りながら、地元で開催される父親の勝や「神」と称されるゼウス・L・ストロングが参加するサイクルロードレースを心待ちにしていた。しかし、そのレースの直後に勝が不慮の事故で命を落とし、ヒイロはそのショックから競に対して心にもない言葉を投げかけてしまう。それから7年の月日が流れる。ヒイロは祖父のもとで漁師として生活しながらも、サイクルロードレースへの情熱を捨てきれずにいた。そんな彼を見守っていた祖父の後押しを受け、ついに本格的にサイクルロードレースの世界に足を踏み入れる決意を固める。そんな中、フランスの都市「ナント」に母方の祖父母が健在であることを知り、ナントへ向かうことになる。そして、父親の志を受け継ぎ、フランスのサイクルロードレースの最高峰「ツール・ド・フランス」出場という大きな目標を胸に抱くのだった。

フランスで母親の愛と父親の真実を知る

物心がついた頃から母親の顔を知らずに育ったヒイロは、父親の勝と、漁師である父方の祖父との三人暮らしを送っている。祖父は、勝が自転車競技に没頭しすぎた結果、家庭を顧みず、ヒイロの母親を早くに失ったと考えており、長いあいだ勝との関係はぎくしゃくしていた。そんな中、17歳になったヒイロは、サイクルロードレースの世界に進む決意を固めてフランスに渡り、母方の祖父母が住むナントに向かう。そこで祖母のミユキから温かく迎え入れられ、記憶にない優しい母親の面影や、父親の勝が若い頃にナントのサイクルロードレースクラブ「VCナント」で活躍していた輝かしい過去を知る。一方、祖父のオリヴィエは当初、ヒイロに対して複雑な感情を隠さず冷たい態度をとっていた。しかし、心の奥底では孫のヒイロを深く気にかけており、ヒイロが父親と同じ名門チーム「VCナント」で本格的に活動を始めると、熱心な応援者へと変わっていく。

名門チーム「VCナント」で才能が開花

ヒイロが所属するVCナントは、「軍曹」の異名で知られる名監督・マックスが率いる名門サイクルロードレースチーム。チームには、毒舌家のロナンや、一卵性双生児でありながら肌や髪の色が異なるカロンとマラン、さらには日本の時代劇やアニメを熱烈に愛するフィリップなど、個性豊かなメンバーがそろっているが、全員がサイクルロードレーサーとして卓越した実力を誇る。特にチームリーダーのローランは、フランスのジュニオールチャンピオンに輝いた実績を持ち、地元での人気も非常に高く、チームメートからも厚い信頼を寄せられている。新参者のヒイロは、彼らトップ選手の走りを間近で目の当たりにし、本場フランスのレベルの高さを実感する。しかし、幼い頃から培ってきた風を読む才能を生かし、やがてチームメートやマックスからも一目置かれる存在へと成長していく。

登場人物・キャラクター

日出島 ヒイロ (ひでじま ひいろ)

フランスのサイクルロードレースチーム「VCナント」に所属する少年。年齢は17歳。ふだんはまじめで礼儀正しい性格だが、自転車に関することになると情熱的になり、強気な一面を見せる。風を読む才能に長けており、VCナントのチームリーダー・ローランからは「風の精霊」と呼ばれている。海沿いの町で育ち、幼い頃から親友の益若競と共に町の道を自転車で駆け回り、サイクルロードレースについて熱く語り合うなど、自転車競技に対する強い興味を抱いていた。その頃から風を読む才能を発揮し、父親の日出島勝は「こいつを世界で走らせたらどうなるのか」と大きな期待を寄せていた。しかし、その光景を見ることなく、勝が不慮の事故で亡くなってしまう。やがて、日出島ヒイロは父親のような立派なサイクルロードレース選手になることを決意する。そして17歳でフランスに渡り、世界最高峰のサイクルロードレース「ツール・ド・フランス」への挑戦を始める。

日出島 勝 (ひでじま かつ)

日出島ヒイロの父親。かつて「VCナント」に所属し、サイクルロードレースの全日本チャンピオンに輝いた経歴を持つ。自転車競技に対する情熱は人一倍強く、高校卒業後には父親の反対を押し切って単身フランスのナントへ赴き、長年にわたって現地のプロ選手として活躍した。そんな中、オリヴィエとミユキという夫婦の娘と結婚し、一人息子の日出島ヒイロを授かる。しかし、競技に没頭するあまり、妻の病気に気づかず、ヒイロが1歳の時に妻と死別してしまう。深い自責の念に駆られた日出島勝は、ヒイロを連れて日本へ帰国した。このような経緯から、実の父親や義父オリヴィエとの関係はぎくしゃくしており、勝自身も家庭を顧みなかった過去を強く悔いている。ヒイロのことを何よりも大切に思い、彼が自転車に強い興味を示すことを喜んでいた。ヒイロが持つ風を読む才能に気づいてからは、彼が自分を超えるレーサーになるかもしれないと大きな期待を寄せている。また、かつての全日本代表チームメートで親友でもある益若優とは家族ぐるみの付き合いで、現役時代にはレースで息の合ったコンビネーションを見せ、多くの勝利を共に収めてきた。

クレジット

監修

栗村 修

書誌情報

ツール! 全8巻 小学館〈少年サンデーコミックス〉

第1巻

(2010-04-16発行、978-4091222695)

第8巻

(2011-12-16発行、978-4091234353)

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