世界観
架空のスポーツ「競女」が題材。家計を助けるため、年収の高いスポーツの選手になろうと考えた女子高生、神無のぞみが、新体操選手から競女選手に転身。新体操で培った能力を活かして競女の世界に挑む姿が描かれる。女性選手たちが、プールの上で水着姿となり、お互いの胸とお尻をぶつけ合って戦うという独自のルールにのっとったセクシーな試合風景と、知力と身体能力を駆使して行われる真剣勝負のギャップも魅力。
あらすじ
第1巻
兵庫県神戸市に住む女子高生の神無のぞみは、新体操選手として将来を嘱望される優秀な選手。しかし、のぞみ自身は苦しい家計を助けるため、より収入の得られるスポーツ、たとえば話題の水上ギャンブルスポーツ「競女」の選手になりたいと考えていた。そんなある日、初めて「競女」の試合を観戦し、体験レースにも参加したのぞみは、改めて競女選手になる事を決意。体験レースで知り合った元柔道選手の宮田さやかと共に、関西唯一の養成場である「瀬戸内競女養成学校」の入学試験に挑む事になる。
第2巻
「瀬戸内競女養成学校」の入学一次試験が始まり、神無のぞみたち受験生は、一次試験で最も配点の高い、3分間でお尻を使って数字の「8」を書けた回数を競う「尻8の字」に挑む事になった。序盤こそ不調だったのぞみだが、コツをつかんだ中盤から巻き返し、見事一次試験に合格する。しかし、二次試験には水泳のメダリストである日下生美桜やソフトボール選手の河合花火といった、さらなる強敵が待ち受けていた。さらに泊りがけで行う試験中、裏では選手達の素行と適正を見る「裏面接」が行われており、初日の夜、その一環としてのぞみ、宮田さやか、仲さゆりの所属するDグループの面々は突如大浴場に閉じ込められてしまう。さゆりの行動でどうにかその場を切り抜けたのぞみ達だったが、翌日、のぞみはさやかが闇雲幸子に絡まれている姿を目撃し、さやかが去年の柔道選手選考会で何らかの問題を起こし、今柔道をやめ競女選手を目指している事を知ってしまう。選考会での真相を知りたいのぞみは、実技試験でさやかに勝負を持ちかける。
第3巻
「瀬戸内競女養成学校」の入学二次試験で、神無のぞみら受験生は、飛んでくるボールを、胸やお尻だけを用いて、12個あるドラムの中から指定されたドラムへシュートする「PKシュート」に挑む事になった。苦戦する選手が多い中、採点基準に気がついたのぞみは、最も良い「上」の成績を収めたかに思えたが、最終的にはミスが発覚し、宮田さやかと引き分けとなってしまう。しかし、のぞみの姿に心打たれたさやかは、去年の柔道選手選考会で無気力試合をして選考を捨て、周囲の期待を裏切った事を告白する。ひとつ仲を深めたのぞみとさやかだったが、その裏では、さやかを快く思わない闇雲幸子が暗躍していた。幸子は、さやかとその周辺人物を孤立させるため、のぞみ、さやか、仲さゆりといった仲のいい受験生のグループが結託して、試験中小細工をしているという噓の噂を流していたのである。そんな中、最終実技試験が始まり、のぞみ達は不利な状況で、12名1組の、2回に分けて行う模擬レースに挑む事になる。
第4巻
闇雲幸子が宮田さやかを憎む理由は、幸子の柔道の先輩である林田が、さやかが去年の柔道選手選考会で無気力試合をし、林田に勝利を譲った事が原因で心を壊した事にあった。幸子からそれを知らされたさやかは心を乱され、「瀬戸内競女養成学校」の入学実技試験中に大きなミスを犯してしまう。そしてそれが幸子の嫌がらせによるものだと知った神無のぞみは、幸子に怒りを燃やし、幸子もろとも自滅。のぞみとさやかは共に芳しくない成績のまま、最後の試験である第2模擬レースが始まってしまう。試合開始直後からほかの選手達に集団で狙われ、ピンチに陥るのぞみだったが、そこに助けに入ったのは、成績トップクラスの河合花火であった。第1模擬レース中のぞみに関心を持った花火は、のぞみと一対一の勝負をしたいのだという。一方その頃、さやかと幸子もまた、決着をつけるため一騎打ちをしていた。結果、さやかが勝利し、さやかは幸子も知らなかった林田との密かな約束を幸子に打ち明け和解する。そして、模擬レースの頂点を決めるため、のぞみか花火、勝利した方がさやかと戦う事となるのだった。
第5巻
4月。神無のぞみは、河合花火との一騎打ちには負けたものの、見事「瀬戸内競女養成学校」の入学試験に合格。共に合格した宮田さやからと、一般クラスの生徒として、プロの競女選手を目指して1年間の寮生活を送る事になった。しかし、のぞみとさやかが入る学生寮309号室は、通称「スイートルーム」と呼ばれる、落ちこぼれが集められる部屋なのだという。ルームメイトの一人である豊口のんとは、すぐに親しくなれたのぞみとさやかであったが、同じくルームメイトの青葉風音は誰ともなじもうとせず、なかなか会話もできずにいた。そんな中、寮のルームメイト同士でチームを組み、お尻でボールをトスしあった回数を競う「ヒップトス」の授業が始まる。なんとかよい成績を出したい309号室の面々だが、そこで風音の意外な能力が発覚し、4人は絆を深めていく。
第6巻
7月。成績順で分けられた「瀬戸内競女養成学校」の一般クラスとエリートクラスの生徒が入れ替わる可能性を秘めた「クラス替えレース」が始まった。エリートクラスの一員になって得られる恩恵は多く、神無のぞみ達一般クラスの生徒達は意気込む。しかし、一般クラス生がエリートクラスへ昇格する条件とは、模擬レースで一般クラス生3名と現役エリートクラス生1名の4人1組で勝負をし、勝利するという過酷なものだった。宮田さやかはエリートクラスの六堂鈴に見事勝利し、のぞみはエリートクラスの藤崎琴音と対決する事になる。琴音の自身のお尻を、まるで別の生き物のように操る技巧に苦戦するのぞみだが、琴音の弱点に気づき、勝利する。さらに豊口のんと青葉風音も好成績を残し、309号室の4人はそろってエリートクラス昇格に成功するのだった。
第7巻
「瀬戸内競女養成学校」エリートクラスに昇格した神無のぞみたち4人は、昇格早々京都府で行われる強化合宿に参加する事になった。そこでのぞみは、講師としてやって来た3人の現役競女選手のうち、白雪京子に師事する事になる。しかし、そこでのぞみは京子に、「筋肉をつけすぎた結果、お尻が瞬発力にかける部位になってしまっている」という致命的な弱点を指摘されてしまう。弱点を克服するため、のぞみは京子と共に農家に出向き、「お尻を使って農作業をする」というトレーニングを始める。同期No.1の日下生美桜の助言を得ても、なおコツをつかめないのぞみだったが、日々必死にトレーニングに励む。しかし、そこに美桜のファンである月下うさぎが、美桜との関係を妬み、合宿最終日に行われる模擬レースの勝負を挑んでくる。のぞみは快諾し、合宿最終日、ようやくトレーニングの成果を得たのぞみと、うさぎの真剣勝負が始まった。
第8巻
「瀬戸内競女養成学校」エリートクラスの強化合宿を終えた神無のぞみたちは、国内にあるもう1つの競女養成学校「駿河競女養成学校」との東西戦を行う事になった。これまでに東西戦は10回行われているが、西側であるのぞみ達の「瀬戸内競女養成学校」は、東側である「駿河競女養成学校」に一度も勝った事がなく、長年悔しい想いをしているのだという。今年こそは自校に勝利をと意気込むのぞみ達は、12名を3チームに分けた4人1組のタッグマッチに挑む事になる。しかし、宮田さやか、日下生美桜、藤崎琴音、村田マリの第1チームは勝利したものの、豊口のん、青葉風音、月下うさぎ、吉田敦子の第2チームは敗北し、勝負はのぞみ、河合花火、六堂鈴、小刀沙弥の第3チームにゆだねられる。
第9巻
東西戦の第3試合が始まり、「瀬戸内競女養成学校」の勝利は、神無のぞみ、河合花火、六堂鈴、小刀沙弥の第3チームにかかっていた。強豪選手を集中させた「駿河競女養成学校」第3チームのうち、のぞみはその中でも、最も強い坂城真夜と対決する事になる。「駿河競女養成学校」教育総責任者、坂城綾子の養女である真夜は、綾子に恩を感じるあまり、極端に勝ちにこだわる選手だった。そんな真夜とのぞみの勝負は熾烈を極め、さらに真夜のピンチに、真夜のもう1つの人格である坂城カヤが現れ、のぞみは窮地に立たされる。
第10巻
神無のぞみらが所属する西の「瀬戸内競女養成学校」と、坂城真夜らが所属する東の「駿河競女養成学校」の東西戦は、「瀬戸内競女養成学校」の勝利に終わった。しかし激しい戦いの代償により、のぞみは競女選手にとって大切な武器の1つである、乳首が立たなくなってしまうという深刻な事態に陥ってしまう。静岡県駿河にいる専門医の診察を受ける事になったのぞみは、真夜の案内で十文字小影、通称「揉み払い師」に会い、彼の決めたメニューのもと、リハビリを行う。そして春、リハビリを終え、同期生と共に「瀬戸内競女養成学校」を卒業したのぞみは、晴れてプロの競女選手となった。兵庫支部配属のB級競女選手として登録されたのぞみは、同じく兵庫支部に配属された宮田さやかと共に先輩選手に出迎えられ、ゴールデンウイークのデビュー戦に出場する。しかし、初めての試合に戸惑うのぞみは、思うような結果を出せず、全敗に終わってしまう。そんなある日、河合花火から「姉妹」制度の話を聞いたのぞみは、競女場で知り合った先輩B級選手桜木澄玲に「姉妹」関係を申し込む事を思いつくが、澄玲には冷たい態度を取られてしまう。
第11巻
桜木澄玲のつれない態度の理由は、以前「姉妹」関係を結んでいた先輩選手の市川梨子が、自分の過酷な練習に付き合ったために怪我をし、選手生命を絶たれた過去に起因するものだった。それを知った神無のぞみは、澄玲と「姉妹」関係こそ結ばないままだったが、共に練習を重ね、次第に距離を縮めていく。そんなある日、のぞみは試合で武藤刃を負かし、初勝利を収める。しかし、それに腹を立てたA級競女選手であり、刃と「姉妹」関係にある銀夜萌子が、のぞみ達のもとに現れ、「姉妹」関係同然にのぞみと親しい澄玲に、「神戸開港特別」レースで決着をつけようと持ち掛ける。だが、澄玲は梨子に怪我をさせた一件から、また誰かを傷つけるのではないかという恐怖のあまり、本気で戦う事ができなくなってしまっていた。澄玲を案じたのぞみは、宮田さやかも交えて、澄玲が恐怖を克服し、新たな必殺技を編み出せるようトレーニングに付き合う事になる。
第12巻
「神戸開港特別」レースでの桜木澄玲と銀夜萌子の対決は、澄玲の勝利に終わった。澄玲と萌子も和解し、神無のぞみの周囲には平和が戻ったかのように思われたが、試合の直後、萌子から衝撃的な情報が寄せられる。なんでも「究極の尻鎧(アンリミテッド・パンツ)」と呼ばれる、公式戦では違反の強化水着を、西日本の選手のみにばらまき、西日本の選手達の意図的な強化を図ろうとする人物がいるのだという。それが東雲愛の実家藤崎家であり、「東雲」と名乗っていた愛の本名は「藤崎愛」で、なんと藤崎琴音の姉であった事も発覚する。両親の真意を知りたい愛は、のぞみと宮田さやかの後押しで、広島県安芸津町にある実家に行く事を決意する。そこで母親、藤崎玲子の、競女界の現トップ5である「五尻(ごけつ)」を倒すために選手達の実力を底上げしたいという真意を知った愛は、玲子への考えを改めるが、そこに「五尻」の1人である剣ふゆゆが現れる。
第13巻
競女界の現トップ5である「五尻(ごけつ)」の1人、剣ふゆゆと出会った神無のぞみは、次なる目標を「打倒五尻」に定め、まずは現在のB級からA級の選手に昇格するため、昇格査定に必要な勝利ポイントを稼ぐ日々を送っていた。しかし査定日までにギリギリポイントが足りないと気づいたのぞみは、別の地域の大会に出張参戦を決める。しかし、のぞみが選んだ東京都船橋競女場の選手達は、リーダーの小杉莉央を中心に全員がグルになり、別の地域からやって来た選手を徹底的に痛めつけるという卑劣な戦法をとっていた。レース中、偶然参戦していた青葉風音に助けられたのぞみは、決勝戦を風音と協力して戦う事になる。風音の助力もあり、優勝をおさめたのぞみは、「前期西宮ファイナルカップ」で勝利すれば昇格が確定するところまでポイントを伸ばすが、そこになんと宮田さやかが立ちふさがる。
第14巻
9月。無事にB級競女選手からA級選手に昇格した神無のぞみと宮田さやかだったが、A級になって、ファンとの握手会やグラビア撮影といった試合以外の活動も増え、練習時間も確保できないほどのハードな暮らしを送っていた。そんな2人を案じた桜木澄玲は「ガーデンワース」と呼ばれる競女選手専用の住まいを紹介し、のぞみとさやかは、すでに入居していた河合花火や小刀沙弥も交えて「ガーデンワース」での生活を始める。4人での楽しい日々が続くかに思えたが、ある日、沙弥が胸の故障により「乳力脱力症(ちちりきだつりょくしょう)」という状態に陥り、このままでは選手生命にかかわる事が発覚する。胸を使った技を避ければ悪化は止まり、沙弥は活動を続けられる。しかし沙弥自身は母親から継承した胸を酷使する技「乳抜刀」にこだわっており、「乳抜刀」ができなくなるのであれば引退したいすらと考えていた。沙弥に引退してほしくないのぞみ、さやか、花火の3人は、おせっかいであると理解しつつも、勝手に沙弥の新技の開発を始める。しかし、それを拒絶した沙弥は、のぞみに「次の大会であるヴィーナス・シリーズで、のぞみが勝てば乳抜刀を控え、今後の身の振り方を改めて考える。しかし、自分が勝ったら二度と口出しをしないでほしい」と勝負を持ちかける。
第15巻
「ヴィーナス・シリーズ」における神無のぞみと小刀沙弥の勝負は、のぞみの勝利で幕を閉じた。沙弥は打倒「五尻(ごけつ)」のため「乳抜刀」にこだわるのをやめ、今後は柔軟に戦うと誓い、2人の絆はさらに深まる。さらに、2人の雄姿は観戦していた「五尻」のうち雪風いくみと剣ふゆゆの目にもとまり、のぞみ達はいくみの引退試合である「尻卒祭(しりそつさい)」に招待される。派手好きのいくみは、のぞみのような優秀な新人が育ってきている事に喜びを感じており、自分と同じS級選手だけでなく、のぞみたちのようなA級選手にも出場資格を与えて「尻卒祭」を盛り上げたい、と考えていたのである。当然出場を望むのぞみと宮田さやかであったが、桜木澄玲は怪我の可能性を恐れ、2人を辞退させたいと思っていた。しかし、まだ2人と正式な「姉妹」関係になく、自身に強制力がなくて澄玲が悩んでいた折、S級選手の加戸涼秀が、のぞみとさやかに「姉妹になろう」と誘いにやって来る。
第16巻
ひと悶着あったがお互いの想いが通じ、 神無のぞみ、宮田さやか、桜木澄玲の3人はとうとう正式な「姉妹」関係になった。そしていよいよ「尻卒祭(しりそつさい)」一次予選が始まり、のぞみは「瀬戸内競女養成学校」時代の仲間達と共に、最強の選手達「五尻(ごけつ)」との戦いに挑む。開幕戦には藤崎琴音が参加し、実姉であり競女選手としても「姉妹」関係にある東雲愛との特訓で新技を体得した琴音は見事勝利する。続く試合で豊口のんも勝利し、のぞみらA級選手達は順調に勝ち進んでいく。一方、のぞみは吉田敦子と共に、藤崎家での一件から因縁のあるS級選手、柏葉くくると戦う事になる。のぞみらA級選手を見下し、攻撃的な態度を取るくくるだったが、しかし、そこには「五尻」である竜胆ミサキへの強い思いがあった。敦子の助力もあり、どうにか勝利したのぞみは、自分達A級選手の躍進に喜ぶが、そこに、さやかと六堂鈴が次の二次予選で「五尻」の1人である孔雀ナキと戦う事が発覚する。
第17巻
「尻卒祭(しりそつさい)」二次予選において、宮田さやかと六堂鈴は最強の競女選手「五尻(ごけつ)」の1人孔雀ナキと戦う事になった。どんな敵も30秒で沈めるというナキの圧倒的実力に苦しめられる2人だったが、その強さの秘密を見抜いたさやかは反撃に出る。そのさやかの姿にナキは亡くなった友人の南野を思い出す。さらに、さやかが南野が生前執筆したノートで勉強していたので、さやかが南野の技の実質の後継者であると発覚する。ナキはその偶然に感謝し、全力でさやかとぶつかり、結果、さやかが勝利する。続いて、同期No.1の日下生美桜も「五尻」の1人星出ヒカルになんなく勝利。「五尻」のうち2人を下し、 神無のぞみ達「瀬戸内競女養成学校」卒業生のA級選手達は大いに盛り上がる。そこになんと、以前東西戦で戦った「駿河競女養成学校」の面々がやって来る。二次予選でのぞみ、豊口のん、鳳凰院早苗、そして「五尻」の剣ふゆゆ、竜胆ミサキと同じグループになった坂城真夜はのぞみと共に「五尻」に勝つため、試合までのぞみとコミュニケーションを深めたいのだという。こうしてのぞみと真夜の、期間限定の同棲生活が始まるのだった。
第18巻
坂城真夜が神無のぞみに期間限定の同棲を申し込んだのは、自分自身とだけでなく、真夜のもう1つの人格、坂城カヤとも親交を深めてほしいという思いからだった。その想いを受けとめたのぞみは、ついに、真夜、豊口のん、鳳凰院早苗と共に、「五尻(ごけつ)」の剣ふゆゆ、竜胆ミサキと戦う「尻卒祭(しりそつさい)」二次予選に挑む。4人で協力してなお苦戦を強いられるのぞみ達だったが、のんと早苗は捨て身の攻撃でミサキに勝利。真夜も、カヤと人格をチェンジしながらのぞみをサポートし、のぞみはついに「五尻」の頂点である、ふゆゆとの一騎打ちを迎える。誰よりも競女選手としての人生を楽しむのぞみと、賞金女王であるがゆえにつねに勝つ事を義務づけられ、試合に喜びを見い出せなくなったふゆゆの最終決戦が始まった。
モデルになった町
兵庫県神戸市をはじめとする、西日本が舞台。神戸市民の神無のぞみが、プロ競女選手となるため、西日本唯一の競女養成場である瀬戸内競女養成学校に入学。西日本中から集まった選手たちと切磋琢磨する姿が描かれる。登場人物は西日本出身のキャラクターが主だが、やがて西日本の選手が集う瀬戸内競女養成学校と、東日本の選手が集う駿河競女養成学校との戦いも描かれるようになる。
単行本の装丁
コミックスのカバー裏には、毎巻、競女選手たちのプロフィールが掲載されている。メインキャラクターのみならず、限定的に登場したゲストキャラクターの、ここでしか見られないイラストや情報もあり、ファンには見逃せない内容になっている。
関連作品
関連作品として、空詠大智の別作品『揉み払い師』がある。コミックス10巻では、『揉み払い師』の登場人物である十文字小影と十文字小波がゲスト出演し、胸の故障に悩む神無のぞみを診察するというエピソードがある。また、10巻巻末のおまけページでは、小影と小波が登場するおまけ漫画が掲載されている。
メディアミックス
2016年10月より、髙橋秀弥監督によるTVアニメ版が放送。シリーズ構成は加戸誉夫、キャラクターデザインは中野圭哉、アニメーション制作はXEBECが行う。主人公の神無のぞみ役はLynnが、宮田さやか役はM・A・Oが演じる。
登場人物・キャラクター
神無 のぞみ (かみなし のぞみ)
兵庫県神戸市立新港高校に通う3年生の女子。競女選手としてのタイプはインファイター。前髪を目の高さで切り、腰のあたりまで伸ばした藍色のストレートロングヘアを、リボンで1つにまとめている。頭頂部から2房飛び出した「アホ毛」が特徴。関西弁で話し、一人称は「私」と書いて「うち」と読む。明るく元気なちゃっかり者で、合理的な現実主義者。 高校では新体操選手として名を馳せており、教師の小林からは体育大学への進学を勧められていた。しかし、苦しい家計を支えるため、少しでも年収の高いスポーツの選手になるべく、競女選手を志すことを決める。普段は人懐っこくとぼけた雰囲気だが、実は非常に知性的で策略家。優れた観察眼と新体操での経験を活かし、初心者として一から競女の世界に挑んでいく。 母親を亡くしており、父親は旅芸人という職業柄めったに家に戻らないため、競女選手を志すまでは常に弟や妹たちの面倒を見てきた。さらに、貧困にあえいでいたことから、宮田さやかからは「神無」という苗字と「お金が無い」ことをかけて「金無さん」と呼ばれている。
宮田 さやか (みやた さやか)
神無のぞみが西宮競女場で出会った18歳の少女。のぞみと同期生として瀬戸内競女養成学校に所属することになる。のぞみと豊口のん、青葉風音とは、寮で同じ309号室に暮らすルームメイトでもある。競女選手としてのタイプはアウトファイター。前髪を目の高さで切り、肩につかない長さの青みがかった白いボブヘアを、ハーフアップにしてまとめている。 周囲からは主に「宮田ちゃん」と呼ばれている。元柔道選手で、オリンピック出場目前まで進んだ経験もある超実力者。しかし、あることをきっかけに柔道を引退し、競女選手を目指すことになった。表情に乏しいためクールで近寄りがたく見えるが、実際は素直になれないだけで非常に友達想い。西宮競女場で出会って以来、共にプロを目指す仲間となったのぞみのことをとても大切に想っている。 父親は有名な柔道選手で、競女選手になることは反対されていた。胸が小さいことをひそかに気にしている。
豊口 のん (とよぐち のん)
神無のぞみの同期生で、瀬戸内競女養成学校に所属する18歳の女性。のぞみと宮田さやか、青葉風音とは、寮で同じ309号室に暮らすルームメイトでもある。競女選手としてのタイプはカウンター。前髪を目の高さで切り、ふんわりとした癖のある赤毛ロングヘアを低い位置で2つに結んでいる。明るくほんわかとした親しみやすい性格で、過疎化の進む地元の村を盛り上げたいという気持ちから競女選手を志した。 のん自身は認めないものの非常にドジで、些細なミスが大変な事故やトラブルを起こしてしまう。「尻殺し」と呼ばれる、相手の攻撃を吸収し無効化する特殊なお尻の持ち主で、試合ではその能力を活かして戦う。出身地は鹿児島県で、気持ちが昂ると地元の言葉が口をついて出てしまうのを気にしている。
青葉 風音 (あおば かざね)
神無のぞみの同期生で、瀬戸内競女養成学校に所属する18歳の女性。のぞみと宮田さやか、豊口のんとは、寮で同じ309号室に暮らすルームメイトでもある。競女選手としてのタイプはアウトファイター。前髪を目の高さで切り揃え、腰のあたりまで伸ばした淡い茶髪のストレートロングヘアを高い位置でポニーテールにしている。 いつも首に巻いた縞々柄のマフラーが特徴。一見不愛想で他人に関心がないように見えるが、実は極度の人見知り。主な話し相手は実の姉くらいというほど話すのが苦手なため、入学当初は309号室の面々ともなかなかなじめずにいた。しかし、同じ部屋ごとにチームを組んで行うチーム対抗戦「ヒップトス」がきっかけで3人と少しずつ親しくなっていく。 手の感覚が非常に鋭く、一度触った身体の性質を見抜き、持ち主の選手の必殺技をコピーできる「知りつくす右手(スキャニングハンド)」という驚異的な能力を秘めている。出身地は広島県。
河合 花火 (かわい はなび)
神無のぞみの同期生で、瀬戸内競女養成学校に所属する18歳の女性。競女選手としてのタイプはインファイター。前髪を目の高さで切り、肩につかない長さの紫色のふんわりとしたボブヘアをしている。感情表現が独特で、通常の感情表現に加え、気持ちが瞳のハイライトに「キラキラマーク」や「ハートマーク」といった形で現れるのが特徴。 元ソフトボール選手で、マックス115キロの剛速球で、何度もチームを全国優勝に導いた実力者。可愛らしい容姿とおっとりとした雰囲気とは裏腹に、ソフトボールでの経験を活かした容赦のない攻撃を行う。基礎身体能力が高く、ソフトボール以外のスポーツ全般も得意。しかしそのためか周囲の人間と自分の実力差を感じることが多く、全力でスポーツに参加できないのを淋しく感じていた。 そのため、のぞみと出会うまでは一切友人がおらず、携帯電話には家族の番号しか登録されていないほどだった。しかし競女選手を志し、のぞみと出会ったのをきっかけに、周囲には同格の選手が多数いることに気づき、チームプレイの楽しさに目覚めていく。友人同様、恋人も熱心に募集しているか、アピールが激しすぎるためか交際に至ったことはなく、「恋人いない歴=年齢」に甘んじている。 出身地は京都府。
日下生 美桜 (くさかい みお)
神無のぞみの同期生で、瀬戸内競女養成学校に所属する20歳の女性。競女選手としてのタイプはインファイター。前髪を目が隠れそうなほど伸ばし、腰のあたりまで伸ばした金髪ロングヘアを外にはねさせている。頭頂部から一房飛び出した「アホ毛」が特徴で、母親がイギリス人のハーフでもある。元水泳選手で、水泳を始めて5年で日本一に輝いた天才肌。 特に、背泳ぎでは元日本代表も務め、北京オリンピックでは金メダリストに輝いた。競女選手に転向してからも圧倒的な実力で同期生のナンバーワンとして君臨し、周囲を圧倒している。性格は天真爛漫で、のぞみにも非常に好意的。また、女性全般が大好きで、気に入った女性を見つけると試合中でもセクハラをすることから、彼女を恐れる競女選手は後を絶たない。
六道 鈴 (ろくどう りん)
神無のぞみの同期生で、瀬戸内競女養成学校に所属する18歳の女性。競女選手としてのタイプはアウトファイター。前髪を目の高さで切り、前下がりの黒髪ボブヘアを外にはねさせている。中性的な容姿と話し方をし、一人称が「僕」なのと、気持ちが昂ると頭頂部の髪の毛が猫の耳のように立つのが特徴。「西日本最速のアウトファイター」を自称しており、同級生のなかでも日下生美桜に次いでナンバー2の実力者。 いつか必ず有名選手になると豪語するビッグマウスだが、実際は感情が表に出やすく、子猫のように親しみやすい可愛らしい性格の持ち主。試合中は驚異的な肺活量を武器に、スピード重視の攻撃を用いて戦う。出身地は兵庫県。
藤崎 琴音 (ふじさき ことね)
神無のぞみの同期生で、瀬戸内競女養成学校に所属する18歳の女性。前髪を左寄りの位置で斜めに分け、顎の高さまで伸ばした紫色のボブヘアを外にはねさせている。母親は競女における初のS級選手で、姉も現役A級競女選手というサラブレッド。競女はお金を稼ぐための手段と割り切っており、校内では何事にも無関心な不愛想な人物と見なされている。 しかし実は男性2人が親しくしている場面を見るのが大好きな、大のボーイズラブファンで、本やドラマの登場人物のみならず、実在の周囲の男性たちや、無機物である2本の歯ブラシからでもボーイズラブ妄想をしてしまう腐女子気質。のぞみと対戦するまでは、周囲と親しくする意思はなく、ヘッドフォンで常にボーイズラブCDを聴くことでかかわりを絶っていた。 しかしのぞみとの対戦がきっかけで考えを改め、次第に同期生たちとの友情とチームプレイに目覚めていく。競女選手としては非常に戦い慣れており、ランドの揺れや振動で相手の行動を先読みすることができ、対戦相手に背を向けた状態でも戦えるという能力を持っている。そのため、自らのお尻を「ケルベロス(ケルちゃん)」と名付け、自分自身とは切り離した別の存在のように使役して戦うことができる。 出身地は広島県。
大島 優子 (おおしま ゆうこ)
神無のぞみの同期生で、瀬戸内競女養成学校に所属する22歳の女性。競女選手としてのタイプはインファイター。前髪を右寄りの位置で分け、肩につかない長さの茶髪ボブヘアの右側の一部だけを結んでワンサイドアップにしている。元バレーボール選手のため筋肉質でがっしりとした体つきで、男性のような口調で話し、一人称も「オレ」。 また、非常に大柄で「肉の壁のよう」と評されていることから、のぞみには「壁っち」と呼ばれている。豪快で竹を割ったようなさっぱりとした性格で、のぞみとも受験期間中からすぐに親しくなる。同姓同名の芸能人である大島優子のことを意識しており、同姓同名なのをかけたギャグを言うこともあるが、芸能人の大島優子とは印象が違いすぎるため失笑されてしまうことも多い。 ファッションブランド「OGURI」の服が大好き。出身地は兵庫県。
月下 うさぎ (つきした うさぎ)
神無のぞみの同期生で、瀬戸内競女養成学校に所属する21歳の女性。競女選手としてのタイプはアウトファイター。前髪を目が隠れそうなほど伸ばし、腰のあたりまで伸ばしたウェーブがかった紫色のロングヘアをツインテールにしている。うさぎの耳のついたフードのある服を好み、いつもフードで顔を隠し、髪の毛もフードの中にしまっていることが多い。 日下生美桜の熱心なファンで、ひそかにストーキング行為を繰り返すほど美桜を想っている。そのため、美桜と親しいのぞみを快く思っておらず、京都府での強化合宿で、模擬レースの対戦相手にのぞみを指名する。競女選手としては、小柄な体格を生かしたトリッキーな戦い方を得意としており、「羽兎」の異名を持っている。元々は競女に関心がなく、両親の強い勧めによって瀬戸内競女養成学校を受験した。 しかし、試験会場で出会った美桜に一目惚れし、彼女のような人間の傍にいられるなら、という理由で競女に楽しみを見出すようになった。なお、当初は美桜のことだけを特別視していたが、次第にのぞみにも関心を抱くようになる。出身地は奈良県。
吉田 敦子 (よしだ あつこ)
神無のぞみの同期生で、瀬戸内競女養成学校に所属する21歳の女性。競女選手としてのタイプはインファイター。前髪をヘアバンドで上げて額を全開にしたパーマヘアをしている。クールで落ち着いた雰囲気だが、緊張するとお経を唱え始める癖があり、その度に周囲の人物を不気味がらせている。必殺技は、お尻に力を籠めることで、お尻を鋼鉄並みの硬さに変える「金剛尻」。 実家はお寺で、趣味は仏像を彫ること。出身地は京都府。
氏部 凪 (うじべ なぎさ)
瀬戸内競女養成学校で教員を務める元競女選手の女性。前髪を左寄りの位置で斜めに分け、胸のあたりまで伸ばしたロングヘアをしている。かなり太めの身体と、左目尻のほくろが特徴。かつては「賞金女王」と呼ばれるほどの優秀な競女選手で、美しい容姿に加え、戦う姿も華麗だったことから「ギリシャ神話の人魚のよう」と評され、ファンからは「セイレーン」と呼ばれていた。 しかし、現在は見る影もなくすっかり太って、本人すら「アザラシのよう」と認めるありさまになっている。指導者としては非常に厳しいが優秀で、特にのぞみのことは選手として自分と重なる部分があると考え、親身に接する。
北斗 瞳 (ほくと ひとみ)
瀬戸内競女養成学校で教員を務める34歳の女性。元A級競女選手でもある。前髪を左寄りの位置で分け、胸のあたりまで伸ばしたウェーブヘアを低い位置で1つに結んでいる。クールな雰囲気の容姿から相手に恐ろしい印象を与えがちだが、実は甘いものと子供が好き。現役時代は独自の技「連空天激破」を編みだし人気と勝利を集めたが、結婚と共に引退。 現在は養成学校の一般クラスで主に実技を教えている。
小早川 未来 (こばやかわ みく)
瀬戸内競女養成学校で教員を務める33歳の女性。元S級競女選手でもある。前髪を真ん中で分けて額を見せ、腰のあたりまで伸ばした癖のある金髪ロングヘアをヘアバンドでまとめ、外にはねさせている。また目が細く、いつも微笑んでいるように見える。穏やかな雰囲気だが教師としては厳しく、試験官として受験生たちを翻弄する。養成学校での主な担当教科は「尻学(しりがく)」。
白雪 京子 (しらゆき きょうこ)
瀬戸内競女養成学校の強化合宿で、特別に先生としてやってきた28歳の現役A級競女選手。競女選手としてのタイプはインファイター。前髪を左寄りの位置で斜めに分け、ストレートロングヘアをまとめて頭頂部でお団子を作り、残った髪を腰まであるポニーテールにした髪型で、髪の毛は、毛先に向かって黒から灰色に変わるグラデーションになっている。 クールで生真面目な性格で、礼儀を重んじ、何事にもきっちりと対応する人物。競女選手としては京都府の競女選手のなかでは現在最も期待される存在で、来年度にもS級昇格が確実視されているほどの存在。お尻や胸をミサイルのように用いた突進攻撃を得意としており、その戦闘スタイルから「京都のミサイルレディー」と呼ばれている。合宿において、神無のぞみたちインファイター選手の指導を行うことになり、のぞみの大きな弱点を指摘する。
坂城 真夜 (さかしろ まや)
駿河競女養成学校に所属する20歳の女性。競女選手としてのタイプはカウンター。前髪を目が隠れそうなほど伸ばし、腰のあたりまで伸ばした金髪ストレートロングヘアを赤いリボンカチューシャでまとめている。話す時は相手を問わず、敬語を使う。同期生のなかではナンバー2の実力を持ち、駿河競女養成学校の教育総責任者である坂城綾子は義理の母親にあたる。 元は孤児であったところを綾子の養子になる形で坂城家に引き取られたため、綾子に恩を感じるあまり、自分は常に優秀な競女選手でなくてはならないというプレッシャーに悩まされている。そのため、危機に陥ると、綾子に引き取られる前のつらい経験から生まれたもう1つの人格「坂城カヤ」が現れてしまう。普段はクールに振る舞っているが、ことわざに疎いという意外な弱点があり、「無礼千万」と言おうとして「無礼千倍」、「敵に塩を送る」と言おうとして「敵に尻を送る」と言ってしまうなど、ややとぼけた一面もある。
坂城 カヤ (さかしろ かや)
坂城真夜の中にあるもう1つの人格。競女選手としてのタイプはカウンター。肉体的には真夜と同一人物だが、周囲には別の人物として存在を認知されており、真夜をもしのぐ同期ナンバー1の選手として知られている。元々は坂城綾子に引き取られる前の真夜が、つらい経験から自分を守るために編み出した性格で、真夜の危機をきっかけに交代する形で現れ、真夜を守ることを最優先に行動する。 そのため、真夜とは対照的に残忍で容赦のない好戦的な性格をしており、男性のような口調で話し、一人称も「オレ」。「カヤ」という名は真夜自身によって名付けられており、「カゲの真夜」であることに由来している。
七瀬 奈美 (ななせ なみ)
駿河競女養成学校に所属する若い女性。競女選手としてのタイプはカウンター。前髪を目が隠れそうなほど伸ばし、後頭部の髪の毛だけを腰のあたりまで伸ばしたストレートロングヘアをしている。競女選手であるのに加え、歌って踊れるアイドル的存在を目指している、上昇志向の強いプライドの高い人物。本来は努力家で素直な性格だが、高飛車な発言が原因でトラブルを招くことが多い。 触覚を色として捉える共感覚を持っており、その能力を活かして相手の身体の状態を見抜き、特にお尻に向かって的確な攻撃をすることから「尻喰いの七瀬」と呼ばれている。
鳳凰院 早苗 (ほうおういん さなえ)
駿河競女養成学校に所属する若い女性。競女選手としてのタイプはアウトファイター。前髪を目が隠れそうなほど伸ばし、腰のあたりまで伸ばしたストレートロングヘアを白いカチューシャでまとめている。同期のなかではナンバー3の実力で、アウトファイターでありながらインファイター並みの爆発力も持つ、スピードとパワーを兼ね備えた優秀な選手。 凛とした落ち着いた雰囲気だが、周囲から「女性らしさに欠ける」と言われがちなことをひそかに気にしている。実家は鳳凰院財閥で、非常に裕福な家庭のお嬢様。
黒霧 綾瀬 (くろぎり あやせ)
駿河競女養成学校に所属する若い女性。競女選手としてのタイプはインファイター。前髪を右寄りの位置で斜めに分けて目が隠れそうなほど伸ばし、ストレートロングヘアを後頭部でまとめている。強力な自己暗示により、「精霊は実在する」「精霊によって自分は守られている」と思い込むことで筋肉強化を行い、自分のお尻を極端に硬くする「精霊尻」という能力を持っている。 趣味は占い。
室町 光 (むろまち ひかり)
駿河競女養成学校に所属する若い女性。競女選手としてのタイプはインファイター。前髪を左寄りの位置で斜めに分け、顎の高さで切り揃えたボブヘアをしており、仮面をつけて素顔を隠している。中性的な口調で話し、一人称は「僕」。「マジシャンズバスト」と呼ばれる特殊な胸を持ち、イリュージョンやマジックのような技を用いて相手を翻弄する。 また、その他にも、同期生の森本緑とのコンビネーション攻撃も得意としている、非常に器用な人物。
坂城 綾子 (さかしろ あやこ)
駿河競女養成学校の教育総責任者で、坂城真夜の義理の母親である中年女性。前髪を左寄りの位置で9対1で分け、顎の高さまで伸ばした癖のあるボブヘアをしている。ライバル校である瀬戸内競女養成学校のことは格下と捉えており、瀬戸内競女養成学校を潰して2校を統合すればよいと考えている。そのため瀬戸内競女養成学校の面々を見下し、駿河競女養成学校が彼女らを導いていくべきだと思っている。 孤児であった真夜を養子に迎えているが、ただ単に選手としての素質に優れていたというだけではなく、1人の人間として真夜自身のことを非常に大切に想っている。
東雲 愛 (しののめ あい)
競女兵庫支部に所属するB級競女選手。前髪を目の高さで切り、顎の高さで内巻きにしたボブヘアをカチューシャでまとめている。自分と同じ兵庫支部所属のプロ競女選手となった神無のぞみと宮田さやかを歓迎し、西宮競女場を案内する。のぞみとさやかのことは「革命児」と高く評価しており、プロとしての掟を教えたり、のぞみに桜木澄玲を紹介する。
赤松 水華 (あかまつ すいか)
競女兵庫支部に所属する25歳のB級競女選手。競女選手としてのタイプはインファイター。瀬戸内競女養成学校のOGでもある。前髪を左寄りの位置で分けて2対8にし、癖のある青緑色のロングヘアをポニーテールにしてまとめている。神無のぞみとはのぞみのデビュー戦の対戦相手として出会い、その後東雲愛と共に、のぞみや宮田さやかと一緒に練習をする仲になる。 ギャンブルが好きで、休日は競馬や競艇の観戦へ出かけることが多い。父親はランドの製造や整備、配送等を行ったり、レースの企画を考えることで競女選手の補佐を行う競女技師。愛からは「赤ちー」と呼ばれている。
桜木 澄玲 (さくらぎ すみれ)
競女兵庫支部に所属する26歳のB級競女選手。競女選手としてのタイプはインファイター。瀬戸内競女養成学校のOGでもある。前髪を左寄りの位置で分け、腰のあたりまで伸ばした紫色のストレートロングヘアを三つ編みハーフアップにしてまとめている。クールで不愛想な性格だが、お嬢様育ちのために世間知らずで、カップ麺を珍しがってテンションが上がるなど可愛らしい一面もある。 かつては明るく輪の中心にいるタイプだったが、姉妹関係にあった市川梨子の故障と引退により心を閉ざし、別人のように冷たい雰囲気になってしまった。お尻で相手の身体を捕らえる関節技を得意としており「氷のお嬢様」の愛称で知られている。
市川 梨子 (いちかわ りこ)
元S級競女選手で、桜木澄玲の姉師匠にあたる若い女性。前髪を一房だけ残して上げて額を全開にし、腰のあたりまで伸ばしたストレートロングヘアを低い位置で1つに結んでいる。練習中に負った尻筋断裂症という怪我が原因で、お尻に力が入らなくなってしまい、競女選手を引退。現在は車椅子に乗って生活しながら、弁当屋で働いている。 気さくな明るい性格で、澄玲とは引退後も親しく、神無のぞみと姉妹関係を結ぶのに不安を感じている澄玲にアドバイスをする。
武藤 刃 (むとう じん)
B級競女選手の若い女性。競女選手としてのタイプはアウトファイター。銀夜萌子とは姉妹関係を結んでおり、萌子の妹選手にあたる。目が隠れそうなほど伸ばした前髪を外に向かってはねさせた、群青色の内巻きボブヘアをしている。恐ろしく高圧的なキャラクターで知られる「ヒール系選手」だが、実際は真面目で礼儀正しい性格。自身のことを無個性だと捉えており、本来の人柄を隠して活動している。 出身地は千葉県。
銀夜 萌子 (ぎんや めいこ)
競女千葉支部に所属するA級競女選手の若い女性。競女選手としてのタイプはインファイター。武藤刃とは姉妹関係を結んでおり、刃の姉師匠にあたる。前髪を目の高さで切り揃え、顎の高さで切り揃えた銀髪ボブヘアをしている。語尾を伸ばした口調で話すのが特徴。お尻で起こす振動技を得意とする「吸尻姫(きゅうけつき)」として知られており、実力だけならS級選手と言われているが、素行が芳しくなくA級にとどまっているトラブルメーカー。 桜木澄玲に強い関心を抱き、市川梨子の引退により沈んでいた澄玲のことをもどかしく思っていた。澄玲が神無のぞみと新たに姉妹関係を結んだと知り、昔のような意欲を取り戻したのではと期待して勝負を挑んでくる。
表西 太一 (おもてにし たいち)
神無のぞみの幼なじみで、兵庫県神戸市立新港高校に通う2年生の男子生徒。前髪を眉上で短く切り、寝癖のようなやや癖のある短髪ヘアをしている。のぞみのことは「のぞ姉」と呼び慕っており、いつも応援している。しかし競女の厳しい世界を目の当たりにし、お金のために競女選手を目指すのぞみを案じている。ひそかにのぞみを想っているが、彼女にはいまひとつ伝わっておらず、苦労することも多い。
小林 (こばやし)
兵庫県神戸市立新港高校で教師を務める中年の男性。前髪を上げて額を全開にした、撫でつけ髪をしている。眼鏡と高い鼻が特徴。神無のぞみのことを新体操選手として育てたいと考えており、有名なコーチのいる神戸体育大学への進学を勧めていた。しかしのぞみが競女選手を志望していると知り、競女の世界の厳しさを伝えるため、のぞみと表西太一と共に競女場へ行くことになる。 実は競女ファンで、賭博をしに競女場へ訪れることも多いため、ルールには詳しい。生徒たちからは「小林先生」を略して「コバ先」と呼ばれている。
黒岩 静子 (くろいわ しずこ)
神無のぞみと宮田さやかが、西宮競女場で出会った24歳のC級競女選手。競女選手としてのタイプはカウンターファイター。前髪を目が隠れそうなほど伸ばし、顎の高さまで伸ばしたボブヘアを外にはねさせて、ハンチング帽を被っている。競女レース体験会で知り合ったのぞみとさやかの実力を見抜き、特別に案内して試合の解説をするなど手厚く指導する。
松本 めい (まつもと めい)
神無のぞみと宮田さやかが、関西競女養成場入学試験受験時に出会った20歳の女性。前髪を目の上で切りそろえ、ロングウェーブヘアを高い位置でポニーテールにしてまとめている。競女選手を目指しているもののなかなか合格に至らず、今年度がラストチャンス。そのため精神的に追い詰められており、合格のために知恵と策略を張り巡らせている。 能天気なのぞみのことを快く思っておらず、自身の合格のために利用しようとする。
仲 さゆり (なか さゆり)
神無のぞみと宮田さやかが、関西競女養成場入学試験受験時に出会った25歳の女性。前髪を上げて額を全開にし、後頭部で1つのお団子にしてまとめている。穏やかで落ち着いた性格で、年齢も手伝い、試験中のぞみとさやかの姉のような存在となる。元レディースの頭という経歴を持ち、怒ると非常に怖い。レディース時代に出会った夫との間に一児をもうけたが事故で夫を亡くし、現在はシングルマザー。 女性が1人で稼げる職業に就くために競女選手を志した。趣味はツーリング。出身地は兵庫県。
橋本 美歩 (はしもと みほ)
神無のぞみと宮田さやかが、関西競女養成場入学試験受験時に出会った22歳の女性。前髪を目が隠れそうなほどの伸ばし、胸のあたりまで伸ばした赤毛の巻き髪ロングヘアをしている。丁寧なお嬢様口調で話す。レスリングでは全国優勝を果たすほどの実力者で、常に強気な態度を取っているが、実際は非常に気が小さくメンタルが弱い。受験中も不正や問題行動による失格を恐れており、入浴中に起きたトラブルへの対処について、のぞみたちと対立する。 趣味はアロマキャンドル集め。出身地は広島県。
闇雲 幸子 (やみくも さちこ)
神無のぞみと宮田さやかが、関西競女養成場入学試験受験時に出会った17歳の少女。前髪を目が隠れそうなほど伸ばし、胸のあたりまで伸ばした癖のある群青色のロングヘアをツーサイドアップにしている。逆十字のヘアアクセサリーが特徴。「幸子」と「貞子」で名前が似ているのと、恐ろしい雰囲気の容姿がホラー映画『リング』に登場する「貞子」を連想させることから、周囲からは「貞子」と呼ばれている。 さやかとは元柔道選手同士であるため、さやかが以前オリンピック出場選手選考時に起こしたある事件のことも知っている。そのためさやかのことを強く憎んでおり、試験中、さやかや、さやかと親しいのぞみ、仲さゆりのことを妨害しようとする。UFOやUMA、オーパーツといったオカルト系の話題が大好きだが、霊感は一切ない。 出身地は京都府。
その他キーワード
競女 (けいじょ)
2003年の法改正により誕生した、女性選手のみで行う水上のギャンブルスポーツ。プールに設置された「ランド」と呼ばれるステージの上で行われ、選手たちは場内で転倒するか、場外へ落水すると失格となる。「手足は使わない」ことがルールのため、選手たちは主に胸やお尻を用いてぶつかり合って戦う。競馬・競輪・競艇に並ぶほどの人気を持ち、選手は実力次第で高額の賞金を稼ぐこともできる。 しかしギャンブルという性質上観客からの罵声やプレッシャーに耐える強靭なメンタルが必要とされるうえ、水上スポーツ特有の水で滑ったことによる大怪我や、落水で溺れたり、窒息する危険性も伴うハードな競技でもある。階級は実力で区分され、上からS、A、B、Cの4階級がある。また、選手は大きく分けて3種類に分類され、接近戦を得意とする「インファイター」、スピードを活かし、相手との間合いをはかりながら戦う「アウトファイター」、相手の攻撃を利用して自分の一撃を当てることに重点を置く「カウンター」がある。
姉妹 (すーる)
競女界において、師匠と弟子の関係にある競女選手のこと。主に、プロになりたてで無知な状態にある後輩選手を、先輩選手が助け、導くことを目的に組まれる関係。しかし、姉妹となった選手たちに実力差や体力差がありすぎる場合、合同練習中に怪我をし、姉側の選手生命が断たれたなどの事例もある。そのため、姉妹関係を結ぶ際は、多くの選手と交流をし、自分と合った相手を見極めて組むことが重要とされる。