主人公の佐藤和真(サトウ・カズマ)は、こよなくゲームを愛する、現実の世界ならどこにでもいるひきこもり。ある日、ふとしたことから「交通事故死」を遂げてしまうが、眼を開けてみるとそこには自称女神を名乗る一人の美少女の姿があった。「あなた、異世界に行ってみない? ひとつだけあなたの好きなものを持っていっていいから」。アクアと名乗る少女からそう告げられた和真は、こう答える「じゃあ、あんたで」こうして二人の、異世界における珍道中が始まってしまった……。
この作品の基本はギャグ? ファンタジー。女神を名乗るアクアは「巨大ガエル」に二回も丸呑みにされかけるし、超強力な爆炎魔法は使えるものの、一日一回しか使えないという自称大魔術師のめぐみん、女騎士だが攻撃は大ぶりでめったに当たらず、自分が与えられる攻撃には快感を感じてしまうダクネス。この四人でパーティを組もうっていうのだから、「ドタバタ珍道中」である。ちなみにアニメの「第二期」が2017年1月から放映開始となるので期待したい。
主人公「ハルヒロ」がある日目覚めた世界「グリムガル」。そこには自分と同じ、今までの過去を失った何人もの男女がいた。記憶はないが、彼らはその世界で暮らしていかねばならない。自分がなぜここにいるのか、自分という存在が何なのかさえわからない若者たちだが、生きていくために戦わなければならなかった。だが、そこには過酷な現実が待ち構えていた……。
異世界ものの中でも、本作はダークファンタジーに属する。まず生きていくために必死の彼らは、ゴブリン狩りから始めることとなったが……。実はこの世界、その最低ランクのモンスターであるゴブリンさえ死ぬほど強い。もちろん過去の記憶のない彼らに「ゴブリンが雑魚」であるなんて判るすべもない。パーティは6人。ハルヒロは盗賊(シーフ)、暗黒騎士のランタ、神官のマナト、戦士のモグゾー、狩人のユメ、魔法使いのシホル。彼(彼女)らはまず、ギルドの一員として、それぞれの師匠からこの世界で生きていく基本と、最低限の技術を習う。やがて6人はこの世界で生きていく上で大切なことがら、そして何より仲間を思う気持ちの大切さを知ることになるのだが、そんな矢先、パーティの中の一人と、突然別れることになってしまう……。
コンビニからの帰り道、突如として異世界へ取り込まれてしまう少年「菜月昴(なつき・すばる)」。突然、異世界の街並みの中に一人で放り込まれ、手にしているのはコンビニで買ったわずかな食料のみ。そんななか、昴は一人の少女と出会う……。
前出の2作品とはまた一風変わった趣向の作品。主人公が手に入れたのは、死して時間を巻き戻す力。作品内では「死に戻り」と呼んでいるこの力。それは確かにあった「かけがえのない時間」を取り戻すためのもの……。この作品は本当に「主人公が何かの原因で死ぬから、そこまで時間が巻き戻って最初から」というのが骨子。実際の世界では死んだらそこで終わり、にもかかわらずもう一度、死ぬ少し前からやりなおし、これってある意味ものすごく残酷な出来事なのかもしれない。選択肢を間違えると違うシチュエーションで死んでしまうし。ある意味ゲーム的な「死んだらリセットしてセーブしたところからやりなおし」の世界なのだが、それが現実として目の前に現れると、あなたならどう感じるだろう……? だって、下手をすると自分の死を何度も何度もやり直すことになるのだから。今のところ「自分もその場で死ぬからこそ」巻き戻り(死に戻り)が行われるようだが、では「かけがえのない人が死んでも自分は死ななかった場合」主人公はどうするだろう? 自分ならどうする? と考えさせられるアニメである。
今年(2016年)に始まったばかりの作品を取り上げてみた。今回紹介した他にも異世界ファンタジーものは増えている。今回紹介したものも是非一度見ていただきたい。