概要・あらすじ
今よりも少し未来の世界において、電脳メガネというものが子供たちの間で流行していた。それは仮想現実技術(AR)により電脳世界をもたらす魅力的な機械で、ほとんどの子供が持っているくらいありふれたものとなっていた。
夏休み直前に小此木優子(ヤサコ)が引っ越してきた大黒市は、中でも電脳インフラが整った町だった。そこで優子は天沢勇子(イサコ)に出会う。同じユウコという名前で、同い年のどこか謎めいた少女。
2人はさらに出会う個性豊かな子供たちとともに、電脳空間で巻き起こる様々な事件に立ち向かう。
登場人物・キャラクター
小此木 優子 (おこのぎ ゆうこ)
優しい子と書いて「ユウコ」と読む事から、ヤサコと呼ばれている。金沢市から大黒市に越して来た小学6年生の少女で、ひょんなことから出会ったフミエを通じて、彼女の所属するコイル電脳探偵局の一員になった。 自分と同じ「ユウコ」の名を持つ不思議な少女イサコや、電脳メガネに詳しいフミエ、ハラケン、ダイチらと出会った事で電脳メガネに関する不可思議な現象に次々と直面する事となる。
原川 玉子 (はらかわ たまこ)
大黒市市役所の空間管理室に所属している女子高生で、原川研一(ハラケン)の叔母に当たる。ハラケンはオバちゃんと呼んでいる。ハラケンの事を非常に大切に思っており、過剰ともとれる愛情を注いでいる。ウィルス駆除ソフトのサッチーを大黒市に取り入れた張本人であり、管理局に身を置きながら時には違法に当たる行動をとる事も厭わないが、それにはなにか理由があるようである。
空間管理室 (くうかんかんりしつ)
『電脳コイル』に登場する部署。大黒市の電脳空間を管理する市役所内の部署。原川研一(ハラケン)の叔母である原川玉子(オバちゃん)が所属するほか、小此木優子(ヤサコ)の父もこの部署に勤務している。サッチーやキュウちゃんといったウイルス駆除ソフトの運営も行なっている。
原川 研一 (はらかわ けんいち)
小此木優子(ヤサコ)とは別のクラスで、電脳メガネに関する事件を解決するコイル電脳探偵局に所属している。普段はぼんやりとしており、積極的に探偵局の仕事をこなす素振りも見られないが、ある理由から謎の電脳生物イリーガルの調査をしている。 違法の電脳アイテムなどをダウンロードしている子供たちには天敵であるウィルス駆除ソフトのサッチーを何故か一分間だけ停止させる事が出来る。
大黒黒客 (だいこくへいくー)
『電脳コイル』に登場する組織。生物部の男子を中心メンバーとする組織。大黒市立第三小学校の現在は閉鎖されている西校舎がアジト。活動内容は電脳を使ったイタズラ。電脳グッズはメガシ屋ではなく主に通販で購入している。そのため橋本文恵(フミエ)たちの電脳アイテムとは少し違う。リーダーは沢口ダイチ(ダイチ)だったが、後に天沢勇子(イサコ)がリーダーとなる。
小此木 早苗 (おこのぎ さなえ)
小此木優子(ヤサコ)の祖母であり、コイル電脳探偵局の創設者。子供たちに人気の駄菓子屋、メガシ屋を営んでいるが、その実態は電脳メガネに関する様々なアイテムを取り扱う電脳駄菓子屋である。とある交換条件により孫であるヤサコをコイル電脳探偵局に引き入れた。みんなからメガばあと呼ばれている。 メタタグと呼ばれる様々な効果を持つ電脳のお札を作る事に長けているほか、メガシ屋で売っている電脳アイテムの殆どはメガばあのお手製である。
電脳ペット (でんのうぺっと)
『電脳コイル』に登場する仮想生物。電脳メガネをかけている時のみ見る事の出来る電脳生物。小此木優子(ヤサコ)の飼っているデンスケや橋本文恵(フミエ)のしもべであるオヤジなどがこれに当たる。電脳体であるため、触った感触や体温を感じる事は出来ないが、子供たちにとってかけがえのない存在である。
天沢 勇子 (あまさわ ゆうこ)
勇ましい子と書いて「ユウコ」と読む事から、本人が許容しないままにイサコと呼ばれる事となる。小此木優子(ヤサコ)と同時期に大黒市へ引越して来た少女で、何かの目的の為にイリーガルと呼ばれる電脳生物を執拗に追い求めている。 電脳世界の物をただのデータと言い切り、イリーガルをおびき寄せるため、他人の電脳ペットを捕らえて利用するなど非情とも取れる一面も持つ。また、暗号という電脳技術を用いるため、暗号屋とも呼称される。
沢口 ダイチ (さわぐち だいち)
小此木優子(ヤサコ)の新しいクラスメイトで、電脳メガネの様々な違法ツールを用いて悪戯を企む大黒黒客というグループのリーダー。しかし、ツールとは違う暗号と呼ばれる技術に長けた天沢勇子(イサコ)が転校して来た事で彼の地位が危ぶまれる事となる。 橋本文恵(フミエ)に対してはことあるごとに突っかかり、電脳メガネに関する悪戯をしかけたりするなど、彼女を気にしている素振りが目立つ。
イリーガル
『電脳コイル』に登場する仮想生物。電脳メガネをかけている時のみ見る事の出来る謎の電脳生物。形状は個体によって様々だが、どのイリーガルも全身黒い身体をしている。子供たちの間のうわさ話では、異常進化したウイルスやバグではないかと囁かれており、電脳ペットなどの中に寄生することで生きながらえる事が出来るとされる。 また、なにか特別な性質を持っているようで、天沢勇子(イサコ)がこのイリーガルを捕らえる為に奔走している他、原川研一(ハラケン)も生態の調査をしている。
橋本 文恵 (はしもと ふみえ)
小此木優子(ヤサコ)の新しいクラスメイトで、電脳メガネに関する事件を解決するコイル電脳探偵局に所属している。メガシ屋で買った様々な電脳アイテムを駆使し行方不明の電脳ペット捜索などをしており、その縁でヤサコと交流を持つ事となる。 沢口ダイチ(ダイチ)とは折り合いが悪く、いつもちょっかいをかけてくる彼を鬱陶しく思っている。それに対抗するうち電脳技術に長け、今ではダイチを上回る程の腕前を持つ。 小学四年生の弟アキラはダイチの大黒黒客に所属している。
オヤジ
『電脳コイル』に登場する仮想生物。橋本文恵(フミエ)が従えている電脳ペットで、肌色をした不可思議な生物。フミエ曰くしもべであり、少々荒い扱いを受けているものの、フミエのコイル電脳探偵局における仕事のパートナーとして活躍している。
コイル電脳探偵局 (こいるでんのうたんていきょく)
『電脳コイル』に登場する組織。主に行方不明の電脳ペット探しなどを請け負う探偵局。招集時には、メンバーが持つ会員バッジが光って知らせる。メガシ屋の小此木早苗(メガばあ)が局長を務める。
デンスケ
『電脳コイル』に登場する仮想生物。小此木優子(ヤサコ)が飼っている電脳ペットの犬。ヤサコが幼い頃に電脳メガネと共に祖父から貰ったペットで、斑模様にとぼけた顔をしている。その外見とは裏腹に非情に勇敢な性格であり、主人に危害を加えると判断したものには果敢に立ち向かう。
小此木 京子 (おこのぎ きょうこ)
小此木優子(ヤサコ)の妹で何を見ても「ウンチ」と呼ぶのがマイブームの幼い少女。好奇心旺盛で突発的な行動をする事が多いため、姉のヤサコを始めとした周囲を振り回している。電脳ペットのデンスケがお気に入りで、耳を引っぱったり落描きしたりと少々扱いは荒いが、仲良く過ごしている。
場所
メガシ屋 (めがしや)
小此木優子(ヤサコ)の祖母である小此木早苗(メガばあ)が営んでいる。一見普通の駄菓子屋だが、駄菓子とは別に子供たちへ手製の電脳アイテムも売っている。提供されるアイテムは殆どが違法ツールであるため、メガシ屋のアイテムで遊ぶ子供たちは常にウィルス駆除ソフトであるサッチーの脅威にさらされている。
大黒市 (だいこくし)
金沢市から小此木優子(ヤサコ)が引っ越してきた都市。神社が複数点在している古きを残した町並みでありながら、電脳設備は最新の物を取り入れている。電脳に関係する不思議な現象が多発する土地柄であり、大黒市の子供たちは、謎の電脳生物イリーガルや、願いを叶えてくれるミチコさんなど、様々なうわさ話を囁いている。
その他キーワード
サッチー
『電脳コイル』に登場するプログラム。大黒市市役所の空間管理室が取り入れたウィルス駆除ソフトで、正式名称はサーチマトン。大黒市を徘徊しており、電脳メガネをかけるとその姿を視認する事が出来る。 大人よりも遥かに大きなピンク色の姿をした物体で、お腹に4機のキュウちゃんと呼ばれる小型の駆除ソフトを収納している。その駆除対象は非常に広く、違法アイテムを内蔵した電脳メガネはもちろん、些細なバグを持つ物なら、電脳ペットでも無差別に消去してしまう。
電脳メガネ (でんのうめがね)
メガネ型のウェアラブルコンピューター。特に子供たちの間で流行しており、遊び道具として使われることが多い。ネットワーク機能を有し、メガネの視界にネットワーク経由で受信したデータの町並み、物が重ね合わせて映し出され、あたかも現実のように認識できる機能が特長。 これらは電脳世界と呼ばれ、ゲームや電脳ペットなど様々なソフトが提供されている。中には電脳世界のデータを破損させるような違法なソフトも存在する。 その対策として、ウィルス駆除ソフト・サッチー等が電脳世界を巡回している。
メタバグ
電脳メガネで遊ぶ子供たちの間で通貨として流通している石のような形状をした物体。大黒市でしか取る事が出来ない不思議なバグで、色とりどりの物が確認され、稀に音や映像を内包した物も見られる。ウィルス駆除ソフトであるサッチーの駆除対象になっているほか、ほとんど子供たちに狩り尽くされてしまったため、今では貴重な存在となっている。