青春を謳歌する1年1組の女子生徒たち
1年1組の女子は、例外なくまったく役に立たない「無用力」を保持しており、自分の意思にかかわらず発動してしまうことが多い。そのため、自分に無用力があることを嫌悪する女子も少なくないが、発動の原因を突き止めることで対策を施し、無用力を利用して人助けをしたり、クラスメート同士でサポートし合ってそれぞれの悩みを解決したりしている。教師たちも無用力について把握しており、能力者の女子から相談を受けたり、アドバイスを送ったりしている。一方で、謎の研究機関に教え子たちの無用力についての情報を提供するなど、生徒の心のケア以外にもなんらかの目的を持っていることが示唆されている。
無用力に悩む女子と理解を示す男子
無用力を発現するのは女子に限定されており、1年1組の男子たちは女子たちの無用力の暴走を目の当たりにし、軽度ながら被害を被ることがある。しかし、彼らはこういったトラブルを忌避することなく、むしろ問題を解決するために尽力している。たとえば、心拍数が上がるとクラスメートの体が透けて見える八麻利に対しては、時間に余裕を持って行動することを提案する。また、握ったおにぎりを食べると1日分の記憶が消えるミクニに対しては、野球部員の男子がおにぎりとほうじ茶を同時に摂取することで無用力の発現を抑えられることを提案し、コンプレックスを払拭させる。男子たちによって、無用力を制御できない女子たちの不安を和らげたり、クラスメートの団結を深めたりするなど、1年1組にとっていい結果が生み出されている。
1年1組を何度も繰り返す女子
生徒会に所属しているウィルコは、面倒見のよさから1年1組の男女を問わずに頼られているが、彼女はクラスメートに無用力を発現する姿を見せずにいた。そんな彼女の無用力は、1年生の修了式が終わると、クラスメートの記憶や学校の記録からウィルコ自身に関する事柄だけがすべて消失するというもの。この影響からウィルコは、誰にも自分の無用力を明かさないまま、幾度も1年1組に通い続ける状況に陥っていた。ウィルコの友人である小窓の無用力「睡眠式座敷固定ランダムタイムスリップEYE」によってこの現状を知ったクラスメートたちは、ウィルコといっしょに進級したいと強く訴え、彼女の無用力の発現を抑えることに成功する。こうしてウィルコは、幾度も繰り返される生活を終え、仲間たちと共に2年1組に進級するのだった。
登場人物・キャラクター
擬星 (ぎぼし)
八麻利と同じ高校の1年1組に在籍する男子。八麻利と共にクラス委員を務めている。女子との会話や接点が自然に増えるクラス委員の仕事にチャンスを見いだし、力を注いでいる。思春期女子にのみ発現する「無用力」のことを知っているが、クラスの女子すべての無能力を把握しているわけではない。とある事情から、音楽が趣味の従姉に借りた文字入りTシャツを制服の下に着ていたが、これがきっかけで八麻利が持つ無用力を知る。愛称は「ギッちゃん」。
八麻利 (やまり)
擬星と同じ高校の1年1組に在籍する女子。黒のロングヘアを二つのおさげにまとめている。擬星と共にクラス委員を務めている。「人間の服や体の筋肉が透けて見える」という無用力が発現するが、この状態になるとクラスメートの見分けがつかなくなるために困っている。走ったあとなど心拍数が上がったときに発動してしまうが、自力でコントロールすることはできない。あるきっかけで、この無用力を擬星に打ち明ける。
続編
2年1組 うちのクラスの女子がヤバい (にねんいちくみ うちのくらすのじょしがやばい)
衿沢世衣子の代表作『うちのクラスの女子がヤバい』の続編。思春期の女子全体の2%が、まったく役に立たない謎の能力「無用力」を一時的に保持している世界を舞台にしている。クラスの女子全員が無用力を持っている... 関連ページ:2年1組 うちのクラスの女子がヤバい