概要・あらすじ
発明一家の息子であるジェームス・レイ・スチム(レイ)は、父親のジェームス・エドワード・スチムと祖父のジェームス・ロイド・スチムの影響を受け、蒸気で走る一輪自走車を制作して、「スチーブンソン社」が主催する蒸気自走車レースに出場する。惜しくも優勝は逃すものの、レースには賓客として「スチーブンソン社」の幹部社員、ディキンソンが観戦に来ていた。
ディキンソンは一輪自走車を一人で作り上げたレイに大きな可能性を見出し、「スチーブンソン社」が拠を構えているロンドンへ来ないかと招待する。この誘いを受け、レイは仲間たちと共に繁栄の都ロンドンへと勇んで旅立っていく。
登場人物・キャラクター
ジェームス・レイ・スチム (じぇーむすれいすちむ)
イギリスのマンチェスターに住む茶褐色の髪の少年。著名な発明家である父親と祖父を持つ。その影響もあり、自身も蒸気で走る一輪自走車を制作して蒸気自走車レースに出場したり、旅先でも何かと発明をして周囲を驚かせている。少年らしく明るくて前向き、かつ好奇心旺盛で、その性格ゆえに大きな事件やトラブルに巻き込まれることもある。 発明家の父親と祖父を誇りに思っており、自身も将来はロイド一家の三代目を名乗るにふさわしい発明家になりたいと願っている。
ポール・マクレガー (ぽーるまくれがー)
ふくよかな体型をした眼鏡の少年で、ジェームス・レイ・スチム(レイ)とは幼なじみ。将来は超一流ジャーナリストになるのが夢で、普段からペンとメモ帳を携帯し、取材と称しては街中で起きた出来事をメモに取って自作の新聞を作っている。レイのことを未来の大発明家と慕い、いつも後を付けまわしている。レイと共にロンドンへと旅立ち、大きな事件に巻き込まれることとなる。
エマ
亜麻色の髪を大きなリボンで後頭部で結った少女で、ジェームス・レイ・スチム(レイ)とは幼なじみ。家も近所で、父親がよく家を不在にするため、弟のトーマスと共にレイの家で時折預かられている。料理が得意で、見た目は悪いが味は抜群に美味い。何かとレイのことを気にかけて世話を焼いている。レイと共にロンドンへと旅立ち、大きな事件に巻き込まれることとなる。
ディキンソン
「スチーブンソン社」の幹部社員。口ひげを蓄え、シルクハットにタキシード姿で、普段は杖をついている初老の男性。賓客として観戦中、「スチーブンソン社」主催の蒸気自走車レースに出場していたジェームス・レイ・スチムに興味を持ち、ロンドンに来ないかともちかける。実は蒸気機関の普及に反対する「七つの封印教団」を裏で束ねており、「スチーブンソン社」の乗っ取りを企てている。
エリック・ボイド (えりっくぼいど)
蒸気機関の普及に反対する「七つの封印教団」の教団長。口の周りに髭を蓄えた、長髪の男性。パトリシア・ボイドの父親。かつて妻を列車事故で亡くして意気消沈していたが、七つの封印教団に誘われ、その活動に邁進することで立ち直った。マンチェスターの駅で行われた、「スチーブンソン社」の新しい蒸気機関車の展示会を中止させるため、教団員と共に画策する。
パトリシア・ボイド (ぱとりしあぼいど)
エリック・ボイドの娘。銀髪に厚い唇と鋭い目が特徴的な少女。寡黙で感情の起伏は少ないが、父親想いで情に厚い。父親の行っている宗教活動に対しては特に何も口にせず、付き添い続けている。父親と教団が起こした「スチーブンソン社」の蒸気機関車の展示会での暴動で命を落としそうになったところをジェームス・レイ・スチムに助けられる。
ベンジャミン・ノーマン (べんじゃみんのーまん)
ロンドンの貧民街の地下に住んでいる少年たちのリーダー的存在の、黒いハットを被り、燕尾服を着た長い黒髪の少年。父親は長距離郵便馬車の仕事をしていたが、蒸気機関車の普及で職を奪われた。以降、父親は酒浸りの日々を送るようになり、挙句の果てには酔っ払ってテムズ川に落ちて亡くなる。暗い過去を持ちながらも、妹のメアリや貧民街の仲間たちと共に、逞しく生きている。 ロンドンにやって来たジェームス・レイ・スチムと意気投合し、行動を共にすることになる。
スチュアート
ロンドンの工場に勤めている丸眼鏡の少年。白いレオタードに羽根付き帽子、王子様のような衣装という、個性的な風貌をしている。ベンジャミン・ノーマン(ベン)が盗んできたSLの部品などの下取りを請け負っており、ベンの紹介でジェームス・レイ・スチムが蒸気一輪自走車を制作するにあたっての部品を提供することになる。
ジョーイ
ロンドンの貧民街の地下でベンジャミン・ノーマン(ベン)たちと共に生活をしている少年の一人。白い帽子に白いジャケットを羽織り、前髪を右目を隠すように垂らしている。食料の調達をしたり、ジェームス・レイ・スチム(レイ)が蒸気一輪自走車の制作をする作業場を借りる交渉をしたりと、ベンの右腕的存在としてレイたちに協力する。
ジェームス・ロイド・スチム (じぇーむすろいどすちむ)
ジェームス・レイ・スチム(レイ)の祖父で、発明家の老人。右目にレンズを嵌めており、長い顎鬚とリーゼントのように前髪の盛り上がった髪型が特徴的。かつてジョージ・スチーブンソンと共に蒸気自走車の制作をしていたが、仲違いして袂を分かった。現在は息子であり、レイの父親であるジェームス・エドワード・スチムと共に新たな発明に力を注いでいる。 熱狂的な「ロイド信者」と呼ばれるファンを多く持つ。
ジェームス・エドワード・スチム (じぇーむすえどわーどすちむ)
ジェームス・レイ・スチム(レイ)の父親であり、発明家である。背が高く、黒髪で口髭を蓄えている。レイの祖父で、自身の父親でもあるジェームス・ロイド・スチムと共に、新たな発明に力を注いでいる。
ジョージ・スチーブンソン (じょーじすちーぶんそん)
蒸気機関車の実用化、普及に大いに貢献した、「鉄道の父」と呼ばれている老人。シルクハットにタキシードを着用し、杖をついている。かつてジェームス・レイ・スチムの祖父であるジェームス・ロイド・スチムと共に蒸気自走車の制作をしていたが、仲違いして袂を分かった。現在は「スチーブンソン社」を経営しており、蒸気機関車の開発、普及に多大な影響を与えている。
集団・組織
スチーブンソン社
「鉄道の父」と呼ばれるジョージ・スチーブンソンが創設した、蒸気機関車を開発している会社。この国の産業に大いに貢献している反面、蒸気機関車の普及によって被る社会への影響を危惧する者も少なくはなく、「七つの封印教団」のような団体を生み出す原因にもなっている。
七つの封印教団 (ななつのふういんきょうだん)
蒸気機関の普及に反対する教団で、パトリシア・ボイドの父親のエリック・ボイドが教団長を務めている。宗教団体ではあるが、主に蒸気機関車をはじめとする、蒸気機関の普及に対しての反対デモを行っている。表向きはエリックが指揮を執っているが、裏で操っているのは「スチーブンソン社」の幹部社員、ディキンソンである。
場所
ロンドン
蒸気機関車が行き交い、繁栄の都として名の知られている都市。その反面貧富の差が激しく、華やかな上流階級に比べ、貧困階級はスラムと呼ばれる貧民街で生活している。スラム居住者は職に就くことすらままならず、また両親を持たず、市場で盗難をして生活している者も多い。それでも彼らは仲間意識が強く、寄り添い希望を持って逞しく生きている。
クレジット
- 原作