きみは四葉のクローバー

小学校時代は人気者だった宇一。しかし、中学校時代からいじめが始まり、高校では暴力を伴う過酷な日々が続いていた。家庭でも居場所を失った宇一の唯一の支えは、引っ越しで離れ離れになった幼なじみであり初恋の相手のよつはと交わした「獣医になる」という夢だけだった。そんな絶望の日々の中、宇一の前に突然よつはが現れ、同じ高校に転校することを告げる。天真爛漫な彼女と過ごすうちに、宇一は少しずつ明るさを取り戻していく。しかし、この再会にはよつはなりのある狙いが隠されており、その目的は物語が進むにつれて徐々に明らかになっていく。

よつはは施設で育ち、物心ついた頃から家族も友人もいなかった。そんな彼女にとって、唯一自分を気にかけてくれた宇一は心の支えであり、その感情は愛情というよりも執着に近いものだった。中学生になり宇一と離れ離れになったよつはは、彼が絶望の末に命を絶ったという衝撃的な事実を知る。その後、時間を巻き戻すことができる腕時計を手に入れたよつはは、宇一の前では天真爛漫に振る舞いながらも、裏では誰にも気づかれないよう周囲の人間を巧みにあやつり、失敗した場合は何度も時を遡（さかのぼ）っていたのである。宇一の幸せのためなら、他者がどうなろうと構わないというよつはの行動は、時に冷酷な一面を覗かせる。

宇一をいじめる主犯格である八重大和は、小学生の頃からの知り合いで、よつはに一方的な好意を抱くストーカー気質の持ち主。大和は、よつはと結ばれる運命を信じ込み、邪魔な宇一を自殺に追い込もうと画策する。しかし、その大和を裏であやつる、よつはさえも正体をつかめない「黒幕」が存在していた。一方、クラスの人気者である咲村さつきは、身内にしか興味を示さないクールな少女。よつははこのさつきに巧みに取り入り、孤立する宇一を守るための「駒」として利用する。さらに、天才ハッカーの幼なじみ、ふーちゃんなど、よつはは宇一を幸せにするために、クラスメイトや彼の家族さえも利用しようとする。