力の在り処

力の在り処

DV、引きこもり、緘黙(かんもく)、リストカットなどの理由で社会から弾かれた者たち。彼らは運命に導かれるかのように関わり合うようになり、メンバーが集うと特別な力が使えることに気づくのだった。問題を抱えた者たちの行きつく先を描いたヒューマンドラマ。「WEEKLY漫画アクション」2002年6月18日号から2003年2月18日号にかけて不定期に掲載された作品。

正式名称
力の在り処
ふりがな
ちからのありか
作者
ジャンル
ヒューマンドラマ
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概要・あらすじ

DVを受け、リストカット癖を持つ石野有花や、実世界で弾かれた者たちが、不思議な力を持ったに誘われるがままに、彼のもとへと集った。彼らは、メンバーが集った際にだけ特別な力が発動することに気づき、自分たちを「集会者」と呼称するようになる。その特別な力を使って何か行動を起こそうと計画した彼らは、まず手始めに、近所の野良猫が次々と殺害される事件を追うことにする。

順調に自分たちの力を発揮し、事件を解決していくと思われた「集会者」だったが、メンバーに有花の父親である石野主税が加わったため、次第にそのバランスを崩していく。

登場人物・キャラクター

(さとる)

「集会者」のメンバーの1人。端正な顔立ちをしたミステリアスな青年。相手の生活背景や事情を読み取る「予見」の能力を持つ。私生活は一切不明で、多くを語ることはない。「集会者」のメンバーたちは、街中などで不思議と悟に惹かれ、会話を交わし、自然と仲間同士になった。このような背景から、集会者の実質的なリーダーでもある。「集会者」のメンバーからは「サトル」と呼ばれている。

石野 有花 (いしの ありか)

「集会者」のメンバーの1人。黒髪セミロングの髪型をした女子高校生。向井勉も認めるほどのかわいらしい顔立ちをしている。家族構成は父親の石野主税と母親の石野ヨリ子の3人暮らし。主税が日常的にヨリ子に理不尽な暴力を振るっており、それを見ていたためにリストカット癖を持つ。のちにヨリ子が家を出て行った後は、主税の暴力の矛先が有花に向くこととなった。 傷を癒す「ヒーリング」の能力を持つ。当初は「集会者」を怪しんでいたものの、仲間たちと触れ合ううちに次第に心を許し、自分の唯一の居場所だと思うようになっていく。悟に絶大な信頼を寄せている。

石野 主税 (いしの ちから)

石野有花の実父。妻の石野ヨリ子と有花の3人暮らし。営業職の主任を務める会社員だが、会社では邪魔者扱いされて完全に干されていた。ついには総務課とは名ばかりのリストラ対象部署に左遷されることとなった。ペコペコとしている姿から、若い女子社員からも「ニワトリ」などと酷いあだ名でからかわれている。その鬱憤を晴らすべく、ヨリ子に理不尽な暴力を振るっていた。 ヨリ子が家を出てからは、ターゲットを娘の有花に変える。ある日、悟に声をかけられて「集会者」のメンバーたちのもとに連れて来られ、物に触れずに動かす能力が開花。ただ、有花に暴力を振るっていたので、向井勉には「虐げられる者ではなく虐げる側の人間だ」と吐き捨てられるなど、はじめは「集会者」の仲間と認めてもらえなかった。 「集会者」のメンバーからは下の名前に「さん」付けで呼ばれているが、娘である有花も同様の呼び方をしている。

向井 勉 (むかい つとむ)

「集会者」のメンバーの1人。引きこもりの21歳の男性。自堕落な生活を続けていたため肥満体で、縁が太い眼鏡をかけている。子供の頃から頭が良かったため、家族から過剰な期待をかけられ、勉強ばかりさせられていたが、大学受験にことごとく失敗。これにより自分には何もないと絶望し、表向きは浪人生という肩書きの引きこもりとなった。 自分にプレッシャーをかけ続けて追いつめた両親に深い恨みを抱いており、暴れて自宅から追い出した。そのため家には他に誰もおらず、「集会者」たちの集会所となっている。頭がクリアになり、問題の答えが浮き出て見える能力を持つ。「集会者」のメンバーからは「ツトム」と呼ばれており、中でも特に折原真と仲が良く、一緒にゲームなどをして遊ぶことが多い。

折原 真 (おりはら まこと)

「集会者」のメンバーの1人。11歳の男子小学生。両親と3人家族だが、父親と真の母は、決定的な不仲ではないもののすれ違いから別居しており、現在は母親と2人暮らし。緘黙症で言葉をうまく発することができないうえ、家庭環境のせいで学校にも家にも居場所がないと感じている。悟の能力により向井勉と出会い、彼とゲームをするようになって集会者のメンバーになる。 相手の心の奥にあることを単語で書き起こす「自動書記」の能力を持つ。「集会者」のメンバーからは「マコト」と呼ばれている。

真の母 (まことのはは)

折原真の母親。夫とは決定的な不仲ではないものの、すれ違いから別居している。そのため現在は真と2人暮らし。ルポライターをしており、多忙な毎日を送っている。仕事ばかりで真に興味がなく、彼が言葉を話すことができなくなっていることも、あまり気にかけていない。家を空ける機会が多く、真がベランダに1日締め出されていた際にも、通報があるまで気づかなかった。

小森 里美 (こもり さとみ)

石野主税の会社の部下の女性。主税が左遷された先の総務課所属で、年齢は若いが、眼鏡をかけた地味な雰囲気の外見をしている。仕事ぶりは真面目で、口数はあまり多くなく、主税とも必要以上に会話をしない。主税がファイル整理などの雑務を小森里美の指示のもとしなくてはならないため、主税をいら立たせる一因にもなっている。

石野 ヨリ子 (いしの よりこ)

石野有花の母親で、石野主税の妻。主税の職場での鬱憤を晴らされる対象にされ、理不尽な暴力を振るわれていた。ついに耐え切れなくなって1人で家を出てしまう。一人娘である有花は主税のもとに置いてきた。これは、通学の事情で有花自身が自宅に留まることを選択したためであり、娘への愛情がないわけではない。

集団・組織

集会者 (しゅうかいしゃ)

悟、石野有花、石野主税、向井勉、折原真の5人からなる組織。「集会者」という組織名は、勉が便宜上名づけた。集まる場所も、現在家族がいない勉の自宅となっている。主税が加入前は4人、加入後は5人が全員集まると、それぞれが特別な力を発揮できるようになる。勉は当初主税の加入を認めていなかったが、彼の特別な力を目の当たりにしてからは、メンバーとして受け入れている。 使える能力は、悟は「予見」、有花は「ヒーリング」、主税は「物を触れずに動かす」、勉は「頭がクリアになり問題の答えが浮き出て見える」、真は「自動書記」。

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