英雄、アレクサンダーの青春を描いた歴史ロマン
本作は、幼少期から圧倒的なカリスマ性を持つ英雄、アレクサンダーの生涯と伝説をテーマにした歴史漫画で、主な舞台はギリシア北西部にある小国「マケドニア王国」。物語は、少年時代のアレクサンダーがヘファイスティオンやサーヌといった仲間たちと出会い、成長していく様子と、彼が新たな王として大きな理想を抱き、さまざまな試練に立ち向かう青年時代の姿が歴史ドラマとして展開される。物語の序盤では、ヘファイスティオンの視点からアレクサンダーの人柄や活躍が描かれ、彼はアレクサンダーの少年時代から側で支え続ける重要なキャラクターであり、本作の語り部とも言える存在でもある。
運命の出会いとサーヌとの恋愛模様
紀元前4世紀、マケドニア王国の第1王子として生まれたアレクサンダーは、昔の落馬事故をきっかけに人の心を読む能力を得たヘファイスティオンと出会う。アレクサンダーはヘファイスティオンの不思議な力に感銘を受け、彼を盟友として迎え入れる。さらに、アレクサンダーはヘファイスティオンだけでなく、多くの友人や仲間に慕われ、他国の人々の心をも惹きつけるカリスマ性を持っていた。そんなアレクサンダーの噂を聞き、新たな主君を求めてロードス島からやってきたサーヌが現れる。サーヌに興味を抱いたアレクサンダーは、快く彼女を新たな仲間として迎え入れる。やがてアレクサンダーは、悲しい過去と気高い強さを持つサーヌに惹かれていき、この二人の出会いと恋は、のちの歴史に大きな影響を与えることになる。
仲間と共に理想の王国を目指す
誇り高き女戦士、サーヌとの出会いをきっかけに、アレクサンダーは彼女が語った「誰も苦しまず、誰も虐げられない国」を作るという理想を抱くようになる。そんな中、新たな戦地へ向かおうとするサーヌを覆う「死の影」に気づいたヘファイスティオンは、彼女に戦いを避けるよう忠告する。しかし、自分に死が待ち受けようともアレクサンダーを見捨てられないサーヌは、彼と共に戦うことを選び、その最中に重傷を負ってしまう。サーヌが死の間際に残した言葉を胸に、アレクサンダーは理想の王国を築くために突き進む。だが、サーヌにそっくりな女性との出会いや別れを繰り返しながら奔走するアレクサンダーは、彼の夢を阻もうと国内外で蠢(うごめ)くさまざまな陰謀や激化する戦いに翻弄されることになる。
登場人物・キャラクター
アレクサンダー
マケドニア王国の第1王子。金髪のロングヘアを持つ美少年で、聡明かつ勇敢な性格をしている。身分を問わず人々の心を惹きつける天性のカリスマ性と魅力を兼ね備えている。不思議な力を持つ盟友、ヘファイスティオンを「もう一人の王」と称え、忠臣の一人として迎え入れた。また、不思議な力の影響で精神が不安定になりがちなヘファイスティオンの支えとなっている。やがて、軍に加わった傭兵の女性、サーヌを愛するようになる。父王のフィリッポス2世が暗殺されたことを契機に、19歳で王位を継承することになる。実在の人物、アレクサンドロス3世がモデル。
ヘファイスティオン
アレクサンダーの盟友の男性。幼少期に落馬事故に遭ったことをきっかけに、人の心の声を聞くことができる不思議な力に目覚めた。また、死期の近い人間の周囲に黒い霧のような「死の影」を見ることもできる。アレクサンダーと出会った際、意図せず力を使ってしまうが、彼はその力を恐れず、「ゼウスの力だ」と称賛し、ヘファイスティオンを頼りにするようになる。一方のヘファイスティオンも、アレクサンダーの偉大さと寛大さに心酔し、彼に対して絶対的な忠誠と友情を誓う。アレクサンダーを守るために力を振るう中で、彼の能力はさらに強化されていく。実在の人物、ヘファイスティオンがモデル。
サーヌ
ロードス島で傭兵として働く女性。アレクサンダーのカリスマ性に魅了され、仲間たちと共に彼の軍に加わり、兵士として戦う道を選んだ。艶やかな黒髪のロングヘアで、美しさと気高さを兼ね備え、その佇まいは凛としている。しかし、女性であるがゆえに虐げられてきた過去から、現実的で厳しい思考を持つ一面もある。当初はアレクサンダーを子供扱いしていたが、彼の器の大きさや理想に触れるうちに、次第に心惹かれていく。
書誌情報
アレクサンダー大王 ―天上の王国― 全1巻 KADOKAWA〈あすかコミックス〉
第1巻
(1998-10-14発行、978-4049247558)
アレクサンダー大王 ―天上の王国― 全3巻 小学館〈フラワーコミックス α〉
第1巻
(2009-06-10発行、978-4091325198)
第2巻
(2009-06-10発行、978-4091325204)
第3巻
(2011-05-10発行、978-4091338136)







