概要・あらすじ
桜崎ナオは人間の少年・高岡シンタに恋するコイネコ。日々、果敢なアプローチを繰り返しては、ドタバタ騒ぎを展開している。しかし、いつしか奥手なシンタが自分からナオにキスをするようになるなど、2人の恋は緩やかながらも進展していく。そんな中、異なる外見を持つにも関わらず「桜崎ナオ」を名乗るもう一人のナオが現れ、シンタの記憶の中で2人のナオが混同され始めるなど、彼らの世界には奇妙な「歪み」が生まれ始める。
登場人物・キャラクター
高岡 シンタ (たかおか しんた)
中学1年生の少年。優柔不断なヘタレで純情な性格。桜崎ナオをはじめとする複数のコイネコたちに慕われているほか、クラスメイトによれば「悪くないルックス」であり、人間の女性からもモテる。ナオのことが好きだが、まだ中学生なので一線を越えてはいけないと考えている。もう一人のナオからは「シンちゃん」と呼ばれている。
桜崎 ナオ (さくらざき なお)
高岡シンタのクラスメイトの少女で、その正体はコイネコ。ロングヘアの髪型をしている。ミカヅキによれば、発情期をまだ迎えていない仔猫で、人間の姿の時も貧乳で幼児体型。恋には非常に積極的なタイプで、シンタとの間にたくさんの子供が欲しいと思っている。学校の成績はなぜかトップクラス。
もう一人のナオ (もうひとりのなお)
桜崎ナオとは異なる外見を持ちながら「桜崎ナオ」を名乗る、正体不明のコイネコ。ショートカットの髪型をしている。高岡シンタのことが好きだが、おとなしくて恥ずかしがり屋なので、その気持ちをうまく表現できない。初めはシンタの夢の中に登場する夢の夜の街の住人であったが、やがて現実の世界の神社に姿を現すようになる。
ミヤビ
流れ者のメスのコイネコ。人間形態を取ると茶髪のロングヘアの若い女性の姿になり、大阪弁でしゃべる。他の猫たちによれば、猫の姿でも外見は若いというが、実は数十年間も生きている。高岡シンタのことが気に入り、さまざまなアプローチをかけているが、シンタからは特に恋愛感情は持たれていない。
ミカヅキ
オスの野良猫で、高岡シンタの家の周辺一帯を縄張りにしているボス猫。実は藤枝ワカバに恋するコイネコであるが、その事実は桜崎ナオをはじめとする他のコイネコたちさえも知らない。人間の姿を取ると、大柄な青年の姿になる。
ミイコ
ミカヅキの縄張りに流れて来た、若いメスのコイネコ。恋の相手であったもとの飼い主は老人であり、既に亡くなっている。飼い主のことを忘れかけたことで、コイネコでなくなりそうになったが、猫の歌を覚え、コイネコとしての自分を取り戻した。人間の姿を取ると、普通の少女の姿になる。
ハル
ミカヅキの縄張りに流れて来た、メスの仔猫のコイネコ。当初は捨て猫であったが、のちに飼い主であり恋の相手である少年が再び迎えに来たため、その家で暮らすようになる。人間の姿を取ると、幼くボーイッシュな外見になるが、内面的には乙女であり可愛い服を着るのが好き。
イナホ
神社に住んでいる、稲荷大明神の御遣い。年齢については、イナホ自身は「流石に戦国時代にはまだ生まれていなかった」と語っている。中性的な外見をしており性別は不詳だが、もう一人のナオを異様なまでに溺愛している。人間に限らず、他者の願いを何でも叶えることができる超常の力を持つ。桜崎ナオともう1人のナオの本当の関係など、すべての事情を知る存在。 頭に獣の耳が生えた人間の姿をしている。
藤枝 ワカバ (ふじえだ わかば)
中学1年生の少女で、高岡シンタのクラスメイト。シンタに想いを寄せ、告白するものの振られてしまう。重度の猫好きであり、特にミカヅキに対しては強い執着を見せている。かなりの巨乳で、男子生徒にはモテモテ。密かにコスプレを趣味としており、大量のコスプレ衣装を自宅に隠し持っている。
場所
夢の夜の街 (ゆめのよるのまち)
高岡シンタの夢の中に時々現れる、もう1つの世界。桜崎ナオが存在せず、その代わりにシンタのことをずっと待ち続けているもう一人のナオがいる。その実態は、イナホの「他者の願いを叶える能力」によって生み出された異世界である。
神社 (じんじゃ)
稲荷大明神を祀っている神社。イナホが住んでいる。基本的には単なる神社であり、よく猫たちが遊びに来ていて、その中には桜崎ナオがいることもある。高岡シンタは、まだ幼い頃にこの神社に捨てられていた2匹のメスの仔猫の世話をしていたことがある。
その他キーワード
コイネコ
人間に恋したことで、人間に変身できるようになった猫。完全な人間の形態、完全な猫の形態、そして猫耳と尻尾が付いた人間の形態という三相を自在に取ることができる。精神的にパニックに陥ったりすると、耳と尻尾をしまうことができなくなることもある。恋した人間のことを忘れたり、あるいは嫌いになったりすると、普通の猫に戻ってしまい、変身能力を失う。 また、猫の歌を歌えるようになったコイネコは、もう普通の猫に戻ることはなくなる。猫の本来の寿命から解き放たれているなど、さまざまな超常的特徴を持つ。
猫の歌 (ねこのうた)
死別などさまざまな事情によって恋の相手の人間と別れることになったコイネコが、時として覚えることのある歌。歌そのものは、音声を発して歌われるただの歌だが、この歌を歌えるようになったコイネコは恋心を失っても、ただの猫に戻ることはない。どのような歌であるかは、個々のコイネコによって異なる。
祓串 (はらえぐし)
特殊な霊力を持った道具。イナホが一時的に神社を留守にして遠出をした時、留守番を任せたもう一人のナオに貸し与えたもの。これを持つ者は、自身や他者の願いを自在に叶えられるようになる。ただし、込められている霊力は有限なので、使用回数に限りがある。
からくり箱 (からくりばこ)
イナホが高岡シンタに与えた、どうやっても開けることのできない不思議な箱。イナホによれば、中には「生きている猫と死んでいる猫、その2つの可能性が入っている」のだという。桜崎ナオともう一人のナオの真の関係、そして2人の運命に関わるキーアイテム。
思い出手帳 (おもいでてちょう)
桜崎ナオが持っている手帳。高岡シンタと間の、各種恋愛イベントやデートの記録などが克明に綴られている、一種の日記。イナホの力によってシンタほかすべての人々がナオのことを忘れてしまった時、これだけがナオについて記された唯一の手がかりとなった。
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