不思議な少女との出会い
人生に行き詰まった定井は、死に場所を求めて、高知県にある辺世良波山の山奥に足を踏み入れる。そこで、今にも首をくくろうとしている少女を見かけた定井は、自殺を止めようとあわてて飛びつくが、少女は芋を干していただけだった。不思議な雰囲気をまとった少女、あえかは、山の大神に嫁いだが一度も大神の姿を見ることもなく、800年を生きているという。また、かつてその地にあった村も廃村となっており、あえかは150年を一人で過ごしていた。あえかの孤独な身の上に定井は涙を流し、あえかは定井の優しさに心を動かされる。こうして出会った二人は惹かれあい、第二の人生を歩み始めることになる。
死にそびれた男と不老不死の未亡人
定井は社畜として働く24歳のサラリーマンである。父が残した多額の借金を、母と二人で返しながら生きてきた定井だったが、3年前に母を亡くし、一人で頑張ることに耐えられなくなっていた。そんな定井は、高知の山奥であえかと出会い、数日間を孤独と無縁に暮らしたことで、彼女と共に暮らすことを願うようになる。一方あえかは、中学生ぐらいにしか見えないが、800年を生きる不死の女性である。山の大神に仕えるため嫁入りしたものの、村が廃れたため大神は去り、800年を後家として生きている。さらに最後の村人が亡くなってから150年間をたった一人で暮らしていた。そんなあえかは定井と出会い、自分のために真剣に行動したり、涙を流してくれたりする優しさに惹かれ、少女のように胸をときめかせる。相思相愛の二人は、紆余曲折を経て山奥で平穏なスローライフを楽しむようになる。
800年の人生で初めてのデート
定井が山に住むことになり、あえかは麓の町の人や定井の知人女性、栗原との交流の機会が増える。「結婚を考えている定井にどんな態度で接してよいかわからない」という相談を受けた栗原は、とりあえずデートを提案し、あえかに今風の服装をプレゼントする。かわいい服を着て初デートに臨んだあえかは、カルチャーショックを受けながらも、数々の初体験に大はしゃぎ。無為に過ごした800年間を取り戻すかのように青春を謳歌する。高知市内から桂浜を訪れた二人は、あまりの楽しさに時間を過ごしてしまい一泊することになった。そんな幸せな日々を過ごす二人だが、避けては通れない問題があった。それは、やがて定井が不老不死のあえかを残して、亡くなってしまう定めにあること。その事実を直視したくないため、定井はあえかの不老不死の秘密に触れることができなかった。
登場人物・キャラクター
定井 光臣 (さだい みつおみ)
24歳の男性。長身とメガネが特徴。父が事業に失敗して失踪した後は、母子家庭で暮らす。母と二人で父が残した借金を返済していたが、3年前に母を亡くす。ブラック企業で社畜として働いていたが、孤独に耐えきれず、自殺するために東京から高知県の山奥を訪れる。そこで不老不死の女性、あえかと出会い恋に落ち、共に暮らすようになる。借金は、大学時代の恩師が、業者の違法な取り立てを指摘してくれたことと、あえかにもらった希少な香木が高値で売れたことで消滅した。
あえか
高知県の辺世良波山にある廃村に住む女性。シミーズ(キャミソール)の上に桃色の着物を羽織り、細くて赤い帯を胸の前で蝶結びにしている。中学生ぐらいにしか見えないが、800年を生きている不老不死の女性。山の大神に仕えるため嫁入りしたが、一度も会わないまま大神は去り、後家となった。言葉遣いは古風で一人称は「妾(わらわ)」。山の幸を使った滋養に満ちた料理が得意。最後の村人を看取ってから150年ぶりに人間、定井に会い、その優しい気性に惚れる。
書誌情報
アエカナル 全4巻 KADOKAWA〈電撃コミックスNEXT〉
第1巻
(2021-01-27発行、978-4049136289)
第2巻
(2021-07-27発行、978-4049138825)
第3巻
(2022-02-26発行、978-4049142396)
第4巻
(2022-09-26発行、978-4049145991)







