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プロデューサーインタビュー/大台100億円突破、劇場版『名探偵コナン』の底知れない人気の“秘密”とは0 Pt.

作成日時:2024-04-13 13:00 執筆者:マンガペディア公式

プロデューサーインタビュー/大台100億円突破、劇場版『名探偵コナン』の底知れない人気の“秘密”とは

2024年4月12日(金)公開『名探偵コナン 100 万ドルの五稜星(みちしるべ)』、©2024 青山剛昌/名探偵コナン製作委員会

『名探偵コナン 100 万ドルの五稜星(みちしるべ)』プロデューサーインタビュー。

本インタビューでは、劇場版の製作秘話をはじめ、4月12日(金)公開『100 万ドルの五稜星(みちしるべ)』の見どころについて、お話を伺いました。

全2回にて公開。第1回目の本記事では、過去の劇場版作品を振り返りながら、人気が伸び続ける理由に迫ります。


劇場版『名探偵コナン』プロデューサー プロフィール

近藤・秀峰 氏(こんどう・しゅうほう)

株式会社小学館所属。主な役割として、原作者・青山剛昌氏や、担当編集の意向を、劇場版『名探偵コナン』の現場につなぐ。

岡田・悠平 氏(おかだ・ゆうへい)

株式会社トムス・エンタテインメント所属。主な役割として、劇場版『名探偵コナン』の、アニメーション制作に関する現場を取りまとめる。

汐口・武史 氏(しおぐち・たけし)

讀賣テレビ放送株式会社所属。主な役割として、TVアニメ『名探偵コナン』のメディアパブリシティを担う。


目次

1. キャラクター人気の確立。『名探偵コナン』を支えるキャラクターの強みとは

2. 監督と脚本家について。劇場版『名探偵コナン』の企画の立ち上げとは

3. 劇場版『名探偵コナン』の醍醐味、オープニング映像の制作について

4. 長寿作品だからこその“慢心”、飽きのこない作品づくりについて

5. キャラクター人気が強いゆえの憂慮、それぞれの魅力を引き出させるために

6. 大台100億円を突破。前年比200万人の動員増、興行収入40億円増の秘訣とは


過去には原作の編集担当として務めていた近藤秀峰氏(以下、近藤)。

『名探偵コナン』の原作者・青山剛昌氏(以下、青山先生)とは、 原作担当の頃から「連載はもちろん、劇場版に関しても先を見据えてやりましょうと話をしていた」と語る。

当時の宣言通りに、劇場版は27作目を迎え、昨年公開『 黒鉄の魚影(サブマリン)』の興行収入は138億円を突破。人気の底が知れない本作の”裏側”に迫ります。

1. キャラクター人気の確立。『名探偵コナン』を支えるキャラクターの強みとは

近藤 (『名探偵コナン』は)キャラクターそれぞれが粒立ちしています。ここ数年は、どのキャラクターをメインに据えるかを優先に決めながら、制作を行ってきました。

過去(の劇場版)では、先んじて舞台を決め、舞台設定に合わせる形でキャラクターを決めていたかと思います。ですが今は、個々のキャラクターの人気も高く、そしてそれらを推してくださるファンの方が多くいらっしゃいます。

例えば、劇場版23弾『紺青の拳(フィスト)』では、怪盗キッドが出るのであれば、派手な舞台がふさわしいと思い、シンガポールに決定しました。

―― キャラクターの選定はどのように行うのでしょうか?

近藤 極論、人気のキャラクターを毎年出すことは可能です。

ですが、それですとファンの方は楽しめないでしょうし、例えば去年は黒ずくめの組織を出したから、来年は別のキャラクターを描きたいという思いがあります。

―― 劇場版25作目『ハロウィンの花嫁』は、作中すでに亡くなっている方が多く、描き方が難しかったのでは?

近藤 警察学校組ですね。おっしゃる通り、メインに据えた警察学校組のメンバーは、安室透以外すでに亡くなっています。

そのため本編では、彼らをメインに据えつつも、コナンくんとともに事件を解決する現実の展開は、高木刑事・佐藤刑事のコンビで進めました。

もちろん、警察学校組と高木・佐藤との絡みは個々にあったので、つなげやすいというのもあったと思います。

2. 監督と脚本家について。劇場版『名探偵コナン』の企画の立ち上げとは

汐口武史氏(以下、汐口) 監督・脚本家の方々は、次(の劇場版)は自分に声がかかるだろうと、ある程度予想していると思います。

先ほど申し上げた通り、先行してキャラクターを決めますので、今作を例にすると、平次とキッドが出ることについては、青山先生のご意向もあり決まっていました。

コナンの劇場版はありがたいことに毎年公開を続けています。そのため、毎年同じ方に監督、脚本をお願いすることは難しい現状があります。

順繰りにいくと、今作の監督は永岡さんで、かつ脚本は大倉さんにお願いしましょうという形でした。

監督、脚本家の方が決定したのちに、どういう場所で、どういった内容をやるのか?という話を詰めていった経緯です。

―― 今作『100万ドルの五稜郭(みちしるべ)』を担当する永岡監督ですが、作品づくりにどのような魅力があるのでしょうか?

岡田悠平氏(以下、岡田) 永岡監督とは、僕が新人時代の頃からタッグを組んでいました。僕が進行で、永岡さんが演出で。

現在、永岡さんは監督としてご活躍をされておりますし、僕はプロデューサーとしてお仕事をご一緒しています。

僕自身のことを全部知られている感じがして、やりやすくもやりづらくもあり(笑)。ただ、ほかの監督とは違った目線をもって作品を作られているので、過去の作品(※)なども含め 、キャラクターに寄り添う作品になっているのかなと思います。

※過去の作品…永岡智佳氏の『名探偵コナン』の担当監督作品:『緋色の弾丸』、『紺青の拳(フィスト)』、『から紅の恋歌(ラブレター)』(助監督)。

3. 劇場版『名探偵コナン』の醍醐味、オープニング映像の制作について

岡田 オープニングに関しては、監督の色をそのまま乗せるのが今の制作形式です。監督がコンテを切り、ディレクションも含め、全て監督が行っています。

『黒鉄の魚影(サブマリン)』の前作である『ハロウィンの花嫁』では、満仲監督が思い切ったことをやってくださいました。

そのため、続く『黒鉄の魚影(サブマリン)』でも立川監督とも話し合いを重ね、こだわりを尽くせたと思います。

お二人ともお洒落な演出を得意とされる方ですので、その特徴と良さが存分に出されたオープニングに仕上がりました。

―― オープニング映像の必要性とは?

岡田 『名探偵コナン』という作品は、僕が小学生の時に始まりました。そのような僕らが大人世代になって、子供を連れて(劇場版を)観に来ることがあると思うんです。

そのため大前提として、絶対に分かりやすく、オープニングを通じて、(『名探偵コナン』の)話の内容が理解できるように心がけています。

4. 長寿作品だからこその“慢心”、飽きのこない作品づくりについて

汐口 やはり毎年同じことばかりやっていても……という思いもあり、新しいことをやりたいという共通認識がありました。

劇場版25弾『ハロウィンの花嫁』より、音楽は菅野祐悟さんにお願いしております。

新しい風を入れることはもちろん、子供の頃に(劇場版『名探偵コナン』を)観た方が、大人になって触れた際に、「過去にこういうのあったよね」と話せる原点回帰みたいなものがしたかったです。

なので、劇場版第10弾『探偵たちの鎮魂歌(レクイエム)』から、15作ぶりに起用した挿入歌「キミがいれば」についても、そのような狙いがあったと思います。

ただもちろん、シーンに合うから使用しようということですし、劇場版25作目まで使用しなかった理由やルール化をしていたわけはありません。

音楽に関しても、作品によって“遊び方”があるでしょうし、それは年々変化していくというか、変化させていきたいです。

それを上手く、菅野さんが思いを汲んでくださったんだと思います。

5. キャラクター人気が強いゆえの憂慮、それぞれの魅力を引き出させるために

岡田 これはめちゃくちゃ難しくて。今回も沖田総司が出てくるシーンで、少年探偵団が登場するのですが、どちらにとっても“サブキャラクター”だと思われる扱いは避けたいと思っていました。

それを防ぐためにも、画面のカット割りを、9:1にするのではなく、7:3におさめるとか、バランスを整えることに気をつけています。

多くのキャラクターを登場させることによって、特定のキャラクターがおざなりになったり、おまけの扱いになってしまうのは、アニメーションの制作としてよくあるパターンなんです。

仕方のないシーンもあるのですが、そうならないよう努力しています。

汐口 そこに関しては、シナリオも一緒ですね。

登場する回数や、作中に立つ秒数が少ない場合、出てくるタイミングでキャラクターの魅力をいかに引き出させるかが重要です。

作中にはなくてもシナリオ見た時には、ト書き(※)があったりします。よりキャラクターを魅力的に映せるよう、あえてセリフを削ることもありますね。

※ト書き…台本に書かれる、場面の説明やキャラクターの状態を表した内容のこと。

6. 大台100億円を突破。前年比200万人の動員増、興行収入40億円増の秘訣とは

近藤 結果論になりますが、これまでやってこなかったデジタルの施策や宣伝を大きく見直しました。

また制作体制も一度見直しをして、妥協せずにぎりぎりまで(作品の精度を)追い求めていただけたからかなと思っています。

立川監督がいたからこそ、100億円を突破したと思います。岡田さんはだいぶ大変だったかと思うのですが、できる限りのことを行い、(アニメーションの)クオリティの担保に努めていただきました。

そして今作では、平次と和葉、キッドと、登場人物や注目ポイントも増え、非常に大変な作業だと思います。永岡監督の色を存分に出しながら、より良いストーリーをまとめられたなと、現場のプロデューサーとして思っています。

―― “100億円突破”、“前作越え”など、どの程度共通認識として持っていたのでしょうか?

岡田 数字の面は、現場ではとくに意識していません。とにかく、面白いものを作れたらいいと。

ただ制作時に数字を意識することはないですが、終わってみて振り返るときに、ああ、こういう層が観てくれたのかというための指標が“数字”だと思っています。

制作チームが数字を念頭に置いてしまうと、作品の軸がぶれてしまうので、数字だけを意識せずに、現場のスタッフも、監督も“とにかく面白いものを作る”ことを第一に考えていると思います。

近藤 数年前は(興行収入が)停滞しているなという空気感がありました。100億円を突破するには何が欠けているのか、それを含めた上での施策や宣伝の見直しでもあったと思います。

100億円を突破するためには、コナン好きの方だけが楽しむだけでなく、大きく全体像を広げなくてはならないと思いました。

キャラクター人気があってこその作品ですが、キャラクター人気で成り立っていると思われないためにも、客層の幅を大きく広げることを第一に、「100億円を突破するには、どういうことができますか?」という話し合いを重ねました。

それが功を奏し、ありがたい結果に結びついたのかなと思います。


次週は、2024年4月12日公開『100 万ドルの五稜星(みちしるべ)』を中心にお伺いしました。

ーー 今作について、お話することが難しく……。(どこを話してもネタバレにあたるため)そのくらいの重要な“秘密”だらけだと思っていただいて構いません。

公開日は、4月19日(金)18:00です。

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