インセクト

インセクト

昆虫世界と俗っぽい人間模様が重なり合う奇妙な味わいの連作短編集。特に昆虫視点のエピソードでは、松本零士の大テーマのひとつでもある擬人化された昆虫が登場し、ファンタスティックに描かれている。

正式名称
インセクト
ふりがな
いんせくと
作者
ジャンル
ファンタジー
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概要・あらすじ

虫好きの青年・斉藤一は、部屋代が払えずに下宿を追い出され、漂泊の旅に出ることになる。旅先でのアルバイトで何とか食いつなぐは、そこで様々な人々に出会う。それぞれの人生を背負い必死に生き抜く彼らに、は、ついつい昆虫達の生き様を投影してしまうのだった。

登場人物・キャラクター

斉藤 一 (さいとう はじめ)

昆虫好きの青年。物静かで、実直な性格。部屋代が払えず、家財道具を家主に差し押さえられ、下宿を追い出された。一時は昔の自分の部屋の天井裏に潜んでいたこともあったが、発覚し、本格的な漂泊の旅へ出る。行く先々で、主に肉体労働系のアルバイトをして食いつなぐ。

旅のかげろう (たびのかげろう)

長いドレスを身にまとった美女として描かれる。太古の昔、少なくとも大氷河期以前から生き続けている不死身の昆虫。その長い人生の中で豊富な経験や知識を蓄えているが、自分で死ぬことも出来ない力無き哀れな存在でもある。斉藤一に興味を持ち、傍らに寄り添おうとするが、風に逆らうことも出来ずに何処かへと流されてしまう。

七年帝王 (しちねんていおう)

アブラゼミの幼虫で、恰幅の良い中年紳士として描かれる。クヌギの木の地下に王国を打ち立て、樹液とメスを独占。他のオスには水ばかり飲ませ、刃向かえないようにしている。掟を破った者は容赦なくオケラが棲む水穴へ落とされ、餌食にされてしまう。

オスマン・アントニオ

飲んだくれのオスアリで、小太りの青年として描かれる。巣が不景気のため、繁殖以外に役立たずということで、オスアリ減らしに引っ掛かって追放された。放浪の末、女王ヒステリアスⅠ世の巣に居候することになる。女王の独裁政治に対して、自由平等や革新主義を唱えたため、女王により一晩32回の交尾を強要されるという厳罰に処せられてしまう。

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