世界を揺るがす、超能力バトル
本作の舞台となる日本は治安が悪化しているものの、表向きは超能力を持つ「ヒーロー」の活躍によって平穏が保たれていた。だが、世界を憎悪する三人の子供が超能力に目覚めたことで、彼らとヒーローたちによる超能力を駆使した戦いが幕を開ける。その争いは熾烈(しれつ)を極め、やがて一般市民からも認知されることとなる。そして、互いの主張と野望がぶつかり合い、人々の意識や世界そのものの在り方に影響を及ぼすことになる。
世界の破壊を企てる少年少女
現実社会に絶望して自殺を図った児玉ノゾミ、土屋アカリ、新山サクラの三人が目覚めると、それぞれの体に異能の力を宿していた。現在の世界に鬱屈した感情を抱いている三人は意気投合し、世界を破壊させるために行動を起こす。大人たちからは、三人は迷惑な存在として煙たがられているものの、この世界に居場所がないと考えている子供たちからは希望の象徴として見られていた。彼らが「ヒーロー」のライトニングボルトやサンダーガールに勝利してからは、その傾向に拍車がかかり、やがてノゾミは「EVOL=邪悪なワルモノ」と称したチームを立ち上げる。三人の活動は、よくも悪くも世界の変革をうながし、ヒーローたちとのさらなる激闘へとつながっていく。
歪んだ正義執行をもくろむ「ヒーロー」たち
敵役となるライトニングボルトやサンダーガール、ヘルイーターをはじめとした特殊能力者は「ヒーロー」と呼ばれ、世間からは「正義の味方」として敬われている。しかし、その独善的な言動を嫌うEVOLのメンバーからは、倒すべき敵としてとらえられている。だがヒーローの彼らも、「マム」と呼ばれる女性が組織した団体の構成員であり、彼女の野望を達成するための尖兵に過ぎなかった。このことが権力者の暴力装置となっているヒーローと、人間社会で絶望して自殺を試みた少年少女「EVOL」が激突する要因となっている。
登場人物・キャラクター
児玉 ノゾミ (こだま のぞみ)
中学3年生の不良少年。年齢は15歳。「ふつう」になれないことに鬱屈した感情を抱えている一方で、特別な存在であるヒーローには歪んだあこがれと嫉妬のような感情を抱いている。ある日、その感情が頂点に達し、衝動的にドライヤーのコードを心臓に向けて自殺を試みる。ヒーロー「ライトニングボルト」にあこがれて発作的に起こした行動だったが、失敗して自殺未遂として保護され、病院に送られる。その後、左の人差し指で直径1センチ、深さ3センチの穴を開ける「能力」に目覚める。そして、入院していた二人の少女・アカリ、サクラと知り合いになる。アカリは手のひらに炎を灯す能力、サクラは5センチだけ空を飛べる能力を使って病院を脱出後、拒絶した世界への復讐を誓い、「EVOL」を結成する。ちなみに「EVOL」は本来、「EVIL(邪悪な者)」とするつもりだったが、最初に宣言した際に児玉ノゾミがスペルミスしたもので、以降も「EVOL」と名乗り続けている。
ライトニングボルト
妹のサンダーガールと共にヒーローとして町の平和を守っている男性。市長公認の存在で、指先から雷を出す能力と空を飛ぶ能力を持つ。市民からは英雄としてあこがれの目で見られているが、その実、父親の治療を引き換えに市長の悪事の隠蔽を手助けし、市長にとって都合の悪い人物を裏で抹殺している。この世界が「邪悪な者」に侵略されているとの思いに駆られており、たびたびそれを警告しているが、市長からは妄言として相手にされていない。ライトニングボルト自身もヒーローとしての在り様に疑問を抱いている節があり、そんな中、放火されたスーパーに「EVOL」のラクガキを見て、これこそが自分の宿敵だと確信する。それ以降は市長の思惑から外れて、己の意思で行動を始める。
書誌情報
EVOL (イーヴォー) 8巻 KADOKAWA〈ビームコミックス〉
第1巻
(2021-07-12発行、 978-4047367203)
第3巻
(2021-12-10発行、 978-4047368668)
第4巻
(2022-06-10発行、 978-4047370975)
第5巻
(2022-12-12発行、 978-4047372924)
第6巻
(2023-07-12発行、 978-4047375307)
第7巻
(2024-02-09発行、 978-4047377790)
第8巻
(2024-09-12発行、 978-4047381162)