「藤田和子」作画! 「ハーレクイン」コミックおススメ5作75 Pt.

出典：Amazon.co.jp

良家のお嬢さま「ジェラルディン」は、初恋の相手「チャールズ」に身も心も裏切られ、過食に走り、太って女性としての魅力を失ってしまう。その上、父親も「チャールズ」に事故に見せかけ殺されてしまい、ショックのあまり銀髪（シルバー）になってしまう。「ジェラルディン」は「チャールズ」に復讐する為、名前を「シルバー」と変え、ダイエットに励み、整形手術で美女に生まれ変わり、「チャールズ」に近づくのだった……。
とにかく「チャールズ」は悪い男であるが、その悪さが際立つのは「ジェラルディン」が純粋過ぎる為だ。世間知らずのお嬢様といった印象を受け、危なっかしい。しかし、そんな純真無垢な人物が、復讐に身を焦がし悪女になるのだから面白い。また一方で「シルバー」となった「ジェラルディン」に恋愛指導をする元家庭教師の「ジェイク」との恋も目が離せない展開となっており、「ハーレクイン」を最初に読むにはおススメの一作だ。

出典：Amazon.co.jp

結婚式当日、花婿に逃げられた「ブロンテ」は黄金色の瞳をした男「マーズ」と出会う。「マーズ」のシャツには焼け焦げた跡や、血がついていた。「人を殺して来た」と言った「マーズ」の言葉を冗談で受け取った「ブロンテ」だったが、「マーズ」は妻「シャルタン」の愛人を殺した容疑で警察に連行された。しかし、束の間だったが一緒にいた「ブロンテ」は「マーズ」がそんな事をした人間に思えなかった。
それから5年の月日が経ち、ニューヨークに居た「ブロンテ」は、ホテルのオーナー代理となった「マーズ」と再会する。「ブロンテ」が思った通り潔白だった「マーズ」は、「ブロンテ」に信じてもらえてた事に嬉しさを感じる。
ランチの約束をして2人は別れるが、その直後「ブロンテ」は交通事故で顔に深い傷を負ってしまい、事故現場に居合わせた天才形成外科医「ウェブスター」が彼女の顔を手術するが、彼は自分の欲求を満たす為、「ブロンテ」を好きな女の顔に変えてしてまう。しかも、その顔は既に事故で亡くなっているオペラ歌手で「ブロンテ」の母親だった。
そして「マーズ」の妻「シャルダン」もまた、「ウェブスター」によって顔を「ブロンテ」の母親そっくりに変えられてしまっており、彼女は「ミスチーフ」と名を変えてモデルとして活動しているが、天使のような心を持つ「ブロンテ」とは対極的な悪女。同じ顔をした天使対悪女の対決は見応えたっぷりである。そして、一番の見どころは「マーズ」と「ブロンテ」の恋の行方だ。複雑な人間模様が絡み合って、かなりドロドロした物語になっているが、刺激の強い物語はやはり面白い。

出典：Amazon.co.jp

秘書の「ケイトリン」は上司の「デーヴィッド」と恋人同士だったが、「デーヴィッド」は一切私生活を「ケイトリン」に明かさなかった。
「ケイトリン」の家で一夜を過ごすと、朝には去ってしまう「デーヴィッド」。バレンタインの朝、「ケイトリン」はワガママを言って彼を引きとめようとしたが、彼はいつものように出て行ってしまった。想い悩んだ「ケイトリン」は一縷の望みを託してある賭けに出るが……。
職場では私情を持ちこまない「デーヴィッド」に最初はあまり好感がもてないだろう。しかし、のちに見せる「ケイトリン」を必要とする「デーヴィッド」の姿は最初とのギャップがありキュンとする。また、「ケイトリン」の両親も登場して、心温まるエピソードになっている。ハーレクインらしからぬドロドロとした展開ではないが、本作はさっぱりと読める作品になっている。

出典：Amazon.co.jp

小さな子供を一生懸命育てながら、掃除の仕事をしている「マグダ」は、高級アパートメントを掃除している時、留守だったはずの家主「ラファエッロ」に出会う。
慌てる「マグダ」だったが「ラファエッロ」に「独身か?」と尋ねられ、肯定すると今度は、10万ポンド支払うから今すぐ結婚してくれと、強引なプロポーズをされることに。何か深い事情があるらしいが、初対面で、その上身分の違い過ぎる自分を選んだことに納得できず、「マグダ」はその申し出を断わる。しかし、その夜自宅を訪ねてきた「ラファエッロ」から、子供に貧しい生活をさせていいのかと問われ、その言葉に心が動いた彼女は「ラファエッロ」と半年の約束で結婚するのだが……。
イケメンで金持ちで、黙っていても女性が寄ってきそうな男にプロポーズされれば、とんでもない裏がありそうで、誰だって怯むだろうと、「マグダ」に共感してしまう。それに「マグダ」は本当に幸せになって欲しいと思うほど、苦労人で、健気なヒロインだ。傲慢な金持ち「ラファエッロ」と、貧乏で健気な「マグダ」の関係がどう変化していくのかが、やはり一番の見どころだろう。涙なくしては読めない珠玉のシンデレラストーリーになっている。

出典：Amazon.co.jp

砂漠の国「ジュマール」の王子「タリク」と恋に落ちた「フェイ」は小さな嘘をついてしまう。しかし、その嘘のせいで強欲な「フェイ」の義父に「タリク」は脅され、「フェイ」も義父の仲間だと誤解受けたことにより、結婚したその場で「タリク」から離縁されてしまう。
1年後、「フェイ」は病弱な兄を監獄から出してもらう為、王になった「タリク」に謁見する。すると、望みを叶える条件として自身の愛人になることを「タリク」に命じられ、彼女は愛人としてハーレムに囲われる事になる。しかし、かつての誤解は解けぬまま、二人の気持ちはすれ違い「フェイ」の苦しみは続いていく……。
砂漠の国の王子との恋愛という、非日常的な話ではあるが「藤田和子」の絵だからこそ読める作品であり、作中では美しく魅力的な王子を描いている。見どころは「フェイ」と「タリク」のすれ違ったままの恋がどうなるかだろう。本作は砂漠の王族や富豪との恋を描いた「シーク」と呼ばれる「ハーレクイン」の人気ジャンル作品になっている。