日本を混乱に導く謎の能力「六導」
「獄導」と呼ばれるヤクザたちは、例外なく「六導」という特殊な能力を使うことでカタギの人間を圧倒する力を持つ。その能力は身体に刻まれる「門紋」と呼ばれる紋章から発現し、天災を起こし天候さえ変えることのできる「修羅道」、門紋を具現化して打撃に特殊な効果を付随させる「畜生道」、自らの姿を変異させ、戦闘力を向上させる「餓鬼道」、自然の摂理に干渉して奇跡を起こす「地獄道」、他者の傷を癒したり、六導の力による汚染を浄化する「人間道」、人間道の力をより戦闘向けに昇華した「天道」の六系統に分類されている。彼らは能力を使うごとに門紋に身体を蝕まれ、凶悪な性格に変貌する。さらに能力を使い続けると、「獄卒」と呼ばれる異形の存在となり、間もなく死に至る。一方、人間道と天道の使い手は「天導」と呼ばれており、主に警察関係者が獄導を取り締まったり、被害者を救済するために力を発揮している。
家族を救うために「獄導」と戦う
「獄導」に父親を殺され、妹の岬を石化させられた相沢は、「黒蛇組」の縄張りに自ら飛び込んで仇(かたき)を討つため情報を収集しつつ、獄道から能力を奪う力を持つ「カタギモドシ」を探していた。そして、黒蛇組の若頭である源が家族を奪った犯人だと判明するが、相沢自身も源に襲われる。その窮地に同級生の草助が現れ、源の門紋を消滅させる。いつもは気弱な草助こそがカタギモドシだと知った相沢は、岬を救う手段を探すべく、草助に助けを求める。だが、兄の林治を救うために手一杯だった草助は、一度は相沢の申し出を断る。しかし相沢の復讐(ふくしゅう)心やその能力が、自分の想像以上であることを知ると、家族を救うという共通の目的を持つ相棒として認めるようになる。
草助たちの家族を奪った真の黒幕
家族を救うために手を組んだ相沢と草助は、岬の石化を解除する方法や林治の行方を探るため、大手暴力団「玄龍会」に源と共に殴りこみをかける。そこで「六導」の影響で不死身の身体になった秋津や、玄龍会の幹部となった林治との戦いの中で、相沢が人を癒す効果を持つ六導を会得したことで、岬の石化解除に成功する。そして、すべては「瞬きしない女」と呼ばれる人物のたくらみであり、相沢の父親が殺されたのも、源が岬を石化させられたのも、林治が玄龍会の幹部として草助と敵対したのも、彼女の持つ最低最悪の六導によるものであることが判明する。草助と相沢は瞬きしない女の六導を消滅させるべく、彼女が身を置く玄龍会との最終決戦に挑む。
登場人物・キャラクター
相沢 (あいざわ)
とある高校に通う男子。ソフトリーゼントの髪型で、頰に大きな傷があるために周囲からは孤立している。「獄導」と呼ばれる異能力を持つヤクザに父親を殺害され、妹は石化させられた。獄導へ復讐するために独自に捜査を行っており、犯人を見つけ出すことに成功するが、妹を回復させることができず、現在は妹を元の状態に戻すために活動している。高校で草助と知り合ったあとは協力体制を結び、街中の噂を集めて獄導の居場所を探っている。
草助 (そうすけ)
相沢と同じ高校に通う男子。おかっぱ頭に小柄の体型で、丸眼鏡をかけている。掃除をすることに熱心で、つねに清掃用具を身につけている。校内では便利な掃除屋として雑に扱われ、いじめの標的にされている。しかし、その実態は「獄導専門の掃除人」と呼ばれるカタギモドシの一員で、兄を救うために単独行動をしていたが、相沢と出会ったあとは協力体制を結ぶこととなる。ふだんは温厚な性格を装っているが、仕事になると残忍な性格に変貌する。
書誌情報
カタギモドシ 5巻 集英社〈ヤングジャンプコミックス〉
第1巻
(2022-11-17発行、 978-4088924915)
第2巻
(2023-03-17発行、 978-4088926551)
第3巻
(2023-07-19発行、 978-4088927626)
第4巻
(2024-01-18発行、 978-4088928982)
第5巻
(2024-01-18発行、 978-4088931081)