四者四様の恋愛模様
本作は、ふつうの女子高校生の光を中心とする、四人の高校生が織り成す恋愛模様や友情をテーマにしている。物語は群像劇風に進み、序盤は光の視点で物語が進行する。また、四人の高校生たちは身近な人物に恋をしているものの、いずれも一方通行であることが本作の特徴となっている。四人の過去と恋の矢印の先を追いながら、恋と友情のあいだで揺れる少年少女たちの、切ないラブストーリーが見どころになっている。
片思い高校生たちの青春群像劇
女子高校生の光は何もかもが平凡なで、一重まぶたなことにコンプレックスを抱いている。光は自らが恋愛とは縁遠いことを自覚し、親友の麻里のために、彼女とお似合いな男子を探す日々を送っていた。そんな光が密かに思いを寄せている、クラスのムードメーカー的存在の野球少年、慎太郎は、麻里に片思いをしていた。しかし麻里は、読書感想文を褒めてくれた松平先生に片思いしている。そして慎太郎の友人であるひかるも、密かにある人物に片思いしている。
それぞれの恋の矢印が明らかになる
光、慎太郎、麻里の三人は当初から片思いの相手が明かされているが、ミステリアスな人物として描かれることが多かったひかるは、片思いの相手が中盤まで不明なまま物語が進行する。その後、ひかるが思いを寄せる相手や、謎に包まれていた彼の過去も明らかになる。また麻里の思い人であり、光の部活の顧問でもある国語教師の松平を掘り下げるストーリーも展開される。
登場人物・キャラクター
森 光 (もり ひかり)
とある高校に通う1年生の女子。大谷慎太郎のクラスメイト。吹奏楽部に所属している。年齢は15歳。身長157.6センチで、体重51キロ。一重まぶたで、黒髪をショートボブヘアにしている。小学校からの親友、高橋麻里を大切に思いつつ、極度の人見知りの麻里がどんな相手と恋愛すれば面白い物語が生まれるかを、つねに想像している。慎太郎が麻里に思いを寄せていると知り、麻里の恋愛相手は彼が適任ではないかと考えるようになったが、森光自身も慎太郎に恋愛感情を持ち始める。麻里からは「ぴぃちゃん」と呼ばれている。
大谷 慎太郎 (おおたに しんたろう)
森光と同じ高校に通う1年生の男子。光のクラスメイト。年齢は15歳。茶髪のベリーショートヘアを右分けにしている。表情豊かで、クラスの中ではいじられ役となっている。高橋麻里に片思いしており、極度の人見知りである麻里と面と向かって話すために、光や友人の朝霧を交えて交友を深めようとしている。麻里のことを「1000年に一度の天使」と賞賛しており、朝霧や光の協力を得て、麻里の笑顔をよく見られる立ち場となったことを非常に幸運だと考えていた。しかし、麻里が休み時間に足繁く国語準備室に通っているのを目撃し、教師に片思いしているのではないかと胸騒ぎを覚えるようになる。
高橋 麻里 (たかはし まり)
光と同じ高校に通う1年生の女子。光のクラスメイトにして親友であり、ウェーブのかかった明るい茶髪をセミロングヘアにしている。清楚可憐(せいそかれん)な美少女ながら極度の人見知りで、光以外のクラスメイトとはまともに会話をしたことがない。国語担当で吹奏楽部顧問を務める男性教師の松平に好意を寄せている。
朝霧 ひかる (あさぎり ひかる)
光と同じ高校に通う1年生の男子。光のクラスメイトで、濃い茶髪をショートヘアにしている。慎太郎と仲がよく、悩みの多い彼の相談に乗っている。ミステリアスな雰囲気を漂わせており、学年で一番モテている。眉目秀麗で文武両道ながら、密かにある人物に片思いしている。
書誌情報
きみの横顔を見ていた 4巻 講談社〈講談社コミックス別冊フレンド〉
第1巻
(2022-09-13発行、 978-4065291566)
第2巻
(2023-02-13発行、 978-4065305744)
第3巻
(2024-02-13発行、 978-4065346426)
第4巻
(2024-08-09発行、 978-4065366141)