花詩集

花詩集

花屋を営む十文字咲子と、幼なじみの加賀三四郎、亡くなった姉の娘である川中島くるみたちが織りなすハートフルコメディ。各エピソードのタイトルが花の名前にちなんだものになっているのが特徴。「プリンセス」昭和52年5月号から昭和54年2月号にかけて連載された作品。

正式名称
花詩集
ふりがな
はなししゅう
作者
ジャンル
その他
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概要・あらすじ

花が大好きな十文字咲子は、年下の幼なじみである加賀三四郎にも手伝ってもらいながら、夢だった花屋を開いたばかり。そんな彼女の前にある日、結婚を反対されたことで家出したまま消息が途絶えていた姉・川中島かりんの娘を名乗る川中島くるみという小さな女の子が表れ、姉夫婦がすでに亡くなっていることを伝える。咲子は、姉の忘れ形見で行先のないくるみを引き取ることを決心し、奇妙な共同生活が始まった。

登場人物・キャラクター

十文字 咲子 (じゅうもんじ さくこ)

花が大好きで、花屋「フラワー・ルーム」を開いたばかりの、眼鏡をかけた20歳の女性。美術大学に通っていたが中退している。幼い頃に事故で両親を亡くしており、残された姉と2人、寺の和尚さんをしている祖父母に育てられた。強烈な猫アレルギーで猫に触れるとじんましんが出てしまう。

加賀 三四郎 (かが さんしろう)

十文字咲子の幼なじみで、咲子が育った寺の隣に住んでいる高校3年生の男子。学校ではバスケットボール部のキャプテンを務めいる。幼なじみの縁で咲子の花屋「フラワー・ルーム」の開店準備を手伝い、その後も時々店を手伝っている。咲子のことを大切に思っているが、その気持ちは咲子にはうまく伝わっていない。実家は病院を経営している。

川中島 くるみ (かわなかじ くるみ)

十文字咲子が引き取ることになった姪。咲子の姉である川中島かりんの娘で、まだ幼い少女。両親が亡き後は叔父の家に居候していたが、母親の古い日記から寺の住所を知り、咲子の家にやって来た。苦労してきたせいかしっかり者で頭の回転が速く、ちょっぴりませた性格。料理や洗濯などの家事もこなす。

川中島 かりん (かわなかじま かりん)

十文字咲子の姉。美人で賢く、気配りのできる完璧な女性だったが、祖父母に期待をかけられて寺の跡取りになるべく見合いをさせられそうになり、それを嫌って9年前、18歳の時に家出をした。長い間行方知れずになっていたが、川中島くるみによって訃報がもたらされる。くるみが3歳の時に亡くなっていた。

川中島 草 (かわなかじま そう)

川中島くるみの父親で、川中島かりんの夫だが、すでに故人。大胆で明るい性格をしていた。父親の反対を受けながらも、かりんと結婚してくるみをもうけるが、その後病死してしまう。

川中島 薫 (かわなかじま かおる)

川中島草の弟で、川中島くるみにとっては叔父にあたる。美形で独身。新進気鋭のデザイナーで、若いがその実力は周囲からも認められている。くるみの両親が亡くなってからは、くるみを引き取って暮らしていた。

くるみの大叔母 (くるみのおおおば)

川中島草、川中島薫の叔母で、彼らの父親であるくるみの祖父の妹。優しく明るい性格だが、くるみの祖父のあまりの頑固さには手を焼いている。わりと気が強く、頑固な兄に向かって言いたいことを言える結一の存在。

くるみの祖父 (くるみのそふ)

川中島草、川中島薫の父親。厳格で頑固な人物で、草と川中島かりんとの結婚を最後まで認めず、川中島くるみを孫だとも認めていない。意地っ張りで孤独な老人だが、本当は家族を幸せにしたいと考えている。

(めぐむ)

加賀三四郎のクラスメイトの、17歳の女子。周囲からは男まさりと思われているが、10年前の初恋の相手であるフリューゲルをいまだに想い続けているなど、乙女チックなところがある。いとこの杏子に憧れている。

杏子 (きょうこ)

愛のいとこの女性。川中島かりんとは同い年で、一番の仲良しだった。幼い頃は体が弱く、高校生の時には転地療法で愛の家に居候していた。かつて周囲に反対されながら大恋愛をした男性が迎えに来るのをいまだに待っている。

フリューゲル

愛の学校にやって来た新しい化学の男性教師。デンマークの由緒ある家柄の御曹司で、愛の学校に多額の寄付をした。かつて杏子と恋人同士だったが、周囲からの反対を受けて一度離別。その際、必ず迎えに来ると約束をしていた。愛の初恋の相手でもある。

桜木 (さくらぎ)

愛と加賀三四郎のクラスメイトの男子生徒。同じ学校の女子たちから人気があるが、一途に愛のことを想い続けている。愛のフリューゲルに対する恋心を理解しており、愛の恋路を応援する健気なところがある。

翠川 桂 (みどりかわ かつら)

川中島くるみのクラスメイトの女の子。年齢の割に大人びており、現実的な性格をしている。美人で可憐な風貌をしているが、実は気が強い。お金持ちのお嬢様で、庭には池があり睡蓮が浮かんでいる。母親はおらず、父親が二番目の母親と再婚したばかり。

黒戸 茂音 (くろど しげお)

十文字咲子が通っていた美大の同級生の青年。画家志望で、特にクロード・モネの「睡蓮」が大好き。友達に頼まれて10日間だけ翠川桂の家庭教師をするはずが、急用ができた家政婦の代わりに家の雑用まですることになってしまう。

(たえ)

加賀三四郎のいとこで中学2年生の女子。言いたいことはズバズバと遠慮くなく口にするタイプ。美人の姉と比べられ続けたことでコンプレックスを抱いており、外見ではなく知性を磨くことに懸けている。

(とも)

加賀三四郎のいとこで、妙の姉。近隣で一番の美人として有名。三国はじめと文通しており、遊びに来たはじめに観光案内をする約束をしていたが、おたふくかぜにかかってしまったため妙に代理を頼む。

三国 司 (みくに つかさ)

高校1年生の男子で、三国はじめの双子の弟。子供の頃から少し病弱で、活発な姉の陰に隠れて育った。食べ過ぎで寝込んでしまった姉の代わりにやって来た自分を、一生懸命もてなしてくれた妙に対して好意を持つ。

三国 はじめ (みくに はじめ)

高校1年生の女子で、三国司の双子の姉。快活で社交的な性格に加え、男の子のような口調や振る舞いをすることから、女子人気が非常に高い。智とはペンパルで、いつも文通している。智のもとに遊びに行く約束をしていたが、食べ過ぎで寝込んでしまったため司に代理を頼む。

佐井 (さい)

三国司と三国はじめの昔からの友達で、司の成長を温かく見守りながら、はじめに想いを寄せているいる男子。頭の回転が速く、少々毒舌家なところがある。苗字をもじった「シャイ」というあだ名で呼ばれているが、本人は別にシャイなわけではなく、普通に社交的な性格。

乙美 (おとみ)

加賀三四郎と同じ高校に通う女子。三四郎と同じバスケットボール部に所属し、マネジャーをしている。三四郎に憧れており、手紙を書いて川中島くるみに託したが、宛先にはイニシャルしか書いてなかったため、間違って鹿島集に届いてしまう。結果、そのまま集と文通することとなる。

鹿島 集 (かしま しゅう)

加賀三四郎や乙美と同じ高校に通う男子で、バスケットボール部に所属している。美形でキザなところがあり、プレイボーイだと噂されているが、本当は心から愛せる相手を探しているだけ。派手に見えるが、実は誰にも知られないように隠れて裏方の地味な作業もしている誠実な一面を持つ。ピアノの演奏が非常にうまい。

(たつみ)

加賀三四郎や鹿島集の同級生の男子生徒。バスケットボール部に所属して活躍していたが、大学受験に失敗してしまう。その後は、大学に進学した三四郎や集と別れて予備校通いをしている。

島野 根子 (しまの もとこ)

加賀三四郎と同じ高校に転校して来た、高校1年生の女子。蜘蛛が苦手で、おもちゃの蜘蛛でもじんましんを引き起こしてしまうほど。同じ学校の先輩である香西聖人に憧れている。実は聖人は幼なじみで、しかも良かれと思って箱いっぱいの蜘蛛をプレゼントし、島野根子を蜘蛛ギライにした張本人だが、根子はそのことに気づいていない。

香西 聖人 (かさい きよひと)

加賀三四郎の友達で、同じ高校に通う男子。生物研究会に所属しており、学校一の秀才として評判。眼鏡をかけた優しげな美形で、後輩女子たちから特に人気が高い。

木元 富有子 (きもと ふうこ)

加賀三四郎と同い年の大学1年生の女の子で、進学した三四郎と同じ大学に通っている。実家のバラ園「キモトローズガーデン」で、いつも家の手伝いをしている。身なりには無頓着だが、よく見ると顔立ちは美人。

杜 成章 (もり しげあき)

進学した加賀三四郎と同じ大学に通う青年。三四郎と同じくバスケットボール部に所属している。美形で、女生徒たちからの人気が高いが、自分に自信が持てないでいる。その理由は、子供の頃にムツミと一緒に海でおぼれかけた際、ムツミの手を振り払って自分だけ助かろうとしたためで、今でもそのことを心から悔いている。

マリオ

高校1年生の女子で、民生委員の母親と優等生の兄を持つ。不良グループとつるんでは万引きや窃盗などをしているが、ドジで失敗することが多い。本当は素直になりたいと心の底で思っているが、つい反対の行動を取ってしまう。

西崎 みやこ (にしざき みやこ)

喫茶店「PAN」にアルバイトとして潜入した高校生の女子。潜入の目的は、姉がかつて好きだった「PAN」のマスターである古城を諦め、別の男性と結婚しようとしているのが許せなかったためであり、古城と姉を再びくっつけようと画策している。だが、色々と画策しているうちに、西崎みやこ自身が古城に惹かれてしまう。

西崎 あかね (にしざき あかね)

西崎みやこの姉。かつて大学の先輩だった古城に憧れていた。美人で上品な香水をつけており、西崎あかね自身も男性たちの憧れの的だった。現在は他の男性と婚約しており、結婚間近。

古城 (こしろ)

喫茶店「PAN」のマスターを務めている男性で、古城行の叔父にあたる。眼鏡をかけた美形。大学時代は非常に女性にもてており、西崎あかねも古城に想いを寄せていたうちの1人であった。

古城 行 (こしろ ゆき)

古城の兄の一人息子で、古城にとって甥にあたる。中学1年生ながらに合理的な考え方を持ち、経済観念もしっかりしている。口も達者で弁が立ち、大人に気に入られるツボを心得ている末恐ろしい少年。

ムツミ

杜成章が子供の頃、田舎に滞在していた時に知り合った女の子。大人に内緒でこっそり2人でボート遊びをしていたところボートが転覆してしまい、溺れかけてしまう。たまたま遭遇した大学生たちに助けられ、命拾いする。

入江 森 (いりえ しん)

川中島くるみのクラスメイトの男子。持病の小児ぜんそくのせいで学校も休みがちで、スポーツをすることができない。そのせいで世の中に対してすねた気持ちになっていたが、自分を本気で心配してくれるくるみに心を打たれ、健康になるために努力するようになる。

あきの

小学1年生の女の子。病弱で、いつも保健室に通っている。入江森に想いを寄せており、彼と親しい川中島くるみに意地悪をする。病弱が原因で誰にもかまってもらえないことに淋しさを感じており、わざと関心を引こうと問題を起こす。

江住 伊織 (えすみ いおり)

かつて十文字咲子が通っていた大学に通う青年で、バラ園の跡取り息子。美大に一番の成績で合格した優等生で育ちも良く、イケメンということもあり女性人気が高い。

ママ・スティーブンスン (まますてぃーぶんすん)

川中島くるみの飼っている黒猫で、機敏さもなく、高いところからうまく着地することもできない。十文字咲子の猫アレルギーの原因でもあり、いつも騒ぎを引き起こしている。

場所

フラワー・ルーム (ふらわーるーむ)

十文字咲子が営んでいる小さな花屋。店主の咲子があまり商売っ気がないため儲かっていないが、咲子自身は「花が好きな人たちのためになれればそれでいい」と考えている。

PAN (ぱあん)

古城がマスターを務める喫茶店。十文字咲子の花屋「フラワー・ルーム」の上の階にあり、咲子の店から取り寄せた花をたくさん飾っている。

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