概要
実用化された様々なロボットが社会に定着し、多くの人間が機械化、電脳化されている2032年の日本。女性型アンドロイドであるガイノイドが暴走し、人間を殺す事件が連続して発生した。日本政府の治安機関公安9課のサイボーグ刑事バドーは、パートナーのトグサと共に捜査に乗り出す。
事件の鍵を握るガイノイドメーカーロクス・ソルス社の製造プラントに潜入したバドーが危機に陥った時、電脳世界に消えた、かつての同僚草薙素子が現れる。
登場人物・キャラクター
バドー
2032年の日本の治安機関公安9課の刑事。全身のほとんどを機械に置き換える義体化をしているサイボーグであり、センサー搭載の義眼や人間以上の力を発揮する人口筋肉などを装備している。無口で冷静沈着だが、内心には三年前に電脳世界へと姿を消した元パートナーの草薙素子への強い想いを秘めている。 現在は同僚のトグサとコンビを組んで、女性型愛玩用アンドロイドであるガイノイドのタイプ2052・ハダリ暴走事件を追うが、旧知のハッカーキムから電子頭脳をハッキングされて苦しむ。 愛犬家で、自宅にバセットハウンドのガブリエルCを飼っている。白髪のポニーテールがトレードマークである。
公安9課 (こうあんきゅうか)
『イノセンス』に登場する組織。2032年の日本に存在する、内務省直轄の公安機関。特殊な犯罪への対処や防諜任務を行い、非合法活動にも手を染めている。リーダーは荒巻大助。バドーを初め、隊員には義体化、電脳化]したサイボーグが多い。 女性型愛玩用アンドロイドであるガイノイドのタイプ2052・ハダリ暴走事件をバドーとパートナーのトグサが捜査する。
ガイノイド
『イノセンス』に登場するロボット。女性型アンドロイドのこと。ロボットメーカーロクス・ソルス社は、その愛玩用機種であるタイプ2052・ハダリを製造、販売し、好評を得ていた。
イシカワ
2032年の日本の治安機関公安9課の刑事。電脳戦のエキスパートである髭を蓄えた中年男性。公安9課のリーダーである荒巻 大輔の指示で、女性型愛玩用アンドロイドであるガイノイドのタイプ2052・ハダリ暴走事件を捜査するバドーを監視していた。
キム
バドーとは旧知の情報屋の男性。凄腕のハッカーでもあり、日本の北部にある択捉経済特区に住み、バドーが女性型愛玩用アンドロイドであるガイノイドのタイプ2052・ハダリ暴走事件で情報を求めに行く。 しかし、裏でガイノイドメーカーのロクス・ソルス社に雇われて、バドーの電子頭脳をハッキングしていた。
紅塵会 (こうじんかい)
『イノセンス』に登場する組織。2032年の日本で活動する日系暴力団。組織としては老舗であり、麻薬や人身の売買、売春、地上げなど様々な非合法事業をしている。組長が女性型愛玩用アンドロイドであるガイノイドのタイプ2052・ハダリ暴走事件で殺され、その仇討ちとして、メーカーのロクス・ソルス社のタイプ2052・ハダリ担当の出荷検査部長を殺害した。
荒巻 大輔 (あらまき だいすけ)
2032年の日本の治安機関公安9課のリーダー。肩書きは部長。政府や他の機関にも豊富な人脈と政治手腕で渡り合う切れ者だったが、高く評価していた部下の草薙素子の失踪後はすっかり覇気を無くしている。 女性型愛玩用アンドロイドであるガイノイドのタイプ2052・ハダリ暴走事件を捜査するバドーのパートナーに、義体化したサイボーグではないトグサを任命した。
トグサ
2032年の日本の治安機関公安9課の刑事。体を機械で置き換えた義体化したサイボーグの多い公安9課の中では珍しく、ほぼ生身の存在。 公安9課の部長荒巻大助によって、バドーのパートナーに指名され、女性型愛玩用アンドロイドであるガイノイドのタイプ2052・ハダリ暴走事件を追う。 妻と娘一人の家族を持つ。
タイプ2052・ハダリ (たいぷにーぜろごーにーはだり)
『イノセンス』に登場するロボット。日本北部の択捉経済特区に本拠地のあるロボットメーカーロクス・ソルス社が生産している愛玩用女性アンドロイドであるガイノイド。少女の姿をしており、密かに性器を有する高性能の慰安用アンドロイドとして好評を得ている。 択捉経済特区沖に浮かぶ多国籍船であるガイノイド製造プラント船で製造されている。
ハラウェイ
暴走して人間を殺し、バドーに破壊された女性型愛玩用アンドロイドであるガイノイドのタイプ2052・ハダリの検死を担当した初老の女性。そのタイプ2052・ハダリが運び込まれた所轄警察署の検死官である。 頻発するロボットの暴走に対して、ロボットと人間との境界線が揺らいでいるという意見をバドーとパートナーのトグサに披露した。
草薙 素子 (くさなぎ もとこ)
2032年の日本の治安機関公安9課の元女性刑事であり、バドーのパートナーだったが三年前に電脳世界に失踪する。同僚達からは少佐と呼ばれていた。今は肉体を持たず、アイデンティティが残る意識だけの存在ゴーストとして電脳世界に存在するが、元のパートナーであるバドーから今尚強い想いを寄せられている。 女性型愛玩用アンドロイドであるガイノイドのタイプ2052・ハダリ暴走事件の捜査で、そのメーカーであるロクス・ソルス社のハダリ製造プラント船に潜入したバドーを助けるために、タイプ2052・ハダリの一体に自分の意識の一部をダウンロードした。
ガブリエルC (がぶりえるしー)
『イノセンス』に登場する犬。バドーが飼っている雌のバセットハウンド。クローン犬であり、名前の「C」はクローンであることを意味する。元パートナー草薙素子が電脳世界に失踪して以来、バドーにとって唯一の心の寄りどころ。
ロクス・ソルス社 (ろくすそるすしゃ)
『イノセンス』に登場する企業。日本の北部にある択捉経済特区に本社のあるロボットメーカー。女性アンドロイドであるガイノイドの高級機種を生産して、業績を伸ばしている新興企業。その生産プラントは海上の多国籍の船の中に設置されている。 自社ガイノイドのタイプ2052・ハダリの暴走事件では、その組長が被害者となった暴力団紅塵会に対して責任を取るために、仇討として出荷担当部長を殺させた。 事件を捜査するバドーに対して、凄腕ハッカーのキムを雇って、妨害するためにその電子頭脳をハッキングさせた。
場所
択捉経済特区 (えとろふけいざいとっく)
『イノセンス』に登場する地域。日本の北部、北海道東部沖にある択捉島にある、極東最大の情報集約型経済特区。ガイノイドメーカーのロクス・ソルス社の本拠地がある。主権の曖昧さに漬け込んだ多くの犯罪組織も入り込んでおり、日本を始めとする各国の警察組織も捜査困難な犯罪都市でもある。
その他キーワード
ゴースト
『イノセンス』に登場する概念。人間の肉体を機械化する義体化、頭脳を機械化する電脳化]が広く普及している2032年の世界で、アイデンティティを保障する、心や魂に相当する概念。電脳化]により、人間の記憶や意志を外部から操作、加工出来るようになった事により、生まれた。
ガイノイド製造プラント船 (がいのいどせいそうぷらんとせん)
『イノセンス』に登場する乗り物。日本北部の択捉経済特区沖に浮かぶ、ロボットメーカーロクス・ソルス社が保有する、女性型アンドロイドであるガイノイドの製造プラントを設置した巨大船。ある理由から、警察公安当局の捜査を警戒して、製造プラントを船籍が複数の国に跨る船の中に設置されている。
電脳化 (でんのうか)
『イノセンス』に登場する技術。2032年の世界において、人間の頭脳や神経系に大量のマイクロマシン(極小機械)を投入してコンピューター化を行い、外部ネットワークとの接続を可能にした技術の総称。
ゴーストダビング
『イノセンス』に登場する技術。人間のアイデンティティを保障する、心や魂のような概念であるゴーストを複製する技術。複製された人間の脳が破壊されるために禁止されている。ロボットメーカーロクス・ソルス社は、この技術を密かに女性型アンドロイドであるガイノイドへと転用している。
義体化 (ぎたいか)
『イノセンス』に登場する技術。2032年の世界において、人間の肉体を機械化する技術の総称。バドーを初め、多くの人間がこの処置を受けてサイボーグとなっている。