作品の概要
基本情報
ひろちひろの代表作。
要旨と舞台設定
電車内でトラブルに遭遇した際、同じ学校の先輩、岡庭愛慈に助けられた女子高校生の安堂うららは、彼に運命的な恋を感じ、積極的にアプローチを始める。だが、なぜかクラスメイトの男子、美園純から妨害を受けてしまう。
ストーリー展開
物語は、うららと純、愛慈の三角関係を軸に展開される。うららが愛慈への思いを募らせる中、純との関係も変化していく。その後、他校の男子、オビも加わり、うららの恋愛模様はさらに複雑さを増す。そんな中、うららと純は互いへの思いを自覚し、二人は次第に新たな関係性を築いていくこととなる。
ジャンル的特徴と位置づけ
本作は、うららの心情変化や人間関係の機微を描写した恋愛ストーリー。登場人物たちの複雑な感情や関係性の変化が物語の中心となっている。
作品固有の表現技法と特徴
作中では、主人公の視点から恋愛感情の変化や成長が描かれ、高校生の日常生活における友情や恋愛が繊細に表現されている。
世界観の構築と設定
物語の舞台は現代日本の高校で、部活動や学校行事など、実際の学生生活に即した要素が取り入れられている。そして、クラスメイト同士の交流や放課後の過ごし方など、日本のありふれた学生生活が物語の中心となる。
連載状況
集英社「マーガレット」2018年24号から2023年1号まで連載。
あらすじ
第1巻
ある日の休日、安堂うららは電車内でトラブルに遭う。そんなうららを偶然目撃した岡庭愛慈が仲裁に入り、トラブルはあっという間に収束する。頼もしい愛慈にうららは一目ぼれするが、連絡先も聞く間もなくその日は別れてしまう。そんな中、斉藤の代わりに参加した委員会活動で、うららは愛慈と再会。愛慈を運命の人だと確信したうららは、過去の苦い経験も踏まえて、積極的に行動を起こす。しかし、うららは同じクラスの美園純から、軽い気持ちで愛慈に近づくなとけん制され、恋路を邪魔されるようになる。なかなか思うようにアプローチできなくなったうららは、これまでいっさいかかわりのなかった純と会話する機会が増えるうちに、彼の本来の優しい性格を知ることとなる。一方の純もうららの明るく素直な人柄を知り、少しずつ態度を軟化させていく。
第2巻
安堂うららたちの通う高校では、クラス対抗の球技大会が近づいていた。優勝すると学食ランチ無料券が配布されることを知り、一部の男子を中心にクラスメートは団結する。うららはクジ引きによってバスケットボールに参加することになるが、運動が苦手なうららはドリブルもままない。そんなうららの状況を知った岡庭愛慈が、自らコーチ役を買って出たこともあり、二人だけのプライべートレッスンがスタートする。うららはバスケットボールが上達していくとともに、愛慈と二人きりで過ごせる時間に幸せを覚える。そんな中、愛慈は自分がレッスンに参加できない日には、美園純に自分の代役を任せる。そして球技大会当日、二人からレッスンを受けたうららは奮闘するものの、前半戦はリードを奪われてしまう。落ち込むうららだったが、後半戦に出場する純は絶対に負けないと宣言し、彼の活躍もあってみごと逆転勝利をおさめる。クラス内が大いに盛り上がる中、試合で負傷した純はひそかに一人保健室へと向かう。そんな純の姿を見たうららは、慌ててあとを追いかける。
登場人物・キャラクター
安堂 うらら (あんどう うらら)
高校1年生の女子で、明るく素直な性格をしている。困っている人を放っておけず、自分を犠牲にしてまでも助けようとするほどに正義感が強い。しかしよけいなお世話だと相手から罵声を浴びたり、周囲からお人よし過ぎると呆れられたりしている。中学時代に思いを寄せる男子がいたが、友達も同じ男子が好きだと知り、本心を打ち明けられずに友達の恋愛が成就するように協力した苦い経験を持つ。そのことから、次の恋愛は自分の気持ちを優先して行動することを決めている。電車内でトラブルに遭った際、助けてくれた岡庭愛慈に一目ぼれし、運命の人だと感じてアプローチを開始。その際、クラスメートの美園純から愛慈に近づくなとけん制され、純に苦手意識を抱いている。しかし、純とかかわるうちに本来は優しい性格だと知り、次第に打ち解けていく。おいしい物を食べると、心の底から幸せそうな表情を浮かべる。
美園 純 (みその じゅん)
高校1年生の男子で、安堂うららのクラスメート。幼い頃に両親が離婚し、母親に引き取られる。しかし母親が仕事で海外赴任をすることになり、母方の祖母に育てられた。祖母は中学校時代に亡くなったため、現在は一人暮らしをしている。昔から祖母を手伝ってきたこともあり、家事全般のスキルは非常に高い。家族との縁が薄いことを寂しく感じており、祖母が亡くなった際に寄り添ってくれた幼なじみの岡庭愛慈を慕っている。それ故に運命の人だと浮ついた気持ちで愛慈にアプローチを繰り返すうららを許せず、最初は悪態をついていた。しかし、うららの人柄を知るうちに態度を軟化させ、次第に彼女のことを異性として意識するようになる。第一印象はクールで愛想のないように見えるが、本来は優しく思いやりのある性格の持ち主。
岡庭 愛慈 (おかにわ あいじ)
高校2年生の男子で、美園純とは幼なじみ。両親の離婚や祖母との死別によって家族がいない純の寂しさを埋めてきた人物で、彼のことをまるで本当の弟のようにかわいがっている。大人びた容姿のイケメンだが、岡庭愛慈自身は年齢のわりに老けていることを気にしている。整った顔立ちと、コミュニケーション能力も非常に高いため、老若男女を問わず多くの人から慕われている。異性から恋愛感情を抱かれる機会も多いが、過去の苦い経験から特定の彼女を作らずにいる。電車でトラブルに遭っていた安堂うららを助けたことをきっかけに、うららから好意を寄せられるようになる。放課後は近所のイタリア料理店でアルバイトをしている。
由花子 (ゆかこ)
高校1年生の女子で、安堂うららのクラスメート。学校内では萌を交えて三人で行動を共にしている。クールな性格の現実主義者で、トラブルをきっかけに知り合ったうららと岡庭愛慈の恋愛に対して、冷静なアドバイスを送る。また、お人よし過ぎるうららの性格を心配している。
萌 (もえ)
高校1年生の女子で、安堂うららのクラスメート。学校内では由花子を交えて三人で行動を共にしている。真っすぐで素直な性格で、思ったことをそのまま言葉にしてしまうところがある。つねにテンションが高く、うららと由花子に呆れられることも多い。電車でのトラブルをきっかけに知り合ったうららと岡庭愛慈の出会いを、まるでドラマのようだと自分のことのように喜び、応援している。
斉藤 (さいとう)
高校1年生の女子で、安堂うららのクラスメート。同じ高校に彼氏がいるが、部活動ばかりを優先しているためにあまり会えずにいる。美園純と同じ委員会に所属している。
書誌情報
ふたりで恋をする理由 12巻 集英社〈マーガレットコミックス〉
第1巻
(2019-04-25発行、978-4088441917)
第2巻
(2019-08-01発行、978-4088442327)
第3巻
(2019-12-01発行、978-4088442761)
第4巻
(2020-04-01発行、978-4088443263)
第5巻
(2020-08-01発行、978-4088443980)
第6巻
(2021-01-01発行、978-4088444178)
第7巻
(2021-05-01発行、978-4088444468)
第8巻
(2021-09-01発行、978-4088445229)
第9巻
(2022-01-01発行、978-4088445861)
第10巻
(2022-05-01発行、978-4088446073)
第11巻
(2022-09-22発行、978-4088446974)
第12巻
(2023-01-25発行、978-4088447308)







