アバンチュール21

アバンチュール21

西谷イサミは、かつて成層圏旅客ロケット「ルナパーク」第一号の事故で両親を失った。両親を奪われた過去に立ち向かうため、手術により人間並みの知能を手に入れたウサギのミミ(耳男)と共に、地球貫通列車「ルナパーク」第三号の乗組員となって地底探険に挑むイサミの姿を描く。「少年少女新聞」に1970年4月5日号から1971年4月18日号まで掲載された作品。

正式名称
アバンチュール21
ふりがな
あばんちゅーるにじゅういち
作者
ジャンル
その他SF・ファンタジー
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概要・あらすじ

世界初の成層圏マンモス旅客機「ルナパーク」第二号。設計者であるサリバンの娘、カーラ・サリバンは、機内で奇妙な少年と出会う。彼は3年前に起きた「ルナパーク」第一号の大爆発事故で両親を失った西谷イサミだった。イサミがいつも連れているウサギのミミは非常に高い知能を持っており、イサミの命令によりカーラにちょっとしたいたずらを仕掛ける。

それを目撃していたフランケンシュタイン博士から、ミミの知能をさらに高める改造手術をしたいと頼まれ、イサミは断るが、イサミの役に立ちたいミミは自ら博士のもとに赴き、手術を受けてウサギ人間の「耳男」として生まれ変わった。一方でイサミは、「ルナパーク」に両親を奪われたトラウマに立ち向かうため、新たに開発された「ルナパーク」第三号のテストパイロットになることをサリバンに勧められていた。

そしてイサミと耳男、カーラは地球貫通列車「ルナパーク」第三号の乗組員として地底探検へと出発する。しかしサリバンは、彼らを含めた乗組員たちのなかに、地底探査計画の妨害を目論む国から送られたスパイが紛れ込んでいると告げる。疑心暗鬼にかられながらも地球の内部へと潜っていく一行は、そこでいくつもの層になった地下世界を発見する。

数々の困難に立ち向かいながら地底探険を進めていくイサミは、冒険の終盤、ついに正体を現したスパイに対峙する。

登場人物・キャラクター

西谷 イサミ (にしたに いさみ)

成層圏旅客ロケットの「ルナパーク」第一号に起きた大爆発事故によって両親を失った少年。3年後、改良された「ルナパーク」第二号にペットのウサギ、ミミと一緒に乗り込み、ルナパークの設計者であるサリバンの娘カーラ・サリバンと出会って両親を奪った「ルナパーク」に復讐したいと語る。しかしサリバンからそのトラウマを克服するためにも、新しく設計した地球貫通列車「ルナパーク」第三号のテストパイロットになるよう誘われ、乗組員になることを決意する。 ウサギ人間に改造されて「耳男」として生まれ変わったミミとは固い信頼関係で結ばれており、地底探検で訪れるピンチを協力して切り抜ける。

ミミ

元々は西谷イサミに飼われていたペットのウサギだったが、科学者だったイサミの父親が行った実験により、通常のウサギよりかなり賢く、人間の4歳児並みの知能を持つに至っていた。それに目を付けたフランケンシュタイン博士に改造され、人間並みの知能と、二足歩行できる脚を持つウサギ人間の「耳男」として生まれ変わった。最初は言葉を話すこともできなかったが、不治の病を患っている少女さゆりと出会い、言葉を教えられた。 亡くなる間際のさゆりに、自分の代わりにやれなかったことをやってほしいと願いを託され、人間として生きようと努力する。「ルナパーク」第三号の乗組員になってからは、イサミやほかの乗組員をサポートするべく懸命に働く。危険を察知する予知能力を持っている。

カーラ・サリバン (かーらさりばん)

サリバンの娘。西谷イサミと出会い、両親を奪った「ルナパーク」に復讐したいなら、地球貫通列車「ルナパーク」第三号のテストパイロットになるように勧めた。自身も乗組員として地底探検に参加する。

サリバン

「ルナパーク」の第一号から第三号までの設計者。第一号の事故で多くの乗客が命を落としたことに胸を痛めており、この事故で両親を失った西谷イサミにも直接謝罪した。新たに設計した地球貫通列車「ルナパーク」第三号のテストパイロットになってくれるよう、イサミに依頼する。地底列車を設計したことで、地下に軍事基地を作っている国々から、計画を妨害するべく命を狙われている。 某国のスパイが乗組員に紛れているという情報を得て、イサミに警告を与える。

フランケンシュタイン博士 (ふらんけんしゅたいんはかせ)

有名な怪物を作ったフランケンシュタイン博士を先祖に持つと語る、動物の整形手術を専門とする博士。高い知能を持つミミに目を付け、人間化する改造をしようと目論む。西谷イサミには拒絶されるが、人間になることを望むミミが自ら博士のもとを訪れたことで、手術を施した。「耳男」として生まれ変わったミミをしばらく預かって教育する予定だったが、脱走されてしまう。 逃げてきた耳男をかくまい、言葉を教えていた少女さゆりから死の間際に耳男を託され、イサミのもとへ連れて行く。

さゆり

現代医学では治せない病気に罹り、入院している少女。ミミ(耳男)を人形と間違えた母親から、プレゼントとして渡された。耳男が言葉を話せることを知り、先生になって言葉だけでなくさまざまなことを教える。自分がもうすぐ死ぬことを知っており、自分ができなかったことをしてほしいという望みを耳男に託す。

ハム・エッグ (はむえっぐ)

地球貫通列車「ルナパーク」第三号の乗組員の一人で、機長を務める。ミミに対して良い感情を持っておらず、人間として認めていない。狡猾で残忍な性格であり、地底の第一層で出会った地底人の子供を地上に連れ帰るため、その仲間の地底人たちを殺そうとした。さらに地底の第二層に住む昆虫人にそそのかされ、宝石をもらう代わりに乗組員たちを裏切り、「ルナパーク」を差し出そうとする。

ナヒム

地球貫通列車「ルナパーク」第三号の乗組員の一人で、技師としても働く。冷静で穏やかな性格で、年下の西谷イサミやカーラ・サリバン、ミミのことを何かと気にかけている。仲間思いでもあり、ピンチに陥った時にも自分より仲間を助けることを優先する。

ヘルマン

地球貫通列車「ルナパーク」第三号の乗組員の一人で、測量と記録を担当。ハム・エッグ機長と同様にミミに良い感情を持っておらず人間として認めていないが、ハム・エッグとも仲は悪く、いがみあってはナヒムに仲裁されている。その一方で論理的思考の持ち主であり、分析能力が高い。

鬼っ子 (おにっこ)

地底の第一層に住む鬼のような姿をした地底人の子供で、牙と尖った耳、尻尾を持っている。第一層の調査に出かけた西谷イサミやナヒム、ミミ(耳男)と出会い、奇妙な虫に刺された耳男を助ける。なお、第一層には他に植物も動物もいないため、地底人たちは生きるために共食いをする性質を持つ。

女王 (じょおう)

地底の第二層に住むアリのような姿をした昆虫人の女王。まさしく女王アリのように巨大な体を持ち、卵を産み続けている。昆虫人はテレパシーを使って会話をし、念力で物を動かすことができる。地球貫通列車「ルナパーク」第三号が地底を探検するために来たと聞いた際には、逆に自分たちの軍隊を地上に送って侵略しようと考え、宝石を与える代わりに「ルナパーク」を引き渡すという取引をハム・エッグと結ぶ。 ミミを気に入り、召し使いにしようとした。

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