ついにアニメ化!『妖怪アパートの幽雅な日常』とは?77 Pt.

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主人公は、中学1年生の時に両親を事故で亡くした「稲葉夕士」。中学を卒業するまでは、伯父のもとで肩身の狭い思いをしながら暮らしており、高校進学をきっかけに学生寮で暮らす予定だった。しかし、学生寮は火事で全焼。建て直しには半年もかかるという。困った「夕士」は、最後に訪れた「前田不動産」で「寿荘」を紹介される。家賃は光熱費込みで2万5千円。しかも賄いつきと破格の物件。だが、幽霊が出るらしい。親戚の家から出たい「夕士」は喜んで「寿荘」へ住むことを決めるのだが……。その「寿荘」は人間と妖怪が暮らす通称「妖怪アパート」。一癖も二癖もあるアパートの住人たちに囲まれ、自分の常識や「普通」が通じない場所で、「夕士」は様々な出来事を通し成長していく。妖怪退治、バトルといった要素はあるが、それは物語全体で見るとさほど多くはなく、主に主人公の成長物語である。

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作品の語り部にして主人公「稲葉夕士」。あらすじでも述べたように、彼は両親を亡くし、3年間肩身の狭い思いをしてきている。特に、引き取ってくれた伯父の娘、つまり「夕士」にとっての従姉とは折り合いが悪かったため、ずっと「自立したい」と思っていた。比較的スレていないのは、親友の「長谷泉貴」の存在が大きい。物語の序盤では、価値観や常識を「妖怪アパート」の住人に破壊されていたが、多くの出来事や時間を経て、様々なことを吸収していく。もともと素直な性格で、大人たちの言葉を捻くれずに受け入れることが出来るのが長所。
なお、ライトノベル・マンガ2巻から、意外な力を持つことになり、ますます「普通」の高校生から遠ざかっていく。物語は「夕士」の視点で描かれるので、彼と共に読者も様々なことをアパートの住人たちから吸収出来る。共感しやすい主人公だと言えるだろう。

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「夕士」はたくさんの人たちに恵まれている。唯一無二の親友「長谷泉貴」とは、小学生からの親友。中学卒業時に「卒業記念」として殴り合いの喧嘩をする仲である。アパートの住人たちも個性が強烈だ。年も近く、「夕士」の先輩として霊に関することを教えてくれる「久賀秋音」や、経験から含蓄ある言葉を与えてくれる詩人「一色黎明」、画家「深瀬明」、世界を歩き回る「古本屋」、「夕士」にとって座右の銘ともなる言葉をかけてくれた霊能力者「龍さん」など、人生のお手本となるべき人たちがたくさんいる。また、マスコット的存在の幽霊「クリ」と「シロ」、賄いを作る幽霊「るり子さん」、会社員として働く妖怪の「佐藤さん」も忘れてはいけない。「夕士」の高校にも個性溢れる人物たちが登場し、作品の世界を更に魅力的に表現している。

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『妖怪アパートの幽雅な日常』には、時折はっとさせられるような名言が多い。作中のキャラクターたちが「夕士」と会話する中で出た何気ない言葉や、諭すような言葉など心を打つものが多いのだ。その時は理解出来なくとも、後から染み入るように理解出来る瞬間が来る。著者の「香月日輪」の経験から来る言葉でもあるのだろう。マンガでもその良さは損なわれておらず、より深く作品の世界を味わえる。

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マンガの特装版で付属されていたドラマCDの声優陣が、アニメでも続投。「稲葉夕士」役は「阿部敦」。「長谷泉貴」役は「中村悠一」。「久賀秋音」は「沢城みゆき」。「一色黎明」役は「石田彰」などの声優たちが出演する。マンガ版を楽しんでいる人たちには嬉しい出来事ではないだろうか。原作のどこまでをアニメ化するのかは不明だが、マンガ版の絵を再現した作画とドラマCDと同じ声優で放送されるのは非常に楽しみである。