あらすじ
アマチュアロックバンド「BAD LUCK」のボーカルを担当する新堂愁一は、偶然出会った恋愛小説家の由貴瑛里に、いきなり自作の歌詞をこき下ろされてしまう。しかし、この出来事をきっかけに、愁一は同性の由貴に想いを寄せるようになっていく。その後、愁一は由貴の知人であり、大手音楽プロダクション「N-G」の社長を務める瀬口冬馬の口利きで、冬馬のマネージャーを務める坂野のプロデュースのもと、メジャーデビューを果たす。だがそんな順風満帆に見えた愁一と「BAD LUCK」の前に、次第に暗雲が立ち込めることとなる。
関連作品
本作『グラビテーション』はソニー・マガジンズから全11巻が刊行されているが、これだけでは完結せず、のちに幻冬舎から発行された同名の単巻作品『グラビテーション』を加えた、全12巻で物語が完結することとなる。さらに、続編として『グラビテーションEX』がある。他に、本作の次世代作品として、WEBコミック「デンシバーズ」で連載されている『新堂家の事情』がある。また幻冬舎からは、「グラビテーション完全攻略ファンブック」が2冊発行されている。
メディアミックス
TVアニメ
2000年10月から2001年1月にかけて、本作『グラビテーション』のTVアニメ版「GRAVITATION TV SERIES」がWOWOWのノンスクランブルで放送された。新堂愁一役を関智一、由貴瑛里役を井上和彦が演じており、サウンド・プロデュースを浅倉大介が務めている。愁一が由貴に出会うのがN-Gから「BAD LUCK」としてメジャーデビューした後であるなど、原作とは展開が異なるところがある。
OVA
1999年、ムービックからOVA版「OVA GRAVITATION」が全2巻で発売された。TVアニメ版とは異なり、内容は原作に則っている。新堂愁一役を関智一、由貴瑛里役を井上和彦が演じており、サウンド・プロデュースを浅倉大介が務めている。また2007年6月には、VHSの全2巻をまとめたDVDも販売された。
小説
2000年、2002年に小説版『グラビテーション RED』および『グラビテーション BLUE』が刊行された。原作の幕間を描いた作品となっている。著者は純礼音、カバーイラストは原作者の村上真紀が手掛けている
ドラマCD
1997年3月に日本コロムビアから発売された「グラビテーション」シリーズ2本と、2001年から2002年にビジュアルワークスから発売された「グラビテーション Sound Story」シリーズ3本、2004年にアニプレックスから発売された「グラビテーション ドラマCD」シリーズ3本の3種が存在する。そのうち日本コロムビアから発売されたものは、ほかのメディアミックス作品と異なり、新堂愁一役を矢部雅史が演じている。
ミュージックCD
TVアニメなどのサウンドトラックの他、TVアニメで楽曲を提供したコタニキンヤがセルフカバーしたシングル「This is GRAVITATION」がDarwin Recordから3本発売されており、ジャケットイラストは村上真紀が担当している。
作家情報
村上真紀は北海道出身の女性漫画家。「きみとぼく」1995年4月号に『ナルシストの悲劇』が掲載されデビュー。本作『グラビテーション』の連載を1996年から開始し、これが初連載作品にして代表作となった。他に『ゲーマーズヘブン!』がある。
登場人物・キャラクター
新堂 愁一 (しんどう しゅういち)
ロックバンド「BAD LUCK」のボーカルを担当している少年。由貴瑛里の同性愛の恋人でもある。藤北高校卒業後、ほどなくして音楽プロダクション「N-G」からメジャーデビューした。思慮が浅く、猪突猛進タイプ。ボーカリストとしての才能に溢れており、同じく「N-G」所属のロックバンド「ASK」の相沢滝からは、その存在を危険視されていた。 一方で、由貴との関係性によって、ボーカル能力が大きく上下するという弱点を持ち、周囲を呆れさせることもある。当初は憧れていた佐久間竜一の真似をして髪を伸ばしていたが、ヒットステージでデュエットしたことをきっかけに、竜一へのライバル意識を自覚して髪を切った。その際、童顔で女顔のあまり、由貴からは「女子中学生かと思った」という印象を持たれている。 のちに由貴との同性愛をスクープされてしまうが、朝のTV番組「モーニングタイム」のカメラの前で、2人そろって堂々とその関係を認めたため、以後は公認のカップルとして認められている。一時「N-G」からアメリカの芸能プロダクション「XMR」への移籍を検討したことがあり、その際にレイジから熱烈な愛の告白を受けたが、はっきりと断っている。
由貴 瑛里 (ゆき えいり)
人気恋愛小説家の青年。新堂愁一の同性愛の恋人でもある。2月23日生まれで、血液型はAB型。身長186cm、体重74kg。「由貴瑛里」はペンネームで、本名は「上杉瑛里」。担当編集者の瑞木カンナからは「先生」と呼ばれている。ヘビースモーカーだが、ショートケーキを好む甘党でもある。原稿の締め切り後は、その解放感から甘いものを大量に食べる癖がある。 純粋な日本人だが、生まれつき金髪で碧眼。そのため、由貴の父親からは疎まれ、周囲からも好奇の目で見られることが多く、日本嫌いを自負している。基本的に無口で、Sっ気が強い。女好きで、当初は仁美をはじめ多くの女性に合鍵をバラ撒いていた。また、女性をナンパする時だけは饒舌になる。 アメリカで暮らしていた16歳頃は、表情豊かな少年だった。ところが、北沢有希やその友人たちから輪姦されそうになり、はずみで有希を殺してしまってPTSD(心的外傷後ストレス障害)となり、一時的に解離性人格障害まで患うこととなった。愁一を無意識のうちに恋人として大切にしており、愁一を輪姦した相沢滝に対しては、同じロックバンド「ASK」のメンバーであるまーくんに暴行して脅すなど、怒りを露わにしている。 許嫁に宇佐美綾加がいるが、婚約に乗り気ではなく、破棄を迎えることとなった。のちに愁一との同性愛をスクープされてしまう。朝のTV番組「モーニングタイム」のカメラの前で、2人そろって堂々とその関係を認めたため、公認のカップルとして認められている。 なお、ペンネームの「由貴」は、かつて自分が殺した「北沢有希」の名に由来している。
中野 浩司 (なかの ひろし)
ロックバンド「BAD LUCK」のギターを担当している、長い黒髪の少年。周囲の人々からは「ヒロ」と呼ばれている。兄の中野勇司が売れない役者をしており、安定した生活を送っていない。そのため、勇司の分まで両親に期待をかけられており、藤北高校在学中は医者を志していた。だが、卒業後ほどなくして音楽プロダクション「N-G」からメジャーデビューした。 同じバンドメンバーである新堂愁一の親友で、愁一と由貴瑛里の関係を応援しつつ、愁一自身が傷つくことのないようにと、常に気遣っている。そのため、朝のTV番組「モーニングタイム」で愁一と由貴の同性愛が騒がれた際、スキャンダルを「広告費のかからない宣伝」としか考えていないKと坂野が漏らした本音に怒り、「BAD LUCK」からの脱退騒動を起こすこととなった。 由貴の許嫁だった宇佐美綾加に一目惚れし、のちに付き合うことになる。
藤崎 順 (ふじさき すぐる)
ロックバンド「BAD LUCK」のシンセサイザーを担当している少年。瀬口冬馬の従兄弟。あまりに童顔で、新堂愁一と初対面の際には小学生と間違えられたほど。当初は鵜飼典子に代わるサポートメンバーとして加入したが、のちに正式なメンバーとなり、最終的には坂野に代わって、「BAD LUCK」のプロデューサーも務めるようになる。
K
ロックバンド「BAD LUCK」のマネージャーを務めるアメリカ人男性。常にバズーカやベレッタなどの銃火器を携帯している。もともとは佐久間竜一のマネージャーだったため、竜一の性格などをよく把握している。面白ければすべてよし、という思考の持ち主。竜一と間違って拉致した新堂愁一を、「そっくりさん」としてミュージックファンに登場させるなど、破天荒なことをしでかす。 仕事熱心で上司の命令には忠実だが、その手段がことごとく銃火器に頼ったものになるため、たびたび市街地を戦場さながらの様相に変えてしまう。本名は「クロード・K・ウインチェスター」。息子にマイケルがいる。
佐久間 竜一 (さくま りゅういち)
ロックバンド「NITTLE GRASPER」のボーカルを担当している青年。「NITTLE GRASPER」解散後は、アメリカの芸能プロダクション「XMR」からソロデビューし、全米チャートでも上位常連のアーティストとなっている。また俳優としても活躍している。新堂愁一の憧れの存在で、普段は幼稚園児並みの思考回路だが、マイクを握るとワイルドな人格へと豹変する。 「NITTLE GRASPER」再結成後は、意欲的に活動しつつも、新堂愁一のことを気にかけている様子を見せる。上杉樹把とは、友人として親しく付き合っている。
瀬口 冬馬 (せぐち とうま)
音楽プロダクション「N-G」の社長の青年。ロックバンド「NITTLE GRASPER」のリーダー兼キーボードも担当している。瀬口美華の夫であり、由貴瑛里の義兄。「NITTLE GRASPER」解散後はプロデューサーとしても活躍していた。由貴を家族として深く愛しており、由貴が傷つくことを忌避する余り、その可能性を生みそうな人物を徹底的に排除する過激なところがある。 当初は由貴の心の傷が埋まるようにと、彼と愁一との仲を応援していたが、次第にその関係性を危惧し、愁一を排除しようと動き出す。過去には北沢有希と犬猿の仲であったこともあり、彼とそっくりな北沢良希も毛嫌いしている。
鵜飼 典子 (うかい のりこ)
ロックバンド「BAD LUCK」の初期のサポートメンバーの女性。ロックバンド「NITTLE GRASPER」の楽曲のアレンジも手掛けている。気が強く、デビュー当初は新堂愁一の歌唱力に対しても「へっぽこ」呼ばわりしていた。のちにサポートメンバーを藤崎順に引き継ぎ、再結成した「NITTLE GRASPER」に正式に復帰する。 料理評論家の鵜飼哲也を夫に持ち、娘を1人もうけている。
坂野 (さかの)
ロックバンド「BAD LUCK」のプロデューサーを務める青年。眼鏡をかけている。もともとは瀬口冬馬のマネージャーだったが、「BAD LUCK」の才能を早くから認め、プロデューサーを務めることになった。のちに音楽プロダクション「N-G」の社長代理に就任した後、一度事務所を解雇されるが、改めてまた冬馬のマネージャーを務めるようになる。 基本的に気が弱く、周囲に流されやすい面があり、常に胃を痛めている。冬馬を敬愛し、まるで犬のように従順な姿勢を見せている。しかし、冬馬が由貴瑛里を重んじるあまり、新堂愁一を日本から追い出そうとした際には、怒りに任せて殴りつけるなど、筋の通った一面を見せることもある。
レイジ
芸能プロダクション「XMR」のアーティスト開発部門責任者を務める、アメリカ人の少女。当初は新堂愁一に対してまるでペットを扱うような態度を見せる。音楽プロダクション「N-G」からの移籍を拒む愁一に対し、おかしなパフォーマンスを伴っての移籍会見を強要しようとしていた。レイジの父親や母親から人間として扱われたことがなかったため、由貴瑛里から殺されかけた際に助けてくれた愁一に惚れ込む。 差し入れのおにぎりの具にアセロラを仕込む、至近距離でバズーカを発射するなど、嫌がらせのような、わかりにくい形で恋心をアピールし続け、ついにはパンダロボのミサイルを発射しながら愁一に熱烈な愛の告白をする。最終的には日本まで押しかけ、愁一の所属するロックバンド「BAD LUCK」のマネージャーとなった。 日本のアニメなどを愛好するオタクで、ジュディ・ウィンチェスターとは親友同士。男性同士の恋愛を楽しむ「腐女子」でもある。
北沢 有希 (きたざわ ゆき)
かつて、由貴瑛里が殺害した青年。由貴がアメリカに在住していた頃に家庭教師をしており、由貴が16歳の頃、仲間たちと共謀して由貴を輪姦しようとした。この際、仲間の1人に「10ドルで先に犯させろ」と言われて了承したため、逆上した由貴に銃殺された。瀬口冬馬とは犬猿の仲だった。
瀬口 美華 (せぐち みか)
由貴瑛里の姉で、瀬口冬馬の妻。当初は新堂愁一が由貴の恋人と知り、冬馬に愁一を実家に帰らせるよう強要していた。のちに冬馬の子を妊娠し、その頃には由貴が本当に愁一を愛していることを知って、応援するようになった。その後、切迫早産の疑いで入院する。
上杉 樹把 (うえすぎ たつは)
由貴瑛里の弟で、外見や声も瓜二つ。しかし、髪は黒で目は茶色と、由貴と違って日本人らしい。登場当初は16歳だが、高校には通っておらず、僧侶として檀家回りなどや法事などをこなしていた。バイセクシャルで、佐久間竜一に対して性的な興味を持っている。料理王決定戦の際には、竜一の連絡先の情報を入手するため、渡米中の由貴に変装して新堂愁一に接触を図る。 この時、愁一が由貴ではないと気付いた瞬間に、口封じのためキスをし、結果的に由貴と愁一の関係がスクープされることとなった。また、由貴の女遊びの相手だった仁美に手を出していたこともある。
相沢 滝 (あいざわ たき)
ロックバンド「ASK」のボーカルを担当している、プライドの高い青年。「佐久間竜一のそっくりさん」としてミュージックファンに登場した新堂愁一の歌声を聞いて以来ライバル視しており、愁一の所属するロックバンド「BAD LUCK」を潰そうと暗躍する。愁一と由貴瑛里の同性愛関係を知り、由貴の作家生命を盾にとって仲間たちと愁一を輪姦。 その結果、由貴の逆鱗に触れ、「ASK」メンバーのまーくんに暴行されて生命の危機を感じ、愁一からは手を引いた。のちに、由貴が殺人を犯していた過去を知って脅迫するが、瀬口冬馬の手によって事故に遭い、入院することとなった。まーくんとけんちゃんからは「たっちー」と呼ばれている。
北沢 良希 (きたざわ よしき)
北沢有希の弟。アメリカにあるバー「AX」でウェイトレスをしている。シャギーを入れたミディアム丈のヘアスタイルに、女性らしい乳房、レディースの衣類で、外見は完全に女性だが、男性器は残っている。北沢良希自身は、もともと存在感がなかったため、少しでも派手な人生を送りたいと考えて、オカマになったと語っている。 穏やかな性格で、かつて兄を殺した由貴瑛里に対しても、恨みなどは持っていない。また、髪型をいじると兄の有希とそっくりになる点を活かし、由貴のPTSD克服を手伝ったり、新堂愁一との仲を取り持ったりと、協力的な姿勢を見せる。レイジに好意を持っている様子で、愁一を追って日本へ行こうとしていたレイジの行動を事前に見抜き、ともに来日した。
ジュディ・ウィンチェスター (じゅでぃうぃんちぇすたー)
大人気のハリウッド女優。Kの妻。ジュディ・ウィンチェスター自身の主演映画の舞台挨拶のために来日し、その帰り際、アメリカの芸能プロダクション「XMR」に移籍させるため新堂愁一を拉致した。レイジの親友であり、レイジが愁一に恋をしたと知ってからは熱烈に応援している。また日本のバラエティ番組をアメリカでリメイクした番組のファンで、マネージャーのアークには、欠かさず録画するよう命じている。
アーク
ジュディ・ウィンチェスターのマネージャーを務める男性。ジュディに対し、絶対の忠誠を誓っている。Kに及ばないながらも、銃火器を用いた卓越した戦闘センスを持ち、ジュディの命令があれば、Kに対する発砲も辞さない。マイケルの世話係でもあり、Kとマイケルからは、たびたび「ゴリライモ」と呼ばれている。
ビル
レイジのマネージャーを務める少年。特にレイジが来日して以降は、ピッタリとついて歩いている。レイジに無礼を働く相手や不審者に対しては、躊躇(ためら)いなく銃を向ける。その頻度が高くなっていくので、レイジには「だんだんKに似てきている」と言われている。レイジがパンダロボを操る際には、サブパイロットも務める。
新堂 真衣子 (しんどう まいこ)
藤北高校に通う女子高校生。新堂愁一の妹。藤北高校からの帰路、家出していたマイケルを発見して保護する。躾を怠って甘やかすばかりのアークに説教した。
瑞木 カンナ (みずき かんな)
「栄光出版」で由貴瑛里の担当編集者を務める女性。由貴の女性関係が派手なことに寛容で、新堂愁一との同性愛に関しても笑顔で受け止めていた。仕事は常に淡々とこなし、朝のTV番組「モーニングタイム」で、由貴と愁一が同性愛関係にあることをカミングアウトしたことをきっかけに、由貴の著書が売れに売れていること、そして由貴の表情が豊かになったことを喜ばしく思っている。
中野 勇司 (なかの ゆうじ)
中野浩司の兄。役者として活動しているが、鳴かず飛ばずで、オーディションにも落ち続けている。出世や学歴重視の安泰な人生などつまらないと語り、家を追い出されてからも、フリーターのような生活を送っている。浩司からの信頼は厚く、よく相談に乗っている。由貴瑛里とは友好的な関係にある。
宇佐美 綾加 (うさみ あやか)
由貴瑛里の許嫁で、由緒ある寺の子女。大和撫子を体現したような少女で、丁寧な口調で話し、物腰も柔らか。由貴を心から想っており、彼の幸せを心から願っている。そのため、新堂愁一が由貴の恋人であることを知った際には、その気持ちを計るため、わざと厳しい言葉を投げた。またロックバンド「BAD LUCK」からの脱退を考えていた中野浩司が自分に好意を寄せていること知り、CDを100万枚売ればデートすると発破をかけるなど、優しく人の心の機微に聡い。
鵜飼 哲也 (うかい てつや)
鵜飼典子の夫。ひょうきんな初老の男性。石狩大学の教授が本業だが、料理評論家や美食家としても知られている。ただしこれは、かつて雑誌「1分間クッキング」に適当なコラムを書いた際に、なぜか高い評価を受けた、というあくまで偶然の産物。特別料理に関して優れた見識を持つわけではない。鵜飼哲也自身も、評価は適当で料理の出来などは関係なく、その時のノリで料理人を生かすも殺すも自由にしている、と断言している。 そのため藤崎順やKには「人類をなめている」と評されている。
由貴の父親 (ゆきのちちおや)
由貴瑛里の父親。由貴の実家である寺で住職をしている。僧職だが、酒も煙草も女性関係も断っていない生臭坊主。かねてより由貴の髪色や目の色を日本人らしくないと疎んでおり、これが由貴を日本嫌いにした一因となった。
愁一の母親 (しゅういちのははおや)
新堂愁一の母親。作家としての由貴瑛里のファン。テンションの高さが愁一とそっくりで、愁一が藤北高校に在学中にストレスで倒れた時には、楽曲のアレンジなどに使用していたシンセサイザーやパソコンのせいだとして、機器に呪詛を呟いていた。
レイジの父親 (れいじのちちおや)
レイジの父親。アメリカの芸能プロダクション「XMR」の会長を務めている男性。シルエットでのみ登場しているが、側頭部の髪と前髪のみを固めて逆立て、それ以外はスキンヘッドという特徴的なヘアスタイルをしている。人間を商品や宣伝道具としか思っておらず、幼少期のレイジが誘拐されたことすら、「宣伝になる」と喜んだと言われている。 しかし、レイジが日本に渡ってからは、密かに心配している様子が見られる。
まーくん
ロックバンド「ASK」のメンバーで本名は不明。肩まである金髪の青年で、ロックバンド「BAD LUCK」より先に音楽事務所「N-G」からデビューしたため、先輩風を吹かせていた。新堂愁一を目の敵にする相沢滝を一歩引いて見守っていた。相沢の主導で行われた愁一の輪姦には参加していなかったが、怒り狂った由貴瑛里に見せしめとして暴行を受け、肋骨を折られて入院することとなった。
けんちゃん
ロックバンド「ASK」のメンバーで、本名は不明。常にサングラスをかけている青年で、ロックバンド「BAD LUCK」より先に音楽事務所「N-G」からデビューしたため、先輩風を吹かせていた。新堂愁一を目の敵にする相沢滝を一歩引いて見守っており、由貴瑛里にまーくんが暴行を受けた際にも、相沢を庇(かば)おうとした。
仁美 (ひとみ)
由貴瑛里がかつて女遊びの相手としていた女性の1人。上杉樹把とも関係を持っていたことが分かっている。ロックバンド「ASK」のまーくんと飲み屋で知り合い、由貴の家に電話をかけた際に新堂愁一が出たことなどを話す。これが、「ASK」メンバーが由貴と愁一が同性愛の関係にあることを知るきっかけとなった。
マイケル
Kとジュディ・ウィンチェスターの息子。新堂真衣子の家の近所にある幼稚園に通っている幼児。アークが世話係としてついているが、両親に会えない寂しさから家出し、道端にうずくまっているところを、真衣子に発見された。
集団・組織
N-G (えぬじー)
瀬口冬馬が代表取締役社長を務めている音楽プロダクション。レーベルも設立しており、日本では最大規模を誇っている。所属アーティストは、冬馬自身がリーダーを務めるロックバンド「NITTLE GRASPER」を筆頭に、「BAD LUCK」「ASK」など、将来性の高いバンドばかりがそろっている。
BAD LUCK (ばっど らっく)
新堂愁一、中野浩司の2人で作り上げたロックバンド。音楽プロダクション「N-G」からメジャーデビューした当初は、サポートメンバーとして鵜飼典子が参加していたが、典子がロックバンド「NITTLE GRASPER」に戻った後は、新たなサポートメンバーとして、シンセサイザーの藤崎順が参加。中野の脱退騒動の際、藤崎を正式メンバーとして迎えている。 ファーストアルバムで100万枚を売り上げたら、愁一は由貴瑛里とデートしてプリクラを撮ることが、浩司は宇佐美綾加とデートできることが、それぞれ約束されていた。プロデューサーは当初は坂野が務めていたが、のちにメンバーの藤崎がプロデューサーも兼ねるようになる。
NITTLE GRASPER (にとる ぐらすぱー)
音楽プロダクション「N-G」所属のロックバンド。瀬口冬馬をリーダーとして、佐久間竜一、鵜飼典子の3人で構成されている。ロックバンド「BAD LUCK」結成の3年前に解散していたが、解散後も伝説のバンドとして人気を保ち続けていた。ロックバンド「ASK」が実質活動不能になったのをきっかけに完全復活し、復活シングルはタイアップもなしに、発売2日目にして売上200万枚を突破している。
ASK (あすく)
音楽プロダクション「N-G」所属のロックバンド。ボーカルの相沢滝、まーくんとけんちゃんを加えた3人で構成され、瀬口冬馬がプロデューサーを務めている。ロックバンド「BAD LUCK」より数か月早くメジャーデビューを果たしているため、「BAD LUCK」に対して旋回風を吹かせ、見下した態度を取っている。 リーダーの相沢が新堂愁一を激しくライバル視した結果、まーくんと相沢が入院する事態に追い込まれることとなり、実質活動不能となった。
XMR
アメリカの大手芸能プロダクション。レイジの父親が会長、レイジがアーティスト開発部門責任者を務める。事件や事故でニュースを派手に騒がせることすら「宣伝」と捉える社風で、移籍させたいアーティストは、在籍レーベルや交遊関係者ごと買収しようとするあくどさを見せる。
場所
藤北高校 (とうほくこうこう)
新堂愁一と中野浩司の母校。新堂真衣子が在籍している高校。ロックバンド「BAD LUCK」のメンバーということもあって、愁一と浩司は学内の名物男二人組として知られている。自由な校風で、愁一たちが学園祭で乱入ライブをしたり、卒業式の特別プログラムとしてスペシャルライブを行うことも、特段問題とすることなく、目こぼしされている。
AX
由貴瑛里がアメリカに滞在中、頻繁に通っていたバー。かつて北沢有希が通っていた場所でもあり、またプライベートで利用している。そのため、坂野が由貴に面会を求めて訪れた際には、非常に迷惑そうにしていた。由貴が北沢良希と出会った場所でもある。
イベント・出来事
脱退騒動 (だったいそうどう)
ロックバンド「BAD LUCK」のファーストアルバム売り上げ100万枚突破直前に起こった出来事。新堂愁一と由貴瑛里の同性愛がスクープされた際、Kと坂野がこれを利用して、売り上げを伸ばすことのみに執心している様子に、怒りを覚えた中野浩司が、「BAD LUCK」からの脱退を計画した。最終的には、「アルバムが100万枚を売り上げたら浩司とデートしてあげる」という宇佐美綾加からの提案により、浩司が脱退することはなかった。
その他キーワード
パンダロボ
レイジが所有している巨大なパンダ型のロボット。ジェットエンジンによる飛行機能を備えており、ミサイルなども複数内蔵されている。メインパイロットはレイジが務めており、操縦の際はぴっちりとした専用のパイロットスーツを着用する。胴体のメインコクピットの他に頭部にサブコクピットがあり、そこではビルが索敵などを担当する。 内部は広く、レイジとビルに加えて、さらに3人を乗せて行動することが可能。
クイズでポン!
ロックバンド「BAD LUCK」が初めて出演したTV番組。生放送のクイズ番組で、優勝賞金は100万円。この本番収録中に、「BAD LUCK」の新堂愁一と中野浩司が、「100万円はいらないから、優勝したら一曲歌わせて欲しい」と発言し、見事優勝してファーストシングルを歌い上げた。この時、由貴瑛里に関する問題に愁一が正解したため、相沢滝に、愁一と由貴の関係を怪しまれることとなった。
ミュージックファン
生放送の音楽番組。Kに佐久間竜一と間違えて拉致された新堂愁一が、竜一のそっくりさんとして急遽出演させられた。愁一は十八番であるロックバンド「NITTLE GRASPER」の楽曲「BE THERE」を歌唱し、視聴者から注目を集めた。非常にメジャーな番組で、この時は3時間のスペシャル編成だった。
ヒットステージ
生放送の音楽番組。3年ぶりに復活したロックバンド「NITTLE GRASPER」と「BAD LUCK」が共演した。この時、佐久間竜一と新堂愁一がデュエットを披露し、好評を博した。愁一はこの件で竜一とのボーカリストとしての力量差を自覚し、竜一を、憧れの存在から目標へと、認識を改めることになった。
料理王決定戦 (りょうりおうけっていせん)
TVの料理番組。藤崎順を正式メンバーに加えた新生「BAD LUCK」が初めて出演し、鵜飼哲也が審査員を務めた。優勝賞品はディズニーランドペア招待券となっており、新堂愁一はこれを使って由貴瑛里とデートに行こうと考えていた。この本番収録中、佐久間竜一の携帯番号や実家の連絡先などにつられた上杉樹把が、渡米中の由貴になりすまして乱入。 由貴に変装したままカメラの前で愁一とキスしたため、由貴と愁一の同性愛がスクープされることとなった。
モーニングタイム
朝のワイドショー。TV番組「料理王決定戦」でスクープされた由貴瑛里と新堂愁一の同性愛関係について、レポーターが話を聞くため、由貴の自宅に張り込んでいた。アメリカから帰宅した由貴と、由貴の自宅から出て来た愁一による交際宣言を生放送し、視聴率30%以上を獲得。これがきっかけで、由貴と愁一は公認のカップルとして認められるようになった。