アルバイト先で始まる恋愛43 Pt.

世の中には様々な職種のアルバイトがあり、アルバイトの数だけ出会いの機会もある。今回は、アルバイト先での恋愛を描いている漫画5作品を紹介しよう。

妹弟たちのためにお金が必要な男子高校生・蒼倉有久。彼が選んだバイト先は、なんと「悪の組織」アンタレス。かなり高額のバイト代が支給されるのだ。主な仕事は、特殊なスーツを着用しての破壊活動。まさに「悪の戦闘員」そのものといった業務内容。悪の組織につきものの、「正義の味方との対決」や、「肉体改造」のようなお約束要素もバッチリ。そんな有久の恋のお相手は、アンタレスの女幹部・レディーウルフだ。彼女の正体は、有久と同じ高校に通うクールな女子高校生・月白命。有久が命の引っ越しを手伝ったことをきっかけに、恋に発展。命の手作り弁当を毎日一緒に食べたり、遊園地で遊んだりと、悪の組織の一員なのにほのぼのしている描写も見どころだ。

憧れの女性のことを8年間想い続けてきた主人公・数井を中心に、ゲームセンター「キャラメル」に縁のある人々の人間ドラマが描かれていく本作。数井をはじめ、登場人物たちは、全員何かしらの事情を抱えている。彼らは、「キャラメル」を介して繋がっている者同士だ。それは「恋」だったり、「恩」だったり、「執着」だったりとさまざま。本作は登場人物たちの心情描写が素晴らしく、若者らしい憧憬や葛藤がときに淡く、ときに荒々しく描かれる。ページをめくると、いつの間にか登場人物たちに感情移入しているだろう。緻密な人物造形と繊細な心理描写を得意とする作者・武富智の真骨頂といえる。

「モブ」とは群衆や脇役を意味する言葉。本作は、いつも主役になれない「脇役」の女の子・田中信子にスポットを当てた恋の物語だ。信子は、バイト先の先輩・入江博基に恋をしている。消極的で不器用ながらも、大好きな入江くんとの距離を縮めようと努力していく。そんな信子の姿は健気で、ついつい応援したくなる可愛さがある。お相手の入江くんも優しいだけでなく、何かと気が利く。引っ込み思案の信子の考えを察して、さり気なく動いてくれる、頼り甲斐のある青年だ。信子と入江くんのやり取りは、毎度ドキドキの展開。信子の緊張が読み手にも伝わってきて、まるで彼女と一緒にドキドキ気分を味わっているような気持ちにさせてくれる。

主人公・小鳥遊宗太は、あらゆる「小さいもの」が大好きな男子高校生。彼を筆頭に、身長が小学生並みの女子高校生・種島ぽぷら、男を見るとすぐ殴る男性恐怖症の女子高校生・伊波まひる、元不良の店長・白藤杏子ほか、登場人物は一風変わった者ばかり。「ワグナリア」は、超個性的なスタッフしかいないファミリーレストランだ。彼らがワグナリアで繰り広げるやり取りは、不条理すぎて笑いを誘う。中でも小鳥遊とぽぷらのやり取りは、夫婦漫才を見ているよう。読み進めるほどに中毒性が増す漫画だ。4コマ漫画なので、少しの空き時間でも楽しめる手軽さもグッドだ。

21歳の女子大学生・七森結は、ダンディなおじ様が大好きというだけあって、年下は恋愛対象外だ。一方の男子高校生・てんちょーこと滝沢天頂は、見た目は40代のシブいおじ様ながら、中身はシャイなもやしっ子。本作は、結とてんちょーのハチャメチャな恋模様が見どころだ。てんちょーの見た目がどストライクな結は、中身とのギャップと、年下という現実に悩まされることとなる。てんちょーの人柄に触れるうちに、結が恋心に目覚めていく様子は、とても心を温める。ヒロイン・結にとっての「類稀なるイケメン男子」である、てんちょーとの素敵な恋が描かれる本作。独特のキャラクターと笑いあり涙ありのストーリーがおすすめの恋愛漫画だ。