あらすじ
仲良文夫の嫁の仲良今日子と姑の仲良よしえは、まるで姉妹ように馬が合い、なかよく暮らしていた。ところが、友人や知人の影響を受けて「嫁と姑は仲が悪いもの」という世間体を気にするようになった二人は、仲がいいにもかかわらず、お互いに嫌いなフリをして過ごしていた。ある日、今日子が部屋を隅々まで掃除をしたあとによしえと言い合いになるが、二人の口から出てくるのはいずれも相手を思いやった悪口風の誉め言葉ばかり。仲が悪いフリをしつつも、お互いのことが大好きな二人の様子を見た文夫は、素直になればいいのにと思いつつ、気づかいばかりしていた二人が、思ったことを言い合える関係になったことを喜ぶのだった。(エピソード1「ウチの嫁姑問題」)
登場人物・キャラクター
仲良 今日子 (なから きょうこ)
仲良文夫の妻。ごくふつうの主婦で、黒髪をショートボブにしている。生真面目で優しく、思いやりのある性格をしている。姑の仲良よしえと馬が合い、非常に仲がいい。しかし友人や知人から、「嫁と姑は仲が悪い」という話を真に受けて世間体を気にするようになり、よしえと仲が悪いフリをするようになる。だが、本当はよしえが大好きなため、悪口や嫌味を言っているつもりでも、相手を思いやる優しい言葉が次から次へと出てきてしまう。寂しがり屋で、よしえが用事で家を留守にしていると落ち着かなくなってしまう。姉の明日美からは、よしえとの別居を勧められており、その強引さには毎回頭を悩ませている。
仲良 よしえ (なから よしえ)
仲良文夫の母親。白髪の上品な顔立ちで、眼鏡をかけている老齢の女性。生真面目で優しく、控えめで奥ゆかしい性格をしている。嫁の仲良今日子とは性格がよく似ており、馬が合うため非常に仲がいい。しかし友人や知人から、「嫁と姑は仲が悪い」という話を真に受けて世間体を気にするようになり、今日子と仲が悪いフリをするようになる。だが、本当は今日子が大好きなため、悪口や嫌味を言っているつもりでも、相手を思いやる優しい言葉が次から次へと出てきてしまう。今日子より人生経験が豊富な分、相手の言動を察知して早めに行動することができる。今日子が風邪(かぜ)でダウンした時は、嫌味風の優しい言葉をかけながら看病し続け、願掛けにシャワーで冷たい水を浴びていた。
仲良 文夫 (なから ふみお)
仲良よしえの息子で、仲良今日子の夫。そこそこ売れている小説家の男性で、眼鏡をかけている。黒髪で柔和な顔立ちで、几帳面(きちょうめん)でおとなしい性格をしている。在宅で仕事をしているため、妻の今日子と母親のよしえの二人が、毎日言い争いしている様子を観察している。しかし、二人が本当は仲がいいにもかかわらず、世間体を気にして仲が悪いフリをしていることを知っている。素直になれない二人に少々呆(あき)れつつも、遠慮がちな彼女たちが思ったことを言い合える関係になったことを喜び、暖かく見守り続けている。基本的に二人の言い争いには介入せず、いつも蚊帳(かや)の外に置かれて忘れられがち。
明日美 (あすみ)
仲良今日子の姉。黒髪のロングヘアの独身女性。家族思いながら、少々思い込みが激しく暴走しがちなところがある。結婚していたが、姑との折り合いが悪かったことが原因で離婚している。そのため、今日子と仲良よしえの関係を非常に心配している。事あるごとに今日子の自宅を訪れ、仲良文夫と妹の今日子に、よしえと別居することを勧めていた。無駄に手際がよく、別居用の物件も事前に用意していた。今日子とよしえが離れられないのは呪いのせいだと勝手に妄信し、のちにスプリチュアル方面に傾倒してしまう。
戸成 (となり)
仲良家のとなりの家に住んでいる中年女性。嫁の仲良今日子と姑の仲良よしえの日々の言い争いに聞き耳を立てながら、ご飯を食べるのを趣味にしている。親から「結婚なんてするもんじゃない」と言われ続けて育ったため、現在も独身。結婚をしなかった戸成自身の判断の正しさを再確認するため、今日子とよしえの争いを毎日観察し続けている。ここ最近は様子を見ているだけでは満足ができなくなってしまったため、二人に直接コンタクトを取って虚偽の告げ口をし、二人の仲を悪くさせとうと画策していた。
ヨネダ
喫茶「ヨネダ」の店長を務める老齢の紳士。眼鏡をかけている。気遣いのできる落ち着いた性格をしている。店員からも慕われており、アルバイトの仲良今日子のことも優しくサポートしていた。向かいに新しいカフェができて客足が落ちた時は、焦って店内の飾りやメニューを派手にしていたが、仲良よしえに諭されて元のシンプルな店構えに戻していた。
チャム
仲良家に引き取られた子猫。性別はメス。おとなしい性格で、仲良今日子と仲良よしえに懐いていたが、今日子に懐いている時はよしえに、よしえに懐いている時は今日子に嫉妬されていた。しかしチャム自身は、仲良文夫のことが一番大好き。