概要・あらすじ
個性を重視する私立高校花は桜木学園に勤める新米の国語教師葱沢鴨は、過激な恋愛感情を持つ女性に好かれがちな女難体質。鴨は、ある日、花は桜木学園の不良生徒綾小路エグ美にみそめられ、襲われるが、謎の拳法家少女に助けられる。南家螺旋巻拳という拳法を操る少女の名は鉤生十兵衛こと「カギュー」。
登場人物・キャラクター
葱沢 鴨 (ねぎさわ かも)
私立高校花は桜木学園に勤務する新米国語教師で、担任学級は1年2組。黒髪でメガネをかけた、一見頼りない青年だが、まっすぐな性格で生徒思い。女生徒からの人気も高く、特に異常な愛情をもった女性から好かれる女難体質。幼馴染鉤生十兵衛との約束を守るため、彼女にとって良き教師であろうと心がける。
鉤生 十兵衛 (かぎゅう じゅうべえ)
伝説の秘拳南家螺旋巻拳の使い手で、口調もぶっきらぼうで男っぽいが、本当は純情な性格。葱沢鴨の幼馴染。葱沢鴨のことを護るという10年前の約束を果たすために花は桜木学園に転校してきた。葱沢鴨の前では純情可憐な少女だが、敵対する者には容赦なく拳をふるう。
綾小路 エグ美 (あやのこうじ えぐみ)
花は桜木学園1年7組の女生徒だが、男と見まがうばかりの体格と暴力で不良少女集団「☆レディースチーム エグミ」を率いる。カモ先生に一目ぼれして無理矢理にデートを迫るが、カギューの螺旋巻発条拳の前に敗れる。
山崎 富江 (やまざき とみえ)
花は桜木学園1年2組の生徒で図書委員。昭和の文豪太宰治に傾倒する地味なメガネ少女だが、メガネを取ると美人。担任教師のカモ先生に一方的な恋愛感情を抱き、愛情をひとり占めするため、何でも切り裂く鋼鉄製のしおりでカギューを襲う。だが、カモ先生の博愛主義の前に考えを改めた。
御門 朱羽 (みかど あげは)
花は桜木学園1年2組の生徒で学級委員長も務める優等生。カモ先生を慕うカギューに優しく接し、応援するそぶりを見せながら「誹謗中傷(ネガティブキャンペーン)」で二人の仲を引き裂いてカモ先生を横取りしようと画策する。徹底的に自分を信じるカギューにいらだち、得意の琉球古武術で決闘を申し込むも、恋敵に正々堂々と接するカギューの愚直さにカモ先生を諦める。
犬塚 紫乃 (いぬづか しの)
花は桜木学園3年1組の生徒で風紀委員長。葱沢鴨の従妹で、犬塚グループの後継者として幼い頃から感情を支配することを厳しくしつけられたため、成長が止まって見える。教師と生徒の恋愛を危険視しカモ先生を辞職に追い込むが、カモ先生への想いを断ち切らないと断言したカギューと一騎打ちで戦う。 かるた部部長も兼任しており、札読みの能力を生かしたカウンター攻撃が得意。
山田 織筆 (やまだ おるふぇ)
花は桜木学園3年8組の生徒で学園の治安を守る風紀四天王の一人。幼い頃から犬塚紫乃の世話係を務め、彼女の一番の理解者を辞任している。フェンシング部の部長でもあり、サーベルから高速の連続突きを繰り出す。犬塚紫乃を愛するがゆえにカギューを排除すべく決闘を申し込んだ。
牙々 丸恵 (がが まるえ)
花は桜木学園2年12組の生徒で風紀四天王の一人。相撲部の横綱で、螺旋巻拳すら通じない巨体から繰り出す突き技「鬼鉄砲」で相手を跳ね飛ばす。怒ると額から一本のツノが突出し、突き技も「鬼大砲」へとレベルアップする。警告を無視したカギューを懲らしめようと、山田織筆の制止を振りきって戦いを挑んだ。
東郷・マチルダ・竜子 (とうごう・まちるだ・りゅうこ)
花は桜木学園2年5組の生徒で風紀四天王の一人。サバイバルゲーム部部長で迷彩服に身を包み、サバイバルナイフとモデルガンを武器に軍隊流の格闘技で戦う。カモ先生が提出した辞表を奪回しようと乗り込んできた山崎富江と御門朱羽を相手にした。
中村 窈 (なかむら よう)
花は桜木学園1年2組の生徒で、女らしい外見でいじめられたことがトラウマで、女生徒の姿で通学していた。個性を尊重する花は桜木学園で自分を没個性と考えるが、絵が上手いという特技を持つ。カギューに想いを寄せるも失恋し、男に戻って学園内の統制を目指す生徒会に参加する。
マブルゥ
カギューの姉で、カギューをしのぐほどの南家螺旋巻拳の使い手。カギュー以上にぶっきらぼうで男っぽい性格だが、家族愛が強く、たった一人の肉親であるカギューを溺愛している。愛情が高じて、当初はカギューが愛する葱沢鴨を認めようとせず敵愾心を燃やす。最強の拳法を身に着けているものの虚弱体質で、カギューへの愛情が暴走か体調悪化のどちらかでよく流血する。
二千恵 理人 (にちえ りひと)
花は桜木学園の理事長。軽口が多く、陽気かつひょうきんな性格に見えるが、その心根は冷酷かつ残忍。幼い頃から優秀だったが愛を知らずに成長し、「本当の愛」を見出すために生徒同士の個性を戦わせていた。
二千恵 衿沙 (にちええ りざ)
花は桜木学園の生徒会長で、同校の理事長二千恵理人の娘。父親の二千恵理人から愛を受けずに育ち、生徒同士を争わせるのでなく、徹底した管理統制体制をしくことで学園そのものを強固にする「反個性主義(アンチキャライズム)」を提唱して二千恵理人に対抗した。文武両道に秀でた優等生で、自由自在にキャラクターを変える「個性百面相(キャライリュージョン) 」と、聴く者を洗脳する「暗示声(ヒプノボイス)」を操る。
後上 貞鳥 (ごがみ てとり)
花は桜木学園の生徒会副会長で、後上亜鳥とは双子の姉妹。生徒会長二千恵衿沙と共に育てられたが、その正体は二千恵衿沙のクローン人間。父親二千恵理人から愛を受けずに育ったため、過度のストレスから一切の表情を失った。黒いメイド服で、チェーンを武器に戦う。
後上 亜鳥 (ごがみ あとり)
花は桜木学園の生徒会副会長で、同じく副会長の後上貞鳥とは双子。正体は二千恵衿沙のクローン人間で、幼い頃から彼女と共に育つが、父親二千恵理人から愛を受けなかったストレスから、その表情から笑顔が消えなくなった。白いメイド服で、チェーンを武器に戦う。
安吉良うな (あんぎらうな)
花は桜木学園3年10組の生徒で、生徒会総務第一席。筋骨隆々とした辮髪姿の女性だが、イチャイチャする姿に顔を赤らめる純情な乙女心の持ち主。腕の関節をはずして伸ばし、ムチのように操る拳法の使い手。葱沢鴨を奪いに来て犬塚紫乃と戦うが、経絡を流れる気のコントロールによって身体を硬質化する「硬気功」で相手の攻撃を無力化する。
ラム・ピリカ
花は桜木学園3年4組の生徒で、生徒会総務第二席。アイヌ風の土俗の仮面をかぶる小柄な少女で、野干(キツネの仲間)の「エペタム」をはじめ犬やカラスなどの動物を意のままに操る。かつて安吉良うなに敗れたことで第二席に甘んじていたが、野生の本能を目覚めさせると突進技の「血の輪舞曲(ケム・ポロリムセ)」や噛みつき攻撃の「神切宝刀(ノッキリ・エムシ)」で山田織筆を追い詰める。
五十嵐 走 (いがらし らん)
花は桜木学園2年15組の生徒で、生徒会総務第三席。トレーニングウェアにハチマキのスポーツマンスタイルで、地声も大きな体育会系。直情径行の感激屋でアツい話に弱いが、生徒会長の二千恵衿沙を絶対視し、彼女の言にのみ従う。山崎富江の攻撃を「反復横跳(ソニックジャンプ)」でかわし、全力疾走からの「往復持久走(シャトルラン)」や「天馬駆疾(ヤマカシ)」で、正々堂々と戦う。
果心 小鹿 (かしん こじか)
花は桜木学園2年6組の生徒で、生徒会総務第四席。生徒会長の二千恵衿沙に対する忠誠の証にクナイで自分の唇を切り裂き、以後顔の下半分を黒マスクで覆うようになった。忍者刀を背負い、クナイの他に巨大なブーメラン状の刃「鸚鵡(オーム)」を操る。生徒会総務第三席の五十嵐走とは性格的に相容れず事あるごとに口汚く罵るが、攻撃のコンビネーションは確か。
鬼塚ムームー
花は桜木学園1年9組の生徒で、生徒会総務第五席。奇妙な老人の仮面をかぶった小柄な少女で、その下は可憐な顔。学園の敵となった葱沢鴨を救うべく共同戦線を張った牙々丸恵と綾小路エグ美の攻撃を小さな身体で止めてみせ、その人間離れした正体が生徒会会計兼書記の宇木辺リアが作りだしたロボット「機甲児童(パンツァードール)」であると判明する。
宇木辺 リア (うきべ りあ)
花は桜木学園2年14組の生徒で、生徒会書記兼会計。控えめな性格のメガネ少女で、直接戦闘には参加しないが、「機甲児童(パンツァードール)」の鬼塚ムームーを送り込み、量産化も手がける。学園理事長二千恵理人の秘書宇木辺愛莉州の実妹。
宇木辺 愛莉州 (うきべ ありす)
花は桜木学園理事長二千恵理人の秘書。金髪のメガネ美女でスタイルも抜群、二千恵理人からのセクハラが絶えない。理事長二千恵理人の企みにも加担するが、失敗するたびに折檻を受けることとなり、そのことに快感を感じるマゾヒスト。戦闘時はムチを操るサディストに変貌する。
森めめ (もりめめ)
花は桜木学園の数学教師でカモ先生の同僚。黒髪でスタイル抜群の美女で、カモ先生のことを「カモキュン」と呼んでからかう。学園の理事長二千恵理人とも面識はあるが、事あるごとにカモ先生に協力し、それ以上にカギューへの執着を見せることもある。戦闘能力は高く、暗殺者の棲む島赤ヶ島では二千恵理人が放った刺客を排除してのける。
喜びのガガリ
花は桜木学園の理事長二千恵理人に雇われ、その私有地赤ヶ島で侵入者を排除する傭兵集団「二千恵セキュリティサービス(NSS)」の一人。中国出身だが土佐弁に似た訛りでしゃべる。南家螺旋巻拳の亜流だが、廻転エネルギーの流れに割り込んで運動を停止・破壊する「螺旋巻喰い」とも称される拳法「ZZ拳」の使い手で、破壊にこそ喜びを見出す。
怒りのスィーモ
二千恵理人の私設傭兵集団「二千恵セキュリティサービス(NSS)」の一人。水中戦が得意で、地上では太った女性の姿だが、水中ではスリムになって自由自在に動き回る。地上の相手には口にためこんだ水を射出する「超弩級水砲(ハイドロキッス)」で攻撃する。
喜びのモアヴ
二千恵理人の私設傭兵集団「二千恵セキュリティサービス(NSS)」の一人で、ガスマスク姿の朗らかな少女。爆風手榴弾を二千恵理人の私有地赤ヶ島の島民に取り付け、人間爆弾として元生徒会長の二千恵衿沙と彼女を護っていたカモ先生を追い詰める。また、爆風手榴弾を二千恵衿沙の全身にセットして爆破する「紅蓮の死に装束(フレアードレス)」を犬塚紫乃仕掛ける。
怨みのウルカイシ
二千恵理人の私設傭兵集団「二千恵セキュリティサービス(NSS)」の一人。美しい相手に対する「怨み」の感情を力に換える能力の持ち主で、倒した相手の髪を戦利品として自分の髪に編みこんでいる。カモ先生に同行していた同僚の森めめをターゲットに選び、「怒と怨の挟撃(いかりとうらみのはさみうち)」で殺そうとした。
哀しみのマルマン
二千恵理人の私設傭兵集団「二千恵セキュリティサービス(NSS)」の一人。インド人で、幼い頃から人の心が読める超能力を持つがゆえに人々から疎んじられていたところを二千恵理人に拾われた。様々な感情を遮断して一極に集中することで爆発的な力を得るという「感情遮断実験」の被験体として世界中の殺し屋を集めて二千恵セキュリティサービスを結成した。 人間の深層心理に侵入することができ、心を閉ざしたカギューをもとに戻すためカモ先生を送りこんだ。
集団・組織
二千恵セキュリティサービス (にちえせきゅりてぃさーびす)
『ねじまきカギュー』に登場する団体。花は桜木学園の理事長二千恵理人が、私有地である赤ヶ島で別邸の警備にあたらせている私設傭兵集団。世界各地のから集めた5人の殺し屋に特別な訓練を施し、超能力にも近い技を身に着けた、いわば純度100パーセントの殺し屋集団。
場所
花は桜木学園 (はなはさくらぎがくえん)
葱沢鴨が国語教師として勤務している、生徒総数約1万人のマンモス私立高校。生徒の個性を徹底的に尊重する「絶対個性主義(キャライズム)」を提唱し、表面上は自由な校風を持つ。生徒間で個性がぶつかった場合は理事長二千恵理人の前で御前死合を開き、直接対決に勝った方の個性を認める。
赤ヶ島 (あかげじま)
花は桜木学園理事長二千恵理人が所有する島。伊豆諸島の最南端に位置する島民人口195人、面積約6平方キロメートルの小さな離島で、表向きは温泉があるのどかな観光地だが、住民全員が二千恵理人の息がかかった暗殺者である。
その他キーワード
南家螺旋巻拳 (なんけねじまきけん)
『ねじまきカギュー』の登場人物カギュー(鉤生十兵衛)が使う中国拳法。柔軟性の高い女性の身体を極限まで鍛えることで生み出す「廻転エネルギー」を利用した拳から繰り出す「螺旋巻発条拳」は、相手の服はおろか自分の服まで吹き飛ば威力を持つ。また「螺旋巻旋風掌」は掌底から空気の渦を発生させ、相手の攻撃を受け流したり、落下速度を軽減したりできる。
ZZ拳 (じぐざぐけん)
『ねじまきカギュー』の登場人物ガガリが使う拳法。ルーツは螺旋巻拳と同じだが、廻転エネルギーを停止させることに重きをおく。螺旋巻拳の正統な使い手カギューに戦いを挑み、両手を組んだ状態から繰り出す殺傷力に特化した技「ZZ噛屠(ジグザグバイト)」などがある。
書誌情報
ねじまきカギュー 全16巻 集英社〈ヤングジャンプコミックス〉
第1巻
(2011-06-17発行、 978-4088791562)
第16巻
(2014-07-18発行、 978-4088798738)