概要・あらすじ
夏の高校野球埼玉県大会。法宮高校野球部の拝郷ナツは、1年生ながらエース的存在であった。ナツの祖父の拝郷正也は、60年前に部員9人だった野球部を、甲子園初出場初優勝に導いた伝説の剛腕投手。ナツは、病床に臥(ふ)せる祖父に、自分が甲子園出場する姿を見せたいという強い想いを抱いていた。そしてついに迎えた県大会の決勝戦。大胆かつ冷静なピッチングで試合を有利に運び、勝利まであと1イニング、アウト3つというところまで迫った。しかし、突然の雷雨で試合は中断。バックヤードで再開を心待ちにするナツだったが、凄まじい稲光と衝撃が球場を襲う。落雷のために、停電が起きたようで、あたりは真っ暗。そんな中、試合終了のサイレンが鳴り響いた。あわててドアを開けてグランドに飛び出したナツが見たものは、古い設備のこじんまりとした球場だった。そこにいた法宮高校野球部マネージャーを名乗る女子によると、「今」は1959年7月17日だという。ナツは60年前にタイムスリップしていたのだ。信じられない気持ちで法宮高校に戻ったナツは、古びた木造校舎を前に、茫然自失状態であった。そこに、ナツの祖父である、60年前の拝郷正也が現れた。正也はナツを、戦争で行方不明だった弟だと思いこむ。こうして二人は出会い、やがて甲子園優勝を目指す事になるのであった。