いちごの入ったソーダ水

いちごの入ったソーダ水

元不良ながらにお嬢様学校へと通う事になった花泉月の学園生活を描いた、ギャグコメディ4コマ漫画。荒井チェリーの『三者三葉』や『せいなるめぐみ』などと世界観を共有しており、コミックスの裏表紙には、それらの作品に登場するキャラクターが出演している「まんがタイムきららMAX」2012年11月号から2018年3月号にかけて連載された作品。

正式名称
いちごの入ったソーダ水
ふりがな
いちごのはいったそーだすい
作者
ジャンル
ギャグ・コメディ
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あらすじ

第1巻

中学の頃は不良だった花泉月は、母親の再婚によりお嬢様学校の迷迭香女学院に進学する事となった。すると後輩の湊咲太郎が、女子校であれば女子同士での恋愛もありそうだと口にする。それを聞いた月は、必要以上に警戒しながら、迷迭香女学院の入寮日を迎える。(第1話)

月は世間知らずのお嬢様の御代田こひめと寮で同室となった。しかし、こひめは月が考えている以上に世間知らずで、自分の事も自分でする事ができない。それにより世話好きな月は、ついついこひめの世話を焼いてしまう。そうしている内に、こひめは月に懐き始める。(第2話)

月は迷迭香女学院の入学初日を迎える事となったが、周囲がお嬢様ばかりな中で浮いてしまう。そんな中、月は金髪で髪型が縦ロールの絵に描いたようなお嬢様、関口乃々華と、フレンドリーな性格の少女、剣持雛菊と友人になる。(第3話)

乃々華の縦ロールの髪を見ていたこひめは、その髪に指を突っ込んでみたいと言い出す。乃々華は拒否反応を示すが、月がそれくらいケチケチするなと彼女の髪を触り、柔らかいんだなとその感想を述べる。それを見ていた雛菊は、そんな事していたら女子に好意を持たれてしまうと月に指摘する。(第4話)

寮で暮らす事になったこひめだったが、今までは家政婦などにやってもらっていた身の回りの世話を自分でやる事になり、環境の変化に戸惑っていた。そんな中、こひめは月に掃除の仕方を教わり、それを得意げに雛菊や眉村転に語る。雛菊と転はこひめを褒め称えるが、内心では彼女が今まで掃除の仕方を知らなかった事に驚いていた。(第5話)

月は学校の休みを利用して遊びに行く事にした。月はヒマそうにしていたこひめもいっしょに連れて行く事にする。しかし、いっしょに遊ぶ事になっていた小山田杏奈は、月とこひめの仲のいい様子を見て、それに嫉妬してしまう。さらにその場にいた咲太郎は月とこひめの様子を見て、それに「百合」を感じて喜び始める。(第6話)

迷迭香女学院では部活動に入る事が必須であった。そこで月は、まず運動部を一通り体験してみる事にする。すると月の運動能力を見た先輩達は月をこぞって勧誘するが、ほどほどに部活動をしたかった月は勧誘を断る。そんな月を、転は自分の所属する文芸部に誘う。こうして月は、こひめや雛菊といっしょに文芸部に入部する事を決める。(第7話)

迷迭香女学院で教師をしている九重真夜子は、男性や乱暴な人を苦手としていた。そんな中、真夜子は受け持ちになった生徒の月に怯えており、それ以来顧問を務める文芸部だけが心の休まる場所だった。しかし、その文芸部に月が入部する事となり、真夜子はショックを受けてしまう。(第8話)

迷迭香女学院の生活に慣れて来た月だったが、未だにクラスメイトのほとんどから避けられてしまっていた。月はそれをいじめと捉えていたが、実際はみんな月に怯えているだけだった。そんな中、真夜子は月達の会話を聞いて月が虐められているものだと勘違いし、新たな問題の噴出に頭を抱えるのだった。(第9話)

杏奈は大好きな月が迷迭香女学院に染まっていく事を心配し、月を守るために迷迭香女学院に進学する事を決意する。そして、まじめに勉強するために、まずは形からと、髪を真っ黒に染め、髪型を三つ編みにして、さらには眼鏡をかける。しかし、肝心の学力が追いついていない事を咲太郎に指摘されてしまう。(第10話)

月は甲斐甲斐しくこひめの世話をしていたが、それではこひめのためにならないのではと疑問を持ち始める。そこで朝はこひめが自分で起きられるようにと、月が起こさない事に決める。しかし、アラームが鳴ってもこひめは起きられず、結局は月が起こす事になってしまう。そんな中、こひめは月に感謝すると共に、もっとしっかりしなければと決意を新たにする。(第11話)

杏奈は月から贈られて来た、こひめと仲睦まじそうにしている写真を見て、嫉妬してしまう。一方、月は雛菊達に杏奈と咲太郎がどんな人物かを説明していた。それを聞いて咲太郎が「百合」が好きだと知った転は、面白がって自分と月が映った写真を咲太郎と杏奈に送るよう月にお願いする。咲太郎はその写真を見て興奮を覚えるが、杏奈はさらに嫉妬するのだった。(第12話)

真夜子の服装を見た月は、もっと派手な服を着てみればいいのにと言い出す。すると、それを傍から聞いていた乃々華は、人の服装を指摘する前に自分の服装を省みるようにと月に説教する。しかし、月は自分の服装が校則違反だと気づいておらず、乃々華に自分の服装の何がいけないのかと詰め寄る。(第13話)

雛菊は自分の携帯電話を見ながら、返事が来ないなと呟く。そんな彼女に月が、誰からの返事を待っているのかと尋ねる。実は雛菊は、迷迭香女学院の教師、堤福助と幼なじみで、彼に好意を抱いていた。(第14話)

第2巻

迷迭香女学院の制服が夏服へと変わり、剣持雛菊堤福助に制服の写真を送りたいと言い出す。すると、御代田こひめもそれに感化されて制服の写真を実家に送る事にした。写真を撮ろうとカメラを向けられたこひめだったが、緊張により不自然な様子で固まってしまう。(第1話)

雛菊は福助に女子力をアピールするために、彼に料理を作ろうと考えていた。そこで何を作ればいいのか考え、みんなにもその意見を聞き始める。すると、花泉月が福助に直接尋ねればいいと言い出し、雛菊を連れて彼のもとに向かう。そこで何が好きかと尋ねられた福助は、「女体盛り」が好きだと酷い返答をする。しかし、それは雛菊に好かれないための嘘だった。(第2話)

福助に「女体盛り」が好きだと言われた雛菊は、料理の候補に加えた。だが月は、刺身はすぐに傷んでしまうために、弁当にして持って来るには向かないと指摘。それでも雛菊はあきらめる事なく、母親に週末釣りに行きたいとお願いし始める。(第3話)

寝ぼけたこひめは、間違って月のベッドに潜り込んでしまった。月がその出来事を笑い話として小山田杏奈湊咲太郎に報告すると、杏奈は嫉妬し、咲太郎は歓喜し始める。(第4話)

突然月に母親から電話が掛かって来た。それを傍から聞いていたこひめは、月が母親から「るーちゃん」と呼ばれている事を知る。月はその呼び名を嫌がっていたが、こひめはついからかいたくなり、何度も月を「るーちゃん」と呼んでしまう。(第5話)

文化祭に向け、文芸部では部誌を作る事になった。そこでみんなは、作品を発表するためのペンネームを考え始め、参考にと過去の部誌を見る事にする。実はかつて、部誌で「夜刀御呪風」というきらきらネームさながらのペンネームを使った事がある九重真夜子は、みんなにバレないようにと焦り始める。(第6話)

進路相談で迷迭香女学院に行きたいと報告した杏奈だったが、先生に笑われてしまう。杏奈は本気だと食い下がるが、ついには無謀だと怒られる始末。自分の学力を知った杏奈はこれまでの考えを改め、本気で勉強する事を誓う。一念発起した杏奈は中学1年生レベルの勉強から始めるが、月はそれでは受験までに間に合わないのではないかと心配する。(第7話)

月は夏休みも実家に帰らない事に決めた。それを知ったこひめは、月を自分の実家へと誘う。月は最初こそこひめの誘いを断るが、こひめの実家がある島では海が綺麗で、ウニやアワビなども獲れると聞き、こひめの実家に遊びに行く事を決める。(第8話)

月が夏休みになっても実家に帰って来ない事を知った月の母親は、それを心配して寮にやって来る。そして、月の母親はこひめにも会いたいと言い出す。そこで月は母親にこひめを紹介、こひめは月の母親に挨拶をする。さらにこひめは、月にいつもお世話してもらっている事への感謝を月の母親に報告した。それを聞いた月の母親は、寮でも月がうまくやっているのだと安心するのだった。(第9話)

夏休みになり、文芸部では部誌を作るための合宿をする事になった。その合宿では雛菊の別荘を借りられる事になり、月はその別荘の豪華さに驚く。そして、合宿が始まるが、その快適過ぎる別荘の環境を前に、みんなは部誌を作るための活動そっちのけで羽を伸ばしてしまう。(第10話、第11話、第12話)

こひめは夏休みを利用して実家の島に帰省する事となり、月はそれについて行く事にした。こひめの実家は非常に大きく、月は驚く。さらにこひめの母親に挨拶をする事になり、緊張してしまう。しかし、こひめの母親は月が予想していた厳格な人物ではなく、少々天然っぽいところがある優しい人物で、月はそれに安堵するのだった。(第13話)

こひめの母親はこひめから迷迭香女学院での生活の事を色々と聞く。そこでこひめから文芸部の副部長になった話や、文芸部でペンネームを決めたという話を聞いたこひめの母親は、こひめが成長していると感じ、それに感動する。そして、こひめの母親はペンネ―ムを作ったこひめのために名刺を作ろうと、親バカな提案をし始めるのだった。(第14話)

真夜子は小説家の髑髏薔薇艶が発行する同人誌を入手するために、夏のコミックマーケットを訪れる。そこで真夜子は知人にオタクだとバレないようにと、いつもとは違う派手な姿に変装する。しかし、そこに偶然居合わせていた眉村転に、一目で変装を見抜かれてしまった。気を取り直して艶の同人誌を入手するためにそのブースに向かうと、またも転に出くわしてしまう。実は艶は転の叔母であり、真夜子は転を通じて艶に挨拶をする事になった。(第15話)

こひめの実家で羽を伸ばしていた月は、こひめの誕生日が明日に迫っている事を知る。そこで月はこひめのために彼女の好きながんもどきを作る事を決め、こひめにはそのあいだ、席を外してもらうようにお願いする。そこで一人で遊ぶ事になったこひめだが、それに寂しさを覚える。そして、こひめは以前であれば一人でも平気だったのにと、迷迭香女学院に入学した事で自分が少し変わっていた事に気づくのだった。(第16話)

第3巻

夏休みが終わり、花泉月達は学校で久しぶりに顔を会わせる。そんな中、月と御代田こひめ剣持雛菊から距離が近くないかと指摘され、その仲を疑われてしまう。(第1話)

文芸部では、文化祭で販売する部誌の締め切りがあと1週間に迫っており、大慌てでその準備を進めていた。そんな中、部誌で詩を発表する予定の雛菊は、表現する事への恥ずかしさから未だにその作業が進んでいなかった。すると、眉村転が雛菊に素人なのだから気軽に書けばいいと諭す。(第2話)

月は関口乃々華から演劇部で行う舞台の代役をお願いされた。月は演技の経験がないからと、そのお願いを断ろうとするが、台詞も短いうえに、役のイメージが月にぴったりだと言われ、それならばと代役の話を引き受ける。一方、月が舞台に出る話を聞いた湊咲太郎は、月がみんなからモテモテになると予想し始める。(第3話)

月は舞台に向けて、演劇の練習を始める。しかし、月の舞台での台詞は乱暴な言動が多く、さらにそれを教室で練習していたために、それを聞いたクラスメイト達が委縮してしまう。(第4話)

文化祭に発行する部誌が刷り上がった事から、文芸部のみんなでそれを確認しつつ、完成の余韻に浸っていた。そんな中、文芸部に見知らぬ少年が入って来る。みんなが一瞬驚くが、それは舞台の衣装合わせをしていた月だった。そのあまりの変貌っぷりに、迷迭香女学院内で注目を集める事になる。(第5話)

文化祭当日、舞台に登場した月は観客達の注目を集め、黄色い歓声を浴びせられた。その人気は舞台が終わったあとも、月の移動に合わせて月のファン達が彼女について行くほどだった。そこで月は客寄せのために文芸部でも舞台での恰好をして待機する。するとこひめがもっと女の子っぽい恰好の方が月に似合うと言い出す。(第6話)

月は小山田杏奈に舞台衣装を着た写真を送る。それを見た杏奈が喜ぶ一方、咲太郎がこれほどの恰好よさであれば男装の麗人として、文化祭が終わってからもモテモテなのではないかと言い出す。月はそれを冗談だと受け取るが、次の日には月の靴箱に何通かの手紙が入っていた。(第7話)

月は靴箱に入っていた手紙をラブレターだと思い込み、それに動揺してしまう。さらに乃々華が月に追加の手紙を持って来て、月はそれに怯えてしまう。しかし、それらはラブレターではなく、劇の感想やファンレターだった。それを知って安堵する月だったが、中には写真がほしい、月の髪の毛がほしいなど過激な内容もあり、その話を聞かされた杏奈は嫉妬しつつ、月の身を案じるのだった。(第8話)

月は手紙を送ってくれた人全員に直接その感謝を伝える。すると、杏奈はそこまでする必要はないと言うが、月は手紙で感想をくれたのだから、お礼を言わなければ失礼だと口にした。そんな事を続けていては月が誰かに惚れられてしまうと、杏奈や咲太郎が危ぶむが、月にはその自覚がまったくなかった。(第9話)

月のもとに風紀委員長の扇谷桔梗が訪れ、その派手な服装を注意する。しかし、月は服装について注意される事に慣れており、桔梗の言葉に耳を貸そうとしない。桔梗はそんな月に対して毅然とした態度を示し続けるが、内心緊張していた。実は桔梗は月の隠れファンであり、しかも匿名で彼女に手紙まで渡していたのだった。(第10話)

桔梗達風紀委員は校門の前で風紀検査を実施していた。桔梗は服装は正しく着てこそ100%の魅力が出ると考えており、月にも制服をきちんと来てほしいと考えていた。そんな中、風紀検査に耳を貸そうとしない月に向かって桔梗は、着ているパーカーは似合っていないと思わず口に出してしまう。それを聞いた月は怒り出し、桔梗は内心で月を怒らせた事を猛省していた。(第11話)

月は風紀委員に何度服装を注意されても、それを改めようとしない。そこで桔梗は月にカーディガンをプレゼントし、着てほしいとお願いする。そこまでされて着ないわけにはいかないと、月はカーディガンを着るものの、実はデザインがあまり気に入ってはいなかった。(第12話)

月はこひめから、もらった手紙にすべて返事を返したのかと尋ねられた。差出人がわかる手紙には返事を返した月だったが、髪の毛がほしいと手紙に書いて来た者は匿名のために返事ができなかった。さらに月はその手紙を気味悪がっており、その手紙の差出人の桔梗はそれを偶然耳にする事でショックを受けてしまう。(第13話)

月は桔梗からもらったカーディガンに毛玉ができていたのを気にしていた。それを聞いた乃々華は、毛玉取り機を使ってみてはどうかと提案し、こひめがそれを使って月のカーディガンの毛玉を取るのに夢中になってしまう。そして、月のカーディガンの毛玉を取り終わったあともそれに満足し足りず、ほかの服に毛玉はないかと探し始める。(第14話)

月は桔梗から送ってもらったカーディガンに穴が開いてしまったため、もとの派手な服装に戻ってしまう。そこで桔梗は同じカーディガンを10着プレゼントする。しかし月はこんなに要らないからと、こひめ達にもカーディガンを渡し、月の周りのみんなはお揃いのカーディガンを着始める。それを見た桔梗は、みんなが月とお揃いの服装をしている事に嫉妬してしまう。(第15話)

杏奈は受験勉強に集中するため、受験が終わるまでは月に会わない事を決意する。しかし、それをメールで月に伝える直前になってから、その踏ん切りがつかない。すると月から杏奈にテストでしばらく会えないから、というメールが届く。(第16話)

第4巻

剣持雛菊が文芸部でクリスマスパーティーをしようと提案し、豪華なパーティーを計画する。そんな中、花泉月がそれを止め、代わりにアットホームなパーティーをしようと提案した。そこで眉村転が今年度の反省会という名目で九重真夜子に許可を取り、文芸部の部室でパーティーを行う事になった。しかし、その様子を扇谷桔梗に見られてしまい、彼女は注意するために文芸部の部室に乗り込んで来る。(第1話、第2話)

年末に実家の島に帰省していた御代田こひめは、島から見える初日の出の写真を撮って、それを新年の挨拶と共にみんなに送る。すると、雛菊や転からはその返事が返って来たものの、月からは返事が返って来ない。こひめはその返事を待ち望んで、スマートフォンばかりに目がいってしまう。(第3話)

週末に月の誕生日を控え、こひめ達はその準備を月に内緒で行っていた。そして、こひめは月の誕生日ケーキを雛菊といっしょに作る。その最中、こひめは雛菊と入学式の日の思い出話をする。(第4話)

桔梗は、月の誕生日が昨日であった事を知った。そこで桔梗は手紙を渡す事に決め、月はその匿名の手紙が、髪の毛をほしいと言って送って来た同一人物だと気づく。それが誰なのか気になった月達は、案外知り合いの人物かもと、予想をする。(第5話)

雛菊が学校で教師の堤福助を「福ちゃん」とあだ名で呼んでいたところ、それを馴れ馴れしいと思う者達が出始めてしまう。そこで雛菊は仕方なく福助を「堤先生」と呼ぶ事にするが、福助はそう呼ばれる事に違和感を覚えてしまう。(第6話)

真夜子の提案により文芸部で髑髏薔薇艶を招き、講義をしてもらう事になった。そこで転の叔母がプロの小説家だと知った月は、転に将来小説家を目指すのかと尋ねる。転はその気はないと答えるが、続いてこひめから小説家になりたくないのかと尋ねられた。それにより転は小説家を目指す事を考え始める。(第7話)

真夜子がだらしない恰好で外に出ていたところ、それを月に見られてしまう。月は真夜子が普段からそういう恰好だと知り、それでは女として駄目だと指摘する。そこで月は真夜子におしゃれをさせる事を提案して、自分の手持ちの服を持って来る。しかし、月の服は真夜子には似合わず、どうしても違和感のある恰好になってしまう。(第8話)

月は最近桔梗からの監視の目が厳しいと思い始め、少しのあいだ制服をきちんと着てみる事にする。そんな月の姿を見た桔梗がそれに歓喜する一方、こひめ達はあまり似合っていないと、微妙な表情を浮かべてしまう。(第9話)

最近になってから月に届くファンレターの数が減っていた。しかし、それでも尚、桔梗からの匿名のファンレターは届き続けており、こひめは誰がその手紙を書いているのかを調べ始める。そして、こひめが月の靴箱を隠れて見張っていたところ、そこに桔梗が通り掛かる。(第10話)

桔梗はこひめとの話の成り行きから、匿名でファンレターを出している者を探すのに協力する事となった。しかし、その人物は自分のため、桔梗はそれをどう誤魔化せばいいかと途方に暮れてしまう。そんな中、こひめは桔梗が書いた字の特徴からファンレターの人物と同一人物ではないかと思い至り、その真偽を桔梗に尋ねる。(第11話)

こひめは入学した当初よりも色々な事ができるようになり、その成長を実感していた。その話を聞いた月もそれに加えて人見知りもしなくなったと感じており、こひめが月の知らないところで色々な人物と会う事も増えていた。(第12話)

月の弟が生まれ、その名前が「太陽」に決まった。小山田杏奈は弟ができた事を祝福する一方で、迷迭香女学院の受験に失敗した事について、いつ月に伝えようかと悩んでいた。杏奈が迷迭香女学院に合格するには学力のほかにも内申や学費が足りず、受験すらもする事ができなかったのだ。杏奈はその事をメールで伝えようとするが、その踏ん切りがつかない。(第13話)

真夜子は転から小説を賞に応募するにあたって、その添削をお願いされる。そんな中、真夜子は、転が高校生にして将来を見据えて小説を書き始めた事を凄いと尊敬していた。そして、転は小説を書くにあたって資料を読んだり、プロットの準備をしたりなどさまざまな行動を起こし始める。(第14話)

月は迷迭香女学院の入試が先月で終わっている事を知り、杏奈から連絡がない事で彼女の受験が失敗した事を察する。そんな中、杏奈は月と道で偶然出会い、受験が駄目だったと伝えようとする。しかし、いざとなると口にする勇気が出せず、それを察した月は彼女に気を遣って早々にその場を去るのだった。(第15話)

進級を間近に控え、月は寮を出ようと考えている事をこひめに伝える。月は弟の世話の手伝いも含め、実家から通った方が何かと都合がいいと考えたのだ。それを聞いたこひめは動揺してしまうものの、最後には月の考えを尊重する事に決める。(第16話)

月が寮を出るにあたって、準備をする事になった。月が手際よくそれを終わらせる一方、一人部屋に移動する事になったこひめの準備が終わらない。その様子を見た月はこひめを一人にする事を心配するが、そこに突然、薗部茅が姿を現す。茅は今年から新たな寮母になる事が決定しており、月はそれを知って安心して寮を去るのだった。(第17話)

杏奈と湊咲太郎はそれぞれ公立の高校に進学する事が決まり、挨拶をするために月のもとを訪れる。また、こひめも二人を祝うためにやって来て、杏奈と咲太郎にそれぞれ入学祝いを贈る。そして迎えた始業式、月達はそれぞれの心境に変化を感じつつも、関係性は変わらず、2年生としての新たな日々を送るのだった。(第18話) 

登場人物・キャラクター

花泉 月 (はないずみ るな)

迷迭香女学院に通う高等部の1年生。元不良少女。かつては金髪に染めていたが、お嬢様学校に通うことになったため黒髪に染め直した。普段はポニーテールの髪型で、派手な色のジャージを好んで着ている。通っていた中学校では、歴代の不良の中でも一、二を争う強さであると恐れられており、陰では「皇帝」と呼ばれていた。母親の玉の輿再婚により家柄が良くなったため、お嬢様学校である迷迭香女学院に通うこととなった。 自覚はないが世話好きで、世間知らずの御代田こひめを放っておけずにいる。部活動は文芸部に所属することとなり、文化祭では発行した文芸誌の中で「詩」を発表した。発表した際のペンネームは「いちごさん」。また、文化祭では演劇部の欠員によって急遽男役を担当することになり、その結果、扇谷桔梗などをはじめ、多くのファンを獲得する。

御代田 こひめ (みよた こひめ)

迷迭香女学院に通う高等部の1年生。世間知らずのお嬢様。真っ白なロングヘアで、ほんわかとした雰囲気を漂わせている。田舎の島で生まれ育ったためか、お嬢様の多い迷迭香女学院においても輪を懸けて世間知らず。日常生活でもできないことが多く、クラスメイトであり寮のルームメイトでもある花泉月に、さまざまな場面で助けられている。 月が母親から「るーちゃん」と呼ばれているのを知って、嫌がっているにも関わらず、何度も「るーちゃん」呼ばわりするなど、意外とサディスティックな面がある。寝るのが大好きで、御代田こひめいわく「三度のメシより二度寝が好き」。部活動は文芸部に所属することとなり、文化祭では発行した文芸誌の中で「言葉集」を発表した。発表した際のペンネームは、「がんもさん」で、これは自分の好きな食べ物にちなんでいる。

剣持 雛菊 (けんもち ひなぎく)

迷迭香女学院に通う高等部1年生の女子。花泉月のクラスメイト。ポニーテールとリボンの髪飾りが特徴で、物おじせずに他人に喋りかけられるタイプ。クラスメイトの多くから怖がられていた月に対しても、真っ先に話しかけた。幼なじみの教師である堤福助に想いを寄せている。福助から「10代には興味がない」と突っぱねられるが、諦めていない。 部活動は文芸部に所属することとなり、文化祭では発行した文芸誌の中で「詩」を発表した。発表した際のペンネームは「だいふくさん」。胸が小さいことを気にしている。

眉村 転 (まゆむら うたた)

迷迭香女学院に通う高等部1年生の女子。花泉月のクラスメイト。古風な口調でしゃべり、表情を変えずに冗談を言う。文芸部に所属しており、月や御代田こひめ、剣持雛菊の3人を勧誘した。本への理解はジャンルを問わず幅広く、九条真夜子が隠しているボーイズラブ好きにも気づいている。文化祭で発行した文芸誌の中では「小説」を発表した。 その際のペンネームは「腸捻転」。母方の叔母に小説家である髑髏薔薇艶がいる。

関口 乃々華 (せきぐち ののか)

迷迭香女学院に通う高等部1年生の女子。花泉月のクラスメイト。クラスの委員長を務めている他、演劇部にも所属している。金髪の縦ロールの髪型で、言動もお嬢様らしい立ち振る舞いをみせる。もともとは普通の家庭で育ったが、成金となって初等部の頃に編入してきた。過去の経歴は周囲に隠しており、言動がわざとらしいほどにお嬢様チックなのも、実はそれが理由。 口調は素直でないものの、性格は優しく真面目で、御代田こひめとアドレス交換をした際は秘かに喜んでいた。

九重 真夜子 (ここのえ まやこ)

迷迭香女学院の女性教諭。花泉月のクラス担任であり、文芸部の顧問も務めている。黒髪のおさげで眼鏡をかけたおとなしい女性で、本を読むのが好き。好きなジャンルは主にボーイズラブだが、周囲には隠している。自室は「見られて困らないものがない」と言うほどに、ボーイズラブ本などの物があふれ返っている汚部屋。小説家である髑髏薔薇艶の大ファンで、夏のコミックマーケットで髑髏薔薇と会った時には、パニックになるほど緊張していた。 剣持雛菊に恋愛相談を持ちかけられて途方に暮れるなど、これまでの人生では恋愛事に縁がない。

扇谷 桔梗 (おうぎや ききょう)

迷迭香女学院に通う高等部2年生の女子。風紀委員長を務めている。黒髪のツーサイドアップの髪型で、上品な言動の少女。普段から派手な服装をしている花泉月に注意をするべく、彼女の前に現われた。実は月が演劇で男性を演じて以来、彼女の秘かなファンであり、匿名でファンレターなどを送っている。服装は正しく着てこそ100%の魅力が惹き立つものだと考えており、月には制服をちゃんと着て欲しいと願っている。 その願いから風紀委員長としてパーカーを贈るなど、公私混同に近い行動を起こすことも多い。

碓氷 (うすい)

迷迭香女学院に通う女子生徒。風紀委員に所属している。ショートカットヘアで花形の髪飾りをつけている。風紀委員委員長である扇谷桔梗を尊敬しており、彼女につき従っている。

小山田 杏奈 (おやまだ あんな)

中学3年生の女子。花泉月の中学時代の後輩。中学1年生の時、不良に絡まれているところを助けられて以来、月のことを「姐御」と呼んで、つき従っている。お嬢様学校に行った月が、御代田こひめらを甲斐甲斐しく世話していることを快く思ってはおらず、月が他の女の子と仲良くしている話を聞くたびに嫉妬している。その結果、自分も迷迭香女学院の高等部へ入学することを考えるようになったが、成績が悪いため断念した。

湊 咲太郎 (みなと さくたろう)

中学3年生の男子。花泉月の中学時代の舎弟。現在も月との交流は続けており、定期的に顔を合わせている。女性同士の恋愛が大好きで、月が女子校に通うようになった際には「百合が見られるかも」と嬉しがっていた。その後も、月から女子校での生活を聞かされるたびに、百合妄想を広げている。もともとは金髪のチャラチャラとした見た目だったが、のちに黒髪に染めて眼鏡をかけた美男子へと変身。 その理由は、「女子校の女友達を作って、生の女子校トークを聞くため」。

堤 福助 (つつみ ふくすけ)

迷迭香女学院の男性教諭。天然パーマが特徴。剣持雛菊の幼なじみで「福ちゃん」と呼ばれており、彼女に好意を抱かれていることに気づいている。雛菊に食べたい料理を聞かれた際は「女体盛り」と答え、女性の好みは最低25歳以上から、などと口にしている。その奇天烈な言動は、雛菊を遠ざけるための方便である。

髑髏薔薇 艶

関口乃々華の叔母で小説家。小説家の髑髏薔薇艶として表に出る際には、その毒々しいイメージを体現したような派手な恰好をしているが、普段はおとなしめの服装をしている。著作に「俺の恋人は淫乱ラガーマン」などがある。

花泉 るか (はないずみ るか)

花泉月の母親。再婚したために現在は新婚。再婚してから服装がおとなしくなったが、もともとは派手で若々しい服装を好んで着ていた。その際には周囲から月と「姉妹のようだ」と言われている。ちなみに月は、高校1年生の頃にできた子供。現在は新たな子供を身籠っており、翌年に出産の予定。

こひめの母親 (こひめのははおや)

御代田こひめの母親。真っ白なロングヘアの、落ち着いた雰囲気の美人。花泉月が気圧されるほどの厳しそうな見た目をしているが、実際は天然で優しい人物。家政婦の薗部茅の助言を真に受けて、月に対し「チョリーッス」と挨拶したり、こひめがお世話になっている礼と称して、現金の束を渡そうとするなど、こひめに負けず劣らぬ世間知らず。 またかなりの親バカで、こひめが文芸部で文芸誌を発行すると聞いた時は大喜びし、こひめ用の名刺まで用意した。

薗部 茅 (そのべ かや)

御代田家で家政婦を務めている女性。御代田こひめのお世話役を担っている。柔和な笑顔のほんわかとした雰囲気の持ち主だが、性格は慇懃無礼。周囲にも変わった人物と見られており、こひめの父親にも、「御代田家以外では首になっていただろう」と言われている。

場所

迷迭香女学院 (まんねんろうじょがくいん)

花泉月たちが通っているお嬢様学校。『せいなるめぐみ』をはじめとする荒井チェリーの別作品と世界観を共有している。月が通っているのは高等部だが、初等部や中等部もあることが、他作品とのつながりから明らかにされている。寮が設置されており、学校に通う生徒および教職員の受け入れを行っている。寮生の場合は、外出する際に外出届を提出する必要がある。 迷迭香女学院で開かれる文化祭は文化部の発表がメインで、一般公開などはされていない。

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