概要・あらすじ
喘息持ちの病弱な少年・成神蹴治は、父親である成神龍が作った桜木高校サッカー部でプレーすることを夢見ていたが、病気を克服することができず中学のサッカー部では選手ではなくマネージャーの立場に甘んじていた。桜木高校への入学を翌日に控えた蹴治は、北海道から自転車で旅をして来たという風変わりな少年・犬童かおると出会う。
2人は連れだって桜木高校サッカー部の練習試合を見学するが、実はその試合はサッカー部の存続をかけた運命の一戦だった。0-4という絶望的な点差に加え、負傷者を抱えたまま突入したハーフタイム。危機的状況のなか、蹴治とかおるは試合の後半から出場することになる。
登場人物・キャラクター
成神 蹴治 (なるかみ しゅうじ)
桜木高校サッカー部に所属する気弱でおとなしい1年生の男子。喘息を患っているため激しい運動をすることができず、中学ではサッカー部のマネージャーをしていた。しかし、犬童かおると出会ったことがきっかけとなり、夢であった父親の成神龍が作った桜木高校サッカー部でプレーすることになる。生まれ持ったサッカーのセンスは凡庸だが、幼い頃から続けていた龍との練習によって、ストライカーに必要な資質を身につける。 マッシュルームのような独特な髪形は、姉の成神夏によるもの。1月10日生まれのB型で、身長は155センチ。ポジションはセンターフォワードで、利き足は左。
犬童 かおる (いんどう かおる)
桜木高校サッカー部に所属する1年生の男子。常に飄々としており、一見するととらえどころない性格をした少年だが、ことサッカーに対する態度はとてもまじめで、視野も広い。幼い頃に成神龍からサッカーを教えてもらっており、龍が生前に「かおるの生涯のライバルになる」と語っていた成神蹴治に会うため、北海道から自転車でやって来た。 サッカースタイルは龍と似ているが、龍以上の天賦の才を持ち、どのポジションでもこなすことができる天才肌。現在は蹴治の家で居候をしている。1月11日生まれのA型で、身長は185センチ。ポジションはミッドフィルダーで、利き足は右。
成神 夏 (なるかみ なつ)
成神蹴治の姉で、高校2年生。桜木高校サッカー部のマネージャーを務める、弟思いのしっかり者。中学では蹴治と一緒にサッカー部のマネージャーをしていた。父親の成神龍亡き後、寺を切り盛りする祖父とともに病弱な蹴治の面倒を見続けている。高校で蹴治がサッカーを始めることに当初は反対していたが、彼の熱意に根負けし、最終的に応援することを決めた。 8月3日生まれのO型で、身長は164センチ。
成神 龍 (なるかみ りゅう)
成神蹴治と成神夏の父親。蹴治と犬童かおるのサッカーの師匠でもあり、桜木高校サッカー部を創設した男性。5年前に亡くなっているが、サッカー関係者で知らぬ者はいないとまで言われた伝説の人物で、生前は桜木高校サッカー部の監督を務めていた。自身と似たタイプで、自分以上の才能を持つ犬童かおるに対し、いつか東京に来て息子の蹴治とサッカーをするよう言い聞かせており、2人を引き合わせることが自身がサッカーと出会った意味であると確信していた。 8月3日生まれのAB型で、身長は175センチ。当時のポジションはミッドフィルダーで、利き足は右。
大塩 (おおしお)
桜木高校サッカー部の主将を務める3年生の男子。優しく気弱な性格をしているが、誰よりも桜木高校サッカー部を愛しており、部員からの信頼は厚い。もともとはサッカー初心者だったが、犬童かおるや成神蹴治、如月太狼の入部により刺激を受け、ディフェンダーとしての実力を大きく向上させた。ポジションはセンターバック。
近藤 留夏 (こんどう るか)
桜木高校サッカー部に所属する1年生の男子。単細胞かつ短気、さらに喧嘩をしている時がもっとも生き生きしているという問題児。成神夏に一目惚れをしたことで、初心者ながらサッカー部に入部することになった。メンタルの強さに加え、動体視力や反射神経、さらに体格にも恵まれている逸材。千手を師匠と仰いでいる。ポジションはゴールキーパー。
如月 太狼 (きさらぎ たろう)
桜木高校サッカー部に所属する1年生の男子。普段は温厚で心優しい美男子だが、試合中はヒートアップしすぎて性格が豹変することから、「闘将如月」と呼ばれている。全国中学大会で優勝した経験があり、MVPも受賞した実力者で、強豪の仁多花高校サッカー部からもスカウトされていた。頭脳明晰で、新戦術や効率の良い練習方法の提案などもしている。 ポジションはディフェンダーだが、ボランチもそつなくこなすマルチプレイヤー。
鳥飼 翔 (とりかい しょう)
桜木高校サッカー部に所属する1年生の男子。成神蹴治と中学が一緒で、中学のサッカー部ではエースだった。成神龍に憧れており、龍が成しえなかった東京制覇を達成するため桜木高校に入学して来た。高校でのポジションはミッドフィルダー。
猫谷 (ねこたに)
桜木高校サッカー部に所属する1年生の男子。入学式後の部活紹介で犬童かおると成神蹴治が披露した華麗なリフティングを見たことがきっかけとなり八馬、猿橋とともに入部を決めた。少年サッカー経験者だが、中学進学後は陸上部に在籍していた。持ち前のスピードを活かし、レギュラーの座を確保する。ポジションはフォワード。
八馬 (はちうま)
桜木高校サッカー部に所属する1年生の男子。入学式後の部活紹介で犬童かおると成神蹴治が披露したリフティングに感銘を受け、猫谷や猿橋とともに入部を決めた。サッカーは学校の授業でやったことがあるだけの完全な初心者。ポジションはミッドフィルダー。
猿橋 (さるはし)
桜木高校サッカー部に所属する1年生の男子。入学式後の部活紹介で犬童かおると成神蹴治が披露したリフティングを見て猫谷、八馬とともに入部を決めた。中学では陸上部に在籍しており、サッカーに関してはずぶの素人。ポジションはミッドフィルダー。
人間 良雄 (ひとま よしお)
桜木高校サッカー部の顧問を務めている高齢の男性。腰が悪いため、あまり練習には顔を見せないが、成神龍が監督だった頃から顧問をしている生き字引的存在。グラウンドを使えず、満足に対戦相手を見つけられなかったことから、名ばかりの顧問としての立場にずっと心を痛めていた。そのため、犬童かおると成神蹴治が入部したことでサッカー部が活気づいたことを大いに喜んでいた。
色無 (しきなし)
仁多花高校サッカー部の監督を務める男性。成神龍とは古くからの友人で、龍の葬式や犬童かおると成神蹴治の入学式にも駆けつけていた。監督経験も豊富で、薺高校や南天高校を経て、現在は仁多花高校で指揮を取っている。頭頂部の髪がなく、小柄でプニっとした体形。一見優しそうに見えるが、礼節を重んじる性格なため、部員に対しては時に厳しい態度を示すこともある。
黒夜 光 (くろや ひかる)
仁多花高校サッカー部に所属するサッカーセンスに優れた1年生の男子。常に黒い服を着ており、頻繁に遅刻をするうえに練習も嫌いという変わり者。高校進学の際にはその実力を買われ、東京都内外の多数のスカウトから引き合いがあったが、自分中心のチームを作ることを条件に仁多花高校へと入学した。「仁多花の太陽」とも呼ばれ、卓越したパスセンスに加え、単独突破もできる高いスキルを持つ中心選手。
赤丸 北斗 (あかまる ほくと)
仁多花高校サッカー部に所属する1年生の男子。色無から歴代最強の年代と言われる選手の1人。高身長に坊主頭といういかつい見た目だが、性格はいたって真面目で堅実。北海道選抜時代は犬童かおるの相棒を務め、青森の高校からもスカウトが来ていたが、最終的に仁多花高校を選んだ。次期エース候補。
青空 快晴 (あおぞら かいせい)
仁多花高校サッカー部に所属する1年生の男子。色無から歴代最強の年代と言われる選手の1人。常に笑顔を絶やさないさわやかな美男子で、1年生ながら中盤の中心選手として活躍している。如月太狼とは同じ中学出身で、全国中学大会優勝の経験を持つ。
北海 (きたうみ)
場羅崎高校サッカー部のキャプテンを務める男子。チームではセンターバックを務め、強靭な体幹の持ち主で、小柄な選手を体を当てただけで吹き飛ばすなど、フィジカルの強さはケタ違い。場羅崎高校サッカー部における要注意選手。
熊本 (くまもと)
場羅崎高校サッカー部に所属する男子。189センチの長身を活かし、ゴールキーパーを務めている。並のシュート精度ではゴールを割ることはできないと言われる鉄壁の守備を誇るが、仁多花高校サッカー部との練習試合では黒夜光に2得点を許している。
千手 (せんじゅ)
椿原実業サッカー部に所属する3年生の小柄な男子。チームではゴールキーパーを務めていたが、身長が低いことを理由にキーパーとして起用されることは少なかった。それでもキーパーへの熱意を捨て切れず、猛練習の末にシュートコースを予測し、ディフェンダーに指示を出すことでコースを限定させるという、低身長でも戦える守備方法を考えた。 現在は「シュートを打たせない」ことを信条としている。近藤留夏の師匠。
七海 (ななみ)
椿原実業サッカー部に所属する3年生の男子。荒みきったサッカー部を変えようと奔走する千手に最初こそ抵抗していたが、最終的に千手に賛同し、懸命にサッカーに打ち込むようになった。ポジションはミッドフィルダー。
三矢 (みつや)
椿原実業サッカー部に所属する3年生の男子。髪をオールバックにした強面で、2年前までは暴走族に所属していた。荒んだ生活を送っていたが、千手が暴走族の集会に来てまでサッカーを続けるよう説得したことで更生を果たす。ポジションはミッドフィルダー。
熊野 (くまの)
成神蹴治の主治医を務める男性で、蹴治が幼い頃から喘息の病状を定期的に診ている。医師として蹴治がサッカーを続けることに反対していたが、蹴治のプレーを活かしてあげたいという成神夏の熱意に打たれ、蹴治が安心してサッカーに打ち込めるよう助言を与える。
集団・組織
桜木高校サッカー部 (さくらぎこうこうさっかーぶ)
成神龍が創設したサッカー部。5年前までは龍が監督を務めていたが、彼が亡くなった後は地区予選で1回戦敗退する弱小チームになってしまう。3年生は大塩1人しかおらず、2年生も3人だけ。廃部の瀬戸際に立たされていたが、犬童かおると成神蹴治らが入部したことで部の存続が決まった。通称は「桜高」。
仁多花高校サッカー部 (にたかこうこうさっかーぶ)
東京では強豪として知られるサッカー部。桜木高校サッカー部と練習試合をしたサッカー部。合理的な考えを持つ色無監督のもと、状況に応じて戦術やシステムを変化させるという、まるでカメレオンのように変幻自在なチーム。国体強化選手も在籍しており、新入部員は50人以上の大所帯で、さらにマネージャーも10人いる。通称は「仁多花」。
場羅崎高校サッカー部 (じょうがざきこうこうさっかーぶ)
2年前に地区大会決勝、1年前にインターハイ都大会出場を果たしたサッカー部。インターハイの東京都地区予選の初戦で桜木高校サッカー部と対戦した。守備が固いうえに勝負強く、組織として徹底的に鍛え上げられている好チーム。通称は「バラ高」。
椿原実業サッカー部 (つばきはらじつぎょうさっかーぶ)
インターハイの東京都地区予選の2回戦で桜木高校サッカー部と対戦した。不良ばかりがいる学校として周辺地域では悪名高い。サッカー部も荒れに荒れていたが、千手の入部によって見違えるようにすべての部員が真面目にサッカーに取り組むようになり、インターハイでは初戦勝利を収めた。通称は「椿実」。