概要・あらすじ
ストーリー四コマ漫画及びキャラクターによるシリーズとして次の作品が挙げられる。まず第一版では若いカップルの山あり谷ありのラブストーリーである「丸山君とノッコ」,、平凡な若者の冴えない日常を描く「山中と弘治」、夢見がちで詩を愛するが周囲からは完全に浮き上がっている少女・ノア、覗きと脅迫を繰り返す怪人・便所仮面それぞれのシリーズが進行するが、便所仮面が丸山を狂気に陥れたり、ノアの正体が便所仮面だったりと交わっていく。
第二版では、イエス・キリストの再臨と育ての親の江戸っ子・留の月日を描く「ヤスと江戸っ子」、気弱で流されやすい少年が女性の術中にはまって破滅していく様を描く「高橋くんとミーナ」、バカで軽薄な男が激しい恋に恋して愚行を繰り返す「燃えるような恋」、マッドサイエンティストと何故か逃げ出さない助手のコメディ「田所博士と本郷くん」の各シリーズとその他のストーリーが最終的に世界的な破滅と再生へと展開する。
第三版では、すぐに自殺しそうになる太宰治、何があっても動じない冷静な宇宙探査船の艦長とクルーの姿を描くSFギャグ「キャプテン」、モヒカン刈りで生活に苦労するパンクス、謎の全裸小学生もけけくん、実直でバカ正直なばかりに人格と家庭が崩壊していく本田刑事部長、すぐに白タイツ姿で踊り始める安藤課長、オシャレで先進的だがかなり無理のあるカップルタダシとナオコなど個性が強すぎるキャラクターで牽引するシリーズが描かれる。
登場人物・キャラクター
小沢 美奈子 (おざわ みなこ)
第二版の「高橋くんとミーナシリーズ」のヒロイン。あの手この手を駆使して高橋政浩を恋人にし、どんどん泥沼に引きずり込んでいく。策略にたけ、高橋が自分を愛していないことを知りながら既成事実を積み上げ、逃げられないようにしていく。
ちくわ女 (ちくわおんな)
口が竹輪状の女性。常に涙を流している。意味もなく登場することが多い。不幸な顔立ちの人間なのか、妖怪変化の類なのかは不明。
典子 (のりこ)
若い女性。彼氏に押し倒されるが、石焼き芋の声でシラケて未遂に終わったり、彼氏とテレビを視ている時に屁をひってしまったり、ヘビメタでウンコの音をごまかそうとして失敗したりと、やたら小さなつまずきが多い女性。
丸山 (まるやま)
ノッコの彼氏。すぐに欲情するが、なかなか一線を越えられない。便所仮面に恥ずかしいところを見られて、精神状態がおかしくなる。復活後、シリアスにノッコに迫る。
センパイ
ノッコの元カレ。帰省中にノッコをホテルに連れ込む。
山中 (やまなか)
若い男性。弘治の友人。タラコ唇。メンズビギの店内に片足だけでも入るという偉業を達成し、弘治に尊敬される。乳暈が大きいことを恥じている。
弘治 (こうじ)
若い男性。山中の友人。名前から作者の分身の一人と推測できる。巨乳好きだが大きな乳暈が嫌い。
小野 あつ子
転校生。自己紹介で「小野」の「の」と「あつ子」の「あ」で「ノア」という仇名を公表するが、全員にあきれられる。すぐにボロボロと涙を流す。ポエム好き。二重人格で、発作を起こすと便所仮面となって暗躍する。
便所仮面 (べんじょかめん)
シルクハットに赤い仮面、チョビ髭、マントというスタイルで、他人の恥ずかしい姿を覗いたり、盗撮したりする怪人。
竹中 (たけなか)
ノアが想いを寄せる男子。
留 (とめ)
中年男性。江戸っ子。宵越しの金は持たない。便所仮面にトイレを覗かれても「好きなだけ覗きやがれ」と堂々としている。第一版では妻のお光と、一人息子の健太と三人家族だったが、第二版では妻子は仏壇の遺影となっている。馬を飼っていて時々、乗り回している。第二版の「ヤスと江戸っ子シリーズ」では、ヤスこと、復活したイエス・キリストの育ての父となる。
お光 (おみつ)
留の妻。火打ち石を糠漬けにしてしまうようなおっちょこちょい。第二版では故人。死因は不明。
健太 (けんた)
留とお光の一人息子。第二版では故人。死因は不明。
鉄男 (てつお)
パンチパーマの青年。ヘアスタイルに悩む。猫を飼っている。
相原コージ (あいはらこーじ)
作者の分身の一人。
トレンチコートの人物
作中には名前が出てこない人物。常にトレンチコート、ソフトハット、サングラスというファッションをしている。映画『カサブランカ』のハンフリー・ボガート演じるリックがその原型だと推測できる。下町の長屋でオカミさん風の妻と幼子と暮らしている。
ハゲメガネの人物
作中に名前が出てこない人物。スダレハゲでメガネをかけた初老の男性。多くの場合、和服で登場する。他人をからかうことが楽しみ。
沼田 (ぬまた)
男子学生。スプーン曲げができるだけ。包茎。イジメられっ子。
おじさん
作中に名前は出てこないが、ナレーションでおじさんと呼ばれることがある。総白髪でオールバックの初老の男。流砂に飲まれたり、飛行機が墜落したり、船が転覆したり、ハブに噛まれたり、強盗に刺されたりと常に危機にさらされて死ぬ。忍者、兵士、探検家、宇宙飛行士、武士など様々な職業で登場。 本職は不明。妻と一難一女がいる。
ヤス
第二版の「ヤスと江戸っ子シリーズ」に登場。「我、日出ずる地再び現れん」とローマ法王庁にあるキリスト像のペニスから飛び出し、留の馬小屋に幼児として出現。神の子であるという自覚のないまま、留の手で江戸っ子教育を受けて成長。次第に神童ぶりを発揮して、留をたしなめるようになる。 やがて、神の子、イエス・キリストとして覚醒。世界を大洪水で清める。
島野 裕二 (しまの ゆうじ)
第二版の「燃えるような恋シリーズ」の主人公。美佳という恋人がいながら、「燃えるような恋」を夢見、固執し、奇矯な行動をとる。一度は美佳と別れるが、恋愛遍歴を経て、よりを戻す。
美佳 (みか)
第二版の「燃えるような恋シリーズ」に登場する。島野裕二の彼女。セックス好き。島野の浮気が原因で一度は別れるが、やがてよりを戻し、妊娠する。
ユッコ
第二版の「燃えるような恋シリーズ」に登場する。島野裕二の浮気相手。
陽子
第二版の「燃えるような恋シリーズ」に登場する。島野裕二が美佳と別れた後、図書館でナンパした女子高生。島野にラブホテルに連れ込まれ、それ以降も関係を続けるが、島野よりも知性があり、高尚かつ哲学的な言辞で島野を圧倒。最後には島野をバカだと悟って去って行く。
弁当屋のコ (べんとうやのこ)
姓名不詳。第二版の「燃えるような恋シリーズ」に登場する。島野裕二の「燃えるような恋」の標的にされてしまった、弁当屋の女性店員。島野の策略で、強姦魔役を演じた和義に本当にレイプされてしまう。
今井 和義 (いまい かずよし)
第二版の「燃えるような恋シリーズ」に登場する。島野裕二の悪友。妻帯者でモラリストぶって島野を説教するが、美佳を譲るからと聞いて強姦魔役を演じる。シナリオでは和義に襲われている弁当屋のコを島野が救出し、恋が芽生えるということになっていた。しかし、調子に乗った和義は島野を返り討ちにしてしまい、本当に強姦してしまう。 これが癖になってしまい、婦人警官を襲って逮捕される。
高橋 政浩 (たかはし まさひろ)
第二版の「高橋くんとミーナシリーズ」の主人公。ミーナが登場する前からお人好しで大勢に流されたり、大勢に乗ろうとして失敗したりしていつも後悔している姿が描かれる。自分のささいな一言が同級生の松尾さんを自殺に追いやったと思い込み、それがトラウマとなってブスのミーナの告白を断り切れずにズルズルと恋人関係に陥り、妊娠させて逃亡。 しかし、逃亡先まで赤ん坊を抱えたミーナが折ってくる。
高橋 清光 (たかはし きよみつ)
第二版の「高橋くんとミーナシリーズ」の登場人物。高橋政浩の父。シリーズ外でも登場する。20年間正常位でしかセックスをしていない実直な中年男。
高橋 絹子 (たかはし きぬこ)
第二版の「高橋くんとミーナシリーズ」の登場人物。高橋政浩の母。シリーズ外でも登場する。
松尾 (まつお)
第二版の「高橋くんとミーナシリーズ」の主人公高橋政浩の同級生女子。自分の下手な絵を高橋に見られ、「ヘタクソでしょー」と謙遜したところ、素直に「うん」と返されてしまう。その後、自殺してしまい。高橋は自分のささいな一言が彼女を自殺に追い込んだと思い込むことになる。
おぼん小僧 (おぼんこぞう)
お盆を持った子供。ちくわ女と同じく意味もなく登場するキャラクター。ちくわ女と比較すると受動的で、置物的な存在。お盆を頭に載せると耳が伸びる。
フレッシュマン
最初は新入社員=フレッシュマンとしてスーパーマン的なコスチュームで出社し、一発でクビになる。その後、様々なコスチュームで「○○マン」を名乗って登場する。
田所博士 (たどころはかせ)
第二版の「田所博士と本郷くんシリーズ」の主人公。白衣の科学者スタイルで登場。マッドサイエンティストだが、「マッド=狂気の」ではなく「マッド=愚かな」科学者。
本郷 (ほんごう)
第二版の「田所博士と本郷くんシリーズ」の副主人公。マッドサイエンティスト田所博士の助手。田所博士の幼稚な、あるいは馬鹿げた理論や実権で常に迷惑をこうむり、そのたびに暗い顔になる。ついには実験中に事故死し、珍妙なサイボーグとして復活させられる。
首吊りおじさん (くびつりおじさん)
作中で名前は書かれない。困っている人に「じぇにっこくれたら望みかなえたる」と救いの手を差し伸べるが、その救いとは常に依頼者を絞首することである。
麗子 (れいこ)
たこ八郎と思われる霊に憑依されたり、金縛りにあったり、幽体離脱したり、たびたび不思議な現象に見舞われている少女。
立川 義剛 (たちかわ よしたけ)
本作連載時の担当編集者。
キャッシー
日本文化に一々衝撃を受けて大騒ぎする金髪の白人女性。実は16年前、ローマ法王がイエスの再臨を確認するため日本に送り込んだ密使。
吉川 (よしかわ)
若いサラリーマン。カラオケで「お嫁サンバ」を熱唱中に、自己の人生を俯瞰して、前途を悲観してしまう。その後も突如閉塞感に囚われたり、幻覚に襲われたりという危機的な精神状態が続く。
太宰 治 (だざい おさむ)
小説家。暗い表情で登場。無口で、すぐに入水しようとする。実在の文学者、太宰治がモデルと思われる。
武者小路 実篤 (むしゃのこうじ さねあつ)
作家。能天気で騒がしい善人として描かれる。太宰の天敵的存在。実在の文学者、武者小路実篤がモデルと思われる。
村野 (むらの)
新任の熱血青年教師。テレビドラマ『飛び出せ青春』の村野武範演じる教師がモデル。熱血のわりに放任主義。
ヨッコ
女子高生。迎合的で見え透いた謙遜をしてしまい、自滅する。サトといつも一緒にいる。
サト
女子高生。ヨッコといつも一緒にいる。
本田刑事部長 (ほんだけいじぶちょう)
太田署の刑事。犯人を説得するために、犯人の要求に従って裸踊り、桜田淳子のモノマネ、妻との公開セックスなどを演じさせられるうちに、それが快感に変わっていく。
快感くん (かいかんくん)
人間の快感を擬人化したキャラクター。
虚無くん (きょむくん)
人間の虚無感を擬人化したキャラクター。快感くんが弾けた後に登場する。
福沢 諭吉 (ふくざわ ゆきち)
「天は人の上に人を作らず」という名言が二度にわたっておちょくられている。歴史上の実在の人物、福沢諭吉がモデル。
萩原 朔太郎 (はぎわら さくたろう)
詩人。本作では奇矯な行動をするダダイストとして描かれる。実在の詩人、萩原朔太郎がモデルと思われる。
安藤課長 (あんどうかちょう)
サラリーマンだが、上半身裸の白タイツ姿で踊る。部下のOL酒井に慕われている。
酒井 (さかい)
安藤の部下のOL。安藤を慕い、常にペアで登場する。
物怪怪君 (もけけくん)
常に全裸で登場する。頭頂部にのみ髪を遺した芥子坊主(江戸時代の幼児の髪型)の一種でリボンを結んでいる。ランドセルを背負い、解説でも小学生とされているが、クラスメイトは学生服姿の中高生。ペニスをぐるぐる回したり、乳首がピラミッドになったり、尻から旗を出したりという特技を持つ。ナンセンスキャラクターの一人。
キャプテン
宇宙船の艦長。あらゆることに冷静かつ冷淡に対処。宇宙海賊を撃破したり、遭難者を救助しそこなったり、映画『エイリアン』に登場した怪物の幼生、フェイスハガーに顔面を乗っ取られてもほとんど動じない。
タダシ
ナオコの夫または同棲中の彼氏。二人は進歩的でオシャレなカップル。自立した男女として、自分の欲望には忠実でありつつ、相手を尊重するというスタイルを通そうとするが、二人とも頑固なため、意見がしばしばくい違い、別行動を取ることが多い。そして、別行動を取ったことを互いに後悔するが、同じことを何度も繰り返す。 それでも別れには至っておらず、似合いのカップルと思われる。
ナオコ
タダシの妻または同棲中の彼女。タダシよりも気が強い。雑誌『Hanako』の読者。
オヤッサン
姓名不詳。飲み屋のオヤジ。常にNHK教育テレビ(現在のEテレ)の外国語講座を聴いていて、客がチャンネルを変えようとしても許さず、実力行使をためらわない。熱心に外国語講座を観ている客にはサービスする。
実存くん (じつぞんくん)
内心が表情に表れるというシリーズの主人公。四コマ全部、または四コマ目に顔面ドアップで登場する。
シド
パンクロッカー。モヒカン刈りがたたって就職できない。
アンダスタン
『コージ苑』の登場人物鉄男の愛猫。英語の「understand」から、「自分を唯一理解してくれる者」という意味で命名された。
書誌情報
コージ苑 3巻 小学館〈コミック文庫(青年)〉
第1巻
(2013-04-13発行、 978-4091962003)
第2巻
(2013-05-15発行、 978-4091962461)
第3巻
(2013-06-15発行、 978-4091962478)