香り、音、味、すべてが食欲をそそる！焼肉漫画オススメ５選98 Pt.

メイは席に着くなり「闇盛り」を注文する。運ばれてきたのは真っ赤なタレの海に浸かったさまざまな部位の肉だ。慣れた手つきで肉を焼き、口に運ぶたびに恍惚の表情を浮かべる彼女を見て郁馬はときめきを覚えるのであった。当初は郁馬に対して塩対応のメイであったが、一緒に焼肉を食べるうちに徐々に距離を縮めていく。本作は、肉の中でも特に希少部位やホルモンに関する描写が緻密であり、知る機会が少ない「タレ」もテーマに取り上げているのが特徴だ。いつも一人で誰とも話さないメイだが、その真意を知るとさらに彼女が可愛らしく思えてしまう。お騒がせな姉のミクが二人の仲を引っかき回したり、メイのライバルまで登場したりと、ラブコメディとしてのドタバタも楽しめるだろう。

ネット婚活に挑戦する音花だったが、共通の話題を見つけやすいことから「焼肉」を介して相手を探すことを決意する。最初に出会った相手は爽やかイケメンであったが、肉を前にすると態度が豹変する。牛タンの焼き方ひとつで手厳しい指導を受け、音花はタジタジだ。結果、彼がイケメン過ぎてBL妄想が捗ってしまい、音花からお断りすることに。婚活をやめようと思う音花だったが、孤独死の未来を恐れて再び焼肉デートで理想の相手を探すべく奮闘するのであった。本作にはワンコ系、オラオラ系、オタク系とさまざまなイケメンが登場するが、一癖も二癖もあるキャラクターのため、婚活の難しさを改めて思い知らされる。自分の相手なのに、うっかりBL妄想してしまう音花の脳内の騒がしさも楽しく、恋が実を結ぶのか最後まで目が離せない。

焼肉店「センゴク」で働くメンバーは個性派揃いだ。愛されキャラだがお皿を割りまくる佐倉ヤエ、冷静沈着で仕事はできるがツンデレな鯱頭（しゃちがしら）アオイ、おかしな日本語を使うがバリバリ働く中国人の劉子玄（りゅう しげん）など、クセ者だらけである。そんなメンバーをまとめるのが筋トレに命をかける店長・千石エイジだ。当初は緊張のあまり接客もままならないモップだったが、千石の励ましやヤエたちのサポートもあり、一人前になるべく奮闘する。メンバー同士の助け合いやふれあいを通して、気弱なモップが少しずつ成長していくさまにほっこりとした気持ちにさせられる。厨房の裏側や専門用語など、スタッフでなければ知ることのできない世界を垣間見ることができるのも面白い。

食堂に乗り込んだ八王子に応戦したのは、厨房を仕切る青年・タツジだった。ヨリと店を悪く言われ腹を立てた彼は、八王子が白肉を食べて「うまい」と言わなかったら倍額の慰謝料を払うという無謀な取引に応じる。タツジは絶妙な手つきで「マルチョウ」を焼き、それを口に運んだ八王子は余りの美味しさに思わず感涙。ヨリの笑顔と店のメンツを取り戻したタツジは一気に名を馳せ、彼と対決すべく焼肉の本場・鶴橋や一大焼肉チェーンの凄腕などの刺客が彼の元を訪れる。本作は、見ごたえたっぷりのグルメバトルもさることながら、白肉をはじめとしたさまざまな部位の知見を得ることができるのが特徴である。仕込みや焼きの描写がリアルであり、間違いなく読後に肉を頬張りたくなる一冊だ。

ミノスの注文を遮り、邪神ちゃんが注文したのは「朝〆（あさしめ）ればー」だ。脂を巻いた鮮度抜群のレバーを口に運び、ミノスは至福の表情を浮かべる。焼肉奉行の邪神ちゃんのエスコートで、ハツ刺しや希少部位の「メガネ」などに舌鼓を打ち、大満足のミノスであった。彼女たちはその後も仲間たちを誘い、界隈の肉料理を食べつくしてゆく。本の街として有名な神保町だが、庶民的な焼肉店が軒を連ねるグルメな街であることは意外と知られていない。実在する名店をミノスたちが巡って紹介することから、グルメガイドとしての側面もあるのが本作の特徴だ。焼肉だけでなくハンバーグやシチューなど他の肉料理も詳しく描かれており、神保町に行った時はきっと立ち寄りたくなるだろう。