概要・あらすじ
現世に想いを残したまま死んだ人間が、生前の記憶や理性を残したまま蘇る「アンデッド」現象。通常の人間同様に行動するものの、肉体は時間の経過とともに腐敗していく。そんな状況の中で残された時間を生きていくアンデッドたちの物語を、笑いあり涙ありで描いた短編ヒューマンドラマ連作。
登場人物・キャラクター
峰田 (みねた)
第1話『LOVE OF THE DEAD』の主人公。東京で働く男性会社員。高校時に同級生だった女性、古地に恋していたが、学生時代に想いを告げられないまま卒業。その5年後、就職先の会社が偶然同じだったことから再会。かつての想いを伝えたところ実は両想いだったことが判明し、そのまま交際を始めて恋人同士となる。 その矢先、初デートの待ち合わせを前に古地が交通事故で死亡。古地はアンデッドとなって彼の自宅の部屋を訪れ、峰田は日に日に腐敗の進む彼女を守りながら共に暮らすことを決意する。
古地 (ふるち)
第1話『LOVE OF THE DEAD』の主人公。東京で働く女性会社員。高校時に峰田に恋していたが、学生時代に想いを告げられないまま卒業。峰田から高校時に自分に恋していたと告げられたのをきっかけに、自分の想いを彼に伝えてそのまま交際することとなった。しかし初デートの待ち合わせを前に交通事故で死亡。 想いを残したままだった彼女はアンデッドとして蘇り、病院を抜け出して峰田の自宅にやってきて、そのまま彼と同棲生活を始めることとなる。名前の由来は映画監督ルチオ・フルチから。
姥野 弾 (おばの だん)
第2話・第3話『COMEDIAN OF THE DEAD』の主人公。学生時代からの付き合いである鳶居風太と共に漫才コンビ「ライフ☆ふぉーす」として活動しているが、オーディションに受かってから9年も経つのに売れず、小劇場での前座レベルの仕事しか来ない状態。舞台から客につかみかかろうとするなど短気だが、前向きな性格で、売れない現状にもメゲずにのし上がろうとしている。 売れない状況を悲観した鳶居風太が引退すると言い出した際に、最後の挑戦としてお笑い大会「笑-1グランプリ」への出場を提案する。その提案を却下され、行きつけの飲み屋で泥酔して店の階段から転げ落ちて死亡する。アンデッドとなり、病院に駆けつけた鳶居風太に「笑-1グランプリ」への出場を再度持ちかけ、舞台上で渾身の芸を披露する。 名前の由来は脚本家・映画監督のダン・オバノンから。
鳶居 風太 (とびい ふうた)
第2話・第3話『COMEDIAN OF THE DEAD』の主人公。学生時代からの付き合いである姥野弾と共に漫才コンビ「ライフ☆ふぉーす」として活動しているが、オーディションに受かってから9年も経ち、鳴かず飛ばず状況を悲観している。芽衣という女性と同棲している。まだ漫才を諦めていない姥野弾からお笑い大会「笑-1グランプリ」への出場を持ちかけられ、一度は拒絶する。 しかし死亡してアンデッドとなった姥野弾の熱意にこたえて出場を決意する。名前の由来は映画監督のトビー・フーパーから。
美仁 (よしひと)
第4話『STUDY OF THE DEAD』の主人公。子供のころから学業に秀でており、遊びもせず一心不乱に勉強し、東大を志すようになった。しかし受験を半年後に控えた夏に急性心不全で突然死し、その後アンデッドとして蘇り、再び東大を志して勉強を始める。
来実 (らいみ)
第4話『STUDY OF THE DEAD』の登場人物。美仁の妹。子供のころは学業優秀な兄のことを自慢にしていたが、中学に入ったころから勉強ばかりの兄を疎んじるようになり、大学受験を前にした兄に厳しい言葉を投げかけてしまう。その直後に急性心不全で兄が突然死したことで、自らの言葉を激しく悔やむことになるが、兄はアンデッドとして蘇る。 死亡した身体でありながら、再び勉強を始めた兄に、勉強以外の人生の楽しみを教えようとするも失敗。その後は兄の決意を知らされて応援するようになる。名前の由来は映画監督のサム・ライミから。
ソアヴィ三池 (そあゔぃみいけ)
第5話『Rock'n Roll OF THE DEAD』の主人公。日本のトップスターであるロック歌手。24歳。本名は三池素明で「ソアヴィ三池」は芸名。20曲連続でヒットチャート1位獲得し、カリスマ的人気を誇っていたが、人生で最高の瞬間に自ら命を絶って伝説のロックスターになろうと企てる。しかし死の間際に、自分の膨大なアダルトビデオコレクションを処分するのを忘れていたことを思い出してアンデッドとして蘇り、アダルトビデオを処分するため悪戦苦闘する。 名前の由来は映画監督の三池崇史から。
ナナ美 (ななみ)
第6話『HIT MAN OF THE DEAD』の主人公。女性。普段は地味で目立たない風貌をしているが、裏の世界では凄腕の殺し屋として知られている。殺し屋の仕事をやめ人探しをする予定だったが、裏の世界で「死神」と呼ばれ恐れられている世界No.1の殺し屋アルジェ・芳坂の殺害を依頼されて翻意する。 アルジェ・芳坂は、子供のころ戦場に取り残されていたナナ美を拾い、戦い方を教えてくれた彼女の恩人。
来安 柚菜 (きやす ゆずな)
第7話『FATHER OF THE DEAD』の主人公。女子高生。小遣い目的で年上の男性と遊んだりする放蕩娘だが、父親は厳格で口うるさく、彼女を何かにつけて説教していた。そんな父親に反発していた柚菜だったが、父親は交通事故で死亡。しかし娘の教育に想いを残したままだった父親は、アンデッドとなって蘇り、その親心に柚菜も心動かされていく。
東尾 真理 (ひがしお まり)
第8話『MANIA OF THE DEAD』の主人公。路線バス事故で死亡し、アンデッドとして蘇った17歳の女子高校生。棺から抜け出して町をさまよっている最中に、公園で出くわした「日本一のゾンビフリーク」を自認する、近所のゾンビマニアによって捕獲されてしまう。ずっと付き合っていた彼氏と大ゲンカし、謝れないままでいたことを心残りとしていた。
江戸川 来人 (えどがわ らいと)
第9話・第10話『DAWN OF THE DEAD』の主人公。厚生労働省につとめる若手公務員。増え続けるアンデッドへの対策に悩む厚生労働大臣から、アンデッドの実態調査を命じられる。厚生労働大臣はアンデッド処分法案の成立を前に、その対策をどうすべきか悩んでおり、ちゃらんぽらんな性格の持ち主だが「省内で最も役人らしくない」との評判があり、人間として当たり前の感覚を持つ者として江戸川に白羽の矢を立てた。 その命令を受けて、元引きこもりのアンデッドや、第1話『LOVE OF THE DEAD』の主人公である峰田、その他のアンデッド関係者に面会し、聞き取り調査を行っていく。名前の由来は映画監督のエドガー・ライトから。
その他キーワード
アンデッド
『アンデッド』に登場する用語。一度は死亡したが、なんらかの理由で蘇った人間の総称、およびその現象。肉体は心臓も停止状態でまぎれもなく死亡しているが、生者と同様に動いたり考えたりすることが可能。人間の時の記憶や理性もそのまま残っている。死体でありながら動くのはゾンビと同様だが、人を襲ったり感染することがないという点で異なる。 動くことはできるが、通常の死体と同様に時間が経つと腐敗するため、長期間行動する場合は防腐のための手立てが必要となる。また、幸せや感動で心が温かくなると、腐敗が一気に進んで消滅してしまう。生に強い想いを残した者がアンデッドとなることが多く、想いを残した人の前や場所へ出現する。最初のうちは都市伝説扱いだったが、アンデッドが増加していくに従って世間から認知され、腐臭への苦情が国に寄せられるようになったほか、アンデッドを襲う少年たちが現れるなど社会問題化するに至った。