概要・あらすじ
掛川高校一年生の田仲俊彦は、中学生時代に見た久保嘉晴のプレイが忘れられず、彼と共にピッチに立つ日を夢見てサッカー部に入部した。だが、現実は夢とは異なり、久保嘉晴は病気療養中、代理を務める副キャプテンの神谷篤司は高圧的でろくに練習にも参加させてくれない。サッカーに多少の自信を持っていた俊彦は、神谷に対して日々不満を募らせていた。
そんなとき、マネージャー・遠藤一美の機転で、一年生対二年生の対抗戦が成立する。勝てれば一年生からもレギュラーを選ぶという条件に勇み、平松和弘、白石健二という心強い味方を得て挑む俊彦。激戦の末、結果は敗北だったが意地を見せることはでき、神谷も態度を軟化させてくれた。
さらに、憧れの久保が療養から復帰し、チームの結束は一気に高まる。目指すは国立競技場。掛川高校サッカー部の熱き戦いが幕を開けた。
登場人物・キャラクター
田仲 俊彦 (たなか としひこ)
久保嘉晴に憧れ、掛川高校サッカー部に入部した少年で、ポジションはセンターフォワード。純朴かつ単純な性格で、一喜一憂の波が激しく、試合中でも落ち込んだり立ち直ったりする。中学生時代に平松和弘、白石健二とともに掛西中トリオとして注目を浴びた過去があり、入部当初は満足に練習させてくれない副キャプテンの神谷篤司に反感を抱いていた。 だが、一年生対二年生の対抗戦で敗北したことや、キャプテンの久保の復帰などを通じて和解し、エースストライカーとしてチームを支える重要な柱に成長していく。元々は「必殺の右」と呼ばれるパワーシュートを得意としていたが、久保によって実は左足の方がキック力が強いことを告げられ、よりパワフルで射程距離の長い左のシュートを主武器として使うようになった。 パワーだけでなく、センタリングへの抜群の反応速度に加え、ボレー、オーバーヘッド(バイシクル)、ドライブ、グラウンダー(サブマリン)など、さまざまなシュートバリエーションを駆使できる技術を併せ持つ選手で、得点力が極めて高い。
平松 和弘 (ひらまつ かずひろ)
田仲俊彦と同じ掛川高校に通う男子。中学生時代に、田仲俊彦、白石健二とともに掛西中トリオとして注目を浴びたが、父親の反対によりサッカーを辞めて勉強に専念することになる。だが、サッカーへの情熱を諦めきれなかったことや、遠藤一美の説得もあり、父の反対を振り切って再びサッカーを始めた。 あらゆる能力面で高い技量を誇るが、なかでも100メートルを10秒台で走る俊足と天性のボールコントロールが持ち味。ポジションはライトウィングを務める。また、戦術眼にも優れ、藤田東高校のフラッシュパスの欠点を見破った。
白石 健二 (しらいし けんじ)
田仲俊彦と同じ掛川高校に通う男子。中学生時代に、田仲俊彦、平松和弘とともに掛西中トリオとして注目を浴びた。だが、中学三年生のときの全国大会予選で暴力沙汰を起こしてしまい、チームが出場停止になって以来、その罪悪感からサッカーを辞めていた。その後は暴走族に入り、不良生活を満喫していたが、遠藤一美の説得により掛川高校サッカー部に入部し、再びサッカーを始める。 ポジションはゴールキーパーで、体格は大きくはないが、動物的な勘と身体能力、それに溢れるガッツでセーブするタイプ。強豪との戦いで、幾度もファインセーブを決め、チームの勝利に貢献する。
遠藤 一美 (えんどう かずみ)
田仲俊彦と同じ掛川高校に通う女子高生。サッカーについての知識はほぼ皆無だったが、久保嘉晴のおっかけが高じて掛川高校サッカー部のマネージャーになる。平松和弘や白石健二の入部に大きな役割を果たし、その後の掛川高校サッカー部の快進撃の起点となった。 マネージャーになってからは多少サッカーについて勉強しており、少しは理解するようになったが、基本的にはサッカーが好きというよりも、俊彦を始めとする部員たちの応援がメインで、サッカーそのものにはあまり興味がない。物語の中盤でアイドルデビューするほどの美少女だが、気さくで誰とでもすぐに打ち解けるため部員からの人気は高い。 ただ、不良上がりであるため、口が悪く、手が早いのが玉に瑕。
久保 嘉晴 (くぼ よしはる)
田仲俊彦の1年先輩で、神谷篤司とともに掛川高校にサッカー部を創設し、創部半年にして激戦区の静岡県ベスト8まで進出させた人物。極めて高いサッカーセンスを有し、中学一年生から中学三年生の前半まで過ごした旧西ドイツで、天才として名を知らしめていた。帰国後はヤマハFCに所属し、日本ジュニアユース代表にも選ばれている。 ポジションはミッドフィールダー(センターハーフ)。攻守両面で他者を圧倒するパフォーマンスに加え、甘いマスクに華のあるプレイで女性人気も高く、将来のスター選手として嘱望されていた。が、高校二年生のときに白血病で入院。治療しながらピッチに立ち続けたが、インターハイ静岡県予選準決勝・掛川北高校戦において「奇跡の11人抜き」を成し遂げた後、容態を悪化させて帰らぬ人となった。
神谷 篤司 (かみや あつし)
田仲俊彦の1年先輩で、親友の久保嘉晴とともに掛川高校にサッカー部を創設した人物。菊水東中学校の出身で、そこのサッカー部に所属していたが、チームに求めるスタイルの違いや、チームメイトが神谷篤司の能力についてこれなかったこと、生来の無愛想さと粗暴さから孤立。その後、ヤマハFCで久保と知り合い、意気投合して共に掛川高校に進学した。 久保嘉晴と組んでいた頃はストライカーとして活躍していたが、彼が死去した後は掛川高校サッカー部のキャプテンとしてチームを束ねる役割を担い、冬夏二冠を達成。その経験からゲームメイクの才能を開花させ、高校サッカー界屈指の司令塔として名を馳せた。 いかなる状況にも諦めない闘志溢れるプレイスタイルから「闘将」の異名で呼ばれる。ポジションはミッドフィールダー(レフトハーフ)。
佐々木 豊 (ささき ゆたか)
田仲俊彦の同級生で、掛川高校サッカー部に所属。新田真一とは須賀中学校のときからの親友である。平松和弘に負けず劣らずの俊足を武器に、一年生でレギュラーを獲得し、レフトウィングを担当した。サッカーと並行してバンドもやっており、ルックスの良さと相まって女子に人気が高い。
新田 真一 (にった しんいち)
田仲俊彦の同級生。佐々木豊とは須賀中学校のときからの親友で、彼を無理矢理誘って掛川高校サッカー部に入部した。最初の試合ではレギュラーになれず落ち込んでいたが、必死な練習によってレギュラー獲得。その後も努力を積み重ね、ディフェンダー(左サイドバック)のキーマンとなった。 絶妙なタイミングで繰り出すオフサイドトラップを得意とする。
馬堀 圭吾 (まほり けいご)
田仲俊彦の同級生で、久保嘉晴の死後、掛川高校サッカー部に入部した。ブラジルからの帰国子女で、南米仕込みのトリックプレイを得意とするテクニシャン。入部当初は久保の死に囚われ続けた部員たちと揉めていたが、神谷篤司が仕組んだ紅白戦により和解する。その後は持ち前の陽気さでチームに溶け込み、久保のポジション(ミッドフィールダー)を埋める重要な役割を果たし続けた。
大塚 繁樹 (おおつか しげき)
田仲俊彦の一学年先輩。190センチメートル近い巨体を活かした強引なプレイが持ち味のラフプレイヤーで、赤堀強と同じ栄山中学校の出身。もともとはフォワードとして相手ディフェンスを掻き乱していたが、田仲俊彦らの入部を機にミッドフィールダー(ライトハーフ)に転向し、高いボール奪取率を誇った。 久保嘉晴の死後は副キャプテンとして神谷篤司をサポートし、チームを支える。
赤堀 強 (あかほり つよし)
田仲俊彦の一学年先輩で、大塚繁樹と同じ栄山中学校の出身。スレンダーな体型ながら、192センチメートルというチームトップの長身を最大の武器とする選手である。もともとはゴールキーパーを担当していたが、白石健二の加入によりディフェンダー(スイーパー)に転向し、長い手足を活用してゴール前を死守した。
松下 浩 (まつした ひろし)
インターハイの常連校である藤田東高校サッカー部に所属する、田仲俊彦と同年代の選手。競争率が極めて高い藤田東高校で、一年生ながらレギュラー入りした逸材であり、センターフォワードを務める。得意のダブルクライフターンで相手ディフェンダーを華麗にかわし、ゴールを奪うのが信条。 また、チームメイトのシュート力を利用したカウンターシュートは、俊彦の左足にも負けず劣らずの威力を誇り、俊彦にとって最大のライバルとなっている。
広瀬 清隆 (ひろせ きよたか)
静岡県のサッカー有力校のひとつである掛川北高校に通う生徒で、掛川北高校サッカー部の隠し玉。家が貧乏だったため、サッカーボールを買ってもらえず、長年、野球用のゴムボールでサッカーをしていた。その結果、極めて高度なボールコントロールと、軌道が不規則に変化するナックルシュート(無回転シュート)を会得。 白石健二やディフェンダー陣だけでは捌ききれず、久保嘉晴をディフェンスに釘付けにさせるほど掛川高校サッカー部を苦しめた。
芹沢 直茂 (せりざわ なおしげ)
静岡県の強豪・清水学苑高校の選手。極めて高度なテクニックと、恵まれた体格、パワーを持ち合わせた選手で「フィールドの魔術師」「静岡のフリット」の二つ名をもつ。だが、身体の成長にスタミナ面が追い付いておらず、フルタイムで本領を発揮できないのが弱点。それを看破されたため、清水学苑高校は掛川高校に敗北した。
氷室 明彦 (ひむろ あきひこ)
男性。北海道の鶴ヶ崎学園高校サッカー部所属。高校サッカー界屈指のディフェンダーで地元の新聞では「北海の氷壁」の異名を持つ。ヴィリー・ラインハルトも皇帝と評した。フリースタイルスキーを得意とし、俊足と先読みを生かしたウェーデルン走法というドリブルが得意技。ポジションはディフェンダー、背番号は16番。 ユース代表ドイツ遠征メンバーに選ばれる。
ジョージ光岡 (じょーじみつおか)
男性。日本人とブラジル人のハーフ。ブラジルで「デル・ソール」の異名を持つほど将来を嘱望される天才的サッカー選手。日本人の血を引くことから一時日本ユース代表候補になったが、実力ある日本人選手と戦うため、ブラジルユース代表入りを決意する。日本ユースのドイツ戦に駆けつけ、出場した。ポジションはミッドフィルダー。
平松 修 (ひらまつ おさむ)
男性。平松和広の父親で総合病院勤務の医師。藤田東高校在学中はサッカー部に所属し、天才選手として名をはせた。大学進学後もサッカーを続け日本代表選手に選ばれる。自身が医師として冷遇されていると感じたことから、高校入学直後の平松和広にはサッカーをやめさせようとするが、妻の静子の言葉でサッカーをやめたことを後悔していることに気がついたあとは息子の活躍を見守る。
岩上 順司 (いわがみ じゅんじ)
黒髪短髪の男性。東京都の帝光学園高校サッカー部のキャプテン。長身だが動きがすばやく、センチメートル単位でシュートコースをコントロールできる。超高校級プレイから「キング」の異名を持つ。ポジションはミッドフィールダー、背番号は10番。ユース代表ドイツ遠征メンバーに選ばれる。
東 雄吾 (あずま ゆうご)
黒髪短髪の男性。群馬県の前山工業高校サッカー部所属。ポジションはディフェンダーで、高校サッカー界No1のディフェンダーとも評される。「オフサイドマイスター」の異名を持つほどディフェンダーラインのコントロールが得意。背番号は4番。ユース代表 ドイツ遠征メンバーに選ばれる。
平松 和広 (ひらまつ かずひろ)
黒髪短髪でメガネをかけた男性。掛川高校の生徒。予備校の模擬試験で教科480点を取るなど頭脳明晰。運動神経も抜群で、100メートルを10秒8で走る俊足の持ち主。掛川西中学校出身で、中学時代からトシとコンビを組む。白石健二とあわせ「掛西トリオ」と呼ばれていた。トシや白石健二と、連携技「トリプルカウンターアタック」を開発する。 掛川高校サッカー部入部後は、フォワード(右ウイング)で背番号は9番。サッカーセンスは抜群で、雑誌などにも高校サッカー界屈指のテクニックと評される。俊足を生かしたスピードに乗った鋭いドリブルが武器。明晰な頭脳と観察眼を生かし、相手チームの戦術を見抜くことも多い。 実父の平松修も天才選手と評されるサッカー選手だった。ユース代表ドイツ遠征メンバーに選ばれる。
ルディ・エリック (るでぃえりっく)
ドイツ人で、ブンデスリーガのフランクフルトに所属するサッカー選手。背番号は10番。ドイツのユース代表選手。久保嘉晴のドイツ滞在中、A・フランクフルトジュニアユースでコンビを組んでいた相手。父親もサッカー選手だった。
ヴィリー・ラインハルト (ゔぃりーらいんはると)
男性。群馬県の前山工業高校サッカー部所属。久保嘉晴と会うためにドイツから来日した留学生。ドイツでは「ウォルフ・ファング(狼の牙)」異名を持ち、鋭い回転をかけたシュートを放つ。ポジションはミッドフィールダー、フォワード。背番号は10番。
恩田 朝之 (おんだ ともゆき)
黒髪短髪の男性。東京都の帝光学園高校サッカー部所属の選手。同校サッカー部では数少ない1年生の1軍選手で「関東のマラドーナ」と呼ばれている。武器は「黄金の左」から繰り出される2つの回転軸で急激な変化を生み出すシュート。ポジションはフォワード、背番号は6番。ユース代表ドイツ遠征メンバーに選ばれる。
新田 伸一 (にった しんいち)
短髪の男性。須賀中学校出身で、佐々木豊とは中学時代からの親友。当初は補欠だったが、努力が認められレギュラーに昇格する。人一倍練習量が多かったため、無尽蔵の体力と強靭な足腰を身につけた。絶妙なオフサイドトラップを得意とするほか、果敢にオーバーラップも仕掛けるため、解説などでは「炎のサイドバック」などと呼ばれる。 ポジションはディフェンダー、背番号は8番。
斉木 誠 (さいき まこと)
黒髪の男性。掛川北高校サッカー部のキャプテン。久保嘉晴の才能を見込んで、引き抜こうとした。神谷篤司の菊水東中学校時代の先輩。ポジションはミッドフィールダー、背番号は10番。ユース代表ドイツ遠征メンバーに選ばれる。
加納 隆次 (かのう りゅうじ)
藤田東高校サッカー部のキャプテン。サッカー雑誌などに「高校サッカー界の帝王」と評される。身体能力やサッカー技術は桁外れに高い。全国制覇後、天才と評されていた久保嘉晴の創り上げた掛川高校サッカー部を倒すことを目的にしていた。ポジションはミッドフィールダー、背番号は10番。ユース代表ドイツ遠征メンバーに選ばれる。
集団・組織
掛川高校 (かけがわこうこう)
『シュート!』に登場する高校。静岡県内の県立高校。『シュート!』の主人公田中俊彦らが通う。連載開始時点で創立2年目の新設校。久保嘉晴らが創ったサッカー部は、「自由なサッカー」を標榜し、全員がチャンスがあれば攻撃に参加する攻撃的なサッカーを繰り広げる。サッカー部は創部2年目で冬の選手権優勝を成し遂げた。
藤田東高校 (ふじたひがしこうこう)
『シュート!』に登場する静岡県内の高校。サッカー部は全国大会の常連校。加納隆次らが所属する。あらかじめ決められた場所にパスを出すことで合図なしにパスをつなげる「フラッシュパス」が得意技。怪我で加納隆次を欠いた状態で、久保嘉晴率いる掛川高校に敗北した。平松和広の父、平松修の出身校でもある。夏のインターハイでエースの岩上順司を欠いていた帝光学園高校を破って優勝する。
帝光学園高校 (ていこうがくえんこうこう)
『シュート!』に登場する高校。冬の選手権優勝候補No1。サッカー部には岩上順司や恩田朝之が所属する。対戦相手と同じ戦術を採用し、個々の能力で圧倒する「悪魔の鏡」という伝統的戦術を持つ。
イベント・出来事
選手権 (せんしゅけん)
毎年冬に行われる、全国高校サッカー選手権大会のこと。各地方の大会の優勝校が東京に集まり、トーナメント形式で優勝校を決める。準決勝以降の試合は国立競技場で行われる。
続編
シュート! ~蒼きめぐり逢い~ (しゅーと あおきめぐりあい)
掛川西中学校のサッカー部に入った新入生、田仲俊彦、平松和広、白石健二。まったく性格の異なる三人が、サッカーを通して友情を育み、選手として成長していく姿を描いたサッカー漫画。彼らの高校時代を描いた『シュ... 関連ページ:シュート! ~蒼きめぐり逢い~
シュート! ~熱き挑戦~ (しゅーと あつきちゃれんじ)
インターハイを前にサッカー修行のためスペインへ渡った田仲俊彦。スペイン2部リーグに出場することになった彼の活躍と、彼の穴を埋めつつ県予選を勝ち抜こうとする掛川高校の試合を同時進行的に描いたサッカー漫画... 関連ページ:シュート! ~熱き挑戦~
シュート! ~新たなる伝説~ (しゅーと あらたなるでんせつ)
久里浜学園サッカー部が、2年生の伊東宏を中心に「キングダムサッカー」をつくりあげ、インターハイを勝ち上がり、強敵の掛川高校に立ち向かっていくさまを描いたサッカー漫画。前作までの主人公田仲俊彦が一旦は敵... 関連ページ:シュート! ~新たなる伝説~
アニメ
蒼き伝説 シュート!
トシこと田仲俊彦は、憧れの存在だった久保嘉晴の誘いで掛川高校サッカー部へ入部する。掛川西中学校時代からのチームメイト、平松和広と白石健二も掛川高校に進学したが、私的な理由でサッカー部への入部を当初は拒... 関連ページ:蒼き伝説 シュート!