カワイイだけじゃないイケてるパンダたち！オススメ漫画５選42 Pt.

顎に手を当て、ニヤリと笑う。イケメンがやればさぞ写真映えするポージングのはずだが、それをやっている半太はどう見てもパンダである。世の中にはイケメンのゴリラなるものも存在しているが、半太もその類の「イケメンのパンダ」なのだろうか。半太はどこからどう見てもパンダなのだが、制服を着て学校に通っている。スマートフォンを使いこなし、SNSも活用している。この時点でパンダの後ろに疑問符がついてしまうのは、かれんだけではないだろう。かれんには半太がパンダに見えているのだが、周囲の反応を見ると彼らと同じものを見ている気がしない。かれんにはパンダにしか見えない半太は誰もが認めるイケメンであるかのように振る舞っているし、半太の妹もパンダに見えるがアイドル級の美少女らしい。半太が本当にパンダなのかというのは大いに気になるところだが、自分がどう行動すればイケメンに見えるのかを研究する姿はかなりシュールである。

半田さんはベビーシッターのパンダである。料理洗濯はもちろん、ヴァイオリンのお稽古もつける。口調は少々きつく、エマを必要以上に甘やかすことはない。言動から半田さんはとても真面目な性格なのだろうという印象を受けるのだが、なにぶんパンダである。きついと感じる言葉も、見た目がパンダであるためにソフトな印象に変わってしまうから不思議だ。動物園で暮らすパンダののんびりしたイメージと、半田さんの性格は真逆だ。休む間もなくキビキビ動く姿は、クールで仕事のできるスーパーパンダと言っても過言ではない。エマに対する態度を見ていると、本当に子どもが好きなのだろうかと疑問符を浮かべてしまうが、面倒見はとても良い。ピンチには必ず駆けつけてくれる。エマが長じてから聞いた話では、エマは半田さんによくなついていたという。優しく接するだけが愛情ではないのだと、感じることができるだろう。

パンダくんはしろくまカフェの常連客だ。自宅はお店の目と鼻の先にある中華風の邸宅。シロクマくんとはカフェで会うだけでなく、一緒に釣りに出かけるなど店主と常連客以上の付き合いがあるようだ。パンダくんはおおよその人が思い浮かべるパンダのイメージを体現したようなキャラクターである。とにかくぐうたらしていてマイペース。お昼寝が大好きで食いしん坊、ダイエットのためにコーヒーに砂糖入れないが、笹は山盛り食べたい。体が大きいのに言動は幼いが、それが似合ってしまうビジュアルなため憎めない。そんなパンダくんがある日アルバイトを始めるのだが、アルバイト先が大変シュール。なんと動物園なのだ。飼育員や販売員ではない。パンダくんは動物園で、「パンダのアルバイト」に勤しんでいるのである。展示用パンダということのようだが、動物園のパンダと一般的なパンダは大きく違うらしい。プロ意識の高いパンダという、貴重な姿も見ることができる。

生徒会長・大熊猫銀はジャイアントパンダである。眉間にはマッチ棒が挟まるのではと思えるほどの深いしわ。肩幅は広く、同級生よりも頭ふたつほど大きい。目の周りの模様は愛嬌というよりも、得体の知れなさを醸し出す。パンダとはこれほどまでに威圧的な存在だっただろうか。だが実際、野生のパンダは警戒心が強く、めったに人前に姿を現さないそうだ。家畜を襲うこともあるし、危険だと判断すれば人さえも攻撃する。雑食で、笹だけでなく肉も食べると聞くと、パンダへのイメージはガラリと変わるだろう。銀が不良と対決した場面と思しき写真には、かみついたり腕力にものを言わせたりと本来の動物的なパワーがみなぎっている。不良を倒したからといって、不良として学校を制圧しているわけではない。不良たちを強制的に更生させているのであり、銀が真面目で正義感にあふれた性格であることが窺える。言葉は発しないが、なんとなく何を考えているのか伝わってくるのが面白い。最強のパンダ生徒会長の活躍に注目だ。

半田はパンダ人間だ。姿かたちがまるっきりパンダというわけではない。徐々に全身がパンダに変わる病気のために、頭部がほぼパンダになりつつあるのである。通称変身病と呼ばれる不治の病は、「突発多発性染色体変容」という染色体の病気らしい。少しずつ変化していき、最後には完全に人間ではないものになってしまう。外見が動物になっても、人格は人間のままでいられるのならば、そこまで患者がおびえることはなかっただろう。変身病の恐ろしいところは、すべてが動物になってしまうというところである。外見も人格も、それまでの記憶もすべて、動物になると失ってしまう。半田は変身病にかかったことで、職を失った。目の周りには黒い毛が生え、頭頂部には耳がある。着実にパンダ化が進んでおり、いつかくる未来におびえている。忙しい中、のんびりとしたパンダを見て、ああいう生活を送りたいと考えたことがある人もいるだろう。だが実際にパンダになるというと考えものだ。自分以外の何者かになってしまうという未来は、もう変えることができない。パンダ男は一見かわいらしいが、その身には逃れられない運命が重くのしかかっている。