『シティーハンター』の作者「北条司」の短編5作品!155 Pt.

「北条司」といえば『キャッツアイ』『シティーハンター』を思い浮かべる人が多いだろうが、短編も面白いのだ。今回はおススメの短編作品を5作品を紹介する。

貧乏写真家の「森山裕一」は大物政治家のスキャンダルをスクープしようとするが、ビルの屋上から落ちて来たネコを助け、スキャンダルを逃してしまう。追い詰められた「裕一」が銀行強盗をしようとした所で、助けたネコの飼い主「美久」が現れる。「美久」はお礼がしたいと「裕一」の所に通うようになり、「美久」が現れてから仕事にも恵まれるようになり人気写真家になる「裕一」。惹かれあうふたりだったが、「美久」にはある秘密があった。とってもチャーミングで切ない物語! 短編集『天使の贈りもの』収録作品。

ロイヤルロマンスに憧れる大学生「瀬口将宏」の元に彼の事をパパと呼ぶ3才の少女「あんな」が現れる。「あんな」のせいでデートは台無しにされ、おまけに一番恋愛対象外にしていた幼なじみの「杏子」の事をママと呼び、「杏子」と行動を共にする事になってしまう「瀬口」。しかし今まで気づかなかった「杏子」の魅力に気づき初め……。そして「あんな」の正体は? 読後はあたたかい気持ちになるハートフルコメディ! 短編集『天使の贈りもの』収録作品。

カメラマンの「秀幸」は一人息子の「和也」に婚約者の「玲子」を紹介するが、「和也」は「玲子」にパパを取られたくなくて結婚に大反対する。逃げ出す「和也」を追いかけて「秀幸」は階段から落ちて記憶を失ってしまう。「玲子」の事も忘れた「秀幸」に対して最初は良かったと思っていた「和也」だったが、「秀幸」から他人を見るような目で見られる事が辛くなり、「玲子」と協力して何とか「秀幸」の記憶を取り戻そうするが……。心にじーんと沁みる家族をテーマにした秀作! 短編集『桜の花 咲くころ』収録作品。

吸血鬼の「大神 晃」は処女の血を吸う為タクシードライバーをしていた。ある夜1年ぶりに処女を乗せるが目的地も言わずに少女は眠ってしまう。「大神」は少女に襲いかかろうとするが、少女が眠ったまま泣いている事に気づき何も出来なくなり、仕方なく自宅に連れて帰る。目覚めた少女は「松村 渚」という失踪中のアイドルで、ある事件に巻き込まれていた。「大神」は「渚」を助けようとするが……。吸血鬼とアイドルのロマンチックラブコメディ! そして『シティーハンター』のあの二人もちょっとだけ登場というファンには嬉しい演出も。短編集『桜の花 咲くころ』収録作品。

小5の「桜井真樹」は2週間前に隣に引っ越して来た同い年の花屋の娘「西九条 沙羅」と仲良くなりたいと思っていた。彼には心配事があり、自宅の庭の枯れた桜の木の事が気になっていた。桜の木は「真樹」にとって命の恩人と思える存在だった。「真樹」は「沙羅」に桜の木の事を相談するようになり、「沙羅」と話すようになるが、「沙羅」には不思議な能力があった。心温まる植物と人の交流を描いた優しい物語。『こもれ陽の下で……』の元となった読み切り。短編集『桜の花 咲くころ』収録作品。