舞台は未だ魔王との戦いが続く世界
物語の舞台となるファンタジー世界・アヴァロン大陸は、暗黒大陸を支配する憤怒の魔王・タラクスンの侵攻を受け、わずか3年で4つもの国が滅ぼされ、大陸の半分が魔王の手に落ちることとなった。そんな中、勇者の加護を持つルーティ・ラグナソンという少女が姿を現す。これを機に人類は攻勢に転じ、魔王軍と渡り合っていくようになる。その中心には勇者・ルーティと、彼女の兄であり、その導き手であるギデオン・ラグナソンの姿があった。のちにギデオンは勇者パーティーから追い出され、辺境でスローライフを開始するが、その裏では勇者たちと魔王軍の戦いが続けられており、そちらの状況も並行して描かれる。のちに、ギデオンと勇者の道は再び交わることとなる。
「導き手」としての才能と限界
この世界の生物は、一部の上級魔族を除き、生まれた時に至高神デミスから「加護」を与えられる。加護にはそれぞれ対応する固有スキルとレベルが存在し、レベルが上がると得られるポイントで、加護の固有スキルや、誰でも習得できるコモンスキルを身につけ、能力を伸ばすことができる。ギデオン・ラグナソンは、初期レベル+30の固有スキルを擁する「導き手」の加護を持つ。生まれたばかりのレベル1の時点から、すでにレベル31の能力を持つということであり、これは生涯を戦いに費やす騎士が引退する頃のレベルとほぼ等しい。これにより、底上げされた能力をもって成長過程の勇者を導くことを目的とする加護なのだが、実は初期レベル+30という以外の固有スキルはいっさいない。そのため、低レベル時こそ圧倒的な実力差を見せるものの、レベル差が小さくなるほどに、加護によってさまざまな戦闘用固有スキルを持つ人に比べて戦闘力が見劣りするようになっていく。魔王軍との戦いが激化し、勇者パーティが成長していくにつれてギデオンは戦いについていけなくなり、ついには自らパーティーを抜けるように仕向けられたのである。
スローライフの中に生まれるラブストーリー
勇者パーティーを抜けたギデオン・ラグナソンは、自らの過去を隠して「レッド」と名乗り、辺境の町・ゾルタンで薬草店を開店。そんな彼のもとに、かつて勇者パーティーで一時的に共闘したことのある、リットが姿を現す。軍事大国であるロカーヴィア王国の第二王女でありながら高名な冒険者でもあるリットは、彼が勇者パーティーを抜けたと聞いてから、その行方を捜し求めていたのである。実はギデオンに思いを寄せていたリットは、レッドと生活を共にし、薬草店を手伝うと申し出る。リットの性格をよく知るレッドはそれを拒み切れず、彼女に押し切られて同居生活を開始することとなる。レッドとリットのもとにはさまざまなトラブルが舞い込むものの、実力者である二人はそんなことをものともせずに辺境でのスローライフを楽しみ、また少しずつ互いへの思いを深めていく。バトルアクションが満載の本作だが、そんな二人の爽やかなラブコメディ要素も楽しむことができる。
登場人物・キャラクター
ギデオン・ラグナソン
勇者ルーティ・ラグナソンの兄。黒髪をショートヘアにしている。「導き手」の加護を持っており、勇者が未熟な期間を守護して導く役目を担っていた。生まれつきレベルが31あるが、取り柄はそれだけで武技も魔法も使うことができない。本来は勇者パーティーに所属しており、バハムート騎士団の副団長も務めていたが、魔王軍との戦いについていけなくなったことを賢者アレスに指摘され、パーティーを追い出される。辺境の地と呼ばれるゾルタンで「レッド」という偽名を使い、薬草採り専門のDランク冒険者として暮らしている。素性が露見することを恐れ、ランク昇格にはまったく興味を持っていない。友人のゴンズに頼んで薬草店を造ってもらい、念願の店を開いた。
リット
軍事大国として知られるロガーヴィア公国の第二王女にして、Bランク冒険者の少女。本名は「リーズレット・オブ・ロガーヴィア」。魔王軍との戦いにも傭兵として参加し、一時的に勇者パーティーにも所属していた。ロガーヴィア公国で軍功を挙げすぎて、皇太子である弟を差し置いて女王に推挙されたため、お家騒動になる前に出奔し、ゾルタンで暮らすようになった。ギデオン・ラグナソンに好意を抱いており、彼の行方を捜していた様子がある。また、ギデオンが「レッド」の名で薬草店を開いていることを突き止めてからは、冒険者を引退し、薬草店で共に暮らしながら店を手伝っている。
クレジット
- 原作
-
ざっぽん
- キャラクター原案
-
やすも
書誌情報
真の仲間じゃないと勇者のパーティーを追い出されたので、辺境でスローライフすることにしました 全14巻 KADOKAWA〈角川コミックス・エース〉
第1巻
(2018-12-25発行、 978-4041077290)
第2巻
(2019-08-26発行、 978-4041084861)
第3巻
(2020-01-24発行、 978-4041090466)
第4巻
(2020-06-26発行、 978-4041096321)
第5巻
(2020-11-25発行、 978-4041096338)
第6巻
(2021-06-25発行、 978-4041114841)
第7巻
(2021-09-25発行、 978-4041115817)
第8巻
(2021-12-25発行、 978-4041121207)
第9巻
(2022-07-26発行、 978-4041126370)
第10巻
(2022-11-25発行、 978-4041132661)
第11巻
(2023-05-26発行、 978-4041137086)
第12巻
(2023-12-26発行、 978-4041144381)
第13巻
(2024-02-26発行、 978-4041146729)
第14巻
(2024-08-26発行、 978-4041152973)