あらすじ
第1巻
母親とはぐれ、迷子になっていた小さなアザラシは、偶然出会ったシロクマに一目ぼれされてしまう。シロクマは即座にプロポーズをするが、アザラシは自分がオスであることを理由にそれを拒否。しかし、それでも構わないと言い放つシロクマに根負けしたアザラシは、いつ食べられるかわからない恐怖を感じながら、やむなくシロクマといっしょに過ごすこととなった。不安感を払拭できないアザラシに対して、シロクマはどんな時でも優しく接し、徐々にアザラシもシロクマに心を許すようになる。そんなある日、2匹はアザラシの母親を探すため、氷の穴を探す旅に出ることを決意するのだった。
第2巻
アザラシがシロクマのことを友人して認めつつあったある日、シロクマはアザラシに泳ぎを教えることになった。その際、母親とはぐれた子供のシロクマ、シロクマちゃんと出会った2匹は、彼女に協力して母親探しを手伝うことになる。いつもいっしょに過ごすうちに3匹はなかよくなるが、シロクマが少し目を離したスキにアザラシとシロクマちゃんが海へ落ちてしまう。
第3巻
メスのアザラシに告白して失恋したアザラシと、そんなアザラシに失恋したシロクマは、なぜか北極圏にいたコウテイペンギンのキャサリンと出会い、恋愛相談をすることになる。キャサリンから泳ぎを教えてもらうことになったアザラシは、恋愛相談も泳ぎもスパルタなキャサリンに戸惑いながらも奮闘を続ける。そんなアザラシの前に、食物連鎖の頂点に君臨する生き物、シャチが現れる。
第4巻
シロクマとアザラシは、キャサリンが「ダーリン」と呼ぶシャチともなかよくなり、アザラシは彼らと遊ぶうちにいつしか泳ぎも習得していた。しかし、シロクマとアザラシの2匹は、シャチから捕食者と非捕食者間の愛情は成立しないという、非情で冷徹な話を聞かされてしまう。アザラシをあきらめることができないと訴えるシロクマだったが、シャチの鬼気迫る説得により、シロクマはアザラシのもとを去る決断をするのだった。
登場人物・キャラクター
シロクマ
心優しいオスのシロクマ。異種動物で同性のアザラシに恋をして、熱烈なアプローチを繰り返したうえ、アザラシを守るために一生傍にいることを誓った。幼い頃、双子の兄ばかりかわいがる母親に捨てられ、助けてくれた育ての親となるシロクマの親子も自分のせいで亡くなってしまう。それ以来、ずっと一人ぼっちで暮らしていた。
アザラシ
タテゴトアザラシのオス。ひょんなことから同性のシロクマに一目惚れされてしまい、熱烈なアプローチを受け続けている。まだ毛が生え変わっておらず、白い産毛が残る子供。母親が海に潜っている際に探検に出て迷子になってしまい、シロクマと出会う。いつか食べられてしまうのではないかという恐怖と戦いながら、シロクマと行動を共にしている。
シロナガスクジラ
年老いたシロナガスクジラのメス。シロクマが育ての親を失った際に出会った。落ち込んでいたシロクマの話を聞き、友達となる。シロナガスクジラ自身の死期を悟っており、最期に美しい氷山を見るために北極圏へとやってきた。自分が死んだらシロクマに食べて欲しいと、最期の願いを伝えた。
シロクマちゃん
迷子になってしまった幼いシロクマのメス。母親とはぐれて泣いているところをシロクマとアザラシに発見され、行動を共にするようになる。父親が母親に贈ったという恋のリボンを母親から受け継ぎ、しっぽに結んでいる。
タテゴト
アザラシが恋に落ちたタテゴトアザラシのメス。産毛が抜けて大人の毛に生え変わったばかりだが、既に泳ぎをマスターしている。北の海に渡ると心に決めており、いっしょに泳ぎたいと願うアザラシに北の海で待っていると告げた。
キャサリン
コウテイペンギンのオス。女性のような語り口調でしゃべる。あだ名は「キャシー」。思い込みが激しく厳格な性格だが、優しい一面を持っている。シャチに思いを寄せており、彼のことを「ダーリン」と呼んでいる。しかし、相思相愛だと思っているのはキャサリンだけ。本来は南極大陸に生息しているが、なぜか北極圏にいた。
シャチ
シャチのオス。キャサリンと共に旅をしていた。ケンカ別れしたキャサリンを探している途中で、シロクマやアザラシと出会う。キャサリンからは「ダーリン」と呼ばれているが、シャチはあくまでキャサリンを友人だと認識している。