概要・あらすじ
中野区立坂下中学校第34期卒業生の同窓会で、元3年D組の面々が25年ぶりに再会。かつて恋人同士だった柳健太と鎌倉あけひは互いを忘れられず、その後も逢瀬を繰り返すように。夫の暴力に悩むあけひは離婚も視野につき合おうとするが、バツイチの健太は前妻との辛い記憶から不倫に消極的だった。
いっぽうイケメンのゼネコン社員、桜井遼介は妻子持ちだが、独身の広野薫子を熱烈に口説く。離婚するとまで言う遼介に薫子も心を開き、2人は激しく体を求め合うようになった。健太もやがて前妻の再婚を機に気持ちを固め、あけひと肉体関係を結ぶ。そんな矢先、あけひの夫、鎌倉太郎の不倫が発覚。
子供を連れて家出したあけひは太郎と離婚する。だが子供に冷たく自己中心的な健太にも幻滅し、シングルマザーとして別々の道を歩むことを選んだ。いっぽう遼介も不倫関係に飽きて離婚を撤回。妊娠していた薫子は遼介の子を生み、女手ひとつで育てていく。やがて5年の月日が流れ、健太とあけひは小淵沢で偶然再会する。
登場人物・キャラクター
鎌倉 あけひ (かまくら あけひ)
中野区立坂下中学校3年D組出身で、旧姓は石川。生後すぐ親に捨てられて養父母の下で育つが、養父の暴力に苦しめられる。中学3年の時にいじめから自分をかばった柳健太と恋人同士になるが、受験が始まって自然に別れた。後に美容師となり、夫の鎌倉太郎とともに吉祥寺で美容院Hair Kamakuraを営む。 子供が4人いるが、長男の一郎は夫の連れ子。太郎も家庭であけひに暴力を振るい、夫婦仲は冷え込んでいた。当初あけひは健太との不倫に積極的だったが、次男の弘二の不登校をきっかけに家庭を顧みるようになる。やがて太郎の浮気を機に離婚するものの、連れ子の一郎の面倒を見たくないという健太にも幻滅。 4人の子を持つシングルマザーとして、小淵沢の美容院で自活を始めた。だが健太への恋慕を完全に捨てておらず、5年を経た再会で3度目の恋愛が示唆される。
柳 健太 (やなぎ けんた)
中野区立坂下中学校3年D組出身。中学3年の時に鎌倉あけひとつき合う。だが家業のクリーニング店を継ぐのがいやで受験勉強に専念し、後に別れた。大手化学メーカーの神保化学の研究開発部に就職、同僚のサエコと結婚。だがサエコの不倫を疑うようになり、1人息子、正太の父親が上司の清水潤也ではとの疑心暗鬼に取り憑かれる。 やがて正太をサエコに預けて離婚、退職して家業のクリーニング店を継いだ。離婚のトラウマからあけひとの不倫を躊躇していたものの、逢瀬が進むうち真剣に。サエコの再婚を知った後はあけひに対して強引に離婚を迫るが、夫の連れ子の面倒は見ないと言って不信を買った。 元の勤務先から海外法人への再就職を持ちかけられ、渡米。その後、退社を経て5年後に小淵沢の高等専門学校の教師となった。
桜井 遼介 (さくらい りょうすけ)
中野区立坂下中学校3年D組出身。桜井病院の院長を父に持ち、中学生時代からイケメンで女子の人気をほしいままにしていた。医者にしたいという親の期待を裏切って一級建築士となり、ゼネコンに就職。良家のお嬢様である加奈子と結婚、長女の志穂利をもうける。学歴偏重主義で気の合わない加奈子との夫婦生活に鬱憤を抱いていた。 そこへ中学時代に関心のあった広野薫子と同窓会で再会して恋慕の情をかきたてられ、生涯で唯一の愛だと確信。男性経験のなかった薫子をその気にさせ、激しい情事を重ねるように。だが夫婦仲が改善すると薫子への関心を失い、離婚するという約束を反古にして捨てた。 親交のあつい柳健太、鎌倉あけひに対しては、よき友人として助力を惜しまない。後に会社を退職して医学部を受験、5年後に研修医となる。
広野 薫子 (ひろの かおるこ)
中野区立坂下中学校3年D組出身。黒髪眼鏡で男性と縁のないタイプ。薬学部を出て大学病院の薬局に勤務するように。そこでイケメン研修医の青山圭に口説かれ、23歳にして初めて男性とつき合った。だがキスより先に関係が進まないまま、青山が看護婦の聖子を妊娠させたことで関係を解消。 その後ずっと男性と縁のない生活を送っていた。同窓会を経て桜井遼介と再会した後、薫子のために離婚するという情熱的な求愛を真に受けて肉体関係に耽溺する。やがて遼介の子を身ごもるが、離婚の約束を反古にされてシングルマザーとなった。
鎌倉 太郎 (かまくら たろう)
鎌倉あけひの夫。あけひとともに美容院Hair Kamakuraを営む。吉祥寺、駒場、代官山の3カ所に店を持つやり手である。原宿の美容院で同僚だったあけひを口説いて結婚した。キレやすい性格で、あけひにしばしば暴力を振るう。資金を援助するパトロンの見城マダムと肉体関係にあり、情事の現場をあけひにスマホで撮影されてしまう。 あけひの代理人、小野寺弁護士が登場したことで観念し、離婚届に捺印した。その後あけひも柳健太と不倫をしていたことを知り憤慨。あけひにつきまとおうとするが、健太が言い値で慰謝料を支払ったことで引き下がる。
鎌倉 一郎 (かまくら いちろう)
鎌倉夫妻の長男で、夫の太郎の連れ子。合気道を習っており、母のあけひを殴ろうとする太郎を取り押さえる。いっぽうで父親を慕う部分もあり、あけひが子連れで家出した際は1人で鎌倉家に残った。だが捨てられて憔悴した父親の態度にまた嫌気がさし、あけひの下に身を寄せるように。
見城マダム (けんじょうまだむ)
鎌倉夫妻が営む美容院Hair Kamakuraの常連客で、小太りの中年女性。代官山駅前一等地に支店を出すバックアップをするなど、パトロンとして鎌倉太郎を金銭的に支援している。同時に肉体関係も結んでおり、代官山店の候補物件でセックスしているところを鎌倉あけひに目撃された。
サエコ
柳健太の元妻。大手化学メーカーの神保化学の研究開発部に所属、後に営業部配属となる。上司の清水潤也と不倫していたが、関係を清算して健太と結婚。長男の正太をもうける。だがその前後から、健太がサエコと清水の関係が続いているのではとの疑心暗鬼にかられ、正太の父親まで疑い始める。 夫婦仲が絶望的となったため再び清水と情事を交わすが、その現場を健太に目撃されて離婚に至った。自分を追い詰めた健太には一切の未練を感じていない。後に離婚が成立した清水との再婚が決まり、その子を身ごもる。
清水 潤也 (しみず じゅんや)
大手化学メーカーの神保化学社員。既婚者だったが、独身時代のサエコと不倫関係を結んでいた。柳健太と結婚したことでサエコとの不倫関係を解消したが、夫婦関係の悪化で相談を受けるうちに再び関係するように。後に自身の離婚が成立し、サエコとの再婚が決まる。
正太 (しょうた)
柳健太・サエコ夫婦の1人息子。健太は清水潤也の子供ではと疑い、父親としての関心を放棄してきた。だが正太は健太を慕っており、サエコの意に反してしばしば面会に訪れる。面会時に健太が正太に理解を示してやると顔を輝かせて喜んだ。だが後に清水潤也が新しい父親であることを自然に受け入れていく。
加奈子 (かなこ)
桜井遼介の妻。上流階級に生まれた美貌の持ち主で、公立学校出身者を見下していた。自覚のない悪意で周囲を傷つけても意に介さず、遼介は加奈子との関係に絶望。長女の志穂利のお受験に狂奔するが、結果は不合格に終わる。これを機に、自分が幼い頃母親にされたのと同じことを志穂利にしていたという反省が生まれ、急速に価値観を改めていった。 会社をやめて医学部を受験したいという遼介を支持し、すすんでパートで働きに出た。そうした加奈子の姿を見て遼介は離婚を思いとどまり、不倫の相手だった広野薫子との関係を解消する。
青木 圭 (あお きけい)
広野薫子の最初で最後のボーイフレンド。薫子が就職した大学病院で1年上の研修医。当時はハンサムで女性職員の憧れの的だった。薫子を口説いて3カ月間交際するが、その間に妊娠させた看護婦の聖子と婚約することになって、関係を解消。桜井遼介が骨折で入院した時の主治医となり、見舞いに来た薫子と偶然再会する。 青木はひたすら快楽を求めて若い女性との不倫を繰り返していた。
ヤン
柳健太が父親から継いだクリーニング店の中年女性パート店員。中国出身で夫は日本人。態度はぶっきらぼうだが観察眼はあり、健太の女性関係にしばしば鋭い言葉を投げかける。
田所 信也 (たどころ しんや)
中野区立坂下中学校3年D組出身。脱サラして妻と山中湖でペンションを営んでおり、桜井遼介が開業の手助けをした。リーマンショックで経営が苦しく、同窓会の幹事となった遼介が翌年の会場に推薦する。下調べと称して、遼介、柳健太、鎌倉あけひ、広野薫子が宿泊した。 遼介はここでも薫子との情事に没頭し、2人で浴室を長時間独占した。