クジラの子らは砂上に歌う

広大な砂の海を舞台にして、漂流する巨船・泥クジラで暮らす人々の生活と戦争を描くファンタジー作品。サイミアと呼ばれる超能力を持つ短命の若者たちの1人、チャクロが船の外から来た少女と交流するボーイ・ミーツ・ガールを起点に、船の記録係である彼の手記をもとにして物語られている。少年誌でデビューした作者にとって、少女誌では2作目の連載シリーズとなる。

正式名称
クジラの子らは砂上に歌う
作者
ジャンル
ファンタジー
 
ラブコメ
 
戦争
レーベル
ボニータコミックス(秋田書店)
巻数
既刊10巻
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概要・あらすじ

果てのない砂がすべてを覆い尽くす、砂の海を漂う巨船、泥クジラ。その記録係の少年・チャクロは、漂着した廃墟船の偵察隊に選ばれ、そこで「泥クジラの外の世界」から来た少女と出会う。連合帝国の感情なき兵士「アパトイア」だった彼女は、泥クジラの子どもたちにリコスと名付けられ、心を通わせていく。

だが突如、連合帝国の襲撃によって、外の世界を知らなかった若者たちの平穏な日々は引き裂かれる。泥クジラの住民たちを「ファレナの罪人たち」と呼んで虐殺しようとする兵士たち。その襲撃の背景には連合帝国と泥クジラ、そして連合帝国の敵国までもが絡んだ理不尽な理由があった。絶望的な状況の中、チャクロは希望を追い求め、泥クジラの仲間たちやリコスと共に戦い、出来事を記録しつづけ、生きようとする。

登場人物・キャラクター

チャクロ

『クジラの子らは砂上に歌う』の主人公であり、物語の語り部役。広大な砂の海を漂流する巨船・泥クジラの住人であり、砂刑暦93年7月2日の時点で14歳の少年。船の外で初めて出会った人間・リコスと出会い、外の世界への関心を強めていく。感情を発動源とする力である「情念動(サイミア)」の使い手・「印(しるし)」の1人だが、使い方はヘタ。 「過書の病(ハイパーグラフィア)」という、何があっても出来事を記録しつづけようとする衝動を持ち、船の記録係を務めている。『クジラの子らは砂上に歌う』は彼の記した泥クジラの記録(の日本語訳)を偶然入手したうめだ(作者の梅田阿比)が、その内容に想像を加えて漫画化したという体裁で描かれている。 なお、「チャクロ」を含めた登場人物たちの名もうめだが付けた日本語風の仮名(チャクロの場合は「茶」と「黒」)であり、元の名前も色に由来していたという。手記上での一人称は「私(わたし)」だが、会話では「俺」を使う。護衛団のギンシュからの呼び名は「チャッキー」。

リコス

チャクロが泥クジラの外で初めて出会った人間。肌は褐色で、長くて明るい髪をした綺麗な顔立ちの少女。連合帝国の感情なき兵士・アパトイアであり、名前は持たず、衣服に「リコス」という字が刺繍されていたことから、チャクロたちからそう呼ばれるようになる。連合帝国の兵士からは「リコスの32(32)」、「32番」などと呼ばれており、その後、スキロスサンプルの4番(サンプル4)と呼称を変えられる。 7歳から連合帝国で兵士の養成学校に入れられており、アパトイアの軍団長官であるオルカを兄に持つ。一人称は「私(わたし)」。

オウニ

果てのない砂の海を漂流する漂泊船・泥クジラの住人で、頭の後ろで縛った長髪が特徴の少年。感情を源とする力、「情念動(サイミア)」の使い手(「印」)としては泥クジラ随一の凄腕とされ、体内モグラと呼ばれる「印」たちのグループのリーダー格。泥クジラの外の世界に出たいと望んでおり、船の指導者らに対して反抗的な態度をとっている。 なお、作者・梅田阿比が付けた名前(仮名)の由来は、「黄丹(おうに)」という色の名前である。一人称は「俺」。

スオウ

果てのない砂の海を漂流する漂泊船・泥クジラの住人。「情念動(サイミア)」の持ち主(「印」)ではない無印であり、次期首長候補とされる青年。30歳前後までしか生きられない印たちの短命を嘆き、彼らの寿命を延ばすための研究もしている。運動神経はとても鈍い。 ウェーブヘアを首の後ろで縛った、明るい髪が特徴。サミというチャクロと親しい妹がいる。なお、作者・梅田阿比が付けた名前(仮名)の由来は、「蘇芳(すおう)」という色の名前である。一人称は「私(わたし)」。

タイシャ

果てのない砂の海を漂流する漂泊船・泥クジラの住人で、砂刑暦93年7月8日以降の時点で42歳の女性。「情念動(サイミア)」の使い手ではない無印の1人。泥クジラの現首長なのだが、為政権はなく長老会という組織が実権を持つシステムになっている。額と口元にあるホクロが特徴。 心優しい性格をしており、3つ歳下になるクチバという無印の男性に慕われている。なお、作者・梅田阿比が付けた名前(仮名)の由来は「代赭(たいしゃ)」という色の名前である。一人称は「私(わたし)」。

ギンシュ

果てのない砂の海を漂流する漂泊船・泥クジラの住人で、自警団に属する少女。感情を発動源とする力である「情念動(サイミア)」の使い手、「印」の1人。サイミアの扱いがヘタなチャクロに使い方を教えようとして、自分を「ギンシュ姉さん」と呼ばせようとする。 その代わり、チャクロを「チャッキー」と呼ぶようになった。一人称は「アタシ」。

リョダリ

連合帝国の戦艦「スキロス」に配属されて泥クジラに対する殲滅作戦に加わる少年。「感情なき兵士」であるはずの「人形兵士(アパトイア)」でありながら、感情過多で粗暴な性格をしている。連合帝国の国民は、魂形(ヌース)という感情を食べる生き物によって感情を切り取られるはずが、彼の場合はヌースから人間の感情が逆流し、それ以降、異常行動が目立つようになった。 そのため士官学校も落第している。兵士としても勝手な単独行動を繰り返す厄介者の扱いを受けており、「獅子坊」とも呼ばれている。スキロス総司令のオルカとは幼少期に同じ街で過ごしたことがあり、オルカの妹であるリコスとも知り合いである。 一人称は「オレ」。

オルカ

連合帝国の感情を持たぬ兵士、アパトイアの軍団長官であり、「スキロス」という戦艦の総司令。泥クジラの住民に対する殲滅作戦を指揮する。リコスの兄でもあるが、7歳になる彼女が兵士の養成学校に入った頃には別々に暮らしていた。褐色の肌に長髪の明るい髪、そして顔に大きな痣を持つ。 一人称は「私(わたし)」。

スナキュウヨ

『クジラの子らは砂上に歌う』に登場する架空の動物。砂の海に生息する、身体を守る鱗を持ったふしぎな動物。現実世界のアルマジロに似た姿形をしており、目は退化しているとのこと。砂の海に浮かぶ漂泊船・泥クジラの住民たちは、このスナキュウヨからとれた鱗甲板を加工して防護服を作る技術を備えている。

ホシボシバッタ

『クジラの子らは砂上に歌う』に登場する架空の昆虫。漂泊船・泥クジラが浮かぶ砂の海に生息する大柄なバッタであり、泥クジラから出る廃棄物などを食べて暮らし、巨大な群れを形成している。この群れの個体密度が上がると、長期移動に適した姿へと世代をかけて変化していき、ある夜に光を発しながら大移動を始める。数年おきに起こるこの現象を泥クジラの住民たちは飛蝗現象と呼び、ささやかな楽しみのひとつとして観賞する習慣がある。

場所

泥クジラ

砂がすべてを覆い尽くす、砂の海に浮かぶ巨大な漂泊船。その中で人口約500名ほどになる人々が生活している。感情を源とする力・情念動(サイミア)を操る者たちは「印(しるし)」と呼ばれて住民の9割を占め、そうでない住民は「無印(むいん)」と呼ばれている。印は皆30歳前後で命を終える短命であるため、泥クジラの指導者的立場には無印が就くことになっている。 特に61歳以上の無印のみで構成される長老会が泥クジラの実権を握っており、長老会の構成員でなければ、砂の海の外の世界について知らされることがない。なお、連合帝国からは「ファレナ」という名で呼ばれ、住民たちは「ファレナの罪人たち」とも呼ばれる。 英語表記では「Whale calves」。

その他キーワード

魂形 (ぬーす)

『クジラの子らは砂上に歌う』の用語。人間の感情を栄養分とする特殊な生き物。連合帝国は、国民の感情をこの魂形(ヌース)に食べさせることで、苦しみを感じることもない感情の希薄な生活を送らせている。中でも、特に感情を失わせられた兵士たちは「人形兵士(アパトイア)」と呼ばれる。ヌースは砂の海に浮かぶ船を動かす力をも持ち、ヌースが破壊されればその船は沈むことになる。 ヌースは非常に貴重な存在であり、連合帝国はヌースで動く船を8つしか所有していない。作中ではリコス、スキロス、カルハリアスといった名の連合帝国の船が登場し、それぞれの名は動力源としているヌースの名と同じである。

サイミア

『クジラの子らは砂上に歌う』の用語。器物などを動かすことのできる念動力のようなもので、感情をその発動源とする。また、サイミアの使用者の体表には「念紋(アウラ)」と呼ばれる光る紋様が現れ、頭上にも同じ模様が浮かび上がる。この模様が現れる面積が大きいほどサイミアの能力が高いと言われている。砂の海の漂泊船・泥クジラにおいては、約9割の住民がサイミアの能力者であり、彼らは「印(しるし)」と呼ばれ、残りの民が「無印(むいん)」と呼ばれている。 「サイミア」とは感情を示す言葉であり、この力を感情の赴くまま用いることは泥クジラの社会においてタブーとされている。また、泥クジラの内部には「体内エリア」と呼ばれる区域があり、そこではなぜかサイミアが発動しない。 そのため、体内エリアは規則違反を犯した印を投獄する場所になっている。

アパトイア

『クジラの子らは砂上に歌う』の用語。連合帝国の感情なき兵士のこと。「人形」「人形兵士」と書いてアパトイアとルビを振られることもある。魂形(ヌース)と呼ばれる、人間の感情を栄養分とする生き物によって感情を失わされている。チャクロが初めて出会った時点のリコスが、このアパトイアの状態であった。 なお、ヌースに食べられた感情は、ヌースから長く離れることで徐々に取り戻すことができる。

書誌情報

クジラの子らは砂上に歌う =whale calves sing on the debris 既刊10巻 秋田書店〈ボニータコミックス〉 連載中

第1巻

(2013年12月発行、 978-4253261012)

第2巻

(2014年4月発行、 978-4253261029)

第3巻

(2014年9月発行、 978-4253261036)

第4巻

(2015年2月発行、 978-4253261043)

第5巻

(2015年7月発行、 978-4253261050)

第6巻

(2015年12月16日発行、 978-4253261067)

第7巻

(2016年4月15日発行、 978-4253261074)

第8巻

(2016年10月14日発行、 978-4253261081)

第9巻

(2017年3月16日発行、 978-4253263795)

第11巻

(2018年1月16日発行、 978-4253263818)

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