プランダラ

プランダラ

ある日突然、世界は「議会」が現れたことにより、すべてが数字に支配された。そんな世界で、天涯孤独な少女の陽菜=ファロウは、母親の遺言を受けて300年前に起きた「廃棄戦争」を終結させた、伝説の「撃墜王」たちを探す旅に出る。その旅の中、世界の秘密にせまっていく陽菜の姿を描いたバトルファンタジー。「月刊少年エース」2015年2月号から連載の作品。

正式名称
プランダラ
ふりがな
ぷらんだら
作者
ジャンル
バトル
 
ファンタジー
レーベル
角川コミックス・エース(KADOKAWA)
巻数
既刊21巻
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あらすじ

第1巻

アルシア歴305年。陽菜=ファロウは母親の遺言で、伝説の「撃墜王」と呼ばれる英雄たちを探す旅をすでに5年も続けていた。そんなある日、陽菜は町で見知らぬ男からお金をたかられて困っていたところを、ナナ=バスーラという女性に助けられる。田舎育ちの陽菜はこれまで知らなかったが、この世界の人間はカウントという、体のどこかに刻印された数字に支配されており、カウントの低い人間は自分よりもカウントの高い人間に逆らえず、さらにカウントが0になると「アビス」という謎の場所に送られてしまうことを知る。この事実を知って陽菜は、母親もまたアビスに送られた一人だと理解するが、その直後に伝説の撃墜王を名乗るダビが現れる。しかし、ダビは伝説の撃墜王などではなく「星奪戦(せいだつせん)」という方法で、陽菜のカウントを奪い取ることを目的にしていた。ダビにカウントをほぼすべて奪われた陽菜はアビス送りの危機に陥るが、そこに先ほど陽菜にお金を無心してきた男が現れる。彼こそが、伝説の撃墜王であるリヒトー=バッハで、あっさりダビを倒すと、奪われたカウントを陽菜に手渡す。

第2巻

陽菜=ファロウナナ=バスーラと共に、リヒトー=バッハを追いかけていた。しかし、ダビとの戦いでリヒトーの存在はアルシア王立軍にも知られるところとなり、リヒトーはお尋ね者となっていた。一方その頃リヒトーは、崖の町「ホムホゥ」にいたところをジェイル=マードック中尉に見つかり、襲われていた。リヒトーは自分のカウントの方が上であることから油断してしまうが、現場主義のジェイルはカウントの値を低く偽っており、実際にはリヒトーより高いカウントの持ち主だった。そしてリヒトーは拷問にかけられそうになるが、そこにリィン=メイ軍曹が割って入る。リィンはリヒトーと親しくしており、彼が悪人とは思えなかったのである。しかしジェイルはこれに応じず、町の発展を目指すリィンの姿勢までもを否定する。これに怒ったリヒトーは拘束を解き、ジェイルに謝罪をせまって彼を倒したうえで、ホムホゥから脱出。一方、ジェイルは任務に失敗こそしたものの、リヒトーの言葉によって考えを改め、リィンとペレ=ポポロ軍曹を連れてリヒトーの追跡を再開する。

第3巻

陽菜=ファロウナナ=バスーラは、リヒトー=バッハと再会するが、ジェイル=マードックリィン=メイペレ=ポポロの三人に追いつかれてしまう。その時、六人がいた町に突如大きな穴が開き、そこから「アビスの悪魔」と呼ばれる謎の飛行物体が現れて人々を襲撃。リヒトーはジェイルたちと協力してアビスの悪魔を撃ち落とそうとするが、その操縦者は子供だった。さらに、リヒトーの前にかつての部下であり、伝説の撃墜王の一人でもある園原水花が黒い軍服を着た人間たちと共に現れ、町にいた人々を殺し始める。リヒトーは水花たちを止めようとするが、水花はリヒトーがふだん殺人衝動を抑えていることを知っていた。リヒトーは他者の血を浴びると抑えがきかなくなり、別人のようになってしまうのである。こうして血を浴びせられたリヒトーは殺意に支配された別人格「シュメルマン」となり、水花に襲い掛かる。しかしここで、水花が実は薬物を打たれて強制的に別人格にされ、戦わされていたことが判明。水花はリヒトーに攻撃されたショックで正気を取り戻すが、戦意を喪失。これを知ったジェイルは、人々を守るために水花に代わってリヒトーに戦いを挑む。

第4巻

リヒトー=バッハは、ジェイル=マードックの手によって正気を取り戻す。一方、園原水花といっしょにいた黒い軍服の人間たちは、その場を去っていた。黒い軍服の人間たちが「アルシア王立軍」を名乗っていたことを不審に思ったジェイルは、王都「ノイエヴェルト」にいるアレクサンドロフ=グリゴローヴィッチ総司令から呼び出されたこともあり、アルシア王立軍の情報を収集する。アレクサンドロフによれば、アルシア王立軍には自分よりも上の存在「アルシア元帥府特別任務執行機関」通称「特務部隊」がおり、黒い軍服の人間たちこそが、この特務部隊なのだという。ジェイルはほかにも重要な情報を手に入れるが、その中でリヒトーとの関係を見抜かれ、さらに先日の戦いで軍紀を破ったことを指摘されてしまう。このままではリィン=メイペレ=ポポロも、ただでは済まないと判断したジェイルは、リヒトーの身柄を引き渡すことを条件に、二人を不問にする約束を取り付ける。その後、ジェイルはリヒトーたちの待つ隠れ家に戻り、リヒトーを連行すると宣言。しかし、それを止めに入ったナナ=バスーラが不思議な力を発動させ、陽菜=ファロウ、ジェイル、リィン、ペレの四人を300年前の世界に連れて行く。こうして四人は訳もわからぬまま、300年前の日本にある「第13特設軍学校」にたどり着き、過去のリヒトーや園原水花と共に、軍人として学校生活を送ることになってしまう。

第5巻

陽菜=ファロウたちは、ナナ=バスーラの力で300年前の日本へ行き「第13特設軍学校」の生徒として暮らすことになる。しかし、300年前のリヒトー=バッハは「坂井離人」という名前を名乗っているうえ、軍人になる気はまったくないようだった。そんなある日、陽菜たち1年A組の面々は、サバイバル訓練として山の中に放り出される。リヒトーはここでもやる気なさげにしていたが、クラスメートたちの軍人としての覚悟を知って反省。しかし、今後自分たちは殺人を犯さなくてはならないことで、重苦しい空気に包まれる。これを見ていたシュメルマン=バッハは、陽菜たちにある提案をする。それは、今後の訓練で敵よりも圧倒的に強い力を持ち、敵を殺さずに制圧する「殺さない軍隊」を結成することだった。以降、陽菜たちはこれを目標に掲げ、シュメルマンの指導のもと、訓練に励むようになる。しかし、リィン=メイだけは、この状況に違和感を覚えていた。それはリィンが先日、300年前のこの世界では、謎の機械「議会」の力によって、いっさいの戦争行為は禁じられたと学んだにもかかわらず、みんなが今後必ず戦争が起きると確信しているからだった。そんなリィンにクラスメートは、戦争行為が禁止されているのは来年の3月までで、4月からはまた戦争が始まると告げるのだった。

第6巻

「第13特設軍学校」の地下に潜入したある日、ジェイル=マードックは300年前のナナ=バスーラに出会う。ナナの正体はタイムトラベルの能力を持つ「識撃」の撃墜王で、ナナは300年後のナナから連絡を受け、二人は出会ったのである。そんなナナは、未来の自分から託されたデータをジェイルに渡す。そこには坂井離人、つまりリヒトー=バッハが300年前に撃墜王になるための手術を受けたあと、「閃撃」の撃墜王として廃棄戦争を終わらせたこと、その後永い眠りにつき、目が覚めたあとは手術の後遺症で年を取らなくなってしまったこと、そして同様の手術を受けているナナも年を取らなくなり、以来二人は300年以上の時を生きてきたことが記録されていた。こうして長い時を経て、リヒトーはアルシアという国そのものを憎むようになり、一人で軍部に戦いを挑もうとしていた。ナナはこれを止めようとしたがすでにそれは困難であり、過去を変えてリヒトーの手術そのものを阻止することで対処しようと、300年前の世界にジェイルたちを送ったのである。しかしジェイルとペレ=ポポロは、自分たちが手術を阻止し、リヒトーが廃棄戦争に参加しなくなった場合は廃棄戦争は終わらず、アルシア王国そのものが生まれなくなるのではないかと懸念。そんな中、陽菜=ファロウだけは、どうにかしてリヒトーを救う方法を探そうとしていた。

第7巻

10月のある日、リヒトー=バッハ撃墜王になる手術を受けていた。陽菜=ファロウは現在、自分たち1年A組の目標である「殺さない軍隊」を実現させ、1年A組が誰一人欠けず、リヒトーに人殺しさえさせなければ、すべてはうまくいくのではないかと考えていた。しかしリヒトーの手術中、突如「第13特設軍学校」を国連軍が襲い、校内は停電となる。陽菜たちは、来年の4月まで戦争は禁止されているはずなのにと驚くが、これは日本以外のすべての国が仕組んだウソだった。「議会」は秘密裏に可決し直され、国連軍は第13特設軍学校の地下にある、とあるものを狙ってやって来たのである。そこでジェイル=マードックたちは、リヒトーの安全を確保するために補助電源を起動させ、リヒトーの手術は無事終了。目を覚ましたリヒトーは、シュメルマン=バッハから受け取った大太刀を持って、襲われている仲間たちのもとへ駆けつける。しかし、敵はすでに校内に爆弾を仕掛けており、敵を殺さなければ爆弾を起動されてしまうと判断したリヒトーは、誓いを破って敵を全滅させる。この日から、リヒトーの大太刀には「仲間の代わりに敵を殺した数」がカウントされるようになる。

第8巻

リヒトー=バッハが初めて人を殺した瞬間を見たのを最後に、陽菜=ファロウたちは元の世界に戻される。そしてナナ=バスーラから、その後リヒトーと「第13特設軍学校」の面々に起きたことを知らされた。第13特設軍学校の教師たちは、リヒトーとナナ以外にも五人の撃墜王を生み出したが、リヒトーは最後まで一人で戦い、やがて全部で七つある「議会」の投票権である「オリジナルバロット」をすべて集める。これによってシュメルマン=バッハたち教官はアルシアを誕生させ、空に逃げる形でアルシア王国を建国。そして「カウント」というシステムを作り、かつての地上から食料資源を吸い上げ、カウントが0になった人間はアルシアからアビス、つまり地上へ落とすという方法で国を維持していたのである。こうして現在のリヒトーのもとに戻ったジェイル=マードックたちは、彼にナナが300年のあいだ秘密で書き残していた記録を見せ、リヒトーとナナの絆はまた一つ深まる。その後、リヒトーたちはしばらく休暇を取るが、ある夜陽菜はリヒトーから衝撃の事実を告げられる。陽菜の両親はリヒトーの元友人で、陽菜も300年前の世界で知り合った坂井時風と、その許嫁の月菜=ファロウだったのである。

第9巻

リヒトー=バッハは、アルシア王立軍からオリジナルバロットを奪うため、陽菜=ファロウたちを置いて王都「ノイエヴェルト」へ向かう。ジェイル=マードックはすぐにリヒトーを追いかけ、陽菜たちも遅れてノイエヴェルトへと向かう。しかしその途中で陽菜、リィン=メイペレ=ポポロの三人はリヒトーの死体を発見し、300年前の世界で会った撃墜王の一人である道安武虎シュメルマン=バッハに捕まってしまう。さらに陽菜がオリジナルバロットを持っていることを知った武虎は三人に襲い掛かるが、そこに園原水花が駆けつけ、リヒトーの死体に不自然な点があることを指摘する。これを聞いたリィンはもう一度死体を確認しに行くが、そのあいだに水花が武虎によって注射を打たれ、正気を失ってしまう。そして水花は以前と同じく別人格に心を支配され、陽菜たちの敵となって襲い掛かる。一方のリィンは、どうにかリヒトーのもとにたどり着いたものの、先ほど水花に撃たれた傷は深く、失血死しそうになっていた。しかし、リィンの必死の呼びかけでリヒトーは目覚め、ペレに手当てを頼んだのち、武虎に戦いを挑む。

第10巻

リヒトー=バッハ道安武虎に勝利する。そしてノイエヴェルトの特務部隊本部の奥にある「楽園の壁」と呼ばれる場所に、一ノ瀬らかつての1年A組のクラスメートたちがいるという情報を得る。しかしリヒトーは、300年前に亡くなったはずの彼らがなぜ生きているのかと困惑する。さらに先日、リヒトーは陽菜=ファロウに告白するが、その途端陽菜は自分たちの子供を作ろうと言って聞かず、リヒトーは頭を悩ませていた。そんな折、リヒトーと陽菜はジェイル=マードックナナ=バスーラに呼び出され、話し合いの結果、あと三つオリジナルバロットを集めてから「楽園の壁」を目指すことを決める。そこで四人は負傷中のリィン=メイと、ペレ=ポポロに留守番を頼み、ノイエヴェルトに潜入する。一方その頃ノイエヴェルトでは、国王のシャルル=デ=ベルクト=アルシア11世のもとに王国軍三大大将と、アレクサンドロフ=グリゴローヴィッチ総司令が集められていた。シャルルは現在アレクサンドロフが管理している三つのオリジナルバロットが、特務部隊に渡らないように自分に渡してほしいと考えていた。そこで二人は信頼できる誰かにわざと奪わせることを画策する。しかしそんな中、三大大将のロベール=ド=ヴァンヴィッヒは、シャルルと自分以外の三大大将を殺害し、アレクサンドロフはその罪を着せられてしまう。

第11巻

リヒトー=バッハアレクサンドロフ=グリゴローヴィッチから、三つのオリジナルバロットを受け取り、陽菜=ファロウの分と合わせて、過半数の四つとなった。しかしその直後、陽菜が特務部隊に刺され、さらに死んだはずの坂井時風が現れる。リヒトーは集めたオリジナルバロットを使って今度こそ「殺さない軍隊」を作ると時風に話すが、時風はリヒトーを敵と認識し、負傷した陽菜を自分が暮らすアビスへ無理やり連れて行くのだった。こうして陽菜はアビスで暮らすことを余儀なくされるが、そこは時風以外は子供ばかりという、奇妙な世界だった。その原因は食糧問題にあり、子供たちの親は口減らしのために自殺していたのである。陽菜はショックを受けつつも、時風が子供たちを救うためにリヒトーと対立し、アルシアを滅ぼそうとしていることを知る。その後1か月が経過したある日、陽菜は街で偶然、以前アルシアで知り合ったものの、アビス送りとなったペルモと再会する。ペルモはアビスでついに飛行機を完成させており、ペルモと共に陽菜は隠していた自分のオリジナルバロットを取りに行くが、それを時風に奪われてしまう。

第12巻

四つのオリジナルバロットをそろえた坂井時風は、「議会」を開会してしまう。これでアビスは、今後アルシアへ食料資源を送らなくてよくなり、カウントが0になった人間が、アルシアからアビスへ送られることもなくなった。さらに核の永久放棄も破棄され、アビスとアルシアの戦いが始まってしまう。その後、時風はアルシアを核兵器で脅し、その恐ろしさを理解できない人間には、50万を超える自分のカウントを見せることで恐怖心を抱かせていた。一方、陽菜=ファロウペルモと共にアルシアへ戻り、リヒトー=バッハたちと合流するものの、時風への対抗手段を見いだせずにいた。そこへ、特務部隊の大尉であるハーズ=ヴァールハイトが、リヒトーにアルシア王立軍へ戻ってほしいと依頼する。ハーズたちは、自分たちが所持する三つのオリジナルバロットと、陽菜の持つオリジナルバロットを合わせて過半数にした状態でもう一度議会を開くことで、再度核の永久放棄を可決しようと考えたのである。リヒトーはこの提案に応じて軍に戻り、特務上級大将として時風と戦うことになる。その直後、特務部隊本部を探索していた陽菜は、母親の月菜=ファロウがいた研究室に迷い込んでしまう。そこには月菜の作った新薬と、陽菜がここへたどり着くことを想定したメッセージが残されていた。陽菜はそのメッセージを聞いて核の永久破棄は決してしてはならないことを知り、急いでリヒトーのもとへ向かう。

第13巻

長らく謎のままだった七人目の撃墜王の正体は、ペレ=ポポロだった。ペレこそが特務部隊を束ねる特務上級大将で、その目的はリヒトー=バッハたちを殺すことだった。ペレの心を読む能力によってリヒトーたちはあっさり倒され、ペレはそのまま特務部隊と共に去って行く。一方その頃、アビスではシュメルマン=バッハたちが、坂井時風の家族を攻撃し始めていた。しかし、そこに中隊「ゲフェニングス」を率いたジェイル=マードックが到着し、手助けする。時を同じくして、ペレはリヒトーの大太刀を回収するが、それをシュメルマンに見つかってしまう。ペレはリヒトーたちを裏切っておらず、敵のふりをしてわざとアルシア王立軍の機密情報を明かすことで、リヒトーたちに情報を与えていたのである。そんなペレを危険視したシュメルマンは、別人格となっている園原水花にペレを殺させようとするが、水花はすでに薬物投与による別人格化を克服していた。ペレは水花にリヒトーの大太刀を託すとシュメルマンと戦い、敗北して建物から突き落とされるが、リィン=メイによって助けられる。一方の水花は敵に追いつかれ、絶体絶命の危機に陥ってしまう。

メディアミックス

TVアニメ

2020年1月より、TOKYO MX系列で本作『プランダラ』のTVアニメ版が放映された。監督は神戸洋行、シリーズ構成は鈴木雅詞、キャラクターデザインは高品有桂、福地友樹、福田裕樹が務め、リヒトー=バッハ役を中島ヨシキ、陽菜=ファロウ役を本泉莉奈が演じている。

登場人物・キャラクター

リヒトー=バッハ

「閃撃(せんげき)」の撃墜王の男性で、アルシア王立軍の元軍人。階級は大佐ながら、軍人であったことは隠している。坂井時風とは義理の兄弟で、月菜=ファロウの幼なじみでもあり、のちにシュメルマン=バッハの義理の息子となる。一見若い男性にしか見えないが、300年前に撃墜王になる手術を施された時から老化が止まっており、実年齢は300歳を超えている。前髪を目が隠れそうなほど伸ばして右寄りに分け、肩につくほどの白髪のウルフカットヘアにしている。ふだんはおかめやひょっとこのお面をかぶって、顔を隠している。カウントは自らの体と武器の2か所にあるバロットホルダーで、体のカウントは左手の甲にある。これは、女性にふられるたびに1減少するもので、陽菜=ファロウに出会った時点のカウントは-999だった。武器に付いたカウントは、愛刀の大太刀の刀身部分にある。こちらは陽菜に出会った時点で5700で、「仲間の代わりに敵を殺した回数」をカウントしている。また、こちらには数字の横に撃墜王の証である星のマークがある。左手の-999のカウントと、武器の5700のカウントを足すことでカウントがプラスになるため、アビス行きを免れている。撃墜王の証として、自分の中にある、本来のカウント以上の力を引き出すことができるが、その場合は別人格である「シュメルマン」に心を支配されてしまう。もともとは地上で暮らしていた日本人男性「坂井離人」だったが、時風を追って第13特設軍学校に入り、この時に手術を受けて撃墜王となる。また、これより少し前にシュメルマンの養子となった際に現在の名前に改めた。リィン=メイとペレ=ポポロに出会った時はプリンの着ぐるみを着ていたため、「プリン」と呼ばれている。心優しく親しみやすい性格ながら、女性全般が大好きでセクハラをすることもある。そのため、軽薄と誤解されがちだが、周囲からの信頼は厚い。実は300年前の廃棄戦争がきっかけで、アルシア王立軍に強い恨みを抱いている。

陽菜=ファロウ (ひな ふぁろう)

旅人の少女で、坂井時風と月菜=ファロウの娘。前髪を目が隠れそうなほど伸ばして左寄りに分け、毛先に向かって水色からピンク色にグラデーションのかかったストレートロングヘアを、横の髪の毛は垂らし、後ろの髪の毛は帽子に入れている。小柄で細身の体型ながら、胸が大きい。容姿が非常に月菜と似ている。カウントは「歩数」で、右の内ももに刻印されている。これは100キロ歩くごとに1増加し、リヒトーと出会った時点のカウントは441だった。ダビからカウントを奪ってからは760となる。おっとりした穏やかな性格で一見か弱そうに見えるが、実際は精神的に強く、長年一人旅をしている。アルシア歴300年のある日、アビス送りとなってしまった月菜から「10000」のカウントが刻印された黒い球体を受け取り、伝説の撃墜王を探すように遺言される。以来5年間旅を続けるが、球体の正体がオリジナルバロットであることは知らなかった。そんなアルシア暦305年のある日、ダビに騙されてカウントを奪われたところを、リヒトー=バッハに助けられ、彼こそが伝説の撃墜王であることを知る。同時に自分がオリジナルバロットを持たされていたことを理解し、自分を助けてそのまま去っていったリヒトーを、ナナ=バスーラといっしょに追いかけることになる。やがてリヒトーに思いを寄せるようになる。

ナナ=バスーラ

「識撃(しきげき)」の撃墜王の女性。アルシア王立軍の元軍人でもあり、階級は少佐。一見若い女性にしか見えないが、撃墜王になる手術を施された時から老化が止まっており、実年齢は300歳を超えている。前髪を目が隠れそうなほど伸ばして右寄りに分け、肩につくほどある白い髪の毛に、毛先に向かって青のグラデーションのかかったボブヘアにしている。左目尻にほくろが一つあり、スタイル抜群で胸が大きい。カウントは「自分が作った食事をおいしいと言ってもらった数」で、1回おいしいと言われるたびに1増え、逆にまずいと言われると1減ってしまう。陽菜=ファロウと出会った時点のカウントは77だった。気さくで面倒見のいい性格をしている。300年ほど前のある日、シュメルマン=バッハたちにさらわれて「撃墜王計画」の被検体にされ、「7号被検体」と呼ばれるようになる。そしていっしょにさらわれた仲間のうち、唯一の成功例として、最初の撃墜王となった。この時にタイムトラベルの能力を獲得するが、手術が不完全であったために、やがて自分が永い眠りにつくことを察知。そんなある日、300年後の自分から連絡を受け、300年後の自分の力によって送られてくる陽菜たちに協力することとなる。陽菜とはアルシア暦305年、陽菜がリヒトー=バッハに絡まれて困っていたのを助けたことがきっかけで知り合った。

ジェイル=マードック

アルシア王立軍に所属する軍人の若い男性で、階級は中尉。アレクサンドロフ=グリゴローヴィッチの義理の息子で、中隊「ゲファングニス」の隊長も務めている。前髪を髪の毛全体を真上に立てた、ブルーグレーの短髪にしている。前髪の前に垂らした一筋だけ黒髪で眉が太く、眼鏡を掛けている。カウントは「自分の信念を貫いて行動した回数」でリヒトー=バッハに出会った時点のカウントは12500だった。このカウント方法と、まじめでクールな性格であることから、いつでも鉄の信念を貫く人物として「“アイアン”ジェイル」の二つ名がついた。孤児で、アレクサンドロフに育てられた。アルシア暦305年のある日、リヒトーの存在を知り、バロットホルダーであるリヒトーを軍の命令で追い、戦うことになる。しかしここでリヒトーが、カウントがさほど高くないにもかかわらず軍に目を付けられていたり、彼がアルシア王立軍で習う格闘術を扱えたりすることに、違和感を覚える。そこで個人的にもリヒトーに関心を持ち、300年前に起きた出来事を知ることとなる。女性に免疫がなく、誤ってリィン=メイの裸を見てしまった時は平静を装っていたが、すぐに鼻血を出して倒れてしまう。

リィン=メイ

アルシア王立軍に所属する軍人の若い女性で、階級は軍曹。崖の町「ホムホゥ」を、部下のペレ=ポポロと共に担当している。肩につくほどの焦げ茶色のボブヘアに、両耳の上の髪の毛だけ色が水色になっている。明るく面倒見のよい性格で、カウントも「人助けをした回数」となっており、軍服の胸に付いたバッチでも、現在のカウントが確認できる。これは些細な人助けでは増加せず、非常に困っている人、不幸な人を助けないと増えない。リヒトー=バッハに出会った時点のカウントは410だった。ホムホゥの人たちにも慕われており、子供から老人まで誰とも仲がいいが、惚れっぽいのが玉に瑕。格闘戦に秀でており、特に蹴り技が得意。しかし軍服がミニスカートであるため、蹴り技を繰り出すと下着が見えてしまうことに悩んでいる。そこで、昇進すれば自由な服装を着ることができると考え、日々まじめに働いていた。そんなアルシア暦305年のある日、ホムホゥを訪れたリヒトーに出会う。これがきっかけでリヒトーが現在指名手配中の撃墜王であることを知り、捕えようとするが、その最中で彼の人柄を知って恋に落ちる。以降はリヒトーを追い続け、やがて彼の仲間となった。特技は肩を揉むことで、その技術はジェイル=マードックにも認められている。

ペレ=ポポロ

「心撃(しんげき)」の撃墜王の男性。アルシア王立軍の特務部隊に所属する軍人でもあり、階級は上級大将。本名は「ゲシュペンス=ゼレーゲン」だが、ふだんは素性を偽り、リィン=メイの部下の軍曹「ペレ=ポポロ」と名乗って暮らしている。崖の町「ホムホゥ」を、リィンと共に担当している。一見若い男性にしか見えないが、撃墜王になる手術を施された時から老化が止まっており、実年齢は300歳を超えている。前髪を上げたウルフカットの髪型で、たれ目で目が細く、いつも目を閉じているように見える。カウントは「他者を疑った回数」で、リィンと出会った時のカウントは120。これは、軍服のバッチからも確認できる。ひょうひょうとしたお調子者を装っているが、非常に優秀な人物。他人の心を読む能力を持ち、300年前の廃棄戦争の頃から潜入や諜報、暗殺を得意とする。そのため、リヒトー=バッハたち残り六人の撃墜王たちも、ペレの存在を知らなかった。毒舌家で、リィンに対しては小ばかにしたような態度を取るが、実はひそかにリィンに思いを寄せている。ある日、ジェイル=マードック暗殺のために素性を偽って軍曹ペレとなるが、ジェイルによってホムホゥに配属され、暗殺の機会をうかがいながら、仕方なくリィンと行動を共にしている。しかしリィンに恋をしてしまい、リヒトー側に寝返る。そこで、時にはリヒトーたちを裏切ったふりをしながら、自分の持つ軍の機密情報を与えたり、リヒトーたちが真実に気づくように働きかけたりするようになる。

園原 水花 (そのはら みずか)

「追撃(ついげき)」の撃墜王の女性。一見若い女性にしか見えないが、撃墜王になる手術を施された時から老化が止まっており、実年齢は300歳を超えている。アルシア王立軍の軍人でもあり、階級は少佐。前髪を長く伸ばして右寄りに分け、腰まで伸ばした黒のストレートロングヘアに、桜の花のチャームのヘアピンを付け、眼鏡を掛けている。カウントは「物事に固執した回数」で、300年後にリヒトー=バッハと再会した時のカウントは16000だった。ふだんは気弱で心優しい性格ながら、撃墜王の証として力を引き出した際はカウントが32000まで上昇し、その代償として残酷な別人格に心を支配されてしまう。300年前の世界ではずっといじめられており、唯一親切にしてくれるリヒトーに依存していた。やがて第13特設軍学校に入学して1年A組の生徒となるが、これもリヒトーから離れたくないがためだった。そのためクラスにもなじめず、道安武虎にはその性格から軍人には不向きと判断され、卒業をあきらめるようにいじめられていた。それでも退校せずにいたある10月、廃棄戦争が始まり、自分たちの代わりに一人で戦うリヒトーを見ていられなくなり、撃墜王の手術を受けられるか遺伝子調査をしてもらうことにした。その結果、適合することが判明して撃墜王となった。

アレクサンドロフ=グリゴローヴィッチ

「爆撃(ばくげき)」の撃墜王の男性。一見中年の男性にしか見えないが、撃墜王になる手術を施されているため、実年齢は300歳を超えている。しかしほかの撃墜王とは違って、手術後に老化が止まる条件である「激しい後悔」をするまでには間があったため、この年齢で老化が止まった。300年前の世界では、第13特設軍学校で教官を務める若い男性で、階級は大尉。現在のアルシア暦305年の世界では、アルシア王立軍の総司令を務め、階級は上級大将で、ジェイル=マードックの義理の父親でもある。あだ名は「アラン」。撫で付け髪に口ひげと顎ひげを生やし、サングラスを掛けている。顔の左側の額から右頰にかけて、300年前に負った斜めに入った一本線の大きな傷跡がある。明るい性格で面倒見がよく、生徒のリヒトー=バッハたちのよき兄貴分だった。しかしある10月、廃棄戦争が始まり、自分たちの代わりに一人で戦うリヒトーを見ていられなくなり、撃墜王の手術を受けられるか遺伝子調査をしてもらうことにする。その結果、適合することが判明して撃墜王となった。タバコが好きで、いつもくわえタバコをしている。撃墜王を作るための「撃墜王計画」と、「議会」を利用してアルシア王国を建国した一人でもある。

月菜=ファロウ (つきな ふぁろう)

研究者の女性で故人。坂井時風の妻で、陽菜=ファロウの母親。前髪を目の上で切って左寄りに分け、胸まで伸ばしたロングヘアをハーフアップにしている。容姿が非常に陽菜と似ている。300年前の世界で、「廃棄戦争」中の日本でフィレンダと共に「議会」の研究を続けていた。そこでシュメルマン=バッハの遺伝子によって「撃墜王」となったリヒトー=バッハたちが議会のエネルギーを受け、何も食べずに生きられることに着目し、人間をすべて撃墜王にしてしまえば、食糧問題が解決するのではないかと考えるようになる。そこでシュメルマンの遺伝子と適合せずとも、誰でも撃墜王になれる新薬を開発した。しかし、この薬で撃墜王となった人間は、リヒトーたちよりも強く危険な存在になってしまうことに気づき、薬を研究室の中に隠す。そして、将来陽菜が研究室に訪れることを信じて、自分の知っていることをすべて記したメッセージを残した。

フィレンダ

300年前の世界で、第13特設軍学校で教官を務める若い女性。階級は少尉。前髪を顎の高さまで伸ばし、太ももまであるピンクグレーのロングヘアを一本の三つ編みにしてまとめている。唇の右下にほくろが一つあり、スタイル抜群で胸が大きい。また軍服を着ているが、スカートにはセクシーな深いスリットが入っている。穏やかでおっとりした大人の女性として知られているが、実際は非常に残忍な性格をしている。撃墜王を作るための「撃墜王計画」と、「議会」を利用してアルシア王国を建国した一人でもある。

シュメルマン=バッハ

300年前の世界で、第13特設軍学校の学長と最高司令官を務める若い男性。階級は少佐。現在のアルシア暦305年の世界では、アルシア王立軍特務部隊の元帥を務めている。前髪を目が隠れそうなほど伸ばし、肩につくほどまである金色のウルフカットヘアで、右目にモノクルをつけている。母子家庭で、幼い頃から母親に虐待されて育つ。母親には、特に父親に似ている容姿が気に入らないと言われ続けたため、現在でも基本的に目を閉じて生活するようになった。そんな中、とうとう母親に殺されそうになるが、返り討ちにして殺害。その後は児童養護施設を経て、軍に入った。マイペースで穏やかな性格で、将来は結婚して子供に絵本を読みたいという夢を抱いていたが、なかなか子供に恵まれず、これを気に病んだ妻が自殺。さらに、子供ができなかったのはシュメルマン=バッハ自身の体に原因があったことが判明する。その後、子供に絵本を読んであげたいという夢を捨てられないまま、第13特設軍学校の学長と最高司令官になった。そんな中、当時「坂井離人」と名乗っていたリヒトー=バッハと出会い、彼を養子に迎える。同時期に、シュメルマンの遺伝子が撃墜王を作る力を持つことから、適合したリヒトーたちを撃墜王にする「撃墜王計画」を遂行していく。実は「議会」を利用してアルシア王国を建国した一人でもある。

坂井 時風 (さかい ときかぜ)

「瞬撃(しゅんげき)」の撃墜王の男性。一見若い男性にしか見えないが、撃墜王になる手術を施されているため、実年齢は300歳を超えている。300年前の世界では、第13特設軍学校の1年A組に在籍する男子。リヒトー=バッハとは義理の兄弟。許嫁の月菜=ファロウとは、のちに結婚して陽菜=ファロウの父親となる。道安武虎とは、第13特設軍学校に入る前からの知り合い。右側の髪の毛を長く伸ばした、アシンメトリーな短髪にしている。まじめな性格で、食糧難に苦しむ実家が少しでも楽になるようにと、第13特設軍学校に入った。しかし祖母はこれを望んでおらず、リヒトーは坂井時風を説得して、いっしょに退校するために第13特設軍学校に入ったという経緯がある。ある10月に廃棄戦争が始まり、自分たちの代わりに一人で戦うリヒトーを見ていられなくなり、自らも撃墜王となった。その後は死亡したとされていたが、実際はアビスで食糧問題を解決するためにアルシア王国を滅ぼそうとしている。

道安 武虎 (どうあん たけとら)

「重撃(じゅうげき)」の撃墜王の男性。一見若い男性にしか見えないが、撃墜王になる手術を施されているため、実年齢は300歳を超えている。300年前の世界では、第13特設軍学校の1年A組に在籍する男子。髪全体を真上に上げて額を全開にした、赤と青のツートンカラーの短髪にしている。極端に無表情なため、顔がお面のように見える。非常に背が高く肩幅の広い、筋肉質な体型をしている。カウントは「他者を屈服させた回数」で、値は300年後にリヒトー=バッハと再会した時点、かつ力を引き出した状態で122546。カウントは胸の斜めに大きく刻まれている。リヒトーと坂井時風とは、第13特設軍学校に入る前からの知り合い。乱暴で攻撃的なために誤解されやすいが、実際は心優しい性格をしている。第13特設軍学校でも、園原水花が軍人に不向きな性格だと判断し、わざといじめて追い出そうとしていた。ある10月に廃棄戦争が始まり、自分たちの代わりに一人で戦うリヒトーを見ていられなくなり、自らも撃墜王となった。その後、子供だけは殺せない体になったリヒトーのために、リヒトーを狙う子供の刺客を代わりに殺し続けた。

一ノ瀬 (いちのせ)

300年前の世界で、第13特設軍学校の1年A組に在籍する女子。前髪を目の上で切り、肩の下まで伸ばしたウエーブセミロングヘアにしている。スタイル抜群で胸が大きい。明るく快活な性格で、クラスの女子の中心的な人物だった。

シャルル=デ=ベルクト=アルシア11世 (しゃるるでべるくとあるしあじゅういっせい)

アルシア王国の国王を務める少女で、年齢は9歳。前髪を目の上で切り、胸の下まで伸ばしたロングヘアをハーフアップにしてまとめ、王冠をかぶっている。落ち着いた性格で、語尾に「~じゃ」と付けた古めかしい口調でしゃべる。生まれる前に父親が亡くなり、物心つく前に母親も病気で失う。以来国内では腫物扱いされながらも、国王としての務めを果たしてきた。唯一自分をふつうの子供として扱ってくれるアレクサンドロフ=グリゴローヴィッチに思いを寄せており、強い信頼関係を築いている。日々国内での勢力を伸ばしている特務部隊を危険視しており、このままではアルシア王国が特務部隊に乗っ取られてしまうと考えている。そこで愚かな子供を演じながら、アレクサンドロフに保管してもらっている三つのオリジナルバロットを、わざと信頼できそうな誰かに奪わせることで、特務部隊から遠ざける作戦を立てる。その後は5年間耐え抜き、結婚できる14歳になった時にアレクサンドロフと結婚し、アレクサンドロフを王にすることで、アルシア王国を立て直そうとしたが、ロベール=ド=ヴァンヴィッヒに暗殺される。

ロベール=ド=ヴァンヴィッヒ

アルシア王立軍の三大大将を務める若い男性。二つ名は「風帝」。前髪を長く伸ばして左寄りに分け、腰まであるストレートロングヘアにしている。ふだんは目を閉じているが、まれに開眼する。特務部隊とつながっており、アレクサンドロフ=グリゴローヴィッチが保管するオリジナルバロットを手に入れるため、シャルル=デ=ベルクト=アルシア11世と自分以外の三大大将を殺し、アレクサンドロフにその罪を着せた。

ハーズ=ヴァールハイト

アルシア王立軍の特務部隊に所属する軍人の少女で、階級は大尉。前髪を目の上で切り、腰まであるピンク色のロングヘアに二つの赤いリボンを付けている。髪の毛全体に、緑色のグラデーションが毛先に向かってかかっている。カウントは、「消えてなくなってしまいたい」と思った回数。生まじめな性格で、幼い頃に自分の行いが原因で両親をアビス送りにしてしまったことをずっと気に病んでおり、つねに自分など消えてなくなってしまえばいいと考えている。アルシア暦306年のある日、坂井時風に対抗するには、リヒトー=バッハの力が必要であると考え、特務部隊の上級大将になってほしいとリヒトーたちのもとを訪れる。

ダビ

アルシア王立軍に所属する軍人の若い男性で、階級は軍曹。肩につくほどまで伸ばした、ふんわりとしたウルフカットの髪型をしている。中性的な雰囲気を漂わせたイケメンで、下まつげが長い。カウントは左目の真下にあり、数字の横には撃墜王の証である星のマークがあるが、これは偽物である。陽菜=ファロウと出会った時点のカウントは320で、カウント増減の条件は不明。残酷で身勝手な性格をしており、アルシア暦305年のある日、陽菜が伝説の撃墜王を探していることを知り、彼女を騙して「星奪戦(せいだつせん)」を仕掛け、カウントを奪うことを思いつく。そこで一度は陽菜のカウントを440奪ったものの、これを知ったリヒトー=バッハによって倒され、陽菜から奪った分だけでなく、それまで持っていたカウントも319を陽菜に奪われ、カウントは残り1になってしまう。

ペルモ

湖の町「リンデン」の近くに住む若い女性。前髪を目の上で切り、腰まで伸ばした癖のあるロングヘアを、首の付け根の位置で一つに結んでカチューシャを付けている。スタイル抜群で胸が大きい。カウントは左の二の腕にあり「夢を叶えた数」をカウントしている。このカウントは10からスタートするが、夢に向かう努力が失敗するたびに-1される。そのため、10回失敗した時点でカウントは0となり、アビス送りとなる。明るい性格で、自分のカウントの性質を理解しながらも、飛行機を造って空を飛ぶという夢に向かって日夜研究していた。そんなある日、陽菜=ファロウとリヒトー=バッハに出会って夢を打ち明けるが、10回目の失敗をしてアビス送りとなる。しかし、アビス送りになっても死ぬわけではないと変な自信を持っており、陽菜とリヒトーの前で再会を約束した。そして宣言どおり、アビスで飛行機造りを続けていたところ、坂井時風によってアビスに連れてこられていた陽菜と再会する。

その他キーワード

カウント

アルシア王国国民の体のどこかに、必ず刻印されている数字。国民たちはこの値に支配されており、カウントの低い人間は自分よりもカウントの高い人間に逆らえない。さらに、カウントが0になると「議会」の手によって、下界である「アビス」に送られてしまう。カウントが増減する条件は人によって違い、陽菜=ファロウのカウントは「歩数」で、100キロ歩くごとに1増加する。また、カウントは「星奪戦(せいだつせん)」という方法で他者から奪うことができ、両者が星奪戦を行うと宣言すると、議会が現れる。そして議会の監視のもと、戦いに勝利した者に、敗北した者のカウントが送られる。この場合はカウントの増加条件が違う人間同士でも、カウントを送ることができる。

廃棄戦争 (はいきせんそう)

300年ほど前の10月に起きた大戦。10月1日、国連軍が極東連邦の各地を襲撃し、これを皮切りに全世界規模の戦争となった。戦争の目的は、増えすぎた地球の人口を減らすことで、現在の地球で生産できる食料に見合った人口に調整すること。そのため、人を廃棄するための戦争という意味で、のちに「廃棄戦争」の名がつけられた。廃棄戦争は非常に長期にわたって続いたため、大地が焼き尽くされて人類が滅びるまで終わることはないのではないかといわれていた。しかし、アルシア歴5年頃のある日、突然現れた撃墜王たちの手によって、あっさり終結して世界に平和が戻った。

撃墜王 (げきついおう)

アルシア歴5年頃に突然現れ、廃棄戦争を終わらせた七人の英雄たち。ナナ=バスーラ、リヒトー=バッハ、園原水花、坂井時風、道安武虎、アレクサンドロフ=グリゴローヴィッチ、ペレ=ポポロがこれに該当するが、ほかの六人はペレの存在を知らない。彼らは個人でも撃墜王と呼ばれるが、元は全員が所属していた部隊の名が「撃墜王」だった。撃墜王たちは、300年前に存在した第13特設軍学校の地下施設で特殊な手術を施されており、バロットと同期する力を引き上げられている改造人間である。そのため、自分の力を大きく引き出し、本来のカウントよりも何倍も高い力を持って戦うことができる。しかし力を引き出した際は、リヒトーにおける「シュメルマン」のような、残酷な性格の別人格に支配されてしまう。この改造によって老化が完全に止まり、手術された時の年齢のままで300年以上も生きている。また「議会」からもエネルギーを受け取ることができ、何も食べなくても生きられる。さらに、撃墜王である証として、体のどこかに白い星のマークが刻まれている。そのため、ダビは自分の体に星のシールタトゥーを付けることで撃墜王を騙っていた。

バロットホルダー

違法なカウンターを所持している人間の総称で、「バロット」と呼ばれる。リヒトー=バッハがこれに該当し、バロットホルダーは自分の体のカウントと、所持しているバロットのカウントを合算できる。バロットには特殊な能力があり、バロットホルダーはそのバロットのカウントの種類に応じた特殊能力を得られる。また特殊能力の強さは、カウントの値に比例する。そのため、一般人がバロットを所持しているだけで重罪となる。アルシア王立軍の将校以上は、バロットホルダーに対抗するために特例としてバロットの所持が認められており、ジェイル=マードックは鉄を作り出す能力のあるバロットを携帯している。

議会 (あるしんぐ)

多数決を取り、議決された議題を絶対的な未知の力で強制的に履行する機械。人間がアビス送りになるとき、あるいは人間同士がカウントを懸けた戦い「星奪戦(せいだつせん)」を始めたときにも現れる。見た目は真っ黒になった人間の手の形をしているが、人間の手よりも非常に長く伸びる。ある日突然、議会は現れて人間たちに神の啓示と呼ばれるようになる。そして最初の議題として、核の放棄とすべての戦争行為の禁止を履行した。議会への投票権は、七つある黒い球体「オリジナルバロット」によって行われ、議題は過半数である四つ以上投票された側に決定される。議会はいつも大量に現れ、アルシア王国にとっては最も崇高な存在とされている。そのため、アルシア王立軍人たちは議会が何をしても攻撃できず、議会に危害を加えた場合は軍法会議の末に死罪となってしまう。

書誌情報

プランダラ 21巻 KADOKAWA〈角川コミックス・エース〉

第21巻

(2022-06-24発行、 978-4041126332)

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