忙しい日常にほっとひと匙『オリオリスープ』249 Pt.

スープの種類は多種多様で一言で表すことが難しい。季節のスープを題材にしたマンガ『オリオリスープ』は春夏秋冬の日本ならではの四季を活かしている。本記事では、季節をスープで表現する『オーリオンスープ』を紹介する。

デザイン事務所「トロポポーズ」で働く原田織ヱは美人なのにどこか残念臭漂う装丁デザイナー。彼女は食べることが大好きで、お腹が空いたり、アイディアに詰まったり、美味しいそうなものを見かけたり、季節のものを感じたら……本能の赴くままに食事へ向かう。手料理でも、デリバリーでも、宅配ピザでも何でも好きだが、数ある料理の中でも特にスープが大好きで、自宅で、レストランで、職場の給湯室で季節の「スープ」をおいしく食べて仕事に向かう。

1巻
菜の花とベーコンのミルク煮・春キャベツと豚肉のミルフィーユ・丸鶏の薬膳スープ・新ジャガと手羽先のポトフ・枇杷のコンポート・梅酒・エスニック風スープカレーうどん・オクラとミョウガのおすい物・サバ缶の冷や汁・ゴーヤのひき肉詰め丸煮・杏ソースかき氷・揚げ茄子のピリ辛煮びたし・冬瓜と厚揚げのスダチ風味ミソ汁・煎茶の冷粥・トマトソース・とん汁・カブのポタージュ・鶏のブイヨン

2巻
鮭とキノコのクリームシチュー・天ソバ・レンコンのすり流し汁・タコ入り鶏団子とカリフラワーの鍋・夜中のおとしバターミソラーメン・小籠包・屋台のおでん・なとり雑煮・冬野菜のミネストローネ・オレンジピール入りマサラチャイ・湯どうふ・焦がしネギの中華風スープ・アサリのミソ汁・新タマネギのグラタンスープ・キウイフルーツのラッシー・金柑の甘露煮・麦とろろ飯・初ガツオの茶漬け

など、様々な食べ物をとても幸せそう、美味しそうに織ヱが食べていく。『オリオリスープ』というタイトルなので、スープしか出てこないように思っているかもしれないが、織ヱの考えるスープとは、「汁気の多いもの全般」を指すので、少しでも汁気が多く感じたらそれはスープの一部にカウントされる。

職場が仕事の締め切り間近でピリピリしている中でも、ふと思い立ってスープを作り出す織ヱは、自由に生きているように思える。装丁デザインもフィーリングで周りを驚かすようなものを生み出すことから感覚で生き、周りに気を使わず、何も考えていないようにも思える。そんな織ヱに呆れる人もいれば、感心する人、嫉妬する人など反応はそれぞれであり、人間的だ。だが、織ヱにも悩みはあり、暗い面ももちろんある。織ヱがスープを好きな理由は簡単に作れ、一皿で必要な栄養水分がとれる。そしてなによりも「ホッとするもの」「疲れている時や元気が出ない時、一口飲むだけでも心も体もあたたまるもの」だからだという。優しく、美味しい、思わず食べたくなるスープの物語。